白鳥は生涯鳴かないが、死ぬ間際に美しい歌を歌うという。
転じて、人生の最後に披露するもの、成し遂げるものを、スワンソングという。

少女を乗せた黒い白鳥が崩れゆく世界を彷徨う、不思議なビジュアルのアクションゲームが登場しています。
SWAN SONG」です。

XBOX の人気ゲーム「鉄騎」を開発した「ヌードメーカー」という会社の作品で、アートデザインは FF12 や 14 を手がけた方が担当、サウンドはモンスターハンターやデビルメイクライに携わった方が作られている、豪華クリエイターが参加した作品です。

ただ、スマホでは「巨匠が参戦」「ビジュアル重視」というゲームはコケるケースも多く、このゲームも決して悪い作品ではないのですが、万人向けとは言えません。
かなり「骨太」のアクションで、「美しいアートを楽しみたい」程度で手を出すとヤケドするゲームですね。
正直、イライラするのが本音。 ただ、雰囲気は本当に独創的なものがあります。

SWAN SONG

本体を左右に傾け、画面をタップすると、傾けた方向に黒い鳥が羽ばたきます。
独特な操作感と浮遊感のあるゲームで、これで広い空間を飛び回るのは楽しいのですが、閉所を抜けていくステージが多いため、むしろこの操作感が邪魔になる場合も多いです。

フリックするとその方向にダッシュ移動しますが、これも思う方向に飛ばないことが多く、操作し辛さを感じます。
ダッシュだけでも思い通りに出来たら、もうちょっと遊びやすかったと思うんですけどね・・・

※あとで解ったのですが、(現バージョンの)ダッシュが思う方向に動かないのは、「フリックでその方向に素早く移動」するのではないためのようです。
フリックによるダッシュは上下しか行えず、横方向へのダッシュは画面を押しっぱなしにした後に離す「タメダッシュ」のみのようです。
つまり説明文が間違っているのが原因ですね。

ステージ内は都市のような、機械のような、洞窟のような、よく解らない不思議な世界になっています。
壁は真っ黒、破壊可能なオブジェは白黒で描かれていて、壊れるオブジェに突っ込むと「ズガーン!」という気持ちの良い音と共にバラバラに崩壊します。
この破壊感が気持ち良いため、本当はぶつからない方が良いのですが、思わずバキバキ破壊しまくってしまいますね。

壁にぶつかるとダメージを受け、塗装が剥げ落ちるように黒い鳥が白くなっていきます。
真っ白になると昇天してゲームオーバー。
ただ、ダメージを受けないようにしていれば自然と回復していきます。

各ステージの最後にはボスがいて、体の一部に光るオーブのようなものがあります。
それを取ればクリアですが、そう簡単に取ることは出来ず、直接的な攻撃手段もないため、テクニックに加え、ちょっとした謎解きが必要になります
道中もしかけを解かないと進めない場合があり、アクションアドベンチャーと言っても良いかもしれません。

SWAN SONG
※ゲームをポーズするとマップが表示されます。行き先が解らない時はこれで確認しましょう。
それでも先に進めない時は、どこかにあるしかけを解かなければなりません。
例えばステージ1は、右の画像の重りを落とせば、ストッパーが崩れて歯車が回り出します。


SWAN SONG
※謎の鉄橋を体当たりでバシャーンと破壊!
ちょっとダメージを受けますが、それでも壊したくなる爽快感があります。
右の画像はステージ1のボス。意味があるようで無さそうな独特なデザイン。 こんな感じが終始続きます。


雰囲気や浮遊感は本当に良いのですが、「動かし辛い+難易度が高い」ため、ゲームとしての評価は微妙なところ。

操作性が良くて、それで難しいのだったら、まだ納得が出来ます。
しかし操作感が独特でコントロールし辛いため、「思うように動かせなかったために」ミスるという状況が繰り返されます
これはホント、イライラします。
このゲームの場合、独特な操作から来る難しさは一つのゲーム性でもありますが、操作性が原因で進めないゲームは最悪ですからね。

さらにステージ2で早くも即死トラップが出てきますが、チェックポイントがあまり多くないので、ミスる度に結構戻されます
ミスりながらパターンを構築していく、割と古いタイプのゲームですが、これで操作も難しいとかなり辛い。

結果、ビジュアルは素晴らしいですが、それを楽しんでいられるのは序盤だけで、すぐに余裕がなくなってきます。
鬱ゲーっぽいゲームですが、雰囲気重視とは思えないほどの難易度に、むしろエキサイトしてきますね。
まあ、それを越えて挫折すると鬱になるので、その意味で鬱ゲーだけど。

SWAN SONG
※左はステージ3の海竜の骨。 いきなり出てきて、当たったらほぼ即死。
おまけに結構前まで戻されるというマゾ仕様。 ここで一度、心が折れかけました。
右はステージ4のパックンフラワー。 これも近付いたらパクッとされて即死。 だんだん即死が増えてきて、良く言えば骨太、悪く言えばマゾゲー化していきます。 死んで覚えるゲームですね。


SWAN SONG
※謎のロケットや海底洞窟など、解るようで解らない不思議な光景が多数見られます。
ところでこの画像、覚えておくと役に立つかもしれません。


価格は 400 円。 ビジュアル込みで考えると、ボリュームも結構あるし、高いとは思いませんが・・・
ちょっと一般向きではないですねぇ。
どちらかと言うと、高難度のゲームに慣れていて、こうした雰囲気も評価されやすい、海外でウケるゲームかもしれません。

個人的には「ゲームクリエイターがスマホの舞台で試しに作ってみた、同人的なゲーム」という印象があります。
もしかすると LIMBO のようなスタイルを狙ったのかもしれませんが、遊びやすさには大きな差があります。

ただ、万人向けではないけど、このファミコンの時代に戻ったかのような難易度は、ある意味「ゲームクリエイターの作品」らしいのかもしれません。
それに独創的で、作りたいものを作っているというのは、私は嫌いではありませんね。
先を見たくなる内容ですし、チャレンジする意欲の湧くゲームではあります。
一般のユーザーにウケるかどうかは別として。

SWAN SONG(iTunes が起動します) 

※SWAN SONG の攻略記事を こちら で公開しています。