オタクと SF と物理学が交錯する、アニメ化・映画化もされた大ヒットノベルゲーム STEINS;GATE(シュタインズゲート)
派生作も非常に多い作品ですが、2013 年に PS3 や XBOX、PS Vita で発売された、登場人物1人1人に焦点を当てた短編集が iOS に移植されています。
STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」です。

今作の内容を一言で言うと「公式アンソロジー」です。
アンソロジーとは一般的に、複数の作家が同じテーマで書いた小説や漫画の作品集で、このゲームも 10 本のシナリオのうち、本編のシナリオに関わった人が書いたのは2つのみ。
残りの8つは別の方が書いたものです。

ただ、担当したのはラノベ作家やシナリオライター、脚本家など、その方面のプロの方々
作家の違いにより、それぞれのシナリオに作風の差異がありますが、同人誌などのアンソロジーとは規模が違いますね。 もちろんセリフもフルボイス。
定価は 3000 円で、iOS アプリとしてはかなり高額ですが、ボリュームはそれに見合ったものがあります。

内容は本編のシュタインズゲートを知っていることが前提になっています。
よって先にこちらを読んでも楽しめないし、意味が解りません。
本編 未プレイの方は、先にそちらからプレイしましょう。

STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム

まずは本編の主人公、岡部倫太郎のシナリオからプレイします。
それをクリアすると2つのシナリオが現れ、そのどちらかを終えるとさらに3つのシナリオが現れるというように、選択できるシナリオは徐々に増えていきます

1つのシナリオはラストまで1時間半~2時間
全部で 10 のシナリオがあるので、全体としては 15~20 時間。
合計すれば本編と同じ規模のボリュームになりますね。
また、今回は1時間半~2時間で一区切り付くことが解っているので、そのぶんプレイしやすさもあります。

内容は本編に沿ったものもあれば、直接関わらない番外編もあり、サスペンスもあればギャグなストーリーもあります。
全体としてはシリアスな話が多く、同じファンディスクでもギャルゲーだった「比翼恋理のだーりん」とはかなり雰囲気が異なります。

今回はストーリー分岐はなく、すべて一本道
携帯でメールを送受信する「フォーントリガー」はありますが、これによって物語が変わったりすることはないので、単なる演出に近いです。
よってノベルゲームと言うより、普通のノベルやドラマですが、元々プレイヤーが介入する要素の少ないゲームでしたし、これはこれで良いと思います。

STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム
※今回はシナリオごとに主人公が変わるため、こんな風に本編の主人公だった岡部を外から眺める場合もあります。

STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム
※舞台が本編と同じなので、背景 CG などはほとんど流用。 新 CG はイベント用のものが多いです。
セリフは吹き替えと違って尺や口パクに合わせる必要がないためか、自由に演技されている印象ですね。

ネット上の評価を見てみると、シュタインズゲート本編のまだ明かされていない部分や、描かれていない部分に全く触れられていないのが「期待ハズレだった」とする意見も多いです。

ただ、これは冒頭でも述べたようにアンソロジーです。
大半のシナリオは本編とは異なる作家さんが書いたものであり、そして原作者ではない第三者が本編を改編・追加することは、普通許されません。

シュタインズゲートの場合、どんなに変えても「世界線」の一言で片付けられる便利な設定なのですが、それでも本編で明かされていない部分に第三者が勝手に触れたら、ファンからフルボッコにされること請け合いです。

ですから、これは最初から「そういうものだ」と思って見るべきですね。
あくまでファンディスクであり、公式アンソロジーであって、本編を補完する物ではないという視点で見れば、十分な内容だと思います。

STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム
※シナリオ選択画面。 シュタインズゲートらしい、ニキシー管っぽい文字表現が良いです。
下部のポケコン風の液晶表示も味がありますが・・・ 最近の人にポケコンって言っても解らないだろうな。
あ、ロボティクスノーツのポケコンとは違います。


STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム
※時間移動シーン。 岡部以外の場合は自分で行き先を設定しないためか、これとは別の世界線移動シーンになります。
今回も 2ch ネタやネットスラングが多数出てきますが、「比翼恋理のだーりん」の時と同じく最新のネタも使われており、本編が登場した 2009 年には存在しなかったものもあります。


PS3 / XBOX 版がフルプライス(7000 円前後)で、PS Vita などのダウンロード版でも 6480 円であることを考えると、内容は同じですから、昨年発売されたばかりのソフトとしては 3000 円は安価と言っても良いでしょう。

私的にはシュタインズゲートはサスペンスの印象が強いので、ギャルゲーの「比翼恋理のだーりん」より、今作の方がしっくり来ますし面白いです
ただしフルボイスなのでインストール後の容量は 1.58 GB あります。
本体容量の少ない方はご注意を。

あくまで 本編 をクリアした方にのみ勧められるゲームですが、シュタゲをもっとプレイしたいと思っている人は必携ですね。

STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム(iTunes が起動します)