都市開発シミュレーションゲームの元祖にして大定番 SimCity(シムシティ)。
そのシムシティのスマホ用の新アプリが公開されました。
SimCity BuildIt」です。

先に言っておきます。 これは従来のシムシティとは全く別物です
工場をタップしてお金やアイテムを回収し、それを使ってを建物を拡張していく・・・
そんなソーシャルゲーム型の簡易町作りゲームです。

ヘイ・デイ」のような欧米の農園ゲームに近い内容で、iTunes の説明文にも「これまでとはまっく違う、モバイル専用のシムシティをお楽しみ下さい!」と明記されています。
この言葉が全てを物語っていますね。
あくまでシムシティのモバイル用派生アプリだと思っておきましょう。

ソシャゲ型なのでアプリ本体は無料ですが、もちろん課金があります
無課金でも遊べないことはないですが、この手の開発ゲームとしては課金圧力は高めですね。

SimCity BuildIt

見てのように画像はフル 3D で描かれています。
最新機種ならこれがグリグリ動き、回転も拡大縮小も自由自在。
夜には明かりが灯り、昼間は道路を車が往来する、かなり素晴らしいグラフィックです

まあこのグラフィックは、昨年発売されたパソコン用の(新)シムシティの流用なのですが、いずれにせよスマホやタブレットでこの画面でプレイ出来るのは凄いですね。

ゲームが始まったら道路を敷き、その周囲に住宅・商業施設・工場を建てていきます。
ただ建てられる数が決まっていて、特に商業施設は序盤、各種類1つずつしか作れません。

そしてまず、工場で鉄や丸太の生産を行います。
生産スロットに作りたいものをセットし、しばらく経った後に完成したら、タップで回収。
次に商業施設でそれをネジや木材に加工します。 もちろんこれにも時間がかかります。
完成したら、再びタップで回収。

回収と生産の作業は、毎回自分で行わなければなりません。
前述したようにソシャゲ型・モバイル型の開発ゲームで、工場は生産施設、商業は加工施設です。

住宅は発展に必要なアイテムを要求し、それを与えると上位の建物に改築されます
ボロ屋が家に、家がマンションやビルになっていく様子は、見栄えの良さも加わって、見ているだけで楽しめます。

ただ、加工には1つ 15 分とか 30 分とかの時間がかかります。
原材料も上位のものになると1つ 30 分以上の生産時間が必要になります。
オリジナルのシムシティのようなずっとプレイし続けるゲームではなく、半放置型の内容です。

SimCity BuildIt
※このゲームの工場は農園ゲームの畑のようなもの。 作るアイテムを指定するとしばらく放置後に完成します。
待っている最中はアプリを落としておいても構いません。
ゲーマーの知っているシムシティーではないです。


SimCity BuildIt
※要求されるアイテムがそろったら建物の改築を行えます。
都市はなかなか広がらず、むしろ広げない方がプレイしやすいです。
狭い範囲で改築を繰り返していくのがメインですね。


一応シムシティなので、電力・公園・水道・下水など、住民は様々な要望を出します
要望が出たら発電所や貯水塔、下水処理施設などを作らないと支持率が低下し、発展も停滞します。
不満を述べている住宅からは改築要求が出なくなるので、公共施設の建設も随時行わなければなりません。

発電所や貯水塔を作る際には、送電線や水道管の管理画面が表示されます。
ちゃんと住宅にラインが引かれ、電力や水が供給されていく様子が表示されるのは、なかなかカッコイイですね。
ただ、供給ラインは道路が兼ねているので、道沿いに建物を作っていれば自然と繋がります。
必要な施設を作れば良いだけなので、あまり計画が必要なものではありません。
また、建物は建設後も自由に動かせます

公園は周辺の住宅の「地価」を上げるもので、これも発展(改築)を促します。
これには影響範囲があり、その中の住宅にしか効果がないので、設置場所を考える必要があります。
町を広げると範囲に入れられない住宅が増えるので、公園が少ないうちは家をあまり増やさず、改築をメインにした方が都市を発展させやすくなります
消防署なども同様に範囲があり、逆に石炭発電所や下水処理場は地価を下げる影響範囲が発生します。

問題は、これらの施設の建設に必要な資金が多いこと。
要求される施設が多い割に収入が少ないので、なかなか要望に応えられません。

税収は微々たるものなので、資金収入は住宅の改築で得られる報酬がメインなのですが、改築しようにもアイテムの生産を待たなければならないので、じっくり進めていくしかありません。
この辺はソシャゲ型の開発ゲームのバランスということですね。
序盤から厳しめのため、「あぁ EA のゲームらしいなぁ」と感じます。

ある程度、問題を妥協しながら進めていく展開の方がシムシティらしくはあるのですが、課金型ゲームだとそれは課金圧力になってしまいますね・・・

SimCity BuildIt
※上水道の画面。 景色がモノトーンになり、パイプラインが表示される様子がカッコイイです。
ちなみにこの演出も、PC 用の新シムシティからの流用です。

SimCity BuildIt
※消防署の範囲。 住宅地の中心に配置する必要があります。
効果範囲が狭く、施設の建設費も高いため、住宅地をあまり広げると効果を及ぼせない地域が生じてしまい、開発が辛くなります。


ここまで説明した時点で、これがどれだけ「シムシティではないか」「シムシティっぽい別物か」が解ると思います。
各地区のバランスなどを考える必要はなく、マップもかなり狭いです。
ゲームが進めば交通渋滞なども発生しますが、道路をお金でアップグレードして解決するものであり、全体的に簡易な作りになっています

ただ、それが悪いという訳ではありません。
この手の放置型開発ゲームもかなり人気があり、Megapolisジャパンライフ はかなりヒットしていました。
ちょっと毛色は違いますが、私も スヌーピーストリート はかなりやっていましたね。

今作はそうしたゲームを好む人に向けた、「シムシティの派生バージョン」ということでしょう。
アプリ名も「SimCity」ではなく、あくまで SimCity「BuildIt」ですし。

ただ納得できないのは、このゲームの公開に伴って、買い切りゲームであった本家のシムシティ「SimCity Deluxe」がストアから削除されたこと
 
ここまで内容が違うのですから、本家のシムシティと共存する事も出来ると思うのですが、安くて買い切りの、長期的に楽しめる本家シムシティがあったのでは、課金派生版シムシティは利用されないと考えたのでしょうか?
それは確かにビジネス的には妥当な話なのですが、ユーザー視点ではマイナスでしかありません
SimCity Deluxe も古いアプリではあったけど。

先日ちょうどタイミング良く、本格的な都市開発ゲームである ANNO: Build an Empire が公開されましたから、旧来のシムシティがやりたい人はそっちをやれ、という感じでしょうか。
皮肉にもシムシティがシムシティでなくなったために、棲み分けは出来ましたね
まあスマホ版 ANNO も課金型ゲームではあるのですが。

※ANNOも公開終了となりました。

SimCity BuildIt
※消防署がないと、ちゃんと火事が起きたりする。 この辺はしっかり作られています。
なお、フキダシをタップするとセリフが出ますが、そのセリフをさらにタップすると消えます。
そしてセリフを「タップで消した時」にアイテムが出る場合がありますので覚えておきましょう。


SimCity BuildIt
※交通渋滞の画面。 と言っても、単に発展した住宅地の近くに発生するだけのようで、交通径路が考えられている訳ではありません。
本家シムシティのように通勤などが考慮されている訳ではない模様。


私的には「スマホ版シムシティの新バージョンが出る」という期待感がありましたから、EA の課金型ゲームであるのが解っていたとは言え、ガッカリ感は否めません。
ここまでソシャゲ型・簡易型であるとは思っていなかったので。

ただ、それは私の勝手な勘違いであり、最初からそういうゲームであると思ってプレイするのであれば、悪くはないかも知れません。
この手の開発ゲームとしてはグラフィックは突出していますし

シムシティーのファンではなく、農園ゲームなどを好む人に向いたアプリです。

SimCity BuildIt(iTunes が起動します)