ファン待望の「サクセスモード付き」のパワプロが、ついにスマホでも発売されました。
実況パワフルプロ野球」です。

iPhone 版のパワプロの歴史は結構古く、2009 年から始まります。
当初はチームや選手は架空のもので、サクセスモードもなく、ただ普通に野球を楽しむアプリでした。
しかしそれでもスマホでパワプロが出来るインパクトは大きく、評判になります。

そして 2010 年、「パワフルプロ野球TOUCH 公式ライセンス版2010」(現在は非公開)においてチームと選手が実名になり、通信対戦も追加。
サクセスはありませんが、ペナントレースには試合を簡易的に終わらせる「高速試合」が追加され、本格的なプロ野球ゲームになりました。

さらに 2011 年版では試合シーンが強化され、高速試合での作戦指示も可能になり、ベストプレープロ野球のような楽しみ方も出来るようになります。
選手カードを引いてオリジナルチームを作り、高速試合で他のプレイヤーのチームと競う、ネット対戦モードも追加されています。

しかし 2012 年から「アイテム課金型」になり、急におかしくなります
再びチームと選手は架空のものになり、ペナントモードも削除。
相変わらずサクセスはなく、くじ引きと課金で選出を作る悪名高い「センシュクラッチ」が加えられ、さらにチームエディットをするには面倒な会員登録が必要。
おまけに実在のチームと選手を使うには課金が必要でした。

2013 年版は最初から実在選手とペナントを利用できましたが、やはりセンシュクラッチはそのままで、もうやる気になりませんでした。
家庭用ゲーム機で発売されたパワプロ 2013 も、課金型になって酷評されまくりましたね。
2014 年版はマシになったと聞きますが、もう試していません。

そして先日・・・ センシュクラッチではない、ちゃんとした「サクセスモード」が中心になった、パワプロらしいパワプロが公開されるに至りました。
名前も「パワフルプロ野球 TOUCH」ではなく、元祖の名称「実況パワフルプロ野球」に変わっています。

「強い選手を作るには 10 万円必要」と言われていた、ゲーム機版パワプロ 2013 のソシャゲシステム「イベントデッキ」が加えられたため、一抹の不安もありましたが・・・
結論から言ってしまうと、強い選手を作るのに課金が必要なのは間違いないのですが、ゲーム自体が面白いため、無理して最強選手を作ろうとしない限り問題はないという印象です。

実況パワフルプロ野球

前置きが長くなりましたが・・・ 今作は選手を育成する「サクセスモード」がメインのパワプロです。
高校野球編で、プロ野球の選手やチームは登場しないため、ペナントモードはありません。
ただ、育成の途中で野球をやるシーンは当然出てきます。

ゲームは筋力・走塁・守備など、6項目に分かれた練習コマンドを入力することで進んでいきます。
練習によって敏捷や技術などのポイントが増えていき、それを長打力や守備力に変換して選手を育てていきます。
獲得ポイントは「広角打法」や「チャンス○」などの特技の取得に使うことも出来ます。
ただし練習によって体力が低下し、「ケガ率」が上がっていくので、適度に休息を取らなければなりません。

練習は同じものを何度も実行することで強化されていきます。
よっていくつかの練習に集中した方が良いのですが、もう1つポイントになるのがチームメイトである「イベキャラ」の存在。
イベントキャラクターのことで、ガチャで入手し、ゲーム開始前に5つ(+助っ人1つ)までセットできます。

セットしたキャラは練習コマンドの横にランダムに現れ、その練習をすることで評価(友好度)が上昇、練習の効果が高まって、さらに様々なイベントを発生させます。 
そして友好度が高くなれば「スペシャルタッグトレーニング」が発生、練習効果にボーナスが付きます。

監督やマネージャーといったキャラもいて、監督が見ている練習を行って評価を上げないと、試合に出させて貰えません。
マネージャーの評価が高くなればラブラブなイベントが発生し、いずれ恋人になってくれるかも知れませんね。

練習はこれらを加味して選択しないといけないので、なかなか奥が深く、同じような展開にはなりません。
ランダムイベントが頻繁に発生するので、結果には運も絡みますが、それもゲームの楽しさでしょう。
イベキャラを変えれば発生イベントが変わるので、自分である程度イベントの展開を固定/変化させられるのも面白い部分です。

実況パワフルプロ野球
※練習画面の右に並んでいるのが、その練習を一緒にやるチームメイト。
まずは主力選手のいる練習を選んで友好度を上げ、スペシャルタッグトレーニングが発生するようにしたいところ。
ただ、スペ(略)トレーニングの効果はそのイベキャラのレベルに左右されるので、最初のうちは見た目ほど効果なかったりします。


実況パワフルプロ野球
※イベントの一例。 チームメイトごとにイベントが複数用意されているので、イベントの総数は膨大。
右の画像は彼女からバレンタインチョコを貰うシーン。 ただ今作は彼女候補の評価を上げるのが大変なので、最初のうちは彼女作りと選手育成の両立は困難ですね・・・


1回のプレイは約1時間。 短めですが、しかし相応のボリュームでもあります。
スマホでやるのに適度な、それでいてストーリーを楽しめて、達成感もあるぐらいの長さだと思います。
スタミナ制ですが、1回1時間ですからその点は気になりません。

作った選手は「マイチーム」に加えて、「スタジアム」のモードで試合に出すことが出来ます。
ここでは他プレイヤーのチームと試合になり、大部分は自動で進行しますが、ピンチやチャンスなど一部のシーンのみ自分で操作します。

試合後、結果に応じてポイント(スコア)が算出され、サクセスで使えるアイテムを購入するための「メダル」や、ガチャポイントを得られます。
今作の消費アイテムは、このメダルによってのみ購入できます。
ゲーム機版パワプロ 2013 のように、課金でアイテムが買えて、トラブルが起こっても現金でやり直せるようなゲームにはなっていないのでご安心下さい。

そしてスタジアムモードのランキングは、1試合で獲得した最高ポイントによって付けられます。
強いチームに勝利し、各選手の成績が良く、自分の操作するシーンで好成績なほどポイントは高くなります。
累計ポイントではないところがミソですね。

なお、サクセスモード中の試合シーンは「自分の打席や投球回のみプレイ」「ピンチとチャンスに全員操作」「8回以降を全員操作」の3タイプから選べます。

バッティングは画面をドラッグしてカーソルを動かし、指を離すとバットを振ります。 操作感は上々。
ピッチングは球種とコースを選択後、パワーメーターをタイミングよく止めて行います。
ナイスピッチゾーンでメーターを止められれば高確率で空振りを取れますが、ナイスピッチゾーンのすぐ後にはミスのゾーンがあり、そこで止めてしまうと失投します。

選手の仕草や演出が豊富で、球場も 3D で表現されており、もちろん実況もあります。
この部分の完成度はさすがパワプロですね。

実況パワフルプロ野球
※左はピッチング時のパワーメーター。 黄色で止めれば好投、白で止めればナイスピッチになりますが、画像では白い部分は1ドットのみ・・・
白や黄色の部分の幅は、相手との能力比やスタミナによって変化します。
右は負けたチームが甲子園の砂を持って帰ってるところ。 こういう演出が良いですね。


実況パワフルプロ野球
※作成した選手の一例。 最初のうちはこんなもんです。 強いキャラを作るには、イベキャラのレベルを上げないといけませんね。
もちろん特殊能力も獲得でき、ムード○や勝ち運、キャッチャー◎などは、確かにチームの戦力を底上げしてくれる気がします。


サクセスモードで甲子園に出場できても、最初のうちはオール E 止まりです。
そこそこイベキャラがそろっても、D や C がやっと。
これでオール B とか A とか、確かに課金して SR キャラをそろえないと厳しそうですね。

また、イベキャラにはレベルがあり、合成で高めないとたとえ SR でもそんなに効果は高くありません。
この辺はソーシャルゲームですから、じっくり続けていく必要がありそうです。
もちろん SR を並べても、育成や運が悪いとやっぱりダメです。

ただ、ログインボーナスや「チャレンジ」と呼ばれる条件の達成で、課金通貨は割と頻繁に貰えます。
また初期のマイチームのメンバーはオール G とかなので、序盤に作った選手でも、加入させればチームは着実に強化されていきます。
繰り返していればコツも解ってきますし、サクセスの面白さはしっかり存在しています。

最強を目指そうとすると大変な事になりそうですが、自分のペースで選手を作り、出来る範囲で高みを目指す、普通のプレイでゲームを楽しむのであれば、無理に課金は必要ありません。
そしてゲームが面白いので、無課金でも遊べる印象です。

プロ野球チームがないのが不満な方もいると思いますが、これなら NPB に権利料を払わなくて済みそうですし、サクセスで選手を作り、それを手軽な試合で活躍させられる今作は、「これこそパワプロ」だと思えます。
欲を言えば、作った選手を知人との対戦で使えるシステムは欲しいところですが。

実況パワフルプロ野球(iTunes が起動します)