Diablo(ディアブロ)や Warcraft(ウォークラフト)など、パソコン用の大ヒットゲームを運営している会社「Blizzard」。
日本では販売の失敗が続き、知名度は高くないのですが、世界的には多くのゲーマーから絶大な信頼を寄せられているメーカーです。

そんな Blizzard 社が 2014 年にスタートさせたトレーディングカードゲーム(TCG)を、iPad でプレイすることが出来るようになっています。
Hearthstone: ハースストーン」です。

※現在はユニバーサルアプリになっており、iPhone でもプレイ可能です。

PC や iPad でプレイ出来る TCG としては非常に高いクオリティーで、その遊びやすさ、演出の豊富さ、優れたゲーム性は、さすが Blizzard と言うほかありません。
コンピューターゲームの TCG としては、MtG(マジック・ザ・ギャザリング)を越える(越えている?)人気になるのではないかと思われます。

拡張セットの価格は高いのですが、アプリ本体は無料なので、手軽に試せるのも良いところ。
TCG プレイヤーなら一度は体験しておくべきゲームでしょう。





ゲームはまず、ヒーローを選ぶところから始まります。
初めは Mage(魔術師)でプレイする事になりますが、Warrior や Hunter、Rogue など9種類の職業(ヒーロー)がいて、後で自由に選択できます。

デッキ(山札)の枚数は 30 枚で、最初から組まれている Basic Deck(ベーシックデッキ)が職業ごとに用意されているので、最初はそれを使うことになります。
「カードが集まらないと他の職業は使えない」ということは、このゲームにはありません。

ゲームが始まると先攻なら3枚、後攻なら4枚のカードが自分のデッキから引かれ、手札になります。
そして交互に任意のカードを場に出していくのですが、カードには強さに応じた「コスト」があり、その分の「マナ」がないと出せません。

マナは最初は1で、つまりコスト1のカードしか出せません。
次のターンには2になるので、コスト2のカード1枚か、コスト1のカード2枚を出せます。
マナの最大値は毎ターン、自動で1ずつ増加し、増やすのに何かのカードを消費する必要はありません。
なお、後攻の人はコストを一時的に1つ増やせるカードを貰えます。

カードには Minion(ミニオン)と呼ばれるモンスターのカードと、Spell(スペル)と呼ばれる魔法(使い捨て)のカードの2種類があります。
場に出したミニオンは、次のターンから行動できるようになります。
ヒーロー自身が攻撃可能になる装備カードもありますが、数は少なめ。

攻撃は相手のミニオンとヒーローの好きな方に行え、相手ヒーローの HP を 0 にすれば勝利。
ただ、Taunt(挑発)の特技を持つミニオンが相手にいる場合、それを倒さないと他の敵を攻撃することは出来ません。

攻撃を行うと、相手の反撃も同時に受けます。
相手が生き残っている時のみ反撃を受ける形ではありません。
また、ミニオンのダメージはターンが終わっても引き継ぎます。
そのためミニオンは出す端からやられていきます。 展開はスピーディーですね。

ヒーローは「ヒーローパワー」と呼ばれる特技を発動させる事も出来ます。
メイジならファイアーボールを撃って敵にダメージ、プリーストなら任意のキャラの HP を回復できます。
ただしヒーローパワーを使うにもマナが必要になります。

1ゲームは 5~10 分ほどで、TCG としては短時間で終わります。
手軽に繰り返すことができ、テンポ良く遊べますね。


※Taunt の特技を持つカードは、場に出すと盾の形になるため、盾役であることが解りやすいです。
特技のうち、Battlecry は出した時に効果が発揮され、Deathrattle は破壊された時に効果が発揮されます。
Deathrattle があるカードにはドクロマークが付きます。
寝てる演出は出した直後の「召還酔い」の状態。 ただ Charge の効果があるカードは召還酔いがなく、出してすぐ攻撃できます。



※ヒーローの横にある丸いボタンが「ヒーローパワー」の使用ボタン。
プリーストのヒーローパワーは HP が2回復。 敵を殴り、受けた反撃をこれで治療できます。
よって敵の攻撃に耐えられる HP の高いミニオンと相性が良いです。


ゲームモードにはオンライン対戦の「Play」、1人で遊ぶ「Solo Adventures」、即席デッキで対戦する「The Arena」の3つがあります。

まずはソロアドベンチャーの「Practice」で練習をすることになります。
職業の異なる9人の対戦相手がいて、倒せば新しいカードを貰えます。
全員倒すと Expert レベルを選べるようになるため、このモードでも当面は遊べますね。

ゲットしたカードは合計 30 枚の範囲でデッキに組み込むことが出来ます。
言うまでもなく、プレイヤーの強さはこのデッキに左右されます。
カードには各ヒーロー用のものと、Natural と呼ばれる誰でも使えるものがあり、同じカードは2枚までデッキに入れられます。

ただ、Practice でカードを貰えるのは最初に倒した時のみ。
それ以後は稼いだ「ゴールド」か課金で、カードが5枚入った「カードパック」を購入しなければなりません。
ゴールドは Practice を進めることでもある程度は貰えますが、一通りの敵を倒した後はオンライン対戦に挑戦しないと増えません。

オンライン対戦には勝敗がプレイヤーランクに影響しない「Casual」と、勝利することでランクが上がっていく「Ranked」があります。
ただ Casual は相手がランダムなため、やたら強い相手と当たってしまう事が多く、初心者にとってはぜんぜんカジュアルじゃありません。
同ランクのプレイヤーと戦えるランク戦にいきなり挑んだ方が良いでしょう。

そしてオンライン対戦を行うことで、毎日提示される「デイリークエスト」の条件を満たしていくことが出来ます。
「相手ヒーローに合計 100 ダメージを与える」「コスト2以下のミニオンを累計 20 体出す」などの条件があり、達成することでゴールドを貰えます。
勝利が条件のクエスト以外は、負けても満たしていけますね。
またクエストに関係なく、3勝するごとにゴールドを少し得られます。

ただ、クエストは3枠ありますが、1日に提示されるクエストは1つだけです。
1日で3つ達成しても、翌日に追加されるのは1つなので、ゴールドは一気には稼げません。
日々のプレイで少しずつ貯めていく感じでしょうか。
まあ、課金すれば別なんですが

なお、クエストが達成困難だと思った場合は、クエスト表示の右上にある「×」ボタンで1日1度だけ入れ替えられます。
「特定のヒーローで勝つ」の条件は、そのヒーローをメインで使っていないと序盤の達成は困難なので、慣れるまでチェンジした方が良いでしょう。


※デッキ構築画面。 カードは必ず 30 枚まで。 もちろん自分の戦法に合ったものを入れる事が大切。
余っているカードは Crafting モードで分解することができ、その時に得られるポイントで欲しいカードを作り出すことが出来ます。



※貯めたゴールドで購入したカードパックを引いているシーン。
カードはちょっと立体的で、演出がいちいち凝ってます。


難点は・・・ 拡張セット(アドベンチャー)の価格ですね。
無課金でも基本のカードセットでプレイでき、それだけでもカードの枚数や種類は豊富です
ゴールド(or 課金)によって、アップデートで追加されたカードセット「Goblins vs Gnomes」のカードも入手する事が出来ます。

ただ、そのままでは1人プレイは Practice しかありません。
様々なキャラクターに挑戦でき、新しいカードも追加された「Curse of Naxxramas」をプレイするには、2500 円の課金をしないといけません。
Blizzard 社のゲームとは言え、マジック・ザ・ギャザリングほどの知名度のない、新興の TCG に 2500 円支払うというのは、流石に思い切りが要ります。

また、日本語にも対応していません。
中国語、韓国語などには対応しているのですが、日本のみ非対応です。
Blizzard の他のゲームが日本でだけ失敗しているので、それを考えると仕方ないのですが、ますます普及し辛くなっているのは否めません。

※2015年10月、日本の正式サポートが始まり、日本語にも対応しました。

さらに β テスト時代を含めると、スタートして1年ほど経っているゲームなので・・・
今からのログインだと、序盤は厳しいものがありますね
ゲーム自体は初心者でも遊びやすいように作られていて、マジック・ザ・ギャザリングよりもはるかに取っ付きやすいのですが、しかし未経験者は低ランク戦でも、なかなか対戦では勝てないと思います。
しかしゲームはオンライン対戦がメインなので、ここは慣れるまで辛いところ。
通信できる環境でないと遊べないのも難点でしょうか。


※拡張セットの購入画面。 買わないと1人用のゲームモードは乏しい。
十分購入に値するクオリティーのゲームだと思いますし、価格は PC 版と同じ。
でも高く感じるのは否めない・・・



※こちらがアドベンチャーモードを購入した後のステージセレクト画面。
アドベンチャーと言ってもマップのようなものはなく、単に3ステージで構成された5つの章をクリアしていくのみ。
初勝利時に必ず固有カードを貰えるので、むしろそれがメイン?
一応、特定の職業で挑戦するモードや、高難度モードなども加わります。


不満な点もありますが、しかしグラフィックと演出のクオリティーは間違いなくコンピューター TCG では NO.1 でしょう。
背景の建物や装置タップすると、ドアが開いたり、電撃が走ったりする遊びごころもあります。
サウンドも豊富で、かなり作り込まれたゲームですね。

カードの効果については HearthStone JP Wiki で網羅されています。
ここを見ながらプレイすれば英語である点もカバー出来るでしょう。(現在は日本語に対応)

またベーシックデッキには複雑な効果のカードは含まれていないため、最初のうちはルールがよく解っていなくても楽しめます。
演出の良さのおかげでカードの効果を視覚的に察することが出来るため、その点もプレイしやすさに繋がっています。
カードゲームが好きな人は、ぜひ試して欲しいゲームですね。

Hearthstone: ハースストーン(iTunes が起動します)