「欧陸戦争」や「将軍の栄光」など、硬派な戦略シミュレーションゲームを製作している中国のメーカー「EASY Inc.」。
そこが新たに三国志のシミュレーションゲームを公開しました。
三国合戦」です。

同社のゲームは第一次・第二次世界大戦、及びナポレオン戦争など、近代の戦いを舞台にしたものが多かったのですが、今回は意外にも三国志です。
ただ、ゲームシステムは「将軍の栄光」や「欧陸戦争4」とほぼ同じ。
大戦略型のターン制シミュレーションで、兵士や将軍が三国時代のものになっているという感じですね。

ただ、ゲームバランスは大きく変わりました。 今までよりもサクサク進められます。
EASY Inc のゲームは高難度で重量級のゲームが多かったのですが、今回は進行速度がかなりアップ。
簡単ではありませんが、テンポ良く楽しめる作品になっています。
価格も 100 円と、かなりお手頃です。

三国合戦

三国合戦

ステージ制のゲームで、三国志のストーリーに沿って展開する「合戦」と、ストーリー関係なしで各地域の城を占領していく「争覇」の2つのモードがあります。
これらは独立しておらず、「合戦のステージを3つ進めた後、争覇のステージを2つやって、また合戦の続きに戻る」といったプレイが可能です。

また、プレイヤーの軍団は特定の勢力に所属していない傭兵部隊のような感じで、合戦モードではステージによって劉備側になることもあるし、袁紹や曹操の側になることもあります。
「Gジェネ」のような感じ、と言えば解る人もいるでしょうか。

戦争のシーンは前述したように「将軍の栄光」や「欧陸戦争4」シリーズを踏襲しています。
ターン制で、自軍のコマを移動させ、敵のコマを攻撃していく形ですね。
従来の戦車は騎馬になっていて、大砲は弓兵になっています。
弓兵は(一部を除き)遠距離攻撃が可能です。

このシリーズの大きな特徴は、敵を前後から挟むことで相手の「士気」を下げられること。
士気が下がると弱体化し、完全に包囲するとさらに弱くなります。
また ZOC(敵に接すると移動が妨害されるルール)がなく、移動だけして攻撃は後で行うことも可能なため、まず敵を挟んで士気を下げ、それから弓兵がいるなら射撃して兵力を減らし、その後に隣接した部隊で叩くといった戦い方が基本戦略となります。

そして今作の特徴は、マップが狭く、自軍部隊が少なめで、勝利条件も明確なこと。
今回は数画面分あるような広大なマップで、数十のユニットを指揮して戦うようなゲームにはなっていません。

出てくるユニット数は多いのですが、合戦モードだと劉備や曹操が戦っている戦場に一部隊として参加する形なので、自分で操作するユニットは多くありません。 最初のうちは3つか4つぐらいです。
他の部隊は全て AI が操作するので、大合戦の雰囲気がありつつも、短時間でゲームを進行させられます。

勝利条件も特定の部隊を倒したり、1つか2つの城を占領するといったシンプルなものになっていて、たくさんの敵司令部を全て破壊しないといけないとか、敵を全滅させる必要があるとか、そんな面倒なものにはなっていません。

おかげで1ステージは 10~15 分前後で終わり、短いステージだと5分ぐらいで決着が付きます。
大戦略型のシミュレーションゲームとしてはかなり短く、過去作と比べると本当にサクサク進みますね。

ただ決して簡単な訳ではなく、しっかり戦略は考えないといけません。
自軍の部隊が少ないので、突出して無駄に兵力を減らすとすぐ敗北に直結します。

城や塔、防柵といった防御施設がマップ上に多数配置されているのも今回の特徴でしょうか。
城は城壁を叩いて破壊しないと中に進入できず、塔も強力な攻撃を行ってくるので、迂回するか優先して破壊しなければなりません。
塔の破壊に強い「斧兵」といった部隊も存在します。

三国合戦
※ちょっと解りにくいのですが、燃えている敵を挟み撃ちにして士気を減らしているシーン。 それから攻撃すれば反撃のダメージを減らせます。
火が付いているのは火矢を撃ったからで、火計の計略を持つ武将もいます。


三国合戦
※城攻めはまず城壁にダメージを与えなければなりません。 邪魔な塔は先に破壊しておきましょう。
赤い丸印は作戦目標を表していて、ここさえ押さえればその瞬間に勝利。
ただ油断するとすぐやられてしまうゲームなので、無理は禁物です。


戦争が終わると本拠地の画面に移動できます。
ここでは施設を作ったり、部隊を配備したり、将軍を雇用することが出来ます。

各ステージで使える兵士は、本拠地で配備したもののみです。
部隊数を増やすには城をアップグレードしなければなりませんが、実行するには金や木材などの物資と、条件となる施設の建設が必要になります。
金や木材は市場や伐採場を作り、一定時間経った後にタップすることで得られます。
この辺は クラッシュ・オブ・クラン のような、ソーシャル開発ゲームに似ていますね。
ただ、建設待ち時間やパワーアップ待ち時間のようなものはありません。

クラクラのように他のプレイヤーが攻め込んで来る事もあり、タワーを建てて守りを固めておかなければなりません。
ただ、ゲーム序盤はタワーを建てられる数が少なく、部隊も出撃させられないので、ほとんど守ることは不可能です。
先に進めば別かもしれませんが、クラクラのような防衛ゲームとしての面白さは期待しない方が良いでしょう。

そして重要なのは、三国志ですから・・・ 武将ですね。
前述したようにプレイヤーは独立した部隊なので、勢力に関わらず好きな武将を雇えます。
雇うためには「」と呼ばれる課金通貨が必要ですが、今回はゲームの進行でも普通に貯めていくことが出来ます。

以前の「将軍の栄光」などは将軍の雇用価格が高く、一方でゲーム進行で得られる通貨の量は少なかったため、ほとんど課金しないと(それも相応に重課金しないと)活用できないシステムだったのですが、今回はそんなことはありません。
関羽や夏侯惇などの名将はやはり高いのですが、それでも頑張れば手が届く範囲。
雷薄や程銀などの安い武将なら2~3ステージほど戦えば雇用できます。
そして安くても相応に使える武将は結構います。

雇用した武将は好きな部隊に配備できます。
配備コマンドが「委任」になっていますが、動きが自動化される訳ではありません。
兵種は本拠地画面で重騎兵や弩兵など好きなものを選べますが、上位の部隊を作るには厩舎や弓矢作製所のレベルアップが必要です。

三国合戦
※本拠地画面。 他プレイヤーに攻め込まれると、これがそのまま戦場マップになります。
施設は「工事現場」にしか作れませんが、防御施設は平地に作ります。
まずは部隊数を増やすため、城のレベルアップに必要なものをそろえていきましょう。


三国合戦
※武将の皆さん。 5つのランクに分かれていて、これは中間レベル。
武将はスキルを持っていますが、最初は1つ目しか使えません。 武将の階級(青の数値)が4になれば2つ目、8になれば3つ目がアンロックされます。
まずは騎兵用の武将と、歩兵能力がそこそこ高い「破壊」を持つ武将を雇っておきましょう。
また高い訓練能力がある武将は、戦闘中に任意に部隊レベルを上げられ、その際に耐久力も回復するので便利です。


後半になると大サイズのマップも出てくると思いますが、少なくとも前半の間は 10~20 ターンで決着するマップが多く、1ターンが短いこともあって非常にプレイしやすいです。
題材が三国志ということもあって、今までの作品よりも一般向けになったと言えますね。
スタミナ制ですが、1プレイがソシャゲほど短い訳ではないので、この点はあまり気になりません。

やや難点だと思うのは、翻訳の部分。
文章自体は普通に読めます。 しかし防御塔が「タワー」、防柵が「フェンス」、訓練が「トレーニング」ってのは三国志としてどうなのかと・・・
決して間違ってはいないのですが、本場中国の三国志なのに妙なパチモノ感があります。
まあ「中華風の日本語訳」なんて向こうの人には解らないでしょうけどね・・・

しかし気になった部分はそれぐらいで、相変わらず安定したクオリティーの戦術 SLG です。
やや説明不足な点が多い印象もありますが、そこまで複雑なシステムではないので、少しやれば理解できるでしょう。
今回もシミュレーションファンにはお勧めのアプリですね。

三国合戦(iTunes が起動します)