アラームをセットするだけで RPG の冒険気分が楽しめる。
そんな触れ込みの放置型ゲーム(?)が公開されています。
dreeps」です。

放置型ゲームとはプレイヤーが何もしなくても自動で進行していくものですが、でも実際には装備を調えたり、部隊を編成したり、最低限の指示を出したりはします。
しかしこのゲームは、ほとんど何もしません

夜、寝る前にアラームをセットする。 それだけ。
朝にアラームが鳴ると同時にロボットが冒険を始め、後はたまに眺めるのみです。
それにゲームとしての楽しみがあるのか・・・ それは激しく疑問ですが、とりあえず「謎」と「雰囲気」だけは散りばめられています

dreeps

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指定した時刻になるとアラームが鳴ります。
研究所のような場所で少年ロボットが目を覚ますシーンが表示され、そして文明が崩壊していると思われる荒野を一人でテクテク歩いていきます。

たまに敵に遭遇し、剣を振って戦闘を行いますが、プレイヤーがすべきことは一切ありません
勝利すれば経験値が増え、負ければそこでショートしてしまいますが、タップすると復活します。
強いて言えば、この「タップで早期に復活させられる」という部分のみ、プレイヤーが介入できる点と言えますね。

マップのようなものがあり、主人公は決められたコースを時計回りに一周します。
これは時間の経過で徐々に進んで行くのではなく、朝 10 時頃はこのエリア、昼 12 時頃はこのエリアといった感じで、時間帯によって位置がほぼ決められています。
そして 18 時から基地のような場所に入り、決まった時間に中央部に到達します。
その後、夜は森の中で寝る時間まで休みます。

時間の経過によって主人公の HP が減少していきますが、プレイヤーがアラームをセットすることで、主人公も研究所で眠りに付きます。 HP はこの睡眠によって回復していきます。
そして翌朝、アラームが鳴ったら再び出発。 後はこの繰り返しですね。

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※これがマップ画面。 朝、午前中、昼、夕方など、いくつかのエリアに分かれています。
ランダム性がないので、いつも同じ風景なのが難点。


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※日没後はずっとこの森の中。 雰囲気は良いのですが、変わり映えしない・・・
休んでいるようですが、敵の襲撃は受けます。 一応、深夜エリアも存在します。


放置系のゲームなので、ずっとアプリを起動しておく必要はありません。
たまに見て、経験値やレベルの上がり具合を確認する感じですね。
あとは歩く様子や、戦闘の様子を眺めるぐらいです。

バックストーリーは一切語られておらず、ゲーム中の会話も「……」で表示されるだけで、文字は一切出て来ません。
オープニングで飛び立っていく謎のロケット、主人公や女性博士の正体、世界が崩壊した理由、睡眠中に出てくる羊、その全てが謎です
雰囲気のあるドットグラフィックの風景と、意味ありげな BGM、それらを感覚的に楽しむものと言えるでしょう。

ただ、私的には「投げっぱなし」感が強く、これで楽しめと言われても微妙です。
同じコースを毎日、同じ時間帯に進んで行くだけなので、最初は楽しめる景色も3日もすれば飽きます
戦闘も同じパターンしかないし、イベントも滅多に起きません。
ステータスは経験値とレベルだけで、なんとなく強くなっているのは解るのですが、成長している感も希薄

また、気になったのがアラームの融通の利かなさ
例えば休日前に、少し遅めの朝8時にアラームをセットして、でもいつも通り朝7時に目が覚めたとします。
この場合、もうアラームは必要ないので切る訳ですが、主人公は冒険に出発してくれません。
画面は暗くなったままで、そのままずっとスリープ状態。

主人公が冒険に出るには「意地でもアラームが指定の時間に鳴ならないとダメ」で、上記の場合は7時5分とかにアラームをセットし直して、一度無意味に鳴らさないといけません。

※現在はタイマーを途中で切っても冒険がスタートするように改善されています。

スヌーズ機能もないし、当面は音色なども選べないし、APG(アラーム プレイング ゲーム)を自称している割には、アラームの機能が足りなさ過ぎる印象です。

※現在はアップデートでスヌーズが追加されています。

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※ユパ様(っぽい人)と遭遇。 この世界は無人ではなく、他にも探検している人がいる模様。
ただ、こうしたイベントは滅多に起きません。 基本的には歩いているのを眺めるのみ・・・ 


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※アラーム画面。 タップで時間をセットし、ボタンを押せば睡眠モードに入ります。
アラームの種類はボスを倒すことで増えていきますが、当面は1つのみ・・・
鳴る前に切ったら再セットしないと冒険が始まらなくなるので注意して下さい。


これを言ったら本末転倒ですが、このゲームの最大の欠点は iPhone アプリであることだと思います。

2000 年代中期、デジタル・インテリアが流行しました。
これは「たまごっち」から派生したもので、人が生活している様子を眺めて楽しむ「CUBE WORLD」、貯金箱にお金を入れると住人の生活がリッチになっていく「人生銀行」、実時間に連動して海の様子が映し出される「プライベートオーシャン」、アリの巣が徐々に作られていく「アンツライフスタジオ」などがありました。

これらも、ただ眺めて楽しむものです。
時間の経過によって少しずつ変化が生じていくもので、dreeps もコンセプトは似ています。
ただ、こうしたものはデジタルインテリアだったから価値があったのだと思います。

iPhone アプリだと起動しないとチェック出来ない訳で、すでにそこに作業があるし、せっかく起動したなら少しは何かしたい。
ずっとホーム画面に映されている訳ではないので、ただキャラが歩いているだけではつまらないし、何度起動しても目立った変化がないのでは飽きる。

新機軸のアプリなので各メディアで賞賛されていますが、私はもうちょっとプレイヤーを引き込むという点において、世界観以外の部分で練り込む必要があったのではないかと思います
でも試みは面白いので、今後に期待したいアプリではありますね。

dreeps(iTunes が起動します)