ヒヨコやキツネ、タヌキなどの動物のキャラクターが、死体の転がる殺人島で互いに殺し合いをするナンセンスホラーなソーシャル RPG が公開されています。
サバイバールPG」です。

先に言っておきますが、私は可愛らしいキャラに残酷なことをさせる表現は嫌いです。
また「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」などを模した、アングラなネット文化の演出を多用するゲームも、下品な印象があって好きではありません。
しかしこのゲームは、まさに「それを狙ったゲーム」です。
ですから普通のゲームがやりたい人は、もうこの記事はスルーした方が良いです。

見た目もショボく、質の悪い個人製作アプリのような外見で、「よくこれで売れると思ったな」と言うのが第一印象です。

ただ、一応ちゃんとしたメーカー製のアプリであり、イナズマイレブンやレイトンシリーズ、デジモンワールドなどを手がけた方が代表を務めている会社の作品です。
カイジとバトルロワイアルを合わせたような設定で、先が見たくなるシナリオでもありますね。
絵柄とキャラに関しては、この凶悪な設定を和らげる目的もあるのかもしれません。

サバイバールPG

ゲーム開始時に自キャラを ウシ・サル・ネコ・イヌ などから選択します。
他の登場キャラクターも何らかの動物になっていて、絵柄はラクガキのような感じですね。
昔は「ニンゲン」もいたらしいのですが、すでに存在しません。

島に上陸して早々、性格がイってるブタの殺人鬼に殺され、謎の「ヒツジ教官」に死んでも復活する体質に変えられます。
そして謎の首輪を付けられて「クビワツキ」にされ、クビワツキ同士での殺し合いを要求されます

目標は「1000 日生存すること」ですが、とりあえずフィールドを探索し、行動範囲を広げていくことが当面の目的になるでしょう。

ゲーム自体は、シンプルなターン制バトルの RPG です。
六角形のマスで区切られたフィールドを移動し、敵が出て来たら1対1で交互に攻撃を繰り返す、オーソドックスな戦闘を行います。
勝利できればお金と経験値が入ります。

ただ、開始直後はキャラが弱く、装備も乏しく、回復アイテムもないため、すぐに死んでしまいます。
キャンプで休むと HP を回復でき、さらに生存日数に応じた賞金を貰えますが、休むか死ぬと生存日数はリセットされるため、頻繁に休んでいたのではお金は貯まりません。
お金があれば装備を買えますが、使っているうちに痛んでいき、その修理代も必要になります

しかし毎日、ログインボーナスとして数本の「」を貰えます。
これを使うと HP を全快でき、戦闘で負けた時にも復活可能、さらに他のクビワツキ(他プレイヤーのキャラ)にあげて仲間にすることも出来ます。
仲間は一時的なものですが、その間は2対1で戦えるので有利になりますね。

HP はしばらく放置することでも回復します。
つまりダメージの回復がスタミナ制のようになっています
水を節約しながら生存日数を稼ぎたい場合、度々の中断を余儀なくされますが、オフライン時の HP 回復は早く、待ち時間はそれほど長くありません。

サバイバールPG
※死んだら生存日数はリセット。 「水」で復活できるので、戦闘での死は意外と回避しやすいのですが、それでも無理は出来ません。
右は初期からいる仲間(?)キャラの1人ですが・・・ 見た目とは正反対の腹黒なセリフを吐きます。


島の所々には死体が転がっています
ここに踏み込むと他プレイヤーのキャラと遭遇する場合がありますが、勝利できればお金や装備が見つかることがあります。
店で売っているアイテムの種類は多くないので、装備の調達は主に死体の山で他プレイヤーキャラを殺して得ることになります。

装備の多くは「ニンゲン」の遺産で、その種類はかなり多く、空き缶や大仏の顔、セーラー服などのユニークなものばかり。
身に着ければ見た目も変化するので、ヘンな恰好のキャラが多いですね。
要らない装備は「修理」に使い、他の装備の耐久力回復に使えます。

フィールドにいる動物と会話することも出来ますが、他人を利用して生き残ろうとしていたり、だまし討ちをして装備を奪おうとしているなど、殺伐とした内容が多く、それで雰囲気を作っている印象です。
ゲーム中に発生するイベントも、罠や嘘で欺こうとして来るものが多めです。

ショップもユニークで、ゲーム内のお金で取引できる「マゴコロ商店」と、課金通貨の水で取引する「ハゲタカ商店」があるのですが、ハゲタカ商店では「ちびっこ or カタギにはリアル課金の資格はねぇ」「見ていけ! 課金が開くミワクのセカイを!」とか言われます。
本体無料の課金ゲーであることを自らネタにしてますね。

サバイバールPG
※サバイバルやコロシアイが主題のゲームですが、町のような「キャンプ」が各所に存在します。
右は装備画面。 見てのように装備によってはかなりヘンテコな見た目に。
課金装備は強力ですが、修理費が非常に高いので要注意。
特殊効果が付いているものは修理費が跳ね上がるので、効果がなくて強めの装備の方が、普段の戦闘では使いやすいです。


見た目はともかく、全体としては程よい「厳しさ」「難しさ」があって、ハマれるゲームになっています。
不確定要素が多い一方で、着実にレベルを上げて成長させていくことができ、ちゃんと RPG していますね。

ただ、個人的に気になるのは・・・ 冒頭でも述べたように「2ちゃんねる臭」が強すぎること
私も 2ch を全く見ない訳ではありませんが、しかし 2ch 的なものを 2ch 以外の場所で見るのは不快感があり、そしてこのゲームはその 2ch っぽさが凄く前面に出ています。

ニコ動風の流れるメッセージも、ニコ動で見るならともかく、ゲームで見ると違和感が強いのが本音。
メッセージ内容もまさにネットスラングで、「一般人」にとっては下品極まりなく見えるのではないでしょうか

このような雰囲気になっているのは、このゲームのウリの1つに多くのプレイヤーと共同で戦うボス戦があり、その模様が自動的に「ゲーム実況」されるという、ネットを利用したシステムがあるからだと思われます。

ただ、このボス戦は1週間に1度だけ、決まった時間に決まった場所でしか開催されないため、まだその詳細は確認できていません。
ボスバトルの模様は Youtube にもアップされるようで、前回の様子は以下の動画で見ることが出来ます。
見た目は、まあ・・・ アレですが。



公式サイト もインターネット時代初期のホームページのノリで作られており、良く言えば「独創的」、悪く言えば「悪ノリで痛い」ゲームです。

ただ、凡庸なアプリを出しても埋もれて終わるだけでしょうから、このぐらい尖っていた方が良いのかもしれません。
この雰囲気も今となっては、違和感ない人が多いでしょう。

スクリーンショットだけ見ると全く面白そうに見えませんが、昨今のネット文化に抵抗のない、毒のあるゲームが好きな人なら楽しめるアプリだと思います。 子供には絶対勧められませんが。

サバイバールPG (iTunes が起動します)