※「完全版」にアップデートされました。そのレビューは こちら になります。

スーパーファミコン時代を再現したかのような、懐かしい雰囲気のドットグラフィックとサウンド、そしてそんな雰囲気に似つかわしくないヘビーなストーリーを持つ、長編 RPG が公開されています。
創世のエル -英雄の夢の終わりに-」です。

このゲームは「女神転生外伝 新約ラストバイブル1・2」を手がけた方が企画した作品で、王道 RPG らしい内容でありつつも、メガテンっぽさが随所に見られます。
遊びやすいゲームシステムでありながら、社会風刺が散りばめられたセリフや世界設定、衝撃的なイベントなどがある、「ライトでヘビーなゲーム」ですね。

パッと見はケムコの RPG シリーズにも似ていますが、ケムコのアプリは「ガラケーっぽさ」があるのに対し、こちらは「ゲーム機っぽさ」を感じます。
少なくともこちらの方がメーカー製 RPG らしさがあり、クオリティも高く感じますね。

創世のエル 英雄の夢の終わりに

創世のエル 英雄の夢の終わりに

最初は主人公1人ですが、徐々に仲間が増えていき、最終的に3人パーティーで冒険をするターン制バトルの RPG です。
オーソドックスな、いわゆる「JRPG」ですね。

戦闘の途中で逃げられない点や、戦闘中に道具が使えないなどの特徴もありますが、基本的には通常攻撃とスキル(特技や魔法)を使って戦う、一般的なシステムです。
ただ、画面を押しっぱなしにすると戦闘が倍速で進行し、攻撃ボタンを押しっぱなしにすれば実質「オート」になります。
そのためサクサク進行させることが出来ます

セーブはどこでも可能で、ボス戦の前には HP と MP が全快。
難易度も適度で、誰でも楽しめる内容になっています。
操作性も良く、十字キーを使った移動で違和感を感じることはありません。

ゲームが進むと「カード化」というコマンドを使えるようになります。
これは倒したモンスターのカードを入手できるもので、装備するとステータスが上がったり、特定のスキルを覚えたりします。
「攻撃を 25 %の確率でグループ化」「攻撃時に HP が回復」などの特徴的な効果もあり、3つまで装備できるので、これでキャラクターをカスタマイズすることが可能です

念のため言っておきますが、ソーシャルゲームではないので、カードの入手に課金やガチャは必要ありません。

創世のエル 英雄の夢の終わりに
※戦闘シーンには女神転生っぽい部分があり、同じ敵が数体現れている時は数字で示されます。
レベルアップ時にステータスを振り分けられるのもそれっぽいですね。

創世のエル 英雄の夢の終わりに
※モンスターカードの一部。 モンスターの HP を減らしてからカード化のコマンドを選んだ方が、成功率が上がります。
「バーサク」効果のカードを装備していると、戦闘開始前の「戦う」「逃げる」の選択がなくなり、必ず戦うことになります。
選択を素早く行うと先制攻撃率が上がりますが、バーサク状態だとそれが最速になります。


このゲームの最大の特徴は、その世界設定とストーリーでしょう。
この世界には3つの大国があり、過去に戦争、及び対立していた歴史があります。
魔王に対抗するため各国は同盟を結んでいますが、内心は互いを快く思っていません。
と言うか、それぞれが日本・中国・アメリカっぽい背景を持ちます。

また、この世界には次元を越えた異世界から「漂着物」が流れ着いており、それには銃やコンピューターなども含まれます。
そのため中世の世界ながら中途半端に近代化している部分があります。

他にも暗躍する存在や、社会問題の風刺、国家や政治に関するセリフなどが多く、驚くようなイベントも頻繁に起こります
ファミコンやスーファミのゲームを楽しんでいた世代を対象にしているためか、大人向けの物語になっていますね。

冒頭から伏線張りまくりで、本当に「ストーリーで引っ張る RPG」です。
育成要素だけが RPG と言われるこのご時世に、忘れかけたゲームの姿がそこにあります。

創世のエル 英雄の夢の終わりに
※こんな政治や社会システムに関するセリフがポンポン出てくる。
可愛らしいドットグラフィックに似つかわしくない大人なゲームです。 子供だとショック受けそうなシーンも・・・


創世のエル 英雄の夢の終わりに
※突然出てくる FUKUSHIMA の光景。 ストーリーはかなり特異です。
社会風刺を交えている部分には賛否あるかもしれませんが・・・


価格は、アプリ本体は無料。 ただ現時点(2015/2)では途中までしかプレイ出来ません
それでも約 10 時間分のボリュームがあり、十分遊べます。

ただ後半シナリオの購入価格が解らないのは、ちょっと心配ですね。
十分やらせた後に「続きが見たかったらこれを払え」とボッタクリ価格を提示してくるようなことは、ないとは思いますが・・・ 正直、ユーザーとしては不安です。

※2017年4月に「完成版」となり、後半シナリオが追加されています。価格は 840 円です。

しかしそれ以外には目立った難点はありません。
最新のグラフィックではありませんが、レトロ風の RPG として違和感のない見た目で、サウンドは「聖剣伝説2」を手がけた方が担当しています。

先が見たくなる展開の連続で、久々に徹夜して、朝までやり続けてしまったゲームです。
昔ながらのゲームファンが、かつて愛していた RPG」という印象ですね。

創世のエル -英雄の夢の終わりに-(iTunes が起動します)