※このゲームは 2015年10月 にサービスを終了しました。

コンピューター RPG の元祖の1つ Wizardry(ウィザードリィ)
そのウィザードリィと、「不思議のダンジョン」シリーズで知られる「ローグ型 RPG」を組み合わせたソーシャルゲームを、タイトーが公開しています。
Wizrogue」(ウィズローグ)です。

昨年11月のタイトー新作発表会で公表されたアプリの1つで、「ウィザードリィ+ローグ」という組み合わせに多くのゲームファンが期待した作品ですね。

しかし昨年末に Android 版が配信されると、ユーザーからは批判が続出!
「落ちる、動かない!」「キャラメイクがない、装備もない、こんなの Wiz じゃない」「すぐ死ぬのに課金しないとキャラが老化していずれ消える」「何をやるにも課金課金の重課金ゲー」「ローグの楽しさもウィズの楽しさも死んでいる」などなど・・・

当初の平均評価は ★1.5 ぐらいで、初期の ワンダーフリック疾走ヤンキー魂 を彷彿とさせる炎上ぶりでした。
そのため私の期待感もすっかり消え失せ、「あぁ、タイトー、やっちゃったなー」と思っていたのですが・・・

先日公開された iOS 版をしばらくやった後の感想は、「いや、結構面白いじゃん」。
どうやら大型アップデートでゲームバランスが調整され、装備なども導入されたようで、課金要素が強いことは確かですが、今は遊べるゲームに仕上がっている印象です。
こう言っては何ですが、当初の Android 版は公開βテストだった模様・・・

ただ、なぜあんなに批判が続出したのか、それもやっていてよく解りますね。

Wizrogue ウィズローグ

Wizrogue ウィズローグ

オリジナルのウィザードリィと同じように、パーティーは6人で構成されています
うち3人は前衛、残り3人は後衛。
まずはそのメンバーを作る、キャラクターメイキングを・・・ 行いません
だってソシャゲだから。
初期キャラは最初から用意されており、それ以外のキャラは主にガチャで入手します。

ダンジョンはローグ型 RPG になっていて、当面は地下3階まで
いわゆる「不思議のダンジョン系」で、移動したい方向をタップすると1マスずつ進み、敵をタップすると攻撃。
敵も最大6体のパーティーを組んでいて、直接殴り合うのは前衛の3人同士
前衛が倒れれば後衛がスライドして前に出ます。

後衛のキャラは直接ダメージを受けない代わりに、戦闘にも参加できません。
魔法を唱えたり、矢を撃ったりすることは出来ますが、これらの行動をする時には近接攻撃は出来ないため、本家のウィズのように「前衛が戦いながら、後衛が魔法を唱える」といったことは出来ません。
よって攻撃魔法は、距離が離れている時の飛び道具として使うのがメインです。

冒険中には「聖水」というものが徐々に減っていき、これがなくなると1歩ごとにダメージを受けます。
これは「満腹度」と同じで、アイテムを使うことで回復します。
他にもワナがあったり、敵の位置を確認できる巻物があったりするところは、既存のローグ系と同じですね。

一方、他のローグ系と違うのは、レベルが1からではないこと。
ウィザードリィですから、普通の RPG と同じように経験値を貯めて、長期的に少しずつレベルを上げていく形式で、それが冒険の度に戻るということはありません。

また、HP の自然回復が遅いのも特徴です。
このためピンチの時、一旦逃げて回復し、体勢を立て直すということは難しいです。
加えて少なくとも当面は、特徴のある特技や魔法は出て来ません。 正面から殴り合う展開がずっと続きます。
このためローグ系としては戦略性に乏しく、最初はハッキリ言って面白味がありません。

ただ、そこはウィザードリィ。 少し進むとすぐに難易度が上がり、戦闘は厳しくなります。
ちょっと油断しただけですぐ死に直結する、ウィズらしい死と隣り合わせの展開になるため、戦略性は低いのですが、慎重な行動が求められるようになります。
結果としては、この高難度がローグ系らしいサバイバル感を生み出していますね
これはこれでアリなのではないかと思います。

アイテムの持ち込みは自由なため、将来的には簡単なダンジョンでアイテムを集め、難しいダンジョンでそれを使って攻略するということも必要になります。

Wizrogue ウィズローグ
※魔法は飛び道具。 離れた敵に撃つもので、敵が近い時は殴った方が良いです。
魔術師は最初は魔法を1回しか使えず、しかもその魔法も単体攻撃。
ハッキリ言って弱すぎで、前衛が育つまで魔術師はいない方が良いかも。


Wizrogue ウィズローグ
※「カティノ」で敵を眠らせたところ。 しかしカティノは当面は巻物でしか使えません。 初期の魔術師は不遇すぎ。
なお、呪文の名前はちゃんと「カティノ」や「ハリト」などのおなじみのものになっています。 商店も「ボルタック商店」。
この辺は版権の問題もあって、他のゲームでは使われていなかったのですが、今作は「カタカナ表記だからオリジナルとは違うよね」という解釈で、そのまま使用されています。


このゲームのポイントは、パーティーの編成とキャラクターの育成にあります。
最初はキャラクターメイキングがなかったため、「そんなのウィズじゃねぇ!」と思っていたのですが、幸い「転職」は残されています。
転職しても覚えた魔法は残るので、これを使って「回復魔法を使える戦士」や「攻撃魔法を撃てる盗賊」を作れます

キャラの入手がガチャか、ダンジョン内でのドロップ(棺桶の回収)なので、得られるキャラの種族と職業はランダムですが、ポークル(盗賊に向いた種族)の僧侶や魔術師が手に入ったら、それを魔法が2つになるまで育て(レベル5)、それから盗賊にすることで、単なる盗賊よりも使い勝手の良いキャラにすることが出来ます。

ゲーム序盤の魔術師が役に立たなさ過ぎるので、後衛を矢を放てる盗賊ばかりにしたり、いっそ後衛も戦士にして前衛の HP が減ったら入れ換えるという手もあります。
編成はターンを消費せずに行えるので、ヤバくなったら後ろに下げるのはこのゲームならではの攻略です。

展開が遅く、育成には時間がかかるのですが、計画性のある編成と育成が出来るようになってくると、ゲームが面白くなって来ますね。

Wizrogue ウィズローグ
※ UC ポークルの僧侶ゲット。 「ポークルが僧侶とか、ドワーフが魔術師とか、おかしいだろ!」と思うなかれ、そういうキャラこそ転職させれば使い勝手が良くなります。
2つ目の魔法を覚えるのはレベル5、3つ目はレベル9。
9まで上げるのは序盤は大変ですが、5なら割とすぐ上がり、魔法の使用回数が2回になるので、転職は最低でもそれからにしましょう。
ただし僧侶の場合、覚えている魔法が「ディオス」でないと役に立ちません。 自身の防御力をちょびっと上げるポーフィックとかでは役に立たないので、習得魔法のチェックは忘れずに。
あと UC の僧侶が持っている「粉砕のメイス」は強い武器なので、戦士に渡しましょう。


Wizrogue ウィズローグ
※後衛を全員盗賊にして、矢を三連射しているところ。
後衛は普段は戦わないので、いっそこんな風に射撃要員にしてしまうのもアリ。
ただ前衛がピンチの時、交代要員が弱いと全滅の危機になりますが・・・


ただ、やっていてどうしても目に付くのが「課金仕様」。
課金ガチャ、スタミナ回復、課金コンティニュー、課金蘇生、課金帰還、各種課金アイテム、倉庫/所持数拡張課金、経験値やドロップが増える一定期間強化課金など、課金要素てんこ盛り

ダンジョン深部で全滅しても現金で復活でき、ロストしても金次第で回復できるウィザードリィなんて、イメージを損ねること甚だしい

Android 版の頃から批判の対象になっているのは「加齢」で、ダンジョン内で死んだキャラを復活させると年齢が1才増えます。
高齢になると老衰してしまうので、つまり課金で得たキャラクターであっても、永遠ではない
死なせないようにプレイすれば良いのですが、忍者のクリティカルヒットで為す術なく即死することもあり、システム的に死の完全回避は困難。

ウィザードリィにはそのぐらいの厳しさも私は必要だと思いますが、それが課金と結びついているとやはり問題になる。
そして寺院での蘇生には、「加齢のない成功率 100 %」の課金蘇生も用意されている・・・
これだと苦戦している人は、「ふざけんな課金ゲー!」ってなりますよねぇ。

キャラ育成に関しても、課金ガチャがあるために「あぁ、こうやって工夫して育成してるけど、ガチャで強いキャラを当てた方が強いんだろうな」という感が漂うのは否めません。
キャラのレアリティを「昇格」させることも出来ますが、必要な素材が多すぎで、さらにガチャのレアキャラは最初からレア装備を身に着けているため、その点でも差があります。

とは言え、たまに年齢を下げるアイテムが出るようになっていますし、じっくり育成しながら進めていけば、無理のあるゲームではありません。
一般的なソーシャルゲームと比べたらはるかにムズイのですが、簡単サクサク、誰でも安全に進めるウィザードリィってのもナンセンスですしね。

Wizrogue ウィズローグ
※ガチャは 10 面ダイスを3つ振って(3D10)、その合計が 21 以上なら UC、28 以上なら R、30 なら SR。
確率は UC 21 %、R 0.9 %、SR 0.1 %。 課金ガチャは 3D12 になり、25 以上で R、32 以上で SR。
コップを使って 10 面ダイスを振る演出が、古い RPG らしい雰囲気で良いです。


Wizrogue ウィズローグ
※キャラクターがロストしたシーン・・・
「でも大丈夫! 300 円で復活させてあげるよ!」 そんなウィザードリィいやだ・・・


Wizrogue ウィズローグ
※ウィザードリィ・ルネサンスのキャラクター「アラハゥイ」。
ウィザードリィ スキーマ にも登場しましたが、「課金 Wiz」「残念 Wiz」を象徴するようなキャラの印象で、正直顔を見た時はガッカリしました。


「課金型ゲーム」になっているため色々と問題もあるのですが、ウィザードリィの雰囲気は満点です。
ボードゲームのような渋いデザインは大人の雰囲気があって良いですね。
ローグ系としては物足りない、ウィザードリィとしては別物という印象ですが、「ウィズローグという固有のゲーム」としては、悪くないのではないでしょうか
巷の評価は賛否両論・・・ と言うか、「否」の方が多い感じですが、私は楽しめています。

ただ、この課金システムは、旧来のウィザードリィファンにとっては「甘い」、ライトユーザーにとっては「厳しくて課金ゲー過ぎ」という感じで、どちらにも喜ばれないと思います。
まあ、課金がユーザーに喜ばれるはずはないのですが、にしてもちょっと、やり方が雑かな・・・
「反感買ってもしょうがないよね」っていう課金の入れ方をしている気がします。

これは Godus の時にも感じたのですが、もしこのゲームが 10 年前、課金型ゲームが一般的でない頃に作られていたら、「もっと面白いウィズの派生ゲーム」になっていたんだろうな、と思います。
それだけスマホの課金ゲームのクオリティが、普通のゲームに近付いていると言うことかもしれませんが・・・

※このゲームは 2015年10月 にサービスを終了しました。

・Wizrogue(ウィズローグ)(iTunes が起動します)(終了)