あの「シヴィライゼーション」シリーズの・・・ 「精神的続編」(なんだそりゃ)な宇宙戦争戦略シミュレーションゲームが公開されています。
Sid Meier's Starships」です。

このゲームは人類の歴史を再現したシミュレーションゲーム Civilization(シヴィライゼーション)の「その後」を描いた作品「Civilization: Beyond Earth」の、さらにその後をテーマにしています。

シヴィライゼーションには宇宙移民を達成する勝利条件がありますが、昨年秋にパソコンで発売された Beyond Earth は、その移民した惑星を開拓していくゲームでした。
今作 Starships は、移民先で繁栄した人類が小国に分かれ、銀河連邦を築くために恒星間戦争を繰り広げる内容になっています。

ただし、今作はシヴィライゼーションとは全く違うゲームです
ゲーム名にも「Civilization」の文字は入っていません。

シヴィライゼーションの「後継」や「最新作」と紹介されている場合が多いので、シヴィライゼーションのシステムを受け継いでいると思っている人が多いのですが(私もそう思ってた)、ゲームシステムはまるで違います
あくまで Spiritual Successor(精神的続編、魂を受け継いだもの)であって、「続編」ではないので悪しからず。

iPad 専用アプリで、価格は 1500 円。 
iOS アプリとしては高めですが、パソコン版(Steam)と同時発売で、価格もほぼ同じ。
巷では「この注目タイトルが PC と iOS で同時発売」という点でも話題だったようですね。

Sid Meier's Starships

Sid Meier's Starships

ゲームが始まると、1つの惑星と、1つの艦隊が与えられます。
最初の惑星はその国家の「母星」であり、ここが陥落すると(難易度ノーマル以下なら)その国は滅亡。
艦隊は各プレイヤーが操作する「ユニット」で、最初は船が2隻しかありませんが、それでも立派な「艦隊」です。

艦隊を他の惑星に移動させると、何らかのクエストが発生します。
宇宙海賊に襲われてるとか、市民の脱出の手助けをして欲しいとか、賊の輸送船を追いかけてくれとか色々ありますが、とにかく全て戦闘を伴います
本家のシヴィライゼーションとは違い、このゲームは終始戦闘がメインです。

戦闘になると六角形のヘックスで区切られた宙域マップが表示され、そこに両軍の戦艦が配置されます。
クエストによっては輸送船や宇宙ステーション、脱出ポイントなどが現れますが、基本的には敵船を撃破すれば勝利

フィールドには小惑星帯や惑星などが散らばっていて、通常は通過できません。
攻撃は長射程のレーザー砲で遠距離からでも行えますが、「射線」が存在し、間に小惑星帯があると威力が減少、惑星や大きな隕石があると完全に遮られてしまいます

また、各ユニットは移動後の攻撃はもちろん、攻撃後の移動も可能で、移動力の範囲で「近付く→撃つ→逃げる」といった行動も可能です。
よって、戦闘は障害物に身を隠しながら撃ち合うという、ターン制の銃撃戦のような展開になります。

勝利すると、その惑星に対する「影響力」が増加します。
影響力は 0~4 まであり、達成したクエストの難易度に応じて増え、影響が 2 になればその惑星の収入の 50 %を、3 なら 100 %を得られるようになります。
そして 4 になれば自国に加盟します

移動や戦闘を行うごとに、艦隊の乗組員の疲労が蓄積していきます。
艦隊はいくらでも動けるのですが、疲労が高まるほど戦力が低下していくため、ある程度の所で惑星に「上陸」し、回復しなければなりません。

「上陸」は要するに「ターン終了」で、これを行うと次のプレイヤーの番に移ります。
また、上陸した惑星は影響力が +1 されます。

なお、戦闘中に耐久力が 0 になった戦艦は派手にぶっ壊れますが、そのまま消滅することはなく、修理すれば復活します。

Sid Meier's Starships
※こんな風に間に何かあると威力が下がっていき、-100 %になると完全に無効です。
位置が微妙な時は1マスずつ動いて射線をチェックしましょう。
丸印が付いている小惑星帯は、ターンごとに通行可能になったり、不可能になったりします。
紫色の枠は「ステルス」の範囲で、この中に敵がいなければ不可視化されます。


Sid Meier's Starships
※射撃シーンは 3D で描かれます。 結構カッコイイ。
大きなダメージを与えると装備に被害を与える「クリティカル」が発生します。
ちなみに艦船名の SS というのは「スターシップ」の略。


毎ターン、各惑星から エネルギー・メタル・科学力・食料 の4つの資源を得られます。

エネルギーは「お金」に相当し、これを使って戦艦をパワーアップしたり、新しい戦艦を作ったりします。
戦艦にはエンジンやシールド、レーザーなど多くのパワーアップ項目がありますが、注目なのは「ステルス」「戦闘機」「機雷」といった追加装備。

ステルスは遠くの敵に視認されなくなるもので、これで敵の攻撃をそらしたり、敵の背後に回ったり、脱出ミッションでこっそり逃げるといった戦法を取れます。
ただし接近されるか「センサー」を使われると見つかります。

戦闘機は追加で出撃させられる攻撃ユニットで、弱いのですがやられても戦闘後に補充されるため、手軽に使え、おとりにもなります。
機雷は撃った次のターンにならないと爆発させられませんが、広範囲を攻撃可能で、爆破ポイントは発射後に任意に選べます。
戦闘メインのゲームで、「艦隊の強さ=自国の軍事力」なので、その強化が一番重要ですね。

メタルは惑星に「資源活用施設」を作るのに必要なもので、つまり収入アップに使います。
また、防衛船の配備や、シヴィライゼーションの文化遺産に相当する「遺産」の取得にも使用します。
遺産には「2回行動可能」「後方や側面から攻撃されてもダメージが増えない」などの強力な効果があるので、出来ればゲットを狙いたいところ。
食料も惑星の人口を増やし、収入をアップさせるものです。

科学力は「エンジンアップ」や「レーザー強化」などの、全体の戦力を底上げするパワーアップ(技術)を取得するのに使います。
シヴィライゼーションとは違い、徐々に研究を進めていく訳ではありません。 お金のように欲しいものを買っていく形式ですね。

Sid Meier's Starships
※メタルは特定の資源の産出レベルを増やし、食料は人口を増やします。
そして実際の収入は「産出レベル×人口」になります。 ただメタルは遺産のゲットにも使うので注意。
内政はどれも「通貨で買う」といった感じで、シヴィより簡略化されています。
ワープ・ネクサスは道路に相当し、移動しやすくなって、その惑星の特性を遠くからでも利用可能になります。


Sid Meier's Starships
※艦隊のパワーアップ画面。 早いうちに戦闘機とステルスを搭載しておきましょう。
武装を増やすと移動力が下がるので、適時エンジンも強化すること。
下の方に船を増やすボタンがあるので見逃さないように。


ゲームが進めば、ライバル国と接することになります。
シヴィライゼーションと同じく外交も可能で、同盟すれば相互不可侵の状態になりますが、同盟交渉自体はシヴィライゼーションのようにシンプルなものです。
国同士の戦争の場合、「影響力」はあまり関係なく、進攻して勝った側がその惑星を支配します。

勝利条件は他のプレイヤーを全て打ち負かすか、総人口の 51 %を支配すること。
一応、レベル6のテクノロジーを3つ購入する科学勝利、遺産を7つ取得する遺産勝利もありますが、どれを目指すにせよ戦闘と領土拡大が基本です。

難易度は イージー・ノーマル・ハード・不可能 の4段階。
ライバルは最大6人で、マップサイズも4つ用意されています。

とりあえず初期設定になっていた「ライバル4人、マップサイズ中」でプレイしてみましたが、クリアまで2時間足らずでした。
難易度はルールさえ理解できれば、ノーマルでも割と簡単です。

家庭用ゲーム機向けに調整されている「シヴィライゼーション・レボリューション」より、さらにカジュアルに作られていて、本家シヴィのようなヘビーなゲームを期待していると拍子抜けしそう。

マップ特大、ライバル6人なら相応のやり応えがあると思いますが、全体的には重過ぎないように作られている印象ですね
タブレットでプレイするには、ちょうど良いのではないでしょうか。

Sid Meier's Starships
※ゲーム開始時に選ぶ指導者の皆さん。 金髪の小僧とかヒトラーの尻尾とかはいない。
この指導者は Civilization: Beyond Earth と同一のようです。


starships8
※クエストには1つ1つに渋いイラストが用意されています。
星系画面に表示されているクエストの色は難易度を表していて、最初は緑のクエストを優先しましょう。
ただ、序盤が一番辛いので、厳しいと思ったらヘタに動かず強化を優先した方がいいかも。


プレイしてみると、シヴィライゼーションよりシンプルに作られているのが解ります。
ほんのり「シヴィ・スピリッツ」みたいなのは入っているのですが、ターン制で、攻め込んだら戦争画面になって、勝ったら領土占領というシステムを考えると、信長の野望っぽいのかなぁ、とも思いますね。

戦艦の強化項目がいきなり多すぎて、最初はやや解り辛さがありますが、日本人には割としっくり来るシステムだと思います。
メッセージも全て日本語化されていて、翻訳にやや微妙な点もありますが、文章が解りにくいというレベルではありません。

タブレット向けに作られている印象もありますが、普通に「最新のゲームソフト」と言える内容です
iPad を持っている方にはオススメ出来るアプリです。

Sid Meier's Starships (iTunes 起動、iPad 専用)


以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。