有名クリエイターが開発に参加している、和製の クラッシュ・オブ・クラン と言えるアプリが注目を浴びています。
リトル ノア」です。

「伝説のオウガバトル」や「ファイナルファンタジータクティクス」などのキャラクターデザインを行った吉田明彦さんと、「タクティクスオウガ」や FF12 などのサウンドを担当していた崎元仁さんが参加しているという事で、期待されていたゲームですね。
開発は BlazeGames というメーカーで、サイバーエージェント系の会社です。
吉田明彦さんも現在は Cygames の子会社の役員を務められています。

ゲームの基本部分は完全にクラッシュオブクランであり、それ以上でもそれ以下でもない感じ
よってオリジナリティーはありません。
ただ、そこに「レイドバトル」と「4人協力戦」のマルチプレイシステム、そして吉田さんが描かれた可愛らしくて淡い色彩のキャラクターが加わっています。

いわゆる「クラクラ系」は世界中で乱発されていて、その多くは本家の劣化版に過ぎないのですが、このゲームの動きやグラフィックは本家にも劣りません。
それでいて日本人が見ても違和感のないグラフィックのため、人気が出るのは頷けますね。
ただマルチプレイのシステムは、ゲームの問題点にも繋がっていますが・・・

リトル ノア

リトル ノア

基本部分は前述したように「クラッシュ・オブ・クラン」のままなので、ご存じの方が多いと思いますし、詳細は省きます。
村作りの農園ゲームに、他プレイヤーの村への襲撃と、襲撃された時の防衛用設備を加えたものですね。

ただこのゲームは、少なくとも序盤は襲撃と防衛がメインになっていません。
なぜならボスと戦う「レイドバトル」を行って勝利しないと、ユニット(兵士)の入手と強化を行えないから。

クラッシュオブクランは施設の拡張によってユニットを増やしていったため、それに必要な物資を得るために、襲撃を行うことが重要になっていました。
同時に、得た物資を守るための防衛施設も大切だった訳です。

しかしこのゲームは「レイドバトル」でユニットを強化するため、村の拡張とユニットの強化は分離されています
部隊を強くするにはレイドバトルを繰り返す必要があり、強力なレイドボスを呼ぶにはソロプレイ用のマップも攻略していかなければなりません。
それらにスタミナを使うため、部隊強化に繋がらない他プレイヤーの村への襲撃は、当面は行う人がほとんどいないのです。

そのレイドバトルは、最大 30 人のプレイヤーと協力して巨大ボスの HP を減らして行くものです。
他プレイヤーのユニットが出てくる訳ではなく、あくまで自分のユニットのみでボスと戦うのですが、ボスの残り HP には他のプレイヤーが減らした分もリアルタイムに反映されます。
また、攻撃力アップなどのスキルが使用されると、参加中の全プレイヤーに影響します。

クラクラ系なのでプレイヤーが行うのはユニットの出撃のみで、戦闘は自動ですが、ボス戦では「誘導」が可能です。
指定した場所に全ユニットを向かわせることができ、連続使用は出来ませんが、これを上手く使えばボスの弱点を攻めたり、相手の攻撃を回避することが出来ます。

ボスに勝利すると与えたダメージのランキングが表示され、上位ほど報酬が良くなります。
得られるユニットの種類はかなり豊富ですが、レアや SR のユニットは強力なボスを倒し、さらに運が良くないと手に入りません。
ここはまあ、ソーシャルゲームらしいと言えますが、しかしガチャではないのは大きなポイントでしょう。
ユニットのレベルアップは合成で行い、同じユニットを合成することで兵士数を増やすことが出来ます。

なお、レイドバトルが始まる際にログイン中の他のプレイヤーに救援要請が出されますが、これに応じて参加した人はスタミナを消費しません
結構頻繁に呼ばれるので、スタミナ消費なしで延々とレイドバトルを繰り返すことも可能です。

リトル ノア
※ボスは巨人型、オオカミ型、サソリ型がいて、それぞれ行動パターンが異なります。
攻撃の前に準備動作があるので、それに反応して素早く回避行動を取らせることが重要。


リトル ノア
※ソロ用のクエストマップ。 こちらを進めないと自分で上位のボスを呼ぶことは出来ません。
マナやゴールドが多く貰えるステージもあるので、タンクや金庫の拡張を行っておきましょう。

ゲームのもう1つの特徴は「ノア」と呼ばれるキャラクターがいること。
いわゆるヒーローで、高い HP と攻撃力を持ちます。
そして戦闘で経験値を得られ、レベルアップし、新しいスキルを覚えていきます
最初は剣士型ですが、村の拡張によって魔術師型などに変えることも可能です。

最近のクラクラ系はヒーローの存在自体は珍しくないのですが、そのデザインも注目でしょうか。
独特な絵柄と色使いで可愛らしく描かれていて、ゲーム公開前から話題になっていましたね。
案内役も兼ねていて、ボイスで挨拶し、村の画面をうろついているので、ゲームに華を添えています。
世界観も一風変わっていて、村は巨大な「方舟」になっています

グラフィックの書き込みも細かく、多くの兵士が村の中を動き回っていてます。
本家のクラクラの動きや演出が優れていたため、追従作のクラクラ系の多くが本家より見劣りし、新たに出て来ては爆死するのを繰り返して来ましたが、このクオリティならそう簡単に終わることはないでしょう。

ゲームバランスも本家とはやや異なり、例えば接近してくる敵にめっぽう強い「範囲砲台」は、射程と耐久力がすごく低いため弓矢には弱いなど、得手不得手をはっきりさせている印象です。

また、戦闘が終わると兵士数が即座に回復し、資源も消費しないのも特徴です。
時間とスタミナがある限り連戦し続けることが出来るので、ありがたい仕様ですね。
ただしヒーローであるノアの HP は、回復に時間の経過が必要です。

リトル ノア
※方舟全景。 錬金術師は皆、方舟を自分の領土としているらしい。
草の生えた外壁がラピュタっぽくて良いですね。

リトル ノア
※ノアちゃんのイラスト。 ヒーローは彼女だけなので、他の村を襲撃すればノア vs ノアになります。
見てすぐ「タクティクスオウガや FFT の人の絵だな」と解るのが、ある意味凄いです。


難点と言えるのは、同じようなレイドバトルを延々と繰り返さなければならないこと。

前述したように部隊を強くするにはレイドバトルを行う必要がありますが、ボスの種類は現時点(2015/3)で3種類しかありません。
同じ敵と、同じユニットで、同じような戦いをひたすら繰り返す訳で、さすがにこれでは飽きる。

他プレイヤーの村を襲撃したり、ソロクエストを進める時には毎回異なる村を攻めることになりますが、前述したように他の村を攻めても物資しか得られません。
もちろん物資も必要なのですが、スタミナを消費するため、どうしてもレイドバトルをやってる時間の方が長い。

また、このようなシステムだからか、こちらも攻められることが少ない
ゲームが進めば変わって来るとは思いますが、明らかにクラクラと比べると「攻めない・攻められない」ゲームなので、本来のクラクラ系の攻めて守ってリプレイ見て、という楽しみが乏しいです。
まあクラクラは世界的なゲームなので、プレイ人口が違うのもあるとは思いますが・・・

ともかく、今のままではやや単調な印象なので、ボス戦と襲撃のスタミナは別にするとか、町でボスと戦えるとか、戦闘中や開発中にランダムなイベントが起こるとか、何かの工夫が欲しいところです。

また、4人で1つの村を攻めるマルチプレイ「COOP」もありますが、これはゲームを立ち上げた人がルーム ID を他の人に直接伝えて、参加して貰う形式です。
つまりこのゲームをプレイしている知人がいるか、ギルドメンバーに頼まないとプレイ出来ません。
COOP でもユニットは得られるようですが、ソロプレイヤーだと遊べませんね・・・

リトル ノア
※他プレイヤーの村を襲撃中。 マナとゴールドを稼ぐには襲撃が一番。
ただ、今作はレイドバトルもあるし、ソロも進めないとだし、おまけに襲撃に必要なスタミナ消費は前述の2つより多い。
これでは襲撃や防衛が減っても仕方がない・・・


リトル ノア
※ユニットも可愛らしく描かれています。 欧米的なキャラよりしっくり来ますね。

全体としては、期待されたクオリティが備わっているゲームだと思います。
今はまだ、落ちやすい、戦闘時のタップの反応が良くないなど、気になる点もありますが、徐々に改善されていくと思われます。
レイドボスが少ないのも、アップデートで増えることを期待したいですね。

日本的な絵で、日本的な協力プレイのあるクラクラなので、これからこの系統をやるなら、日本人はこちらの方が楽しめるかなと思います。

リトル ノア(iTunes が起動します)


以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。