ゲーム業界的に、かなり大きなニュース。
あのゲーム業界の模範企業「任天堂」が、忌憚なく言ってしまうとその正反対の印象の企業「DeNA」と業務提携・資本提携を行い、その IP(知的財産)を活用したスマートフォン用アプリを共同開発するという発表を行いました。



具体的なタイトル名などは明かされませんでしたが、今年中には何らかの「アウトプット」を行うと発表会の中で話されています。
これには資本提携も含まれ、任天堂は DeNA 株の 10 %を保有し大株主になります。

また、終了した任天堂の会員制サービス「クラブニンテンドー」の後継となる新サービスを、DeNA と共同で開始すると発表しています。

以下、記者からの質問に任天堂の社長・岩田さんが回答された内容です。

質問:なぜ DeNA なのか?
回答:DeNA さんの「任天堂と一緒にやりたい」という情熱と、互いにないものを持っているから。

質問:任天堂は IP を提供するだけなのか? どちらが主体なのか?
回答:フロントサイド(ゲーム部分)は任天堂が行った方が競争力があるだろう。 ネットワークやスマートデバイスの分析については DeNA の方がノウハウを持っている。 両者が役割を分担しつつ進めていく。

質問:射倖心を煽るガチャのようなビジネススタイルについてどう思っているのか?
回答:アイテム課金を一律に否定する事はしないが、任天堂が納得しない方法で協業することはない。 お客様が安心し、納得できる形での提供を行う。 ビジネスとして行き過ぎと言われている方法を任天堂の IP で使われることは望んでいない。 新しいビジネスモデルの発明が出来たら最高。

質問:任天堂はパッケージで子供に安心して与えられるゲームを作るという印象があったが?
回答:任天堂が 30 年かけて培った「子供に安心して与えられる」という信頼は財産であり、それを壊すようなことは絶対にしたくない。

質問:ゲーム専用機が追い込まれ、危機感があったから今回の提携に至ったのか?
回答:追い込まれてはいない。 ゲーム専用機ビジネスに悲観しているから協業に繋がったのではない。

質問:今後はスマートデバイスに注力するのか?
回答:これからもゲーム専用機のゲームをしっかりやっていく展望を持っている。 より多くの方々に任天堂の IP を広めるための、プラスアルファのものとして考えていている。

質問:提携は DeNA だけなのか?
回答:こうして発表したぐらいなので、まずは DeNA。 他の提携は考えていないが、未来のことは解らない。

質問:スマホ参入が遅かったのでは?
回答:遅いかどうかはこれから決まること。 数年後にこれが最高のタイミングだったと評価されているかもしれない。

質疑応答は任天堂側に集中し、DeNA の社長さんが答えられているシーンは少なかったです。

DeNA は「昨年は(スマホのネイティブアプリの)ヒット作も出た」を繰り返し強調していましたが、そのヒット作はおそらく FF レコードキーパーの事で、これはスクエニの IP を使っているから成功したと言うのがあり、しかもパズドラやモンスト、白猫クラスの大ヒットではないので、その辺はやや気になりました。
ただ、低迷が続いている DeNA にとっては起死回生の起爆剤に成り得るでしょうから、今年はこれに賭けることになりそうですね。

私的に気になったのは、任天堂の社長さんが「スマートデバイスで任天堂の IP を広め、そしてゲーム専用機だから楽しめるプレミアムな、ゲームの大好きな人に心から満足して頂けるようなゲームを」といった意見を言われていたこと。
「家庭用ゲームとスマホゲームの架け橋に」ということをおっしゃっていましたが、やはりセリフからはスマホを侮っている印象は拭えません。

どのメーカーも最初は「スマホだからこんなもんで」というゲームを出して、1度失敗してから良くなっていくので、この考えでは任天堂も1度コケそう・・・?
DeNA がカバー出来るかどうかという所ですが、ご存じのように DeNA と協業した大型タイトルは大抵残念なことになっているので、その辺は微妙です。

ちなみに生放送していた Youtube の「評価」は、再生開始時は GOOD が 80、BAD が 50。
会見終了時は GOOD 395、BAD 259。
終始 GOOD 60 %、BAD 40 %で推移しており、やはり巷の意見は割れているようですね。

なお、「新しいゲーム専用機プラットフォームを開発コード名『NX』として開発中」という発表もありましたが、これは「任天堂はゲーム専用機を捨てた訳ではなく、その一例としてこういう取り組みもある」として紹介されたもので、これ自体は今回の提携とは直接関係はないようです。

任天堂と DeNA 業務提携