「これからが本当の地獄だ・・・」

若年層が自衛隊に親近感を持ち、そして自衛官が職業として意識されることを目指して開発された、自衛隊公認のスマホアプリが公開されました。
自衛隊コレクション(Jコレ)」です。

留守中の家を守るため、自衛隊の人形達が様々なミッションに従事するという、可愛らしくてフレンドリーな絵柄のミニゲームです。

・・・が、それは表向きの話だった・・・

その実体は萌えポスターで新隊員を募集し、その先にハートマン軍曹が待ち受けているかのような、まさかの超絶極悪マゾゲー
そう、自衛隊は甘くはないのです。
ホノボノした絵柄にすっかり騙されていた私は、プレイしてその内容に驚愕することになります・・・

とりあえず、オープニングはこんな感じ。

自衛隊コレクション

自衛隊コレクション

確かに「自衛隊に親近感を持って貰おう」という表向きの意図が汲み取れる絵柄です。

ゲームは1つのミッションが5つのステージで構成されていて、各ステージが陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、陸自衛生科、海自音楽隊をテーマにしています。

最初のステージのみ選択可能ですが、陸上自衛隊を選んだ場合はこんな感じ。

自衛隊コレクション

画面を押しっぱなしにしてほふく前進し、本棚の下をくぐり抜け、並んでいる画鋲をジャンプでかわすという、簡単なゲームですね。
・・・と思ったのは、最初だけだった。

この自衛官、ジャンプ力がなさ過ぎて、ギリギリまで近付いてジャンプしないと画鋲を飛び越えられない。
さらに自衛官とは思えないスペランカー並のひ弱さで、画鋲に刺さってもダメだし、横から触れてもダメ。 本棚に頭がかすってもダメ。
それで国を守れるのか激しく心配になる。

加えて画面を押すとほふくし、離すとジャンプという操作のため、ジャンプする前にいちいち一旦伏せる
これが目測を狂わせ、シビアなジャンプタイミングを測り辛くしている。
加えて画像をよく見ると解りますが、画鋲の間隔が微妙に違い、同じタイミングで跳んで行くと刺さる

のっけから最初のクリボーにやられまくる初心者のマリオのように、自衛官の死屍累々が繰り広げられます。
なんだこの冒頭の雰囲気をいきなりぶち壊すマゾゲーっぷりは・・・
さっそくキング・オブ・クソゲー「キュートランスフォーマー」と同じ匂いが漂ってきます。

しかし、そんなのは序の口だった。
次の海上自衛隊で、更なる不条理を味わうことになります・・・

自衛隊コレクション

このステージではタップでいかりを降ろし、自動で前進する護衛艦「きりしま」を停止させ、突然出てくる魚を回避します。

しかし魚が急に飛び出してくるため、かなり素早く反応しないとかわせない。
と言うか、前兆である波しぶきが出てから、飛びだして来るまでの時間が短すぎて、出てくる場所を覚えていないと回避できない

あまりにも初見殺し。 護衛艦に急ぶつかってくる漁船はどうあがいても回避できませんという主張なのでしょうか?
って言うか、魚に触れただけでアウトになる護衛艦ってどうなんだ。
その甲板に付いている 127mm 単装連射砲は飾りなのか。

しかも後半になるともっと酷くなる。
後方からクジラが出て来て大きな口を開け、船を吸い込み始めるのです。
クジラに吸い込まれる排水量 7250 トンの護衛艦。 模型とはいえシュール過ぎる。

自衛隊コレクション

吸い込みもいかりを降ろして防ぎますが、魚も狙いすましたように衝突して来るし、おまけに時間制限もある。 まさに全方位攻撃。
日夜、武装漁船やらエコテロリストやらの対応に追われていることの暗示なのでしょうか?

もう完全にパターン化しないとクリア不可能。

しかし、これでもまだ前座に過ぎなかったことを、次の航空自衛隊のステージで思い知ることになります・・・

自衛隊コレクション

このステージでは、画面をタップして戦闘機 F-2 に回避行動を取らせ、飛んで来るリンゴやら紙くずやらの飛来物をかわしていきます。

しかしゴミは前方から飛んで来るのに、F-2 はどんどん前進していき、そして画面はスクロールしません
よって最後は、ゴミが出て来た瞬間に F-2 にぶち当たる
見てから回避することは不可能。 これ以上ないぐらい覚えゲー。

おまけに回避タイミングがシビアで、遅すぎるのはもちろん、早すぎてもゴミが尾翼に当たってしまう

そもそもリンゴはともかく、紙くずがかすっただけで落とされる F-2 ってどうなんだ。
日本の戦闘機は紙装甲という暗示なのだろうか。
その羽に付いているサイドワインダーは例によって飾りなのか。

だが、後半はもっと酷かった。
画面をタップすると高度を下げて回避行動を取りますが、その高度が下がったところを狙って、下からもゴミが飛んで来るのです。

自衛隊コレクション

これを回避するには前方のゴミを少し早めに回避して、回避し終わるところで画面を連打、再び回避行動を取って下からのゴミをギリギリでかわさなければなりません。
この回避の仕方が解るまで、無数の F-2 が撃墜されました。

おまけにゴール直前には前からゴミ、直後に下からゴミ、さらに至近からゴミという完全飽和攻撃。 フザケンナ。
自衛隊は日々、左翼の皆さんやプロ市民からゴミを投げられているという主張なのかもしれません。

航空自衛隊の後は、ネコの尻尾に薬を塗る衛生科、音楽ゲーム風の音楽隊のゲームに続きます。

自衛隊コレクション

ネコの尻尾のミニゲームは、薬を塗っているのにその尻尾ではたかれてミスになるという、恩を仇で返されるゲーム
自衛隊違憲派の非難に晒されながらも「そういう人達も守るのが自衛隊です」と言わなければならない、彼らの心情が表現されています。

音楽隊のゲームはリズムに全く無関係にマーカーが飛んで来る、音楽ゲームの「お」の字も理解していない残念目押しゲー。
しかも最後は大量にマーカーが出て来て連打状態になります。 相変わらず難易度がおかしい。

しかしこの2つは、前述の3つのゲームをクリアした後だと、まだマシに思えてしまいます。
こうやって人は「訓練」されていくという事なのでしょう。

5つのステージを突破するとミッション1クリア。
ミッション2は・・・ まだない。 なんだよそれ。 じゃあ「1」とか付けとくなよ。
って言うかミッション1しかない公式ゲームってどうなんだ。

なお、ミッションを途中でやめてしまうと、またステージ1の最初から
自衛隊にセーブなんていう甘っちょろいルールはありません。

※現在はアップデートでミッション2以降が追加されました。 また途中で止めても続きから出来るようになっています。

クリアすると「今日の適性診断」を利用できるようになりますが、単にランダムで職種が表示されるだけの模様。
私の場合、知力が低くて体力が多い「海上自衛官」が提示されましたが、海上自衛隊って脳筋部署なのか?

自衛隊コレクション

自衛隊コレクション

という訳で、突っ込みどころ満載というか、突っ込みどころしかありませんでした

こうやって忍耐力のない者をふるいにかけ、自衛隊員としての適性を測るアプリなのでしょう。
なるほど、それならリクルートアプリとして納得できます。 素晴らしい。 もうやらねぇ。

自衛隊のアプリは他にも、技術力が致命的に足りていなかった「ふるさと自衛隊」などがありますが、どうも地雷ばかりな印象です。 自衛隊だけに。

果たしてこの内容は、狙っているのか? マジボケなのか?
まあ完全無料アプリなので、話題性は十分だし、ネタゲーとしては良いかも。

自衛隊コレクション(Jコレ)(iTunes が起動します)