突然送られて来た、夢の中に潜れる装置。
そこで見たのは遠き日の約束、幼少期の思い出だった・・・

葛藤の中で紡がれていく人の成長と日常を、なんとローグライク RPG で表現している、素晴らしく特異なゲームが公開されています。
ヒュプノノーツ」です。

最初は簡易的なテキストアドベンチャーだと思っていたのですが、その独創的な表現に思わず入り込んでしまった作品です。
ちょっと簡素なイラストも、それだけ見るとチープ感がありますが、実際にやってみるとすごく雰囲気にマッチしていますね。

ちょっとノスタルジーで、しかしこれ以上ない程に「おバカ」でもある、切なくて笑えるアプリです
一方で、ゲームの難易度は結構高く、不用意に進むとすぐやられてしまいます。
ゲーマーでも唸る難しさで、ローグライクとしての歯応えも十分です。

ヒュプノノーツ

ゲーム内容は非常にシンプル
進む」と「戻る」のボタンがあり、進むと「距離」が1つ増えます。 戻れば減ります。
移動するごとに「時間」が減っていき、それが尽きる前に距離が一定値に達すればクリアです。

移動すると敵が現れたり、イベントが発生する場合があります。
初期に登場する敵は「ピーマン」や「ニンジン」。

「ピーマンがあらわれた!」
「好き嫌いするのは悪い子!」
「○○は3ダメージを受けた!」

とか出て来たのを最初に見た時はかなり笑いましたw

そしてもっとゲームが進むと「ハチ」や「毛虫」、さらに「ガキ大将」なども現れます。
つまり距離は主人公の成長具合になっていて、イベントも最初は「おねしょ」や「積み木」などですが、「三輪車」や「お年玉」が発生し、そのうち「自転車」や「万引き」などに変わっていきます。
「算数」や「読書感想文」など、「それが敵!?」みたいなものも現れ、思わず笑ってしまうシーンが多いですね。

主人公には 力・自信・運動・知恵 の4つのステータスがあり、食べ物や虫と戦う時には「力」が関係しますが、勉強と戦う時には「知恵」が影響します。
自信や運動はイベントの成功判定に関わり、例えば三輪車に乗るイベントは運動が低いと失敗してダメージを受ける可能性が高くなります。

ヒュプノノーツ
※子供の宿敵、ピーマン現る! 最初見た時は「どんなゲームだコレ」と思ってしまったw
右は子供にとってのバンジージャンプ、すべり台。 これで自信を養います。


もちろん、ただ進むだけでクリア出来るようなゲームではありません。
先に行くほど強敵が現れ、さらに能力判定の厳しいイベントが起こるので、適当なところで行ったり来たりして経験値稼ぎをする必要があります

ただ、時間(ターン制限)があるため延々と経験値稼ぎは出来ませんし、レベルが上がると弱い敵から得られる経験値は減っていきます。
回復アイテムやイベントの発生も運次第なので、最初のうちはコツが解らず、アッサリやられてしまうことでしょう。

しかしゲームオーバーになると自室に戻り、「作戦を練る」のコマンドで敵やイベントの詳細と、その発生範囲を確認することが出来ます。

この発生範囲の表記は正確なものではなく、今までのプレイで遭遇した地点が書かれているに過ぎませんが、それを見れば「うろつくならこの辺りが良い」「ここから先に行くと危険になる」などの目安が解ります。
これを見て作戦を立て、何度も挑戦しながらプレイを最適化していくのが攻略の基本ですね。
つまりちゃんとローグライクらしいゲーム性が備わっています。

また、たまに「謎の少女のお店」が出現します。
出現するタイミングや売り物はランダムですが、敵から得られたプレゼントアイテムを贈ることで好感度を上げられ、一定値になると品ぞろえが良くなります。
この好感度は次回以降(さらに次の章以降)に引き継ぐので、長期的な成長要素になっています。

ヒュプノノーツ
※子猫を拾うイベントは、だいたい距離 55~100 の辺りで発生。
ロボットとネコのイベントに成功すると、それらが「仲間」になるので重要です。
ただし成功判定に「自信」が関わるので、それを高めておく必要あり。
右は謎の魔法少女のお店。 好感度を引き継げるので、ゲームオーバーになってもそれを上げられていれば、次に繋がります。


ヒュプノノーツ
※スーパーの裏でひとりぼっちの少女と出会う主人公。 一定の距離に達すればストーリーイベントが発生します。
人は成長していくと、子供の頃ほど無邪気ではいられなくて・・・


第一部は少年時代。 このゲームは数章に分かれています。
第二部からは物語の内容がガラッと変わるのですが・・・ ここでは詳細は伏せておきます。

アプリ本体は無料で、広告もありません
課金要素は「最初からアイテムを1つ持っている」「開始時に各ステータスが1高くなる」などの、恒常的なパワーアップの購入のみ

ゲームが難しいので、どれも手を出したくなりますが、しかし「すごく強くなる」という程の強化ではありません。
若干助けになる程度で、強さを金で買うゲームではないですね。
ただ、ゲームがとても良いので、私的には「カンパ」したくなるアプリです。

パッと見はショボイですが、「その全てを内容に合わせているアプリ」という印象で、このレトロ感も狙っているのでしょうね。
ヒューマンドラマと言えますが、常に「おバカ感」が漂っているため、重苦しい感じではありません。
子供の頃を振り返る内容なので、今の時点で子供な人にはダメですが、大人にはぜひオススメしたいアプリです。

ヒュプノノーツ(iTunes が起動します)