ある意味、ユーザーを裏切ってシューティングを捨て、ソーシャルゲームに舵を切り、失敗の末に多くを失ったメーカー「ケイブ」(CAVE)。
そんなケイブが久々にスマホアプリの新作シューティングを公開し、話題になっています。
ゴシックは魔法乙女」です。 通称「ゴ魔乙」。

縦スクロールのシューティングゲームに、ソーシャルゲームの要素を合わせた内容で、世界設定は「デススマイルズ」と共通しています。

ケイブは「エスプガルーダ」や「怒首領蜂 大復活」など、スマホとは思えない高クオリティーなシューティングを連発し、スマホゲームを牽引していましたが、2012 年からソーシャルゲームに傾倒、シューティングを捨ててソシャゲに注力することを発表し、PRもソシャゲ的なものに変化。
開発者の流出、経営を支えていた「しろつく」の低迷、新規ソシャゲの失敗などが続き、最近の惨状は、ここをご覧の皆さんには言うまでもないでしょう。

この作品はそんなケイブのシューティング復帰第一弾と言えるため、注目の作品ではあったのですが、前述の状況に加えて「シューティング+ソシャゲ」は失敗例続発のため、正直期待していませんでした。

ただ、やってみると・・・ しっかり「ケイブシュー」しているし、「ドンパッチン」などの過去のゲームの反省もフィードバックされている印象です。
ちゃんとシューターがケイブシューとして楽しめる内容になっていますね。

ゴシックは魔法乙女

戦闘が縦シューのソーシャルゲームです。
前後左右に自由に動け、LINE シューティングのような横にしか動けないタイプではありません。

ショットは自動で、画面右下に攻撃キャラクターのチェンジボタン、左下にはサポートメンバーのスキル発動ボタンがあります。

攻撃キャラクターは2人+助っ人1人の3人。
自キャラの1人目は前方集中攻撃、2人目は拡散攻撃と決まっていて、拡散型2人という組み合わせは出来ません。

また、実際にどんな攻撃が出るかはキャラクターによって違います
同じ前方集中型でも、連射するキャラもいればレーザーを撃つキャラもいて、拡散型も 3Way やホーミングなど、キャラによってショットが異なります。
ただ基本的には、前方集中がボス向け、拡散がザコ向けと思って構いません。
サポートメンバーが使うスキルは、要するにボムですね。(回復などもありますが)

1ステージの間に中ボスが何度か現れ、最後にボスが登場、撃破すればステージクリア。
自機は HP 制で、何度かの被弾には耐えられます。
加えて3人の攻撃キャラクター全員が全滅しないとゲームオーバーにならないので、クリアの難易度は高くありません。

ただケイブシューらしく、スコアアタックを意識させる内容で、スコアやコンボ数が高くないと報酬も減ってしまいます。
そして被弾するとコンボがリセットされるため、シューターにとってはやはりノーミス前提で進むことになります。
この辺りの作りは、初心者から上級者まで楽しめる形と言えるでしょう。

シューティングとしてのクオリティは往年のケイブシューを彷彿とさせるもので、爆発音が弱い印象はありますが、スピーディーな展開、派手な演出、滑らかな動き、バラまかれる得点アイテムなどには、ケイブらしさを感じることが出来ます

ゴシックは魔法乙女
※左は破壊できない障害物でしきられたステージ。 こんなテクニカルなシーンも出て来ます。
ソシャゲだからと言って簡単すぎる訳ではありません。
右はおなじみ、虫姫さまのレコ。 他にも怒首領蜂やむちむちポークなど、他のケイブシューのキャラも登場します。
「またシューティングがんばります」という意思表示なのでしょうか?
余談ですがこのレコ、声に「やる気」があり過ぎて、やる気のない声が特徴だったレコらしくなかったり。


ケイブシューと言えば、複雑で解りにくい反面、奥の深い得点システムも特徴です。
このゲームはソシャゲなので、その辺は簡略化されているかと思いましたが、意外にもケイブらしい特徴的なシステムになっています。

敵を倒していると、キャラクターの回りに「マジカルリング」と呼ばれる円が現れます。
この円の中に敵を入れると、その敵が「マーキング」されます。
このマーキングされた敵を倒すと得点が2倍になり、さらにマテリアルと呼ばれる強化アイテムが出現します。

マジカルリングはそんなに大きくないので、敵をマーキングするにはかなり接近しなければなりません。
つまりスコアを稼ぎたいなら敵に近付かなければならないシステムですね。

私はこの「距離が近いほどスコアが上がる」というシステムは、近付ける場面を覚えなければならず、ゲームが「覚えゲー」化するので好きではありません。
ただ今作はシューティングとしての難易度自体は抑えられていて、ザコの多くは弾を撃たないため、割とこのシステムでも遊びやすいです
敵の配置もこのシステムを考慮したものになっている印象です。

そして重要なのが、やっぱり「コンボ」。
敵を途切れずに倒し続けるとコンボ数がアップし、それによって「ラブマックス」と呼ばれる強化攻撃が発動、さらに得点アイテムはコンボ数が多いほどスコアがアップします

マーキングした敵を倒すとコンボ数も2倍になるので、マーキングすることがコンボ数の拡大にも繋がります。
ただし前述したように被弾するとコンボ数がリセットされるので、「やられないこと」が前提。
なお、マジカルリングの大きさはコンボゲージ(コンボが途切れるまでの時間)に比例しています。

ゴシックは魔法乙女
※自機の攻撃は前方に発射されるため、前から近付くとマーキングする前に倒してしまいます。
正確には「近くで倒す」のではなく「マーキングしてから倒す」必要があるので、横から近付いてマーキングするのが基本。
右はハイスコア更新時の画面。 同じステージを再プレイすると左上にベストスコアが表示され、クリア後にハイスコアが更新されていれば何点アップしたかが表示されます。
この「スコアアタックして下さい」という演出はケイブらしいですね。


キャラクターには 火・風・水・光・闇 の5つの属性があり、それぞれに強弱があります。
そしてボスは各属性の大きな弾を撃ってきて、相反する属性の弾は破壊できます
弾を破壊するとボスに強力な攻撃が飛んでいき、さらにボスに対して有利な属性だと破壊した弾が爆発、周囲の弾を誘爆させます

有利な属性だとスコアも割増しされるので、ステージ開始時の属性表示を見て、有利なキャラで挑むのが基本でしょう。
この辺はソーシャルゲームらしい部分です。

キャラクターの経験値は戦闘では増えず、合成によってのみ上げられます。
ただ、合成素材はキャラクターとアイテムの2種類があり、このゲームのレベル上げは「アイテム合成」がメインです。
キャラクターのドロップ率は低く、代わりに経験値アップ用のアイテムが頻繁に出る形です。

課金圧力は高くなく、無課金でも遊べる印象。
スコアやコンボ数を稼いでランク S でクリアすれば、課金通貨をどんどん得られるので、課金ガチャも何度も実行できます。

まあ、この辺は腕前によるので、シューティングが苦手だと辛いかもしれません・・・
でもステージごとに難易度を選べ、Easy だと難しくないので、得意という程でなくても大丈夫でしょう。
LINE シューティングとかよりは難しいですが・・・

ゴシックは魔法乙女
※左は有利属性で敵の弾を破壊し、誘爆を発生させたシーン。
大ダメージが入り、コンボも一気に増加します。 ボスを倒すと得点アイテムがバラまかれますが、その点数はコンボ数と同じなので、誘爆を狙うことがハイスコアにも繋がります。
右は上位の難易度で、ボスが放射状に通常弾をバラまいてきたシーン。 難易度は Easy、Normal、Hard、Death の4段階で、上位難度でしか見られない攻撃もあります。


ゴシックは魔法乙女
※解りにくい部分の補足。 アイテムの吸い込みやマジカルリングは、マーキングした敵を倒すと出て来るマテリアルを消費して強化していきます。
序盤、アイテムをあまり吸い込まないのはそのためです。
強化合成はベースとなるキャラを選択後、左下にある「アイテム合成」のボタンを押すと、アイテムを使っての強化ができます。
キャラ同士の合成はあまり行わないので、デフォをアイテム合成にしといて欲しかった。
同キャラ合成での「限界突破」は、強化合成を選択後に左上にある「限界突破」のボタンを押して行います。
普通に合成しても限界突破しないので要注意!


「魔法乙女」と言うぐらいですから、登場キャラクターは女の子ばっかりで、いわゆる「ギャルゲー」です
偏っている印象はありますが、舞台がデスロリータこと「デススマイルズ」と共通だし、シューターはほとんど男性なので、こうなるのは自然な流れでしょうか。

ドンパッチン」はソーシャルゲームを意識しすぎたのか、子供のオモチャみたいなキャラばっかりだったので、それと比べるとこちらの方がキャラの魅力はありますね。
なお、ストーリーシーンではデススマイルズの主人公達も登場します。

私的には「ソシャゲ+シューティング」なので、ゲームが進むと強いキャラがいないとボスを倒しきれなくなりそうなのを心配していました。
「ソシャゲ+シューティング」の多くは、敵の耐久力を高くしてソシャゲ的なバランスを取っていて、そのため敵をなかなか倒せなくなり、シューティングのキモである爽快感が激減、ゲームとしてつまらなくなる欠点を持っています。

しかしこのゲームは今のところ、それほどレアなキャラがいなくても普通に進める印象です。
と言うか、キャラクターに「攻撃力」という数値がありません。
キャラの「魔力」はスコア倍率にのみ関係しているようです。

ボスにはやはり制限時間がありますが、かなり長めに取られていて、「なかなか倒せない」はあるけど「キャラが弱くて時間切れ」はまだないです。
この辺はドンパッチンの時に非難されていたと思うので、その経験を元にバランス取りしていると思われます。

ソシャゲシューティングは出来るだけ広いユーザーを相手にしようとして、シューティング好きにとっては簡単すぎてつまらないとか、硬いだけで敵弾が飛んでこないとか、妙なバランスになっている事が多いのですが、今作はそういう事もありません。
難易度を上げると撃ち返し弾がバンバン飛んで来ますし、ボスも激しい攻撃を行って来ます。
ステージが進むとノーマルでも敵弾が飛んで来るし、ちゃんとシューターが楽しめる、それでいてサクサク進めるゲームになってますね。

それでもシューティングはニッチな市場、しかもユーザーの多くがテクニックで勝負したがる人達ですから、ソーシャルゲームに向いていないジャンルであることは否めません。
しかし「ソシャゲシューティング」としては、間違いなく一番の内容です。
シューティング好きなら、プレイしておくべきアプリでしょうね。

ゴシックは魔法乙女(iTunes が起動します)