凄惨な事件の末に廃墟となった精神病院をさまよう、狂気が恐怖となって忍び寄るホラーアドベンチャーゲームが公開されています。
「Lost Within」です。
Amazon のゲームパブリッシュ部門「Amazon Game Studios」から公開されたゲームで、Amazon は近年、アメリカの著名なゲーム開発者を次々と招き入れ、ゲームストリーミングサービスの Twitch 社を買収、ゲームエンジン CryEngine を提供する Crytek 社と大規模な契約を行うなど、豊富な資金力をバックに本気でゲーム事業に乗り出そうとしています。
今作は海外で有名なホラー FPS「Prey」の開発元 Human Head Studios が製作しており、本格的なホラーアドベンチャーゲームになっています。
内容を一言で表現すると「ホラーのメタルギアソリッド」ですね。
Amazon Game Studios は Amazon の端末「Kindle Fire」や「Fire Phone」専用のゲームを開発すると見られていましたが、それにこだわらない方針になったのか、今作は iOS / Android 同時公開となっています。
ただし Android 版は Google Play では公開されておらず、Amazon Android アプリストア のみでの販売となっています。
価格は 840 円(Amazon Android 版は 600 円)です。
廃病院を探索するホラー 3D アドベンチャーという内容は、奇しくも同時期に公開された「Forgotten Memories」と丸かぶりな訳ですが、やってみるとゲームの印象は結構違います。
言うなれば Forgotten Memories はお化け屋敷、Lost Within は廃墟ツアーでしょうか。
操作が独特で、タップでその場所に移動する形式。
仮想スティックやボタンは存在しません。
最初はスティック操作でないことの違和感が強かったのですが、慣れてくると指一本で全ての操作ができるので、これはこれでラクですね。
おそらく Kindle Fire、つまりタブレットでの操作をメインに考えているのだと思われます。
オプションでスティック操作にする事も出来るのですが、地形に引っかかる事が多く、こちらの操作性はあまり良いとは言えません。
マップは細切れになっていて、通路と数部屋で構成される狭いマップを抜けると、また次のマップが現れる形。
前のマップに戻ることは出来ない「一方通行型」です。
マップ内の特定の地点や、マップ切り替え場所にはチェックポイントがあり、オートセーブが行われ、もしゲームオーバーになってもそこから再開可能です。
各所に袋や鞄、引き出しなどがあり、調べることでアイテムやファイルが見つかります。
調べられるものは近付くと白く光るので、簡単に判別することが出来ます。
アイテムの中には床に「目印」を付けるものがあり、使用すると出口への順路が表示されます。
迷子になってもこれで向かうべき方向が解るようになっていて、ゲームオーバー後のリトライ時にも足跡で方向が示されます。
全体的にホラーでありながら親切設計で、この辺も不自由さを恐怖に繋げていた Forgotten Memories とは正反対ですね。
※開けられるバッグはある程度近付くと白くなるので、見てすぐ解ります。
鍵や紙のように直接置かれているものは、その周囲に波紋のようなものが出ていて、遠目からでも所在を確認できます。
アイテムを探すために画面中をタップしまくる必要はありません。
※マーカーを使うと出口への矢印が。
それでなくてもマップが一方通行だし、多少広くてもこのマーカーで方向が解るので、迷子になることはありません。
ゲームが進むと院内を徘徊する敵が現れますが、こちらは基本的に攻撃手段を持ちません。
ただ、敵はそれぞれ視界や聴覚を持っていて、視界に入らないようにそっと進めば、見つからずに背後を通過することも可能です。
また各所にロッカーがあり、見つかって追われてもこの中に入って扉を閉めれば、やり過ごすことが出来ます。
冒頭で述べたようにメタルギアソリッドっぽい展開で、ロッカーや机の下に隠れながら、相手の巡回ルートを確認し、こっそり抜けて行く形ですね。
ラジオを鳴らし、そこに敵をおびき寄せてから奧の部屋に入るといった、いかにもスニーキング(潜入)ミッションなシーンもあります。
ある程度進むとスタンガンなども手に入りますが、敵を痺れさせられる時間は短く、あくまで一時凌ぎに過ぎません。
アイテムの他に、各所でバックストーリーが書かれているファイルも見つかります。
文章は全て日本語化されていて、翻訳におかしい点はありません。
たまに過去の光景がフラッシュバックすることもあり、かつて病院で行われた凄惨な実験の模様が描かれます。
ボイスにも日本語の字幕が付いていて、物語を楽しむことが出来ますね。
※ロッカーに隠れていれば敵には見つからない。 目の前で隠れても、なぜかロッカーに入ると敵は追撃をあきらめます。
机の下に入ることも出来ますが、見つかっている状態の時は机から無理やり引っ張り出されるので注意。
※たまに脳裏によぎる廃墟になる前の院内の光景。 物語を重視したホラーです。
サウンドが効果的に使われていて、急に聞こえる叫び声など、恐怖感を煽る演出も各所で発生します。
ただ、探索しているのが昼間で、電灯も点いているため「暗闇の恐怖」のようなものはありません。
豊富なストーリーシーンと絡めて怖がらせる感じです。
グラフィックはスマホ / タブレットのゲームとしては、かなり高クオリティー。
ただ Forgotten Memories のような突き抜けたレベルの美しさではありません。
作り方も Forgotten Memories のような「最新技術とグラフィック効果をバリバリ駆使している」といった感じではなく、少ないポリゴン(3D モデル)でもテクスチャ(表面の絵)を巧く使って、綺麗に見せているといった感じ。
Kindle Fire は iPad と比べるとそんなにグラフィック性能が高い訳ではないので、その Kindle でも綺麗に見せるために色々と工夫しているのをやっていて感じます。
おかげで動作は軽く、バッテリーの消耗はこの見た目の 3D グラフィックのゲームとしては驚くほど少なめで、本体も熱くなりません。
ボリュームは十分にあり、この点は Forgotten Memories に勝ります。
序章+全3幕の物語で、序章は早く終わりますが、第1幕以降はしっかりした長さがあります。
※アイテム画面。 アイテムの多くはパーツで見つかり、それを組み合わせて道具にします。
時計のアイテムは投げた先でジリジリと鳴り、そこに敵をおびき寄せます。 いかにもメタルギア。
※「探知」のアイテムを使うと、壁の向こうの敵の姿を確認できます。
どちらを向いているかも解るので頼りになるアイテムですが、数秒しか持ちません。
ただアイテムは結構見つかり、持てなくなることも多いので、必要だと思ったらケチらずに使った方が良いでしょう。
Forgotten Memories のホラーとしての完成度が飛び抜けているため、どうしても見劣りするのは否めないのですが、十分に高クオリティーなゲームです。
ほぼ同時に公開されたのは不運としか言いようがないですが、ソックリって感じではないし、こちらの方が遊びやすさはありますね。
ホラーが好きな方には、こちらもオススメ出来ます。
Amazon Game Studios はアメリカの会社で、協業企業の多くもアメリカのメーカーなので、FPS 系に偏りすぎている印象があります。
しかしソーシャルゲーム偏重ではない、本格派のタイトルが多く、日本語化してくれるメーカーでもあるようなので、今後注目と言えそうです。
・Lost Within(iTunes が起動します)
・Til Morning's Light + Lost Within ダブルパック(単体購入と値段が変わらないのでこちらの方がお得)
「Lost Within」です。
Amazon のゲームパブリッシュ部門「Amazon Game Studios」から公開されたゲームで、Amazon は近年、アメリカの著名なゲーム開発者を次々と招き入れ、ゲームストリーミングサービスの Twitch 社を買収、ゲームエンジン CryEngine を提供する Crytek 社と大規模な契約を行うなど、豊富な資金力をバックに本気でゲーム事業に乗り出そうとしています。
今作は海外で有名なホラー FPS「Prey」の開発元 Human Head Studios が製作しており、本格的なホラーアドベンチャーゲームになっています。
内容を一言で表現すると「ホラーのメタルギアソリッド」ですね。
Amazon Game Studios は Amazon の端末「Kindle Fire」や「Fire Phone」専用のゲームを開発すると見られていましたが、それにこだわらない方針になったのか、今作は iOS / Android 同時公開となっています。
ただし Android 版は Google Play では公開されておらず、Amazon Android アプリストア のみでの販売となっています。
価格は 840 円(Amazon Android 版は 600 円)です。
廃病院を探索するホラー 3D アドベンチャーという内容は、奇しくも同時期に公開された「Forgotten Memories」と丸かぶりな訳ですが、やってみるとゲームの印象は結構違います。
言うなれば Forgotten Memories はお化け屋敷、Lost Within は廃墟ツアーでしょうか。
操作が独特で、タップでその場所に移動する形式。
仮想スティックやボタンは存在しません。
最初はスティック操作でないことの違和感が強かったのですが、慣れてくると指一本で全ての操作ができるので、これはこれでラクですね。
おそらく Kindle Fire、つまりタブレットでの操作をメインに考えているのだと思われます。
オプションでスティック操作にする事も出来るのですが、地形に引っかかる事が多く、こちらの操作性はあまり良いとは言えません。
マップは細切れになっていて、通路と数部屋で構成される狭いマップを抜けると、また次のマップが現れる形。
前のマップに戻ることは出来ない「一方通行型」です。
マップ内の特定の地点や、マップ切り替え場所にはチェックポイントがあり、オートセーブが行われ、もしゲームオーバーになってもそこから再開可能です。
各所に袋や鞄、引き出しなどがあり、調べることでアイテムやファイルが見つかります。
調べられるものは近付くと白く光るので、簡単に判別することが出来ます。
アイテムの中には床に「目印」を付けるものがあり、使用すると出口への順路が表示されます。
迷子になってもこれで向かうべき方向が解るようになっていて、ゲームオーバー後のリトライ時にも足跡で方向が示されます。
全体的にホラーでありながら親切設計で、この辺も不自由さを恐怖に繋げていた Forgotten Memories とは正反対ですね。
※開けられるバッグはある程度近付くと白くなるので、見てすぐ解ります。
鍵や紙のように直接置かれているものは、その周囲に波紋のようなものが出ていて、遠目からでも所在を確認できます。
アイテムを探すために画面中をタップしまくる必要はありません。
※マーカーを使うと出口への矢印が。
それでなくてもマップが一方通行だし、多少広くてもこのマーカーで方向が解るので、迷子になることはありません。
ゲームが進むと院内を徘徊する敵が現れますが、こちらは基本的に攻撃手段を持ちません。
ただ、敵はそれぞれ視界や聴覚を持っていて、視界に入らないようにそっと進めば、見つからずに背後を通過することも可能です。
また各所にロッカーがあり、見つかって追われてもこの中に入って扉を閉めれば、やり過ごすことが出来ます。
冒頭で述べたようにメタルギアソリッドっぽい展開で、ロッカーや机の下に隠れながら、相手の巡回ルートを確認し、こっそり抜けて行く形ですね。
ラジオを鳴らし、そこに敵をおびき寄せてから奧の部屋に入るといった、いかにもスニーキング(潜入)ミッションなシーンもあります。
ある程度進むとスタンガンなども手に入りますが、敵を痺れさせられる時間は短く、あくまで一時凌ぎに過ぎません。
アイテムの他に、各所でバックストーリーが書かれているファイルも見つかります。
文章は全て日本語化されていて、翻訳におかしい点はありません。
たまに過去の光景がフラッシュバックすることもあり、かつて病院で行われた凄惨な実験の模様が描かれます。
ボイスにも日本語の字幕が付いていて、物語を楽しむことが出来ますね。
※ロッカーに隠れていれば敵には見つからない。 目の前で隠れても、なぜかロッカーに入ると敵は追撃をあきらめます。
机の下に入ることも出来ますが、見つかっている状態の時は机から無理やり引っ張り出されるので注意。
※たまに脳裏によぎる廃墟になる前の院内の光景。 物語を重視したホラーです。
サウンドが効果的に使われていて、急に聞こえる叫び声など、恐怖感を煽る演出も各所で発生します。
ただ、探索しているのが昼間で、電灯も点いているため「暗闇の恐怖」のようなものはありません。
豊富なストーリーシーンと絡めて怖がらせる感じです。
グラフィックはスマホ / タブレットのゲームとしては、かなり高クオリティー。
ただ Forgotten Memories のような突き抜けたレベルの美しさではありません。
作り方も Forgotten Memories のような「最新技術とグラフィック効果をバリバリ駆使している」といった感じではなく、少ないポリゴン(3D モデル)でもテクスチャ(表面の絵)を巧く使って、綺麗に見せているといった感じ。
Kindle Fire は iPad と比べるとそんなにグラフィック性能が高い訳ではないので、その Kindle でも綺麗に見せるために色々と工夫しているのをやっていて感じます。
おかげで動作は軽く、バッテリーの消耗はこの見た目の 3D グラフィックのゲームとしては驚くほど少なめで、本体も熱くなりません。
ボリュームは十分にあり、この点は Forgotten Memories に勝ります。
序章+全3幕の物語で、序章は早く終わりますが、第1幕以降はしっかりした長さがあります。
※アイテム画面。 アイテムの多くはパーツで見つかり、それを組み合わせて道具にします。
時計のアイテムは投げた先でジリジリと鳴り、そこに敵をおびき寄せます。 いかにもメタルギア。
※「探知」のアイテムを使うと、壁の向こうの敵の姿を確認できます。
どちらを向いているかも解るので頼りになるアイテムですが、数秒しか持ちません。
ただアイテムは結構見つかり、持てなくなることも多いので、必要だと思ったらケチらずに使った方が良いでしょう。
Forgotten Memories のホラーとしての完成度が飛び抜けているため、どうしても見劣りするのは否めないのですが、十分に高クオリティーなゲームです。
ほぼ同時に公開されたのは不運としか言いようがないですが、ソックリって感じではないし、こちらの方が遊びやすさはありますね。
ホラーが好きな方には、こちらもオススメ出来ます。
Amazon Game Studios はアメリカの会社で、協業企業の多くもアメリカのメーカーなので、FPS 系に偏りすぎている印象があります。
しかしソーシャルゲーム偏重ではない、本格派のタイトルが多く、日本語化してくれるメーカーでもあるようなので、今後注目と言えそうです。
・Lost Within(iTunes が起動します)
・Til Morning's Light + Lost Within ダブルパック(単体購入と値段が変わらないのでこちらの方がお得)
こうして見るとシチュエーションが病院って結構ありますなぁ