ファンタジー世界の引きこもりニートが、魔法のネット通信を使って冒険者を雇い、ダンジョンでお金を稼いで大家さんに家賃を払う、ライトノベル風の運営シミュレーション RPG が公開されています。
俺に働けって言われても 乙携」です。 乙携は「おっけい」と読む模様。

2013 年に発売された PSP のソフト「俺に働けって言われても乙」のスマホ移植版で、グラフィックは PSP Vita のものが使用されているようです。

こう言うと「専用ゲーム機レベルのクオリティとグラフィックがあるのか」と思われそうですが・・・
内容は PC のフリーソフトや、ガラケー移植作に近いレベルです。
ワザとそれに似せた雰囲気にしているのかもしれませんが、最近のスマホレベルのクオリティは期待しない方が良いでしょう。
不思議の国の冒険酒場」以下、「レミュオールの錬金術師」以上ってところでしょうか。

ただ、ゲーム性もこれらの人気作に近い、なかなか奥深くて歯応えのある運営 SLG になっています。
ハマると何時までもやってしまうタイプのゲームですね。

ただし、本当はこのゲームをレビューするのは、(5/4 時点で)まだ時期尚早です。
なぜなら落ちまくってゲームにならないから!
ロード時間も長くて、多くて、とにかくアプリの完成度が低い。

アップデートで修正されないと話になりませんが、専用ゲーム機からの移植作ということで相応に注目されているので、警告の意味も兼ねて先にレビューしておきたいと思います。
価格は 600 円。 買い切りゲームであり、課金や広告は一切ありません。

※6月のアップデートで修正され、まともに遊べるようになりました。

俺に働けって言われても 乙携 おっけい

俺に働けって言われても 乙携 おっけい

ゲームシステムを簡単に言うと「放置しない放置系 RPG」です。

引きこもりであるプレイヤーは(魔法の)ネットワーク経由で冒険者を雇い、パーティーを編成させて、任意のダンジョンに出発させます。

ダンジョンでの戦闘はオートで、後は見てるだけ。
冒険中には簡易的なダンジョンマップが表示され、戦闘があればその模様が「情報ログ」に表示されます。
一定時間が経過するか、目標を達成して帰還するか、全滅したら冒険終了。
結果報告が行われて翌日になり、以後この繰り返し。

ただ、スマホの一般的な放置系 RPG とは違い、冒険が終わるまで待つ必要はありません。
冒険速度は任意に変更でき、最大の 20 倍速にすれば1分ほどで終わります。
待ち時間なくサクサク進められるのが良いですね。

冒険が終わると「倒した敵のマナ」「属性のマナ」「戦利品」が手に入ります。
マナは売ることでお金になり、これで日銭を稼いでいきます。
相場もありますが、マナはナマモノ(?)みたいなもので、日数の経過でなくなっていくので早く売らなければなりません。

プレイヤーの当面の目的は、家賃を払うこと。
可愛い顔をして鬼のような家賃を吹っかけてくる恐怖の優しい大家さんがいて、冒険者が命がけで稼いできたお金を貢いでいきます。
しかし当面は家賃を払い切ることは無理で、人件費も必要になるため、むしろ借金はどんどんかさんでいきます

当分は大家さんも見逃してくれるのですが、半年ほど借金生活のままだと主人公の引きこもり生活は終了、文字通り「働いたら負け」になります。
ゲームバランスは結構シビアで、初回プレイは破綻するように作っている気もしますね。

俺に働けって言われても 乙携 おっけい
※冒険スケジュール画面。 各パーティーをダンジョンに割り振っていきます。
「指定の敵を狙う」「アイテム収集優先」など、細かく指示を出すことも可能。
最大5人パーティーですが、強くなったら少人数に分散させて、各地のダンジョンを同時に攻略した方が収入は良くなります。


俺に働けって言われても 乙携 おっけい
※冒険中に「冒険者確認」を行うと HP と戦いの模様をチェック出来ます。
移動パターンはリーダーの性格によって変わり、未探索地域を埋めたいならマジメや物静か、安全に行くなら冷静や慎重、ガンガンいこうぜなら積極的で活発な人が良いです。


RPG なので、冒険者は経験値が貯まるとレベルアップし、強くなっていきます。
ただ、成長や装備に関するルールは解りやすいとは言えません。

装備は資金と素材を使って製作した後に、冒険者に「購入するように勧めなければ」変わりません。
冒険者は自分の所持金を持っていて、これを使って装備を買うので、所持金がない人は装備を変えられません。
冒険者の所持金は給料で増え、スキルの習得などにも使われます。

さらに装備を用意するには武器屋や防具屋も必要で、これらの建物を建設しなければなりません。
主人公は寂れた村の開発も任されていて、冒険者が集めてきた材料とお金を使って、施設を増やしていく必要があります。

お店が出来たら武具を作れるようになりますが、材料の扱いも解り辛い。
冒険者が持ち帰ったマナは「売ることで」武器屋や防具屋の材料になります
しかし建物にもマナが必要になる事があり、これは「売らずに持っている」マナを使います

このゲームは最初の家賃の支払い以降、資金はずっと赤字。
その解消のためにマナを換金していく必要があるため、マナは「売ってお金にしても、武具の材料になる」という扱いにしているようです。
資金は赤字でも購入や生産は可能です。(そのぶん赤字は増えますが)

ただ、全体的にルールを無理に煩雑にしている印象があります
生物の生態系の変化や、それに伴うマナの価格の変動なども盛り込まれているのですが、これも不必要に複雑で解りにくく、作り手のやりたかった事がうまく反映されているとは思えません。

俺に働けって言われても 乙携 おっけい
※メニュー画面。 冒険は「スケジュール」から行います。
アイテム売却には「一括売却」と「個別売却」がありますが、建設に必要なマナがある時以外は、一括でマナとマナストーンは全部売ってしまって良いと思います。 相場とかいちいち気にしてられない。
素材アイテムは当面は売らないようにしましょう。

俺に働けって言われても 乙携 おっけい
※村の開発画面。 おまかせにすることも出来ますが、基本は武器屋と防具屋を作ったら、まず木こり屋を作って建設資材の「硬い木」を調達できるようにしましょう。
そして石切屋を作って石材を確保し、魔法塔を増築しつつ、発掘屋を作って鉱石の調達を行います。
武器屋・防具屋・道具屋は鍛冶屋の隣に作るとシナジー効果で装備性能が上がるので、それを見越した位置に配置すること。
また発掘屋は必ず石切場とダンジョン屋の隣に作りましょう。 強化アイテム入手や隠し通路の発見などを行えます。


グラフィックは前述したようにかなり簡素
冒険者の絵は漫画やアニメで活躍している絵師さんが書かれていて、可愛らしいイラストになっているのですが、それ以外のインターフェイスはすごく地味。

ダンジョン画面も昔の個人作成ソフトのような見た目で、モンスターの絵も図鑑には書かれていますが、冒険中には一切出て来ず、ただ文字だけ
全体の作りは冒頭でも述べたように PC のフリーソフトに近いです。
PSP 版は声優さんのボイスが入っていたようですが、スマホ版はそれもカットされています。

しかし今の時点では、そんなのはどうでもいい。

いま大問題なのはアプリが不安定なこと。 とにかくよく落ちる!
そしてロードが多い、しかも長い! 何だよコレ、中に CD か MD が入ってるのか?
そしてオートセーブのタイミングが少なく、だから落ちたら戻される。 そしてまたロードで待たされる!
(2015/5/4、iPhone 6 Plus、iOS 8.3 で使用)

装備、雇用、冒険、あらゆる状況でボタンを押した時に落ちる可能性があり、コマンドを出すのにいちいち恐れないといけない
しかも画面の切り替えの度にロード画面になる。 プレステ時代かよ。

さらに冒険後の翌日に収集したアイテムを売り、パーティーや装備などを確認して、再び冒険に出す時に落ちたら、オートセーブはその日の最初しか行われないので、また売却前からやり直し。
常に落ちる可能性があるため、装備変更や建設の前には小まめな手動セーブをしておく必要がありますが、そもそもスマホゲームで小まめな手動セーブってなんだよ

とにかくまともに出来ていない。
ニートが主人公のゲームですが、せめてアプリは働かせて欲しい。
あぁ、そうか、全然働こうとせず、やっと働いたと思ったら急にボイコットするダメ息子にイライラする、オカンや大家さんの立場を体験するゲームだったのか・・・

※6月にアップデートが行われ、(少なくとも iPhone 6 Plus では)落ちなくなりました。
また、細かいバグも修正されています。


俺に働けって言われても 乙携 おっけい
※キャラクターはラノベイラストっぽい感じ。 でもこの絵をゲーム中に見ることはほとんどない。
ほぼテキストのみで進行します。 ステータス画面でもほとんど隠れてる。 大家さんだけ出番が多いですが。 


俺に働けって言われても 乙携 おっけい
※各地域に生息しているモンスターには「3すくみ」というものがあり、それぞれが天敵と捕食の関係になっています。
特定のモンスターを討伐し続ける事でこの生態系が壊れていき、数が少なくなったモンスターのマナの価値が上がるのですが、イマイチ解り辛し、インターフェイスが悪くて相場も確認し辛い。
ユーザーを混乱させているだけの気が・・・


という訳で、今の時点ではポンコツ過ぎてオススメ出来ません
ぜんぜん乙携(おっけい)じゃねぇ。

私的には、放置系のゲームを「放置ではない形」「待たなくても遊べる形」で作り、それを課金ゲーではなく「買い切りゲーム」として公開してくれたこのアプリは、応援したいのが本音です。
しかしこの状態では、そこいらのソシャゲの方がマシ・・・
まあスマホの開発経験がないメーカーだと、こうなってしまうのは良くある話ですが。

ただゲーム自体は結構ハマれます。 バランスがシビアで、色々やり繰りしないといけないゲームになっているおかげで、やり込もうという気にさせてくれますね。
待ち時間がないからキャラもグングン成長していくし、繰り返される突発クラッシュに耐えながらも長時間やり続けてしまう、そんなゲームです。

が、人にはまったく勧められません。 
やってみたい方も、とりあえずアップデートされて、最低でもクラッシュが治ったという報告が見られてからにしましょう。

※今はアップデートで頻繁なクラッシュはなくなっています。

俺に働けって言われても 乙携(iTunes が起動します)