1987 年にパソコン版で発売され、数多くのゲーム機に移植された、日本のアクション RPG の名作「イース」(Ys)。 それがスマホにも登場しました。
イースIクロニクルズ」です。

JRPG の古典の1つにして、日本でもっとも知られている PC ゲームの1つです。
現在もシリーズが続いている、息の長い作品ですね。

スマホ版は 2009 年に PSP で発売された「イース I & II クロニクルズ」の「イース I」の部分を移植したもののようで、つまりリメイクになります。
グラフィックは新たに描き直されていて、BGM もファルコムサウンドらしい、バリバリにロックなものにブラッシュアップされています。

ただ、移植担当は本家のファルコムではなく、フランスのレトロゲーム専門メーカー「DotEmu」。
そして今回も DotEmu らしく、どこかが抜けています・・・

特に致命的だったのが、ゲーム後半、踏み込むと必ずアプリがクラッシュしてしまう場所があったこと。
しかもその直前にオートセーブされてしまうため、手動のセーブのデータがないとゲーム続行不可能になっていました。
おまけにそれは普通にゲームを進めていると、必ず遭遇します。
あまりにも酷すぎるので、今までこのアプリを紹介するのは避けていました。

しかし先日ようやくアップデートが行われ、このバグが解消
最後までプレイ出来ることが確認できたので、遅ればせながら取り上げたいと思います。
価格は 600 円で、買い切りアプリなので課金や広告は一切ありません。

イース I クロニクルズ

イース I クロニクルズ

体当たりで敵を倒していく、見下ろし型のアクション RPG です。
画面左側をスライドして移動、初期設定では通常の移動はダッシュになっていて、画面右側を押しっぱなしにすると歩きになりますが、ボタン操作はほとんど必要ありません
最初は移動し辛く感じることもありますが、操作性は悪くありませんね。

戦闘は敵にぶつかるだけですが、正面から当たるとこちらもダメージを受けます。
しかし横や後ろからぶつかればノーダメージで倒すことが可能で、敵の側面を狙ってナナメから体当たりするのが基本の攻略となります。

イースの戦闘と言えば「半キャラずらし」が有名で、位置を体半分だけズラした状態で体当たりするとダメージを受けずに倒せるというものですが、今作は移動がスムーズになっている分、どのぐらいズレてれば「半キャラ」なのかが解り辛く、ナナメ体当たりの方をメインにした方が戦いやすいです。

敵を倒していると経験値とお金が増えていき、そのうちレベルアップします。
お金はお店で装備を買うのに必要です。

ただ、このゲームは2部構成で、そんな風に RPG しているのは前半のみ
後半の「ダームの塔」に入るには一通りの武器と防具、最大レベルが必要で、塔に入った後はレベルアップも買い物もありません。

イース I クロニクルズ
※このぐらいの位置なら「半キャラずらし」になります。
有利な位置にいれば、完全にノーダメージで敵を倒せるのがイースの特徴。


イース I クロニクルズ
※町があるのは物語前半まで。 そして前半でレベルは最高の 10 に到達します。
よって後半は出来るだけ戦闘を回避して進むことになります。


イースは「RPG はやさしさの時代へ」をキャッチコピーとして作られていました。
当時のパソコンの RPG は難解で不条理なものが多かったのですが、それに対するアンチテーゼのような存在で、無理のないゲームバランスと丁寧な案内を備えていました。

RPG が海外発祥だったため、当時の RPG は「洋ゲー」かそれに近いものでしたが、それに反する JRPG を形作ったものの1つと言えます。

ただしノーヒントでフィールドを駆け回らないと見つからないようなアイテムもあり、「簡単なゲーム」という訳でもありません。
昨今の RPG と比べたら、むしろ解り辛い謎が多いです。
そしてボスもかなり手強いです。

ゲーム開始時に難易度を EASY・NORMAL・HARD・NIGHTMARE から選べるのですが、最近の RPG しか知らない方だと EASY でも難しいかもしれませんね。
ただ謎解きについては、もう昔のゲームですから、行き詰まってもネットで検索すれば解法が見つかるでしょう。

イース I クロニクルズ
※装備を一式そろえてくるように言う占い師。 つまりここでお金を稼ぎ、レベルを上げ、キャラを鍛えて来いということ。
昔の PC の RPG は、こんな風に親切にガイドしてくれるものではありませんでした。


イース I クロニクルズ
※オープニングにはアニメがあります。 リメイク版だけあって、色々と演出が追加されています。

難点は解像度。 PSP 版がベースのようですが、PSP の解像度は 480x272 ですから、今のスマホと比べるとだいぶ粗いです。
それをそのまま表示していて、文字もスマホ用のものではないので、ドットが目立ちます。

iPhone だと画面が小さいのでまだマシですが、iPad だと正直、汚く見えますね。
スマホでも文字は雑に見えます・・・

※アップデートでグラフィックが調整されたようです。
機種によって拡大率が異なっていたようで、iPhone 6 や iPad だと特に粗く見えていたようですが、今はかなり改善されています。 文字はまだ粗めですが・・・


最大の問題は例の「アプリクラッシュによる進行不能バグ」でしたが、これはアップデートで解消されたので、今は大丈夫です。
まあ、あんな致命的なバグ、残しとくなよと言いたくなりますが。

一方、素晴らしくなっているのはサウンドですね
当時のファルコムのサウンドは、今より音源は劣りますが、曲自体はゲーム史上最高クラスだったのではないかと思います。
それが高音質化しているので、サウンドだけ不自然なほどハイクオリティに感じます。
昔の音源のままの「オリジナル」や「PC-88」を選ぶことも可能です。

ゲーム開始時に「クロニクルズモード」と「オリジナルモード」を選べますが、これはキャラクターのイラストの選択です。
PSP 版で新たに描き直されたものがクロニクルズ、従来のイラストを高精細化したものがオリジナルですが、元々そんなに古い絵柄だった訳ではないので、好みの問題でしょうか。

イース I クロニクルズ
※これが問題のアプリクラッシュのシーン。 体力が減少するトラップがあり、それが効いている間は画面に紫のモヤのようなものがかかるのですが、それがクラッシュを引き起こしていた模様。
回避するにはトラップの場所に行かないようにして、トラップ解除の情報を得ずに、トラップを消さなければならなかったのですが、そんなの事前に知ってないとムリ。
まあ、今はアップデートで解消されたので、問題はありません。
ちなみにトラップの解除は「ルタ=ジェンマ」がいる部屋から廊下に出て、右に4つ目の柱をハンマーで破壊します。


イース I クロニクルズ
※左がクロニクルズモード、右がオリジナルモードのイラスト。 クロニクルズの方が幼い感じ。
イラストの違いだけで、ゲーム自体は変わらないようです。


基本的には昔やったことがある人向けだと思いますが、リメイク版ですし、スピーディーに動くアクション RPG なので、オリジナルを知らない人がやっても楽しめるでしょう
「古いゲーム」という感じはあまり受けません。
ただ、ボリュームは(ストレートで進むと)そんなにある訳ではないので悪しからず。

あくまで個人的な意見ですが、私的にはイースは言われているほど名作だった印象はありません。
ハイドライドを先にやっていると目新しさはなく、プレイしやすさを重視したコンセプトは素晴らしいものでしたが、ドラクエ1や2より後発なので、ファミコンのゲームにはもっと遊びやすいものがありました。

当時のパソコンは家庭用ゲーム機よりハード的に優れていたので、イースがクオリティの高い作品であったのは間違いないのですが、私的には「アンチファミコン派の PC ゲーマーが絶賛していたゲーム」というイメージがありますね。
ザナドゥやソーサリアンほどのインパクトはなかった気がします。
当時を知らない人がやると、内容が浅く感じるんじゃないかな・・・

しかし多くの方から「JRPG の金字塔」「不朽の名作」と言われている作品です。
それをスマホでプレイできるのは、やはり嬉しいですね。
出来ればこのまま イース II や III(ワンダラーズ フロム イース)に繋がって欲しいところです。

イースIクロニクルズ(iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略 】

ラスボスが(難易度 Normal だと)あまりに強すぎて挫折しかけたので・・・ 少し攻略を書いておこうと思います。
これだけ見ても何のことか解らないと思いますが、一度戦えば解ると思います。

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【 余談 】

発売からもうすぐ1ヵ月。 そろそろ追加してあげて欲しい・・・

イース I クロニクルズ