いやぁ、これは・・・ 凄いアプリが出ましたね。
家庭用ゲーム機のファイナルファンタジーシリーズを開発しているチームが手がけたという、スクエニの本気を感じるスマホ版 FF の新作が iOS / Android で公開されています。
MOBIUS FINAL FANTASY」(メビウス ファイナルファンタジー)です。

ソーシャルゲームですが、このグラフィックのクオリティーはハンパじゃない。
従来の FF シリーズが他のゲームより圧倒的に優れたグラフィックを駆使していたように、このゲームの映像美も他のソーシャルゲームを全く寄せ付けないレベルです
今頃、他のソシャゲメーカーは「こんなの出ちゃって、これからどうなるんだ」と思っているのではないでしょうか?

やはりソーシャルゲームですから、スタミナ制や課金ガチャ、終わりが見えないこと、そもそも終わり(エンディング)があるのか、そこまでいくらかかるのか、といった不安やデメリットはあります。
しかし物語はしっかり作られていて、FF らしいムービー全開のストーリーシーンも健在。
初めて CHAOS RINGS を見た時と同じぐらいの衝撃がありますね。

MOBIUS FINAL FANTASY メビウス ファイナルファンタジー

ターン制のコマンドバトルですが、キャラクターがダイナミックなアクションでバリバリ動くので、一見リアルタイム制のようにも見えます。
このため慌ててコマンドを入力してしまう人もいそうですが、こちらの入力が終わるまで相手は攻撃してこないのでご安心を。

画面をタップするとターゲットされている敵に通常攻撃(たたかう)を行い、1ターンに3回行動できるため、つまり3連打が可能です。
連打すると主人公は格闘ゲームのようにコンボ攻撃を繰り出し、押すのを途中で止めると動きがスローモーションになりますが、再び押すとそこから次の動きに繋がります。
この辺の演出はうまいですね。

攻撃すると「エレメント」と呼ばれる色の付いたオーブが飛び出し、画面上部にストックされていきます。
このエレメントを消費して、セットしているカードの「アビリティ」を使うことが出来ます。

アビリティにはファイアやブリザド、バイオなど FF おなじみの魔法の他に、全体攻撃のフレイムバーストや風の戦陣など、オリジナルな技もあります。
ただ、ほとんどのアビリティは火・氷・風・土の属性の攻撃技で、火と氷、風と土は相対関係にあります。
火の敵には氷の攻撃技が、風の敵には土の攻撃技が有効ということですね。

逆に同属性の技を当てると、威力が半減してしまいます。
よって相手が火属性だと、火の技はイマイチということになりますが・・・ 火のエレメントには別の使い方があります。

画面右下のボタンをスライドして火属性を選択すると、ストックされている火のエレメントを全て消費して、火の耐性がアップする「エレメントドライブ」が発動します。
しかも火耐性アップ中は、火のエレメントの出現率が減少します。
これによりダメージを抑えながら、他の属性のエレメントを貯めることが出来ます

そしてアビリティ(攻撃技)を当てると、敵に付いているオレンジのゲージが赤くなり、この時に通常攻撃をするとゲージを大きく減らせるようになります。
このオレンジのゲージ(ブレイクゲージ)は、言わばピヨりゲージで、これが尽きると「ブレイク」が発生、相手がダウンします

ブレイク中の敵は防御力が大幅に下がるので、この時に弱点属性の攻撃技を叩き込めば大ダメージを与えられます。
ブレイクは1ターンしか持たないので、強力な攻撃を叩き込めるよう、事前にエレメントを貯めておくのも大事ですね。
他に、エレメントを吸収すると貯まっていく「必殺技ゲージ」が最大になれば、強力な必殺技を発動させることも出来ます。

正直、戦闘システムはソーシャルゲームとしては複雑です
実際、巷の意見を見ると、付いて来れなくなっている人も見受けられます。

しかし解ってしまえばそこまで難しい訳ではないし、面倒でもありません。
戦略性のある面白いバトルシステムだと思います。
なお、オートのボタンがあり、弱いザコはこれでサクサク片付けていくことも出来ます。

MOBIUS FINAL FANTASY メビウス ファイナルファンタジー
※ボタン連打で格好いいアクションがバシバシ決まります。 コンボ攻撃は単なる飾りではなく、2撃目・3撃目の方がエレメントの出現数が多いので、攻撃する時は余計な間をあけないように。
でもブレイクゲージを減らしたい時は、先にアビリティを放っておきましょう。
アビリティ攻撃ではブレイクゲージ自体は減らせないので注意。


MOBIUS FINAL FANTASY メビウス ファイナルファンタジー
※戦闘の流れをまとめると、まずは通常攻撃でエレメントを貯める → アビリティ攻撃で相手のブレイクゲージを赤くする → 通常攻撃でブレイクゲージを削る → ブレイクさせる → 弱点属性のアビリティで追い打ち、という形になります。
ブレイク時に相手が復帰するまでの時間は、ゲージの横にある指マークのところに表示されています。
相手の属性のエレメントが多い時は、エレメントドライブを使ってストック枠を空けつつ、耐性を強化しておきましょう。


戦闘が終わるとマップ画面に戻り、次の移動先が出現します。
マップの移動シーンも 3D で表現されており、美しい風景と、他プレイヤーと思われる通行人が表示され、挨拶をかわしたりします

そして戦闘開始時、及び終了後に、ストーリーシーンが現れます。
新しい移動先に進むたびに物語が進行し、ムービーシーンでは声優さんのボイスも流れます。
ムービーの数と質は、ソーシャルゲームとは思えないレベルですね。

舞台設定は FF1 をベースにしているようで、「光の戦士」「ガーランド」「セーラ姫」など、初代 FF ゆかりのキーワードが多数登場します。
「メビウス ファイナルファンタジー」という名前も、解る人ならピンと来るはず・・・

ただ、FF1 そのまんまのストーリーではなく、展開もキャラ設定も大幅に異なります。
シナリオは FF7 や FF10、キングダムハーツ(あと個人的に ヘラクレスの栄光 III)などで知られる野島一成さんが担当しており、冒頭から先の見たくなる物語が展開されますね。

※ 6/5 21:00 追記
ただし現時点では、本編は第一章までしかプレイできないようです。
第二章以降の導入が遅れると、ユーザー離れが起きるかもしれません・・・


MOBIUS FINAL FANTASY メビウス ファイナルファンタジー
※マップ上の移動シーン。 ちゃんと 3D で表現されている風景が現れ、他プレイヤーと思われるキャラが往来しています。 グラフィックと演出は本当に綺麗。
戦闘開始前にはどの属性の敵が多いか表示されるので、それに合わせた属性の助っ人を選びましょう。


MOBIUS FINAL FANTASY メビウス ファイナルファンタジー
※本作のガーランドとセーラ姫。 ガーランドは FF1 ではアレでしたが、今作ではどんな活躍を見せるのか?
DFF(ディシディア ファイナルファンタジー)も初代 FF をベースにしている部分がありましたが、ガーランドの鎧のデザインなどは DFF とは異なります。


戦闘中に使用できるアビリティーは、セットしているモンスターカードによって決まります。
カードは戦闘かガチャで入手でき、強力なものはやはり課金ガチャでなければ手に入りません。

ただ、ゲームの進行で「召喚チケット」というものを度々入手でき、これで課金ガチャを行えるので、無課金でも相応にレアカードは手に入ります
また、レアリティの高いカードをセットしても HP や基本攻撃力が直接上がる訳ではないので、強カードの有無で強さが劇的に変わる訳ではありません。
カードの違いは、あくまでアビリティの違いです。

カードは編成に加えておけば、戦闘によって経験値を入手でき、レベルアップします
合成でもレベルを上げられるのですが、思ったほど経験値は入りません。
しかし同属性のカードを合成すると、そのカードを編成に入れている時に入手できる「スキルシード」の数が増えます。

このゲームにはモンスターカードとは別に「ジョブカード」も存在し、これを入れ換えることで好きな職業で戦うことが出来ます
最初は「たまねぎ剣士」ですが、「みならい魔道士」や「かけだしレンジャー」にも自由に変更(ジョブチェンジ)できます。
「戦士」や「ナイト」はたまねぎ剣士の上位型となり、HP や攻撃力などのステータスはジョブレベルによって決まります

ジョブのレベルは、編成にセットしているモンスターカードのレベルの合計値になります。
よって同じカード編成にすれば、ジョブを変えてもレベルは変わりません。

さらに各ジョブには「スキルパネル」というものがあり、「攻撃力アップ」「最初からエレメント所持」「ピンチ時に自動バリア」などの様々な効果を獲得できます。
このスキルパネルの獲得に、前述の「スキルシード」は使われます
上位職のアンロックも、このスキルパネルの獲得で行います。

そのためカードの編成は強さだけでなく、シードの入手も考慮しなければなりません。
火属性のモンスターは火のシードを多く入手できるので、火のシードを大量に必要とする戦士系の育成を早く進めたいなら、火を中心にした編成で挑む必要があります。
場合によっては、本気用と育成用の編成を別々に用意することも必要でしょう。

MOBIUS FINAL FANTASY メビウス ファイナルファンタジー
※左は編成画面。「スキルパネル」と書かれているボタンの上に表示されているのが「デッキが生み出すスキルシード」。
右はスキルパネルの画面で、たまねぎ剣士の場合は全パネルが赤シード、みならい魔道士は全パネルが青シードです。
よって剣士優先なら赤、魔道士優先なら青の編成にして、シードを集めていくのが早く育てるコツです。
パズドラ等とは違い、合成にかかる費用はベースキャラのレベルとは無関係。
シード入手量アップ率が 100 %近くになる組み合わせで合成していきましょう。


「ソシャゲとしては複雑過ぎない?」と思った方もいると思いますが、おそらく「簡単に」「シンプルに」というソーシャルゲームの既成の概念に捕らわれず、「スマホのファイナルファンタジーを新たに作り出そう」という考えで開発されたのだと思います。
それでもソシャゲはソシャゲで、ガチャはガチャなのですが、しかしそこいらのソシャゲとは意気込みが違いますね。
 
FF1 の世界観を踏襲しているのも、「スマホで新しい FF をスタートさせよう」という考えから来ているのではないでしょうか?

巷の意見でやや気になるのは、旧機種ではグラフィックが劣化してしまうという意見。
最初のインストール時に「標準版」と「高画質版」を選べるのですが、旧機種だと高画質でもギザギザが目立つ、標準にしても重過ぎる、といった意見が割と見られます。

ただ、iPhone 5s と同じ CPU(A7)で、同レベルのグラフィック処理速度を持つ(初代)iPad Air で試した限りでは、高画質でも滑らかに表示されていました。
しかもこれだけのグラフィックですから、タブレットで見ると迫力がありますね。
iPhone 6 Plus では、言うまでもなく快適です。

また Game Center と連係させておくと、それを通して異なる iOS 機器でデータを共有できます
そのため iPhone でやった続きを、すぐに iPad でもプレイできました。

事前発表があった時は、いかにも「最近の FF」「イケメンゲーム」といった感じを受け、逆に全く興味を持てなかったのですが、やってみるとやっぱり凄かったです。
「ゲームは見た目だけでは」という意見もありますが、ここまでビジュアルで圧倒されると、素直に「凄い」と思えますし、やる気も出ますね。 ある意味、FF らしいです。

FF は良くも悪くも注目されるので、ドラクエの時と同じように賛否が吹き荒れると思いますが、ソーシャルゲームの新時代を切り開くことになりそうなゲームです。

MOBIUS FINAL FANTASY(iTunes が起動します)