現在、韓国は中東呼吸器症候群「MERS」(マーズ)の大流行で、マズいことになっています。
この感染の拡大は、患者の隔離対応が遅れた事と、治療法が確立できていない事が大きな要因と言われていますが・・・
そんな最中、ウィルスの拡散を防止し、治療薬の研究開発を行う、防疫ボードゲームが公開されました。
Infection: Humanity's Last Gasp」です。

2013 年に公開された同名のドイツゲームを iOS アプリ化したもので、いわゆる「ソリティア」(1人用ボードゲーム)です。
大きな表彰の受賞歴はないようですが、海外のドイツゲームの大手ファンサイトでは、2013 年のベストソリティアゲームに選ばれたようです。

外見が iOS 用に一新されていて、カードやダイスなどは出て来ないため、パッと見はドイツゲームには見えず、普通のシミュレーションゲームのようです
しかし展開がランダムに変わる、運の要素の強い、ソリティアらしい内容となっています。

600 円の買い切りゲームで、課金や広告はありません。
開発したのはイギリス、スコットランドのメーカーです。





ゲームが始まると六角形のマスの中に、アルファベットの書かれた枠が現れます。
これはウィルスを構成する「粒子」です。
粒子の中にはカラフルな細胞のようなものが入っていて、これは粒子の中にある「タンパク質」を表します。

画面下には4つの、これまたカラフルな丸いマーカーが配置されていて、これは「薬剤」になります。

画面の右下には緑色のボタンがあり、これをタップするとウィルス粒子の一覧が表示されます。
「A は 青・赤・緑、B は 青・青・赤」など、各粒子を構成するタンパク質が記載されていて、赤い薬剤を赤いタンパク質に持っていくと、それを無効化することが出来ます
全てのタンパク質が無効化されたウィルス粒子は治療法完成となり、その粒子がマスの中にある場合、タップして破壊することが出来ます。

ただし、薬剤は1ターンに2つしか投与できません
また、一番左の薬剤はタダで投与できますが、2番目は $1、3番目は $2、4番目は $4 の費用がかかります。
所持金は上部に表示されていて、お金がなくなると有料の薬剤は使えなくなります。

左下には青いビーカーのボタンがあり、医療スタッフ医療器具のリストが表示されます。
しかしこれらはまず、ショップでお金を払って購入しなければなりません。

購入後に使用すると、「薬剤の投与量が1つ増える」「5番目の薬剤が提示される」などの効果を得られますが、医療スタッフは使用できる回数に限りがあり、医療器具は何回でも使える代わりに成功率は 50 %です。
資金にはそんなに余裕がないので、どれを選んで使うかが重要になりますね。


※タンパク質を全て無効化した粒子は白く光り、タップで破壊すると資金が増えます。
ただし、他の多くの粒子と結合している場合、タンパク質を全て消しても破壊できません。
薬剤にはレアリティがあり、青や赤は出やすいのですが、黄色は出にくいです。
レアな薬剤は多少高くても、出た時に使っておいた方が良いかも。


右上には「OS」「$」「青い六角形」のマークがあります。
この中の青い六角形のマークをタップすると、ターン終了になります。

ターンを終えると、感染地域の画面になります。
画面上部には「隔離成功率」が表示されていて、ターンの経過により減少していきます。
成功率 100 %ならともかく、50 % とか 33 %だとウィルスが拡散するかどうかは運次第。
隔離に成功すれば何も起こりませんが、失敗すると他国に広まり、さらにそこから複数の国へと感染していきます。

そして隔離に失敗するごとに「感染メーター」が増えていき、最初はアウトブレイク(感染拡大)ですが、そのうちエピデミック(広範囲感染)、パンデミック(世界的感染)へと悪化。
それによりターンごとの収入も減少し、メーターが 10 に達すると感染の抑制に失敗、人類は危機に陥りゲームオーバーとなります。

感染画面の後は、突然変異画面になります。
ここで突然変異が起こってしまうと、新しいウィルス粒子が発生したり、既存の粒子の種類が変化してしまいます
さらに粒子が外枠まで達すると感染力がアップします。
運が良いと、すでに治療法が出来ている粒子に変化する事もあるのですが、逆に厄介な粒子が増えて対処困難になることもあります。

突然変異判定の後は、4つの薬剤を取り出す画面になります。
と言っても、どの薬剤が出て来るかは運次第ですが。

最後に、そのターンで発生しているイベントが表示されます
英語なので解りにくいのですが、隔離成功率が減ったり、薬剤を大量投与できたり、機材が壊れたりします。
そして再びメインの治療画面に戻って、以後はこの繰り返しです。


※時間と共に感染抑制は困難になっていきます。
よって序盤に隔離が連続で成功すれば楽勝できたりするのですが、後になるほど収拾が付かなくなっていきます。
初期対応の重要さが解りますね。



※イベント確認画面。 英語に加え、文字が小さいのが難点・・・
「OS」のボタンを押した時もこの画面になります。
上から2番目のボタンで、ショップで売られているアイテムを1つ入れ換えることが出来ます。


感染の拡大が起こるかどうか、機材を使って成功するかどうか、突然変異が起こるかどうかなどは、全て運次第です。
よって「運ゲー」なのは否めないのですが・・・ でもまあ、ソリティアはそういうものです

1人用のゲームですから、運(ダイス)によって展開が左右されないと、毎回同じゲームになってしまいますからね。
その中で最善を尽くして、目標達成に向かっていく形です。

ゲームモードには「シナリオ」と「クイックゲーム」があり、シナリオはステージクリア制になっています
ステージごとに初期のウィルス粒子の数が異なり、さらに「スタッフがいない」「機材が使えない」などの特殊なプレイ条件が付いています。
シナリオは全 14 ステージ。 後半はかなり手強そうです。


※後半になるほどウィルスが大きくなり、粒子内のタンパク質の数も増えていきます。
感染の抑制が重要ですが、ステージ4は隔離成功率を高めるスタッフを利用できないので、ここが最初の難関でしょうか。


メッセージが英語で、見た目だけではプレイ方法が解りにくいので、敷居の高いゲームであることは否めません。
ただ、ドイツゲームとしてはクオリティは悪くなく、手強い難易度と相まって、ルールさえ解れば没頭できるアプリです

疫病に対抗するソリティア型ボードゲームという内容は Pandemic とかぶっていますが、Pandemic や Plague Inc. が「感染の拡大」を中心にしていたのに対し、こちらは「治療法の研究」がメインなため、ゲームとしてはかなり異なりますね。

ドイツゲームやシミュレーションゲームが好きな人には、お勧め出来るアプリです。

Infection: Humanity's Last Gasp(iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略 】

ショップで買える Staff(医療スタッフ)と Tech(医療機器)の効果を記載しておくので、プレイされる方は参考にして下さい。

Staff(使用回数に限りあり)
Dr.M.Yee:環境科学者:隔離成功率が 33 %増加。3回まで。
Dr.E.Monroe:上級生物学者:そのターンに使える薬剤を1つ増やす。3回まで。
Rovert Foster:上級技師:そのターンに使える Tech(機材)の回数を1つ増やす。3回まで。
Marvin the Rat:マウス実験者:1種類の粒子のタンパク質を全て消去。パンデミック時のみ使用可能。1回のみ。
Dr.A.Brown:危機管理者:1・次の突然変異を防ぐ。 2・次の研究に不利益になるイベントを防ぐ。 3・次の感染拡大確率上昇イベントを防ぐ。 どれも1回ずつ。
Dr.A.Schlinker:隔離作戦指令:1・隔離成功率 50 %増加、M.Yee が必要。 2・イベント効果を1つ除去、A.Brown が必要。 どちらも1回ずつ。
Dr.S.Goldstein:研究所長:1・そのターンに全ての薬剤を使える、E.Monroe が必要。 2・そのターンに使える Tech(機材)の数を2つ増やす。 ただし同じ機材を2回使うことは出来ない。 Robert Foster が必要。 どちらも1回ずつ。

Tech(何回でも使えるが基本成功率 50 %)
Electron Microscope:電子顕微鏡:5つ目の薬剤を出現させる。
Chemostat:連続培養:薬剤を全て入れ換える。
Homogenizer:均化器:1つの薬剤で、同じ粒子内の2つのタンパク質を消せる。
Aspirator:吸引器:タンパク質に投与済みの薬剤を、他の粒子のタンパク質に移動できる。
Absorbtion SPM:吸収粒子:他の4つの粒子に接していても、タンパク質を全て取り去った粒子を破壊できる。
Centrifuge:遠心分離器:次の突然変異で発生する粒子の種類を、2つのうちから選択できる。