国民的 RPG「ドラゴンクエスト」の派生作品。
パソコンのブラウザゲームとして運営されていた、ドラクエのモンスター達が自動で生き生きと戦う、オリジナルストーリーのソシャゲ型 RPG がスマホでもサービスを開始しています。
ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード」です。

パソコンでは 2013 年からスタートしており、ディレクターは堀井雄二さん、音楽はすぎやまこういちさん、もちろんキャラクターは鳥山明さんが担当している、ドラクエのオリジナルスタッフがそのまま携わっているゲームです。

パソコンでアップデートを重ねた上でのスマホ版公開のため、ボリュームも最初から十分にあり、演出も非常にドラクエらしく、クオリティーの高いゲームですね。

ただ、それをスマホ用のソーシャルゲーム、言わば「ガチャゲー」にしたために・・・
ドラクエの命であるはずのゲームバランスが壊れているのも否めません・・・

ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード

ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード

このゲームのパーティーは「パレード」と呼ばれ、主人公は「キャラバンマスター」と呼ばれる、言わばモンスター使い。 同行者も含め、自分達では戦いません。
パレードは最大5体の仲間モンスターで構成されていて、戦闘になると彼らが自動で戦います
自動戦闘なので、戦力が十分なら完全に放置していても勝ててしまいます。

プレイヤーが行えるのは薬草の使用と、ターゲットの指定、モンスターを「つまんで」移動させること、そして作戦の指示

戦いが始まると攻撃役のモンスターはどんどん敵に向かっていきますが、当然反撃でダメージを受けます。
しかしピンチの味方がいても、つまんで後方に移動させれば、敵モンスターは近くの相手をターゲットにするため、その場を凌げます。
味方モンスターの攻撃はターゲットの指定をしていれば、少し離れていてもその敵を狙ってくれます。

薬草は味方全員の HP を回復できますが、もちろん使うと減ります。
薬草は町で購入でき、大量に買っておけば尽きるまで何度でも使えますが、大ダメージを受けているキャラがいたり、複数のモンスターがダメージを受けている場合、その分だけ薬草が減ります
よって使いすぎるとすぐなくなり、出費もバカになりません。

作戦には「ガンガンいこうぜ」「いのちを大事に」などドラクエおなじみのものがあり、モンスター一体ごとに指示できます。 内容は以下の通り。

ガンガンいこうぜ:敵を攻撃。攻撃系の特技や魔法を使う
バッチリがんばれ:敵を攻撃。全ての特技や魔法を使う
いのちをだいじに:攻撃に行かない。傷付いた味方を早めに回復
サポートたのむぜ:攻撃に行かない。補助系を使う。傷が2つ付いた味方を回復
せんりょくうばえ:敵を攻撃。主に弱体系を使う
MPつかうな  :敵を攻撃。特技や魔法を使わない

攻撃しに行かない指示もあるのがポイント
これを使えば回復に専念させたり、弱いキャラを前に出さずにレベルを上げることが出来ます。
戦闘中にも変更できるので、ピンチになったキャラを後ろに下げて作戦を変えれば、避難させることが出来ます。

ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード
※モンスターの配置画面。 防御力のあるキャラは前方中央に置き、魔法で攻撃するキャラは後方に。
回復役は「いのちをだいじに」か「サポートたのむぜ」にしておけば前に出ないので、中央付近に配置しましょう。
上記の例では、スライムは最初の攻撃を受けないよう、やや後ろに置いています。


ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード
※敵が範囲攻撃の準備を開始! ターゲットして発動前に叩くか、左上の「あつまれ」を選んで後方に下がり、回避するかを判断しないといけません。
ただし逃げるのが遅いと「あつまれ」にしても逃げ切れません。
遅れそうなキャラはつまんで範囲外に逃がすか、つまみっぱなしにして回避しましょう。


このゲームの最大の長所は、ダイナミックなモンスターの動き。
ぴょんぴょん跳びはねるスライムや、トコトコ歩くももんじゃ、剣とボウガンを使い分けるキラーマシンなど、おなじみのドラクエのモンスター達が様々なアニメーションを見せてくれます

やられて倒れる時も、例えばももんじゃなら口を開けて毛を逆立て、驚いた表情を見せた後にパタっと倒れて沈んでいくなど、1つ1つのアクションがユニークです。

ストーリーもしっかり作られていて、何らかのドラクエ作品のサブストーリーではなく、完全なオリジナル。
移動中に発生する会話シーンも豊富で、ちゃんと物語を楽しむという意味での RPG らしさがあります

しかし残念なのはゲームバランス。 あまりにも簡単すぎるのです。
そして戦闘が自動進行で簡単すぎるため、何もしなくて良いのです。
先ほど作戦や移動について説明しましたが、そんなもの本編ではほとんど無視して構いません。
戦闘を開始させて放っておけば、しばらく後に勝手に勝っています。
ポチポチゲーですらない。

このゲームには元々、課金ガチャはなかったようです。
それに近いものはあったのですが、いきなりそんなに強いモンスターは得られず、戦闘後に敵を仲間に出来る「スカウト」で、その時のレベルに応じたモンスターを獲得していくのがメインだったようです。
オリジナルにもその後、アップデートでガチャが導入されたようですが、モンスターの入手率や強さはまだ控えめだった模様。

ところがスマホ版は、課金ガチャでいきなり強いモンスターを確定で入手できます。(Aランク以上)
※ 私は4回やってAしか出ていなかったのですが、Bも出るそうです。 ゲーム内の表記では B 45 %、A 50 %、S 以上 5 %の模様。
しかも序盤のチュートリアルとクエストの達成で、2回は課金ガチャが出来る課金通貨を得られます。
そしてAランクのモンスターがパーティーに1体でも入っていると・・・
かなーり長い間、「戦闘は完全放置で OK」の状態が続きます
つまり冒頭で述べたように、ガチャの影響でオリジナルのゲームバランスが崩壊しています

それはそれで半放置でもプレイできるので、方手間で経験値を稼げる利点もあるのですが、しかし最初からずっとその状態ってのはどうなんだ。

イベントクエストでは強い敵が出てくるので、面白くなくて実入りの少ない本編の戦闘を避け、イベントでレベル上げすることも出来るのですが、そうするとますます本編が楽勝になり過ぎていく悪循環・・・

スマホ版の担当者は「ドラクエ=簡単・お手軽」だと錯覚しているのではないかとさえ思ってしまいます。
本来ドラクエは JRPG の中では、バランスはシビアな方なんですけどね・・・

ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード
※マップ画面。 目的地の方向や、討伐クエスト・お使いクエストの位置も表示されます。
見た目も綺麗で、インターフェイスは本当に良いです。


ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード
※合成画面。 戦闘でも経験値は貯まっていきますが、やはり合成の方が上がりが良いです。
得られる経験値は素材側が Lv1 の場合、D で 300、C で 1000、B で 2000。
同じ種族を含めても倍率が上がったりはしない模様。


とまあ、ゲームバランスで残念な部分もありますが、適した強さの相手との戦いにはちゃんとゲーム性がありますし、全体の完成度はかなり高いです
放置で勝てる戦闘も、キャラの動きが良いので見ているだけでも楽しめます。
また、本編の進行にはスタミナを消費しないので、いくらでも遊べます。
(スタミナを使うのはイベントクエストのみ)

バトルを倍速に出来て、楽勝の戦闘はサクサク終わらせられれば、退屈な時間が減ってテンポ良く進む気もするのですが・・・
そんなプレイ時間を縮めるような仕様は導入されないかな。

しかし「ドラクエらしさ」は十分にあるゲームだと思います。
当分は強キャラが必要ないので、良く言えば「課金の必要性が低いゲーム」とも言えます。
スマホだとライトユーザーが多いし、今時のドラクエである気はしますね。

ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード(iTunes が起動します)