狂気に満ちた世界で何日生きられるか試される、パソコンから移植された「サバイバルゲーム+ローグ系+鬱ゲー」が iOS で公開されています。
Don't Starve: Pocket Edition」です。

オリジナルは 2013 年に公開されており、Pocket Edition と言っても現時点では iPad 版のみ。
PS4 や PS Vita で公開されているものは Console Edition、拡張パック付きの Wii U 版は Giant Edition という名前ですが、iPad 版には Giant Edition で登場する敵やオブジェが盛り込まれているので、拡張パック込みだと思われます。

※ 2015年9月のアップデートで iPhone にも対応しました。
※ また12月のアップデートで日本語化もされています。


まともな説明なしで異様な無人島にいきなり放り出される内容で、どうすれば良いのかはプレイヤーが自分で調べていかなくてはなりません
「サバイバル+ローグ系」という触れ込みですが、ゲーム序盤は「手探りゲー」と言った方が相応しいですね。
加えて狂気と鬱が支配する独特な世界観とビジュアルですから、激しく人を選びます。
ただ、出来ることは多く、2D のサンドボックス系のゲームとしては、かなりクオリティの高い作品です。

定価は 600 円。 買い切りゲームで課金や広告はなし。
今回はプレイ記録風のレビューでお届けしたいと思います。






【 Don't Starve:Loop 1 】

ゲームは唐突に始まった。
いきなり見知らぬ土地に放り込まれ、初老の紳士に何かを言われる。
しかし英語なのでなんと言っているのか、さっぱり解らない。

だが英語が読めないことは、このゲームではあまり問題にならない

誰かと会話することなんて、その後はないからだ。
しかし風景は奇妙、かつ不気味であり、不安しか感じない・・・

※現在はアップデートで日本語化されています。



説明されるのは簡単な操作だけ。 タップで移動し、草むらなどをタップすれば伐採する。
採取したものは画面下のアイテムスロットに自動的に納められる。
ピンチ操作でズームイン / ズームアウト。 二本指で画面を回すと視点回転。
操作感は良好で、インターフェイスは良く出来ている

主人公には空腹度、体力、そして正気度、いわゆる「SAN 値」があり、どれかがなくなったらゲームオーバー。
画面左には作成アイコンがあり、必要な材料はアイテムをタップすれば調べられる。



この手のゲームはまず道具を作るのが定石だが、斧を作るにもツルハシを作るにも Flint(小石)がいる。
しかしそんなもの全然見つからない。
食べ物が必要なのでウサギや鳥を捕まえようとするが、すぐ逃げられて捕まえられない。
たまに木の実がなっている草むらが見つかるが、食べてもほとんど空腹度は回復しない。
うーん、どうすれば良いんだ。 草と枝しか集まらないぞ・・・?

そうこうしていると夕方になり、辺りが暗くなってきた。
視界が利かなくなってきたので、草と枝で Torch(松明)を作成する。
って言うか、これぐらいしか作れるものがない。



そして日が落ち、完全に深夜となった。 松明があってもほとんど何も見えない。
どうしよう、と思っていると、フッと松明が消えてしまう。
む、耐久力があったのか。 すぐに新しい松明を作らなければ・・・

ドシュッ!!

なんだ!? いきなり攻撃を受けたぞ! しかし真っ暗で相手が見えない!
すぐにその場から離れるが、その後も連続でダメージを受けてしまう!
マズい、暗いまま不用意にうろついたのが悪かったのか? この手のゲームの夜がヤバいのは解っていたのだが・・・

ドシュッ!! チーン


【 Don't Starve:Loop 2 】

サバイバル系の初日はアッサリ死ぬものだが、ここまでアッサリなのも珍しい・・・
初日というか、このゲームは死んだらリトライなので、また新しい世界で1から再スタートである。

ほとんど何も解っていないが、運が良かったのか、それとも二度目だからか、今回は開始地点の近くに Flint(小石)が落ちていた。
さっそくこれと小枝を組み合わせ、斧を作成する。

斧を持った状態で木をタップするとコンコンと伐り始め、そのうち Birchnut という木の実と丸太が手に入った。
この手のゲームで丸太は必須。 さっそく森林伐採に勤しむことにする。



そうこうしていると夕方になってきた。
夜にうろつくのは危険なのが解ったので、海岸沿いまで移動し、周囲に敵がいないことを確認して、そこでじっとしていることにする。
辺りが真っ暗になっても、ヘタに動かなければ大丈夫だろう・・・

ドシュッ!!

なにぃ!? また攻撃を受けている!
相手は誰だ? どこから来たッ!?

バシュッ!!

いや、これは闇の中で襲われていると言うより・・・ 闇自体に襲われているッ!



これはなんなんだッ! そういうスタンドなのかッ!
ムリだッ! これは逃げられ・・・  チーン


【 Don't Starve:Loop 3 】

2度死んで解った。 暗くなったら死ぬ。 理屈とか関係なく、そういうルールらしい。
夜になる前に灯りを確保し、そして夜明けまで絶やさないようにする。 出来なければ死ぬ。 そういうことだ。

とりあえず周囲を探して枝、草を集める。 小石もすぐに見つかったので斧を作って丸太を集める。
丸太があればキャンプファイアーを作成できる。
キャンプの火は徐々に消えていくが、近づいて丸太を Add Fuel すれば薪を補充できる。



さらに近くでアイテムをタップすれば、Cook(調理)も出来ることが分かった。
拾った木の実やニンジンは焼いた方が空腹度の上がりが良いらしい。
食べられなかった Birchnut の木の実も、焼けば食せるようになる。

キャンプの火は明るいし長持ちするので、これなら夜も越せそうだ。
薪を足しながら不安な気持ちで深夜を過ごし、そして・・・ 朝になった。

ふう、ようやく2日目に突入できた・・・

2日目も草・枝・丸太を集めながら、夜を越す準備をする。
しかし早くも空腹度が3分の1まで減っている。

ニンジンや木の実は野菜だからか、食べても空腹度は大して上がらない。
鳥やウサギを食べれば満腹になるのかもしれないが、全然捕まえられない。

そこでトラップを作成することにした。 材料は草と枝なのですぐに作れる。
これをウサギがいる周辺に複数しかけ、しばらくかかるのを待つが・・・



全然かかる気配なし。
ウサギをなんとかトラップの方に誘導しようとしても、なかなか思うようにいかない。

どうするんだコレ? エサが必要なのか?
試しに木の実をトラップにドラッグしてみると・・・ Bait(エサを付ける)という表示が。
ああ、これで誘き寄せられるのか・・・

しばらく後、ようやくウサギがかかり、1匹ゲット。
もう夜が近いので急いでキャンプファイアを炊き、ウサギをさばいて調理してみる。
うん、空腹度が回復した。 ・・・ほんの少し。
全然足りねぇ!

ウサギを捕るのに色々やってた時間を考えるとむしろ割に合わない。
やばい、他の食料もないし、どうするんだ。 だが夜の間は動けないぞ。
朝になったら急いで食料を探しに行くしかない!

・・・翌日、ロクに食料が見つからず、餓死したのは言うまでもない。


【 Don't Starve:Loop 4 】

だんだんこのゲームが解ってきた。 死にゲーだコレ。 死んで学ぶサバイバルゲームだ。
確かに「サバイバル+ローグ系」ではある。 全然進展している気になれないけど。

とりあえず先に進むのに必要なものをチェックする。
まず欲しいのは Science Machine(サイエンスマシーン)
これがあると新しい道具を作れるようだ。 マイクラ系で言う「作業台」か。

だが必要な材料は木、石、そして金。 金なんてどこにあるんだ。



当面必要なものをものを集めながら、ひたすら周囲を探索し続ける。
すると大岩がたくさん転がっている岩場に辿り着いた。

さっそくツルハシを作り、採掘を開始
周辺の岩を破壊しまくっていると、大量の石と、そして Gold Nugget(金塊)を発見!

これでマシーンを作れる。
さっそく組み立てを行うと、なにやら「かかし」のようなものが・・・
作業台にはほど遠いが、これで物が作れるのか?



近づいてみると、急に作成アイコンが増えた。
これでサバイバルに必要な物を整えられそうだ。

まずは食料を調達するものを作ることにしよう。
鳥の罠は・・・ 蜘蛛の巣が必要か。
虫取り網は・・・ 蜘蛛の巣が必要か。
釣り竿は・・・ 蜘蛛の巣が必要か。

ねぇよ。

どこで手に入れるんだ蜘蛛の巣って。
さらに畑を作ろうと思って材料を調べたら、今度はフンがいる。
フンなんてどこにあるんだ。

どうやらまだ探索が足りないらしい。
このゲーム、まずは周囲を見て回り、どこに何があるのか確認するのが先決なようだ・・・



翌日もひたすら探索を続けた。
すると、なにやら奇妙な装置と箱を発見した。

この世界には奇妙なオブジェがたくさんあるのだが、機械的な物は珍しい。
1つは温度計に見える。 箱は保管箱になるようだ。
もう1つの機械の箱は、どうやら冷蔵庫らしい。

箱の中には毛糸のフードが入っていた。
これはありがたいとさっそく装備してみるが、まるでそれがトリガーになっていたかのように雪が舞い降り始めた・・・



温度計のメーターがぐんぐん下がり、画面にも霜が付く。
そして予想通り・・・ 寒さによるダメージが!

やばい、暖を取らないと死ぬ。 天候ダメージもアリなのか。
どうしよう、こうなるとあまり遠出できないぞ。
しかし食料を調達しに行かないと、このゲームすぐに餓死するし・・・

子細は省略するが、餓死したのはこの2日後である。


【 Don't Starve:Loop 5 】

はや5回目。 出来るだけ早く周辺を確認し、必要な物をどこで調達できるか調べるのが重要なのが解ってきた。
そこで今回は物資集めより、探索を重視する。

すると海岸になにやら白い塊を発見。
近づいてみると・・・ 大量の蜘蛛に襲われた!
バシバシ攻撃を食らってさっそくピンチだが、これで蜘蛛の巣を調達できる!



だがその前に、蜘蛛に対抗できる手段を整えなければならない。

一番簡単に作れる武器は Spear(槍)だが、それを作るにはサイエンスマシーンがいる。
探索を続行し、岩場で金塊を発見、マシーンを設置し、石のキャンプファイアーも作成。
板を作って保管箱も組み立て、簡易的ながら拠点を制作した。

槍は小石と枝、そしてロープで作れる。
ロープはマシーンがあれば草から制作できるので、材料には困らない。

作成後、さっそく蜘蛛退治を開始。
巣に近づいたら一旦逃げて、追ってくる蜘蛛をターゲット。
1撃与えたらまたすぐ逃げるヒット&アウェイ戦法で1匹ずつ倒していく。

蜘蛛を倒すと Silk(糸)とモンスターミートが手に入る。
一応食用なのかコレ・・・

シルクをいくつか集めた後、意気揚々と引き返していると、なにやら大きな生物が。
バッファロー?
そしてその下には待望のアレが! フンが!



やった、フンだ! フンー! ウ○チがこんなに嬉しいゲームはそうそうない。
これがあれば畑が作れて、野菜の栽培が出来るはずだ。
バッファローは殴りかからない限り大人しいようなので、その周囲で嬉々としてウン○を集める。

日が暮れてきたのでキャンプに帰還。
まずはフンで畑を作ってみる。 キャンプの近くに設置し、種を植えると・・・
まあ、すぐには育たない

これで安定して食料を得られるようにするには、もっと数が必要だろう。
とりあえず栽培のやり方は解った。

作成できるアイテムを確認していてもう1つ気になったのは、Strow Roll(わらの布団)
これがあれば寝れるらしい?
この手のゲームは「ベッド」を作るのが最初の定石にして目標。
これは作っておかなければ。

さっそく材料のロープを用意してマシーンで編み、キャンプの近くで使用してみる。
すると主人公はその場に布団を敷き、そのまま寝転がった。
良かった、これでようやく夜を寝て過ごせるようになった・・・



そして主人公は・・・ 永遠の眠りについた。
正確には、寝起きと同時に餓死した。 ナンダコレ。

どうやら寝ると一気に時間が進むため、腹も一気に減り、空腹度が減ったまま寝ると餓死してしまうらしい。
どんなトラップだよそれ。
しかもわらの布団は使い捨てだった。

順調に進んだと思ったら、睡眠死という前代未聞の最期。
安定して生活できる日は来るのだろうか・・・

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と言う訳で、まだ全然序盤ですが、「手探りゲー」「死にゲー」っぷりは伝わったと思います。

作成物はかなり豊富に用意されていて、ゲームが進めば壁や床も作ることができ、拠点らしい拠点を構築することも可能なようです。
キャラクターやオブジェクトの数もかなり豊富で、特殊ステージも用意されています。
やり込めば相当長く遊べるようですね。

ただ、この常に憂鬱な世界は、ちょっと気が滅入ります。
最初は何をすれば良いかさっぱり解らないので、すぐ投げ出してしまう人も少なくないでしょう。
ビジュアル自体は非常に良く出来ていて、全体のクオリティは高いのですが、好みは分かれるかな・・・

しかし海外でヒットしているだけある、しっかり作られたゲームです。
良くも悪くも「洋ゲーらしい洋ゲー」ですね。

Don't Starve: Pocket Edition(iTunes が起動します)