Kingdom Rush スタイルのタワーディフェンスに、「課金ゲー」になってしまわない程度の、むしろ長期的な育成を楽しめるぐらいのソシャゲ要素を加えた、クオリティの高いゲームが登場しています。
クレイジーキング」です。

iTunes のスクリーンショットがソシャゲ丸出しで、スタミナ制やカード合成があり、海外の悪しき習慣「パワーアップ待ち時間」もありますが、やってみるとそれほどソーシャルゲーム感は強くありません。
課金前提のゲームバランスではない、もちろん簡単すぎる訳でもない、しっかりしたタワーディフェンスです

開発したのはドイツのメーカーですが、東京にも拠点を持っているようで、メッセージはすべて日本語化されています

クレイジーキング crazy king

クレイジーキング crazy king

こう言っては何ですが、基本的には Kingdom Rush です。
ルート固定型のタワーディフェンスで、ちびキャラがワラワラと道に沿って攻め込んできて、それを道の周囲に設置したタワーで迎撃します。
タワーを設置可能な場所は決められています。

ただ Kingdom Rush と違うのは、敵と近接戦闘を行う戦士系のキャラは「ヒーロー」しかいないこと。
ヒーローは道の上に陣取り、自由に移動させられ、敵が来るとそれを足止めしつつ戦います。
主人公のヒーローは装備によって強くなり、複数のヒーローを出撃させることも出来ますが、あまり多くの敵を足止めすることは出来ません。
その分、一人一人のヒーローの使い方が重要になっています。

タワーの数はそれほど多くなく、序盤に使えるのは弓矢・魔法・爆弾
弓矢は連射が効き、魔法は装甲を貫通、爆弾は範囲攻撃です。
アップグレードで毒矢や炎上、複数攻撃などの特技を持たせることが出来ますが、当面は種類は少なめですね。

ゲームが進むとアンデッドに強い僧侶や、敵を遅くする呪術師のタワーも登場し、さらにトラップやドラゴン召喚、重歩兵や軽歩兵のヒーローも使えるようになります。
ただ、出撃させられる数に限りがあるので、増えて来たらどれを使うか選択しなければなりません。

1ステージはそれほど長くなく、5~8 Wave ほど。
倍速もあるので3~5分程度でカタが付き、サクサク進められます。
しかし敵を1体でも逃すとクリア評価が下がるので、パーフェクトを狙いたいなら有効なタワーを適切な場所に置き、キッチリと守らなければなりません。

クレイジーキング crazy king
※闘技場でのバトルシーン。 ここはステージがランダム生成のようで、挑む度に変わります。
敵を1体でも逃すと負けですが、勝利できれば高めの確率でレアなタワーや装備を得られます。


クレイジーキング crazy king
※こちらは所持カード一覧画面。 Lv3 のカードを作るには Lv2 が2枚必要になります。 Lv2 を作るには Lv1 が2枚必要。
タワーにはそれぞれ得手不得手があり、あまり有効でないタワーを持って行くぐらいなら、ヒーローを多めにした方が有効ですね。


ステージをクリアすると「カード」を得られます。
カードはタワーやヒーロー、トラップなどを使えるようになるもので、同じカードは合成して強化するのに使用できます。
強化しないとタワーに特技を習得させることは出来ません。

こう言うとカードを地道に貯めて強化しないと先に進めないように思えそうですが、このゲームは通常マップの他に、ボスが待ち受ける、カードが貰える闘技場、日替わりのトーナメントステージ、特殊な防衛戦ステージなど、豊富なシーンが用意されています。

メインマップで苦戦するようになっても、他に行ける場所がたくさんあって、それらをやっているうちにカードが集まり合成も進むので、同じステージを繰り返してひたすら強化しないと話にならない、みたいなソシャゲ的なバランスではありません。
マップ上のルートにも分岐があり、ステージ数はかなり多いです。

無論、本体無料のアプリですから、ガチャ(と言うかカードパックの購入)やスタミナはあります
パワーアップ待ち時間に加え、一部のステージにはアンロック待ち時間もあり、しかもこのゲームの課金は最低 600 円からと高額で、「もう少しやりたいからスタミナを 100 円で回復させよう」みたいなことは出来ません。
正直、スタミナでのプレイ中断を余儀なくされてしまう部分で「劣化 Kingdom Rush 感」を受けるのは否めませんね。

ただ、Kingdom Rush 以上の長期的な育成要素と収集要素があるので、そこはソシャゲ的なシステムが良い方に働いています。
何度も言いますがタワーディフェンスとしてしっかりしているので、ソシャゲ的な部分があっても課金ゲー感はありません。

クレイジーキング crazy king
※マップ画面。 マップ上には様々な施設があり、課金通貨を生み出す鉱山も存在します。
ただし一部のルートはタワーを攻略していかないと進めません。


クレイジーキング crazy king
※そしてこちらがボスの待ち受けるタワー画面。 このタワーの中にも数十のステージがあります。
ボリュームはかなりのものですね。
ただ、一部の道が崩れていて、修復待ち時間があるのがタマにキズ。


クレイジーキング crazy king
※どこかで聞いたことあるようなセリフ。 そういえばこのゲーム、ドイツ製だったな・・・
翻訳は日本人の方が行われているようで、他にも色々とネタのあるセリフが出て来ます。


じっくり長く楽しめる、秀作のタワーディフェンスです。
パワーアップ待ち時間は余計ですが、ステージクリアで得られる課金通貨で短縮できるので、当面はそれほど邪魔になりません。
レベルが上がってくると必要になる時間と通貨は増えていくとは思いますが。

正直、この内容と課金額で、日本でまともな収益を得られるのかは疑問です。
ただ、ユーザーとしては重課金しなくても楽しめるのはありがたいですね。
日本で一般的な、スタミナ1回分の課金(120 円)はあった方が良いと思いますが。

ともあれ、タワーディフェンスのファンなら押えておくべき作品だと思います。

クレイジー・キング(iTunes が起動します)