あのシド・メイヤーと共に「Civilization II」や「アルファ ケンタウリ」を開発、その後に文明の発展をテーマにした RTS「Rise of Nations」を作り出し、さらに「Age of Empire III」の開発にも携わった、海外で知られたゲームデザイナー「ブライアン・レイノルズ」氏。

その彼が韓国ネクソンの運営による、文明の発展をテーマにしたスマホゲームを開発しています。
ドミネーションズ -文明創造 - (DomiNations)」です。

ゲームがメーカーではなくデザイナー単位で注目される海外では、彼の作品と言うことで大きな期待を寄せられていたタイトルです。
内容は「クラッシュ・オブ・クラン」の亜種でオリジナリティは感じられないのですが、棍棒で殴りかかる原始時代から飛行機で空を飛ぶ近代まで発展する「人類の歴史」をテーマにしたゲーム展開には、氏のゲームらしさを感じることが出来ます。

ただ、先に言ってしまいますが、このゲームは・・・ このタイプとしてはクオリティが低いです
他の人気クラクラ系と比べると技術的なレベルで見劣りし、クラッシュオブクラン のような動きの滑らかさはなく、リトルノア のようなグラフィックの緻密さもなく、ましてや Age of Empires: Castle Siege と比べたら石器時代と中世ぐらいの差があります。

ゲームデザインには面白い部分が多いのですが・・・ 後発でこれでは厳しいのが本音ですね。
クラクラ系のソーシャルゲームなのでアプリ本体は無料ですが、課金や待ち時間は当然あります。

ドミネーションズ DomiNations

ドミネーションズ DomiNations

ゲーム内容は クラッシュ・オブ・クラン です。
村作りの農園ゲームに、他プレイヤーの村への襲撃と、襲撃された時の防衛設備を加えたものですね。

以上、基本説明おわり。

ただ、このゲームにはオリジナルな要素も多いです。

まず、建物の建設や改良には大工に相当する「住民」が必要ですが、建物によって必要人数が異なります
町の人が6人なら、2人で建てるものなら3つ、3人で建てるものなら2つを同時に建設することが出来ます。
町の人は文明を発展させて「家」を増やすことで増加するので、必ずしも課金通貨は必要ありません。

また「採集」や「狩り」の要素があります
果樹や金鉱に町の人を向かわせると資源を調達でき、町の周囲をうろついている動物を狩れば食料や毛皮を得られます。
町の周囲で狩りが行われている様子には、他のクラクラ系にない雰囲気がありますね。

時代は最初は「黎明の時代」から始まり、町の中心をアップグレードすることで「石器時代」「青銅器時代」「鉄器時代」「古典時代」と発展していきます。 もちろん建物の見た目も変化します。
鉄器時代から「文明」を選択できるようになり、イギリス・フランス・ローマなどに加え、日本・中国・韓国も選択できます。

それぞれに文明特性があり、さらに町の外見も変わります。
農場が西欧ならぶどう畑、アジアなら水田になるなど、ハッキリした違いがあるのが良いですね。

ドミネーションズ DomiNations
※鹿狩りの様子。 革を得られる事もあり、売って換金したり、傭兵を雇う際の交易品として活用できます。
建設範囲は町の周囲の森を伐採して広げ、その際に遺跡や野良の傭兵などが見つかることもあります。


ドミネーションズ DomiNations
※文明の選択。 日本は防御向きの特性。 城が射撃可能なのは防衛戦で強いですが、武士はあまり強くないです。
韓国のゲームだからか、やはり韓国の特性が強力ですね。


戦闘は他のクラクラ系と大差ありません
町の外周から兵士を出撃させ、出した兵士は自動で行動します。
細かい指示は出せません。

ただ、このゲームは一定時間ごとに目標の指定を行えます
実行するとターゲットに向かって全軍がダッシュ、一斉攻撃を行います。

しかしこの戦闘シーンが一番の難点・・・ というか、見劣りする点。
まず、動きが大雑把。 滑らかさはなく、演出も物足りず、キャラのモーションも少ないです。
サウンドもチープで、昔のゲームの復刻版をやっているような印象です。

しかも AI がイマイチで、歩兵に強い弓兵が、接近してくる敵歩兵を無視して建物を撃ち続け、そのまま棍棒で殴り倒されたりします。
そういうのを出撃のタイミングなどでコントロールするのがクラクラ系のゲーム性ではありますが、それにしてもおバカ過ぎる
ターゲットの指定である程度はカバー出来ますが、むしろ「このおバカさをターゲット指定で誤魔化してるんじゃないのか?」とか思ってしまいます。

全体的にスーパーファミコンのレベルで、もはやレトロゲームをやっている感覚。
「文明をテーマにしたクラクラ系」という点で Age of Empires: Castle Siege とかぶっていますが、私は AoE:CS を継続してプレイしていたため、その直後にこっちをやったら・・・ もう劣化感がヒドい。

ソロプレイのゲームモードがあり、文化遺産の建設や戦闘時に使える特殊コマンドの研究など、他のクラクラ系よりも出来ることは多いのですが、プレイヤーの中で技術的なクオリティの低さをシステムの魅力でカバーできるかが、楽しめるかどうかのポイントになりそうです。

ドミネーションズ DomiNations
※戦闘シーンは静止画だと綺麗ですが、動いているところを見るとチープ感が漂う。
ジャンルが全然違うけど、韓国 NHN がケイブシューを模倣しようとして模倣しきれず、「及んでいない」感が強かった「虫姫さま 究極バトル」を思い出します・・・


ドミネーションズ DomiNations
※1人用の攻略マップ。 こうしたソロプレイ用のステージがちゃんと用意されているのは良いですね。
最初はペルシャ、次はエジプトを舞台としていて、ちゃんと歴史をテーマにしたマップになっています。


5日ほどプレイしていますが、まだ「古典時代」に入ったところ。
近代で登場するライフル兵や大砲、飛行船や戦闘機を見てみたいので、私的にはプレイし続けていますが、建設にかかる時間が長くなって来ているし、ここから中世や啓蒙の時代を抜けて近代に至るのは、まだまだ先の話になりそう。
「その先を見てみたい」という欲求が強くないと、長く続けるのは厳しいクラクラという感じですね。

海外ではデザイナーの期待感から、かなりのプレイヤーがいたようですが、今はどうなのかな・・・
ただ進化の先に大きな変化があり、それが楽しみというのは、ゲームを続けるモチベーションにはなります。

あまり期待せず、攻めて攻められてを楽しむのではなく、ノンビリ町作りをするゲームだと思って遊ぶのなら、悪くないかもしれません。

ドミネーションズ -文明創造 - (DomiNations)(iTunes が起動します)