業界を揺るがした DeNA と任天堂の提携発表があったのは、今年の3月。
かたくなにスマホと距離を置いていた任天堂が、まさかのモバゲーとタッグを組んだことは、ゲームメディアだけでなく一般メディアでも大きく報じられ、市場にばつぐんの効果を与えました。

そしてその先鋒と言えるアプリが、8月末に公開されています。
ポケとる スマホ版」です。

株式会社ポケモンカンパニーが送る、ポケモンの公式ゲームアプリです。
大事なことなので2度言いますが、「公式」「ゲーム」「アプリ」です。

ポケとるは今年2月に 3DS 用のソフトとして公開されたパズルゲームで、開発はポケモンコロシアムなど、ポケモン関連作を数多く開発しているジニアス・ソノリティ。
開発・発売共に由緒正しきポケモンゲームの血筋ですね。

内容としてはオーソドックスなマッチ3ゲーム
言ってしまうと「キャンディークラッシュのポケモン版」です。
ただ、好きなコマを入れ替えられる事と、コマの1つ1つがポケモンのキャラになっていること、ステージごとに異なるポケモンをゲットできるのが大きな特徴です。

ポケとる スマホ版

バトルには3~4匹のポケモンを参加させることができ、そのキャラのコマが 6x6 のマスに配置されます。
同じコマを縦か横に3つ以上並べると消すことができ、敵に攻撃を行えます。
コマは任意のもの2つを入れ替える形で動かします。

ズーキーパーやキャンディークラッシュのように1マスしか動かせない訳ではありません。
一筆書きをする訳でもありません。
遠くのコマ同士でも、制限なく入れ替えられます。

こう言うと「じゃあ、すごく簡単なんじゃ?」と思われそうですが・・・ 実際、簡単です。
なにせポケモンですから対象年齢は低い訳で、あまり難しいゲームにはしていないようです。

ただ、このゲームには「残りの手数」があり、それを多く残してクリアするほど、ポケモンをゲットできる確率が上がります。
ポケモンを集めるのが主目的のゲームですから、クリア出来てもゲットできなかったら残念ということに。

よって少しでもゲット率を高めるべく、より効率的にダメージを与えられるコマの動かし方を探すことになります。
結果「パズルは簡単、でもゲット目的のためにじっくり考える」というゲーム性になっていて、これは初心者から上級者まで楽しめる、良いルールではないかと思います。

また、ゲームが進むとお邪魔ブロックが出て来たり、相手の攻撃でコマが凍り付いたりします。
相手の体力もどんどん増えていくので、余裕のあるクリアは難しくなって来ますね。
まあそれでも、既存のマッチ3ゲームと比べると難易度は低い方でしょう。

ポケとる スマホ版
※左はお邪魔ブロックのあるステージ。 ブロックは隣でコマを消すと壊せます。
このステージは残り手数も少なく、消す方法をよく考えないといけないパズル性の高いステージです。
右の氷付けのコマは動かすことが出来ませんが、並べて消すことは出来ます。


ポケとる スマホ版
※連れて行けるポケモンは4体。 1体目は「メガ進化」によりパワーアップしますが、そのコマを消してゲージを MAX にしないと発動しません。
「おまかせ」にすると相性とメガ進化を考慮した編成をしてくれるので、基本はおまかせで良いでしょう。
右はタイムトライアルの特殊ステージで、このステージのみ手数がなく、時間制です。
いくらでも動かすことができ、アクティブ連鎖もアリです。


ソーシャルゲームとは言え、課金ガチャはありません。
各ステージで手に入るポケモンは決まっていて、ランダム入手ではなく、合成もありません。
ポケモンのレベルはステージクリア時の経験値で上げていきます。
ソシャゲとしては課金圧力は低い方ですが・・・

ただ、射幸心を煽られることはない、と思ったら大間違い。
クリア後のポケモンゲット率はステージごとに異なり、レアなポケモンだと基本ゲット率は 10 %とかだったりします。
これだとパズルをうまくプレイしても、せいぜい 20~30 %程度。 大抵はゲットに失敗します。

しかし失敗後、ゲット率がアップして再度捕獲を狙える「スーパーボール」の使用を勧められます。
これを使うには 3500 コイン必要ですが、なかなかコインは貯まらない。
でも課金通貨を使えば・・・ 調達できます。
足りない時は、その場で課金通貨を買う選択も出て来ます。

さらに、たまに特殊なゲットチャンスが発生し、その時にスーパーボールを使えばさらにゲット率がアップします!
そのチャンスを逃すと、つまり課金しないと、当分ゲットできないかもしれない・・・
あぁ、子供たちの課金を求める声がこだまするっ・・・!

一応言っておきますが、この程度の課金演出はソーシャルゲームではよくあります。
別にこのゲームが特別に射幸心を煽っている訳ではありません。

ただ、このゲームはポケモンであり、そして任天堂の IP です。
そんなゲームでこの様子を見ると・・・ そこはかとない違和感を感じるのも確かですね。
「あぁ、堕ちたな。」
そんな風に思ってしまうのも本音です。

なお、スタミナ制もあるので、それが尽きたら課金するか一定時間経たないとプレイ続行できません。
課金通貨はコンティニューにも使用されますが、コンティニューしても残り手数は全快する訳ではなく、+5 しかされないのでご注意を。

ポケとる スマホ版
※左はピカチュウ捕獲に失敗後、スーパーゲットチャンスが発生して成功率 MAX になったところ。
しかしコインが足りないっ・・・ あぁ、それにしても、課金通貨が欲しいっ・・・!
右はイベントステージ。 レアクラスのポケモンが登場しますが、このクラスだとスーパーボールを使っても入手率 20 %程度にしかならず、よって課金しても手に入るとは限りません。
そして課金して手に入らなかった時、このシステムだとその金は何一つ得られない完全な捨て金になるので、そこが辛いところ。
で、捨て金になるのが嫌で課金してまた失敗したりすると・・・ ざわ・・・ ざわ・・・


全体としては、いかにも任天堂的な、オーソドックスな作りです。
ゲームにもシステムにも驚きや爆発力のようなものはないのですが、丁寧に作られた演出と遊びやすいインターフェイスを持つ、高いレベルでまとまった作品です。
模範的な作りのゲームという印象ですね。

iTunes レビューの評価は2つに割れていて、結果として平均点の★3になっています。
低評価を付けている人の多くが「スタミナが尽きたら遊べない」「レアの入手率が低い」「課金がある」などの、「ソーシャルゲームなんだから当たり前だろ」と言いたくなる意見ばかりなのですが、でもポケモンは元々、ソシャゲではありませんでした。
このレビューの結果が、ある意味このゲームを物語っているようにも思えます。

しかし、パズルアプリとしては悪くないと思います。
クオリティは流石に良いので、キャンディークラッシュのような暇つぶしに少しずつプレイするゲームとして、おすすめできるアプリと言えるのではないでしょうか。
もうちょっとこう、ハデな部分も欲しかった気もするけど。

ポケとる スマホ版(iTunes が起動します)