スマホアプリ。 それは情報通信世界が生み出した金鉱脈。
多くの者が一山当てようと果敢に挑み、一人握りの者は金を手にし、そして残りの者は見向きもされないアプリと共に埋もれていった・・・
そんな奈落の底に幾重にも積み重なった、夢破れたアプリの一つをご紹介します。
とっとこダンジョン」です。
って、我ながらヒドい冒頭だな・・・

このアプリは今年の1月に公開されていたのですが、私はぜんぜん気付いておらず、ナムコの「カタログ IP オープン化プロジェクト」の企画アプリの1つ「とっとこドルアーガ」というゲームのことを調べていて、先日偶然知りました。

で、ググってみると「700 万円かけて開発して売り上げ 14 万円」とか「3人で8ヶ月かけて作って月間売り上げ 870 円」とか、悲しい話が続々と・・・
各メディアにプロモーションをかけるも鳴かず飛ばずの失敗談には、華々しい話ばかりが喧伝されるスマホアプリの現実を垣間見ることが出来ます。
まさにアプリ業界の「しくじり先生」。

その辺の話は以下のページで読むことが出来ます。
夢だったアプリ開発、売上14万でゾンビ化(アプリマーケティング研究所)
とっとこダンジョンのダウンロード数を増やしたい(APPREVIEW)
公式ブログ(2月)(まさしブログ)

私的には、売上げのないアプリに限って売上げばっかり気にしている印象があるのですが、それはともかく・・・
ゲームは結構楽しめます。 確かにゲーム好きが作ったというのがわかる内容。
本体無料ですがスタミナはなく、広告もあまり気になりません。
不憫なので 今回ご紹介したいと思います。

とっとこダンジョン

グラフィックは見てのようにドット絵
横視点のゲームで、主人公の女の子が自動で走って行き、自動で階段を昇り、自動で敵と戦います
よって序盤は何もしなくても、見ているだけでクリアしてくれます。

プレイヤーが出来ることは、2つまでセット出来る「スキル」の使用。
スキルと言っても大半は「反転」や「階段スルー」などの移動の指示です。
主人公はひたすら直進を続け、階段があれば必ず昇降するのですが、これらのスキルによって移動方向を変えることが出来ます。
それにより宝箱に到達できたり、敵やトラップを回避することができます。

宝箱には武器や防具が入っているものがあり、入手すればもちろんパワーアップ。
お金を使って強化することも出来ます。
装備の種類は豊富で、ダンボールの鎧とか、撃てないビームガン(持って殴る)とか、ネタ装備も存在します。
装備を変えると姿も変わり、キャラのドット絵は可愛らしく描かれていますね。

敵を倒せば経験値も入手でき、そのうちレベルアップして最大 HP が増加します
どのダンジョンにもボスがいて、途中でやられてしまうこともありますが、何度も挑んでいるうちにレベルが上がって突破できるようになるはずです。
またレベルアップ時に HP が全快するので、それで助かることもあります。

とっとこダンジョン
※5人組アイドル(?)からレインボービームを食らってるところ。 これでもボス戦。
右は装備画面。 サイリウムライトセイバーは武器というより、夜店やシュタゲのアレ。


クリアしたダンジョンは全体マップを確認できるようになります。
どのダンジョンも、ほっといてもゴールにたどり着けるようになっていますが、もちろんそれでは宝箱は得られません。

装備やスキルを入手できないと途中で苦戦するので、全体マップを見ながら、どこで反転して、どこの階段をスルーすれば宝箱にたどり着けるのか、計画を立てることが必要になります
つまりスキルがそろってからはパズルゲームっぽくなりますね。
まあパズルと言うほど難しい訳ではないし、レベルアップと装備強化で強引にクリアすることも無理ではないですが。

ステージが進めば水中や移動床などのしかけが増え、それに応じて息継ぎや水上歩行、移動床スルーなどの新しいスキルも登場します。

ボリュームはそれほど多くなく、集中してやれば1日でクリアすることも可能。
しかしクリア後は敵と装備が強くなる2周目以降に挑戦できます。
ステージごとに入手できるアイテムは決まっていますが、「戦士の剣 +5」などの補正値があり、周回が増えるほど強いものが出やすくなります。

とっとこダンジョン
※左は防具の一覧。 猫耳、着物、セーラ服など、お約束のものがそろっています。
右はストーリーシーンですが、主人公のセリフは結構ヒドいですw


ゲームは面白く、スタミナもないので没頭して遊べます
ただ、見た目の地味さ、やることの少ない序盤の展開、すぐ見限られやすい無料アプリ、ライバルの多い現状を考えると、埋もれるのも致し方なかった気もします。
おもいっきり結果論ですが。

正直、いかにも個人制作っぽい感じで、700 万円かかったとは思えないアプリですね。
実際には「作業時間を時給に換算したら」という計算も含めての話の気もします。

いずれにせよ、趣味でゲームを作っているうちは良いけど、会社にすると色々大変ですよねぇ。
私も昔は BASIC という初期言語でゲームを作ったりしていて、その頃はもう寝る間を惜しんで「あーでもないこーでもない」とプログラムを楽しんでいましたが、仕事にしようとは思いませんでした。
ゲームプログラマーはその頃からブラック職業の代表格で、ハイドライド3のプログラマーの方が残業と休日出勤で発狂し、ボールペンを振りかざして奇声をあげながらティッシュペーパーの箱に襲いかかった話とか聞くと、子供ながらに「そんな仕事したくねぇ・・・」とか思ったものです。

話がズレましたが、無料で課金の必要性もなく、たまに大きな広告が出て来ますが、広告ばかりのゲームという訳ではありません。 動画広告も見せられません。
「だから儲からないんじゃないのか?」とかいうのもありそうですが、ストレスなく遊べるゲームなので、「そこまで売上げのないゲームとはどんなものか?」という興味も兼ねて、遊んでみて欲しいアプリです。

とっとこダンジョン(iTunes が起動します)