大手メディアや経済ニュースなどでも取り上げられ注目されていた、iPhone 6s / 6s Plus の CPU「A9」の生産メーカーによる性能差問題。
当ブログでも こちら で報告を行いましたが、話題になり始めてから2週間ほどが経ち、続報や再検証の結果が出て来ているので、改めてまとめておきたいと思います。
まず問題のおさらいから。
iPhone 6s / 6s Plus の CPU「A9」には韓国サムスン社で生産されたものと、台湾 TSMC 社で生産されたものの2種類があります。
この2つはプロセスルール(内部の細かさ)や CPU のサイズが異なっており、発売当初から「性能差があるのでは?」と言われていました。
そして Reddit という海外の掲示板で、サムスン製と TSMC 製、それぞれの A9 を搭載した iPhone 6s のバッテリーの持続時間を比べ、なんと1時間45分もの差があったいう報告が出されます。
それは一気に世界中に拡散し、大きな話題になります。
※画像は こちら の投稿より。
その後もいくつかの追跡調査が行われ、他の計測でもバッテリー持続時間と処理速度の双方で、TSMC 製の方が勝るという報告が出されます。
・CnBeta の処理速度、バッテリー、本体温度の報告(中国サイト)
・バッテリー持続時間の検証動画(Youtube)
・チップゲート問題解説と温度測定動画(Youtube)
これに対し Apple は「確かに性能差はあるが 2~3 %程度であり、誤差の範囲に過ぎない」というコメントを発表。
しかしこれが「Apple が性能差があることを公式に認めた!」と伝えられてしまい、火に油を注ぐ結果になります。
この件は海外では「チップゲート問題(Chipgate)」と呼ばれています。
昔、アメリカで「ウォーターゲート事件」という政治スキャンダルがあり、以後大きなトラブルがあると「○○ゲート」と呼ぶことが通例になっていて、今回は A9 チップの問題であるため「チップゲート」と呼ばれるようになったようです。
ちなみに昨年の iPhone 6 が曲がる問題は Bendgate(Bend は曲げること)と言われていました。
自分の iPhone がサムスン製か TSMC 製かは Lirum Device Info Lite(iTunes 起動)などのアプリでチェックでき、以下のようになっています。(m があったら TSMC)
【 iPhone 6s 】
・N71AP:サムスン製
・N71mAP:TSMC 製
【 iPhone 6s Plus 】
・N66AP:サムスン製
・N66mAP:TSMC 製
そしてその後の続報ですが、いくつかの大手の組織がこの件の調査結果を公表しています。
まずは欧州を中心にハードウェア関連の情報を提供している Tom's Hardware の報告。
その一部は以下のようになっています。
※全ての測定結果は こちら を。
上は CPU、下はバッテリーの測定結果ですが、項目にもよりますが、CPU の処理速度にはほとんど差が無く、どちらが勝っているかも調査によって異なっています。
ほとんど 2% 以内、多くても 3 %程度の差であり、このぐらいなら Apple の発表にも合致します。
また、ベンチマーク(性能測定)は測るごとに差が出るため、この程度なら確かに測定誤差と言えるでしょう。
バッテリーの消費については、この検証ではむしろサムスン製の方が良かった模様。
表面温度も今回の測定では、ほとんど同じだったようです。
結果、Tom's Hardware はサムスン製と TSMC 製に性能差は無い。
「チップゲート問題は存在しない」という結論を出しています。
続いて、イギリスの ars technica の発表。
こちらはバッテリーの試験しか行っていないのですが、軽負荷から高負荷までの4つの測定を行っており、以下の結果になっています。
※グラフは こちら のページより。
やや高い負荷をかけて測定する Geekbench 3 の結果のみ大きな差が出ていますが、それ以外では差はわずか。
サムスン製の方が勝る結果もあったようです。
こちらも差は Apple がコメントしていた「2~3%」の範囲内。
結果、ars technica も「高負荷をかけ続けて測定する Geekbench 3 のような使用状況は通常なく、普段の使用においてバッテリーの減少に差はない」と結論付けています。
ただ、気になるのは Geekbench 3 の結果だけ差が大きかったこと。
この数値は3度測定した平均値なので、その時だけたまたまこうなった、という訳ではない模様。
この問題の火付け役となった測定結果も Geekbench のものなので、その報告が間違っていた訳でもないようです。
Geekbench の測定中は本体温度もサムスン製の方が高くなる模様。
推測過ぎませんが、チップゲート問題は両社の A9 の性能差の問題ではなく、高負荷時の特定の状況で発生する、サムスン A9 の何らかの不具合なのかもしれません。
なお、この問題は台湾でも大きな騒動になっているようです。
と言うのも、台湾は台湾なのに TSMC の iPhone 6s が2割しかなく、iPhone 6s Plus に至っては1割弱。
ほとんどがサムスン A9 の iPhone 6s で、そこでこの件が出て来たので大ブーイング状態。
国家機関が Apple に「正確なベンチマーク結果を報告せよ。それができない場合でもパッケージにどこ製なのかを明記せよ」と要求する問題に発展しています。
※グラフは こちら のページより。
なぜ台湾で台湾製が売られてないのか疑問ですが、こういう状況を受けてなのか、Apple がサムスンへの A9 の発注数を減らしたという報道もあります。
ともあれ一般用途においては、気分的なものもありますが、どちらの iPhone でも大きな問題はなく、あまり深刻に考える必要はなさそうです。
え?「気分」が一番重要なんだって? ごもっとも。
当ブログでも こちら で報告を行いましたが、話題になり始めてから2週間ほどが経ち、続報や再検証の結果が出て来ているので、改めてまとめておきたいと思います。
まず問題のおさらいから。
iPhone 6s / 6s Plus の CPU「A9」には韓国サムスン社で生産されたものと、台湾 TSMC 社で生産されたものの2種類があります。
この2つはプロセスルール(内部の細かさ)や CPU のサイズが異なっており、発売当初から「性能差があるのでは?」と言われていました。
そして Reddit という海外の掲示板で、サムスン製と TSMC 製、それぞれの A9 を搭載した iPhone 6s のバッテリーの持続時間を比べ、なんと1時間45分もの差があったいう報告が出されます。
それは一気に世界中に拡散し、大きな話題になります。
※画像は こちら の投稿より。
その後もいくつかの追跡調査が行われ、他の計測でもバッテリー持続時間と処理速度の双方で、TSMC 製の方が勝るという報告が出されます。
・CnBeta の処理速度、バッテリー、本体温度の報告(中国サイト)
・バッテリー持続時間の検証動画(Youtube)
・チップゲート問題解説と温度測定動画(Youtube)
これに対し Apple は「確かに性能差はあるが 2~3 %程度であり、誤差の範囲に過ぎない」というコメントを発表。
しかしこれが「Apple が性能差があることを公式に認めた!」と伝えられてしまい、火に油を注ぐ結果になります。
この件は海外では「チップゲート問題(Chipgate)」と呼ばれています。
昔、アメリカで「ウォーターゲート事件」という政治スキャンダルがあり、以後大きなトラブルがあると「○○ゲート」と呼ぶことが通例になっていて、今回は A9 チップの問題であるため「チップゲート」と呼ばれるようになったようです。
ちなみに昨年の iPhone 6 が曲がる問題は Bendgate(Bend は曲げること)と言われていました。
自分の iPhone がサムスン製か TSMC 製かは Lirum Device Info Lite(iTunes 起動)などのアプリでチェックでき、以下のようになっています。(m があったら TSMC)
【 iPhone 6s 】
・N71AP:サムスン製
・N71mAP:TSMC 製
【 iPhone 6s Plus 】
・N66AP:サムスン製
・N66mAP:TSMC 製
そしてその後の続報ですが、いくつかの大手の組織がこの件の調査結果を公表しています。
まずは欧州を中心にハードウェア関連の情報を提供している Tom's Hardware の報告。
その一部は以下のようになっています。
※全ての測定結果は こちら を。
上は CPU、下はバッテリーの測定結果ですが、項目にもよりますが、CPU の処理速度にはほとんど差が無く、どちらが勝っているかも調査によって異なっています。
ほとんど 2% 以内、多くても 3 %程度の差であり、このぐらいなら Apple の発表にも合致します。
また、ベンチマーク(性能測定)は測るごとに差が出るため、この程度なら確かに測定誤差と言えるでしょう。
バッテリーの消費については、この検証ではむしろサムスン製の方が良かった模様。
表面温度も今回の測定では、ほとんど同じだったようです。
結果、Tom's Hardware はサムスン製と TSMC 製に性能差は無い。
「チップゲート問題は存在しない」という結論を出しています。
続いて、イギリスの ars technica の発表。
こちらはバッテリーの試験しか行っていないのですが、軽負荷から高負荷までの4つの測定を行っており、以下の結果になっています。
※グラフは こちら のページより。
やや高い負荷をかけて測定する Geekbench 3 の結果のみ大きな差が出ていますが、それ以外では差はわずか。
サムスン製の方が勝る結果もあったようです。
こちらも差は Apple がコメントしていた「2~3%」の範囲内。
結果、ars technica も「高負荷をかけ続けて測定する Geekbench 3 のような使用状況は通常なく、普段の使用においてバッテリーの減少に差はない」と結論付けています。
ただ、気になるのは Geekbench 3 の結果だけ差が大きかったこと。
この数値は3度測定した平均値なので、その時だけたまたまこうなった、という訳ではない模様。
この問題の火付け役となった測定結果も Geekbench のものなので、その報告が間違っていた訳でもないようです。
Geekbench の測定中は本体温度もサムスン製の方が高くなる模様。
推測過ぎませんが、チップゲート問題は両社の A9 の性能差の問題ではなく、高負荷時の特定の状況で発生する、サムスン A9 の何らかの不具合なのかもしれません。
なお、この問題は台湾でも大きな騒動になっているようです。
と言うのも、台湾は台湾なのに TSMC の iPhone 6s が2割しかなく、iPhone 6s Plus に至っては1割弱。
ほとんどがサムスン A9 の iPhone 6s で、そこでこの件が出て来たので大ブーイング状態。
国家機関が Apple に「正確なベンチマーク結果を報告せよ。それができない場合でもパッケージにどこ製なのかを明記せよ」と要求する問題に発展しています。
※グラフは こちら のページより。
なぜ台湾で台湾製が売られてないのか疑問ですが、こういう状況を受けてなのか、Apple がサムスンへの A9 の発注数を減らしたという報道もあります。
ともあれ一般用途においては、気分的なものもありますが、どちらの iPhone でも大きな問題はなく、あまり深刻に考える必要はなさそうです。
え?「気分」が一番重要なんだって? ごもっとも。
iPhoneのゲームでその状況になることってあるんでしょうか
PCなら動画のエンコードとかありますけど