ドイツゲーム愛好家からの評価は高いものの、ルールが細かすぎて賛否両論あるボードゲーム「ル・アーブル」(Le Havre)
そのルアーブルのルールを簡略化し、2人用の対戦ゲームに変えた作品が 2012 年に発売され、スマホ / タブレット版も先日登場しました。
Le Havre: The Inland Port」です。
日本では「ル・アーブル 内陸港」と呼ばれています。

町に建物を作り、それを使って資源を調達、その資源でまた建物を作って勝利点を稼いでいくゲームで、オリジナルのデザイナーは前作のルアーブルや、Agricola(アグリコラ)を作った人と同じです。

ただ、アプリ版の開発元は前とは違っていて、前作は多くのドイツゲーム系アプリを公開している Codito というメーカーでしたが、今回は Digidiced というドイツの新興メーカー。
Codito のアプリは見た目が地味なので、今作の方がアプリのクオリティは高いですね。
※現在、販売権はフランスの Asmodee が買収しています。

定価は 600 円。 買い切りゲームなので、スタミナ・広告・課金等はありません。



ゲームが始まると画面下に建物カードが並べられます。

プレイヤーは 木材(茶色)麦(黄色)魚(青色)レンガ(赤色)の4つの資源を持っていて、これらを使って町に建物を建設できます。
建設は欲しいカードを建設アイコンに移動させて行います。



建物を作ると、それは町の「0」のエリアに置かれます。
双方のプレイヤーが行動を行い、1日が経過すると、町の建物は「2」のエリアに移動します。

ここからは建設の代わりに、町の建物を使うことができます。
例えば木材会社(Wood Company)のカードを使えば木材を、粘土採掘場(Clay Mound)のカードを使えばレンガを得られます。

建物にもよりますが、得られる資源の量は建物がどのエリアにあるかで変化します。



「2」のエリアなら2つ、「4」のエリアなら4つの資源を貰えます。
使われなかった建物は 0 → 2 → 3 → 4 の順番で移動していくので、後で使うほど入手できる資源の量は多くなりますね。
ただし誰かに使われると0に戻ってしまうため、使うのは早い者勝ちです。

そしてこのゲームの大きな特徴は、資源の入手や使用に使う「資源管理ボード」。
このゲームの資源は、単純に数値で表わされている訳ではありません。



資源管理ボードは上の画像のようになっていて、左下が 0 です。
一番下の段はそこから右に行くに従って1つずつ数が増えていきます。
3のマスに木材のマーカーがあれば、木材を3つ持っていることになります。

そして2段目は一番左が3で、そこから 4・5・6 ・・・ と増えていきます。
3段目は一番左が6、4段目は9です。

資源を入手する際、使った建物に右向きの矢印が書かれていれば、マーカーは右に移動し、その分だけ資源が増えます。
しかし建物の中には上や左上の矢印もあります。

上向きの矢印なら1つ段が上がるごとに資源は3つ増えるので、2段上がれば一気に6つの資源を得られることになります。
しかし左上向きの矢印で、すでに一番左にマーカーがあった場合・・・ 左上に移動できないため、資源を増やすことは出来ません。
また上の段に昇れないまま一番右まで行ってしまうと、やはりそれ以上右には動かせません。

よって資源を得る時は、マーカーの位置を考慮して建物を選ぶ必要があります。
また資源を使う時も、マーカーをどちらに動かすか選べるので、今後を考えながら動かす必要がありますね。


※ルールの補足。 建物を動かす時に画面下に出て来るアイコンは売却で、その建物の価値(勝利点)の半額のコインを得られます。
「4+」のエリアの建物を使った時は、4の効果に加えてコインを1枚貰えます。
ただし 4+ のエリアの建物が使われなかった場合、その建物は翌日、強制的に売却されてしまいます。


資源はあくまで建物の建設に使うもので、勝敗の条件には直接関わっていません。
ゲームの目的は建物に付いている「勝利点」を稼ぐことで、カードに 10 と書かれている建物を建設すれば、ゲーム終了時に 10 点得られます。
その合計が高い方が勝利です。

なお、他のプレイヤーが建てた建物も使用することが出来ますが、その際に相手にコインを1枚支払わないといけません。
このコインの所持量も勝利点になります。

カードの効果は、主に以下のようになっています。

ル・アーブル 内陸港 資源施設
※普通の資源獲得施設。 3のエリアにあれば、資源を3つ得られる。

ル・アーブル 内陸港 資源施設2
※これは麦(黄色)を入手でき、それに加えて赤(レンガ)と茶色(木材)も1つ獲得できる。
麦は3のエリアにあれば3つ貰えるが、レンガと木材はエリアに関わらず1つだけ。
「+」ではなく「/」のカードの場合、得られるのはどちらか一方。


ル・アーブル 内陸港 引き替え施設
※コイン1枚と食糧資源2つを支払う事で、木材のマーカーを1段上げられる。
食糧資源(お鍋)は麦か魚のこと。 なお、3のエリアにあれば最大3段上げられる。


ル・アーブル 内陸港 複数資源施設
※カラフルな矢印マークは、複数の資源マーカーを同時に移動させられる。
上記の場合、3のエリアにある時は、3種類の資源を左上に1つ移動させられる。


ル・アーブル 内陸港 使用不可施設
※鍵マークがある施設は使用できない。
ただ、港のマークのカードは「Port」を所持している場合、1つ 10 点になる。
また勝利点のところに箱が書かれている場合、その色の資源の量だけ勝利点が増える。


ゲームは 12 日経過したら終了。
ただ、1日が経過するのに必要なターン数は徐々に伸びていくので、12 ターンで終わりではありません。
1プレイは1人用の場合、30 分ほどです。

ゲームモードはオンライン対戦の「Ranked Game」、近くの知人と対戦する「Casual Game」、1人用および本体を交互に使って対戦する「Local Game」の3つ。
ローカルゲームは4段階の難易度の AI と対戦できますが、このアプリはオンライン対戦をメインに考えられているようです。

オンライン対戦は(iOS 版は)Game Center を通してマッチングするため、Game Center をオンにしておかなければなりません。
マッチングされるまで放置して待つ必要がありますが、今はプレイヤーが多いようで、マッチングにかかる時間はそれほど長くありません。
また、ターン制の思考型ゲームであるため、プレイ中はラグも感じません。

しかし対戦だと相手の思考時間も含めて1プレイに 40 分以上かかるので、スマホアプリのドイツゲームとしては、あまり手軽とは言えませんね。


※ゲームモード選択画面。 Ranked Game に勝利すると ELO と呼ばれるプレイヤー評価が上昇し、ランキングも存在します。 またランクゲームでないと実績は獲得できません。
とりあえずはローカルゲームで慣れましょう。 Hard の AI はそれなりに手強いです。


確かにルールが複雑だった ルアーブル を、遊びやすくしたような感じのゲームです。
カードの効果もマークと数字で書かれているため、英語が読めなくても問題ありません。
最初は取っつき辛いかもしれませんが、何度かプレイすればすぐにコツがつかめるはず。

サンファン ほどの手軽さや、アグリコラ ほどの建設の自由さはありませんが、その間を取ったような内容で、オンラインプレイも備わっているため、ドイツゲームアプリとしては平均以上の作りだと思います。

ドイツゲーム(近年のボードゲーム)のファンなら、押さえておくべきアプリですね。

Le Havre: The Inland Port(iTunes が起動します)