2011年に発売された、3D で表現された広い世界で様々なクエストを請け負い、自由に冒険していくオープンワールドの RPG「Aralon」。
今となっては古くささを感じるゲームですが、その続編が約4年半の歳月を経て公開されました。
「Aralon: Forge and Flame」です。 通称 Aralon 2。
が、相変わらず古くさい・・・ なんだコレ? 今 2015 年だよな?
開発元は Crescent Moon というメーカーですが、約3年前に同社が公開した Ravensword: Shadowlands よりはるかに見た目がショボいってのはどういう事なんだ?
ゲームはまあ、海外のオープンワールド RPG らしい作りにはなっていますが・・・
色々ツッコミどころ満載のゲームなので、今回はそんな Aralon 2 の内容をプレイ日記風のレビューでお届けしたいと思います。
----------
【 Aralon 2 : 冒険の始まり 】
ゲームはまず、キャラクターメイキングから始まる。
人間の男女、エルフの男女、トロールの5つの種族から主人公を選べるのだが・・・
人間の男は濃すぎる、人間の女はおばさん、エルフは顔色が悪すぎる、トロールは怪物。
美男美女という言葉にはほど遠い。
ただまあ、洋ゲーらしいと言えばその通りである。
すでにキャラメイキングの時点で微妙な雰囲気が漂っていたのだが、オープニングデモが始まるともっと微妙になる。
ショボいのだ。 見た目が。 動きも。
フィールドにはほとんど何もなく、申し訳程度に柵が置かれているだけで、農園なのにまるで荒野。
草とか花とか、そういったオブジェが足りなさすぎる。
その後、主人公の父が殺され、ガックリと膝をつく主人公。
しかしその動きはいかにも機械的で、人間らしいリアルさを感じない。
悲劇的な場面なのに乾いた笑いを誘う。
そのあとの洞窟を抜けるシーンは、岩肌が綺麗に描かれているのでまだマシ。
しかし洞窟を抜けて盗賊と戦うシーンで、さらに違和感が。
バトルがショボいのだ。
いかにもモブキャラっぽいチープな動きで近寄ってきた盗賊が、何度か叩くとパタッと倒れる。
もうちょっとこう、リアルに表現できなかったのか・・・
戦闘もただ剣を振っていれば OK の、洋ゲーらしからぬ簡単なもの。
洋ゲー RPG の序盤と言えば理不尽な程の高難度で、工夫して育成しなければならない場合が多いが、このゲームにそんな雰囲気は微塵もなく、ボタン連打で簡単に敵が倒れ、レベルアップする。
まあ、序盤から難しすぎるのもどうかとは思うけど。
とりあえず農園の周囲の盗賊を、全く歯ごたえのない戦闘で討ち滅ぼし、馬を奪って旅に出る。
するとまともな顔の老人 OMARIN さんが何やら話しかけてきた。
イングリッシュで。
Aralon はクエスト主体で進むゲームだが、そういう海外のゲームは英文が読めないと進め辛く、良し悪しである。
ここでも何を言ってるのかサッパリ分からない。
ただ、このゲームはメニューのクエスト確認画面に、その内容が要約されている。
やるべき事は短い文章でまとめられているので、そこそこの英語力でも理解は出来る。
とりあえず TARYN RIDGE という場所の、OMARIN さんの家に行けば良いらしい。
馬でほんの少し進むと、大きな門が見えてきた。
ここが TARYN RIDGE の村の入口のようだ。 えらく近いな。
門は固く閉ざされていたが、馬を下りてタップすれば普通に入れる。
門が開くとか、そういうシャレた演出はこのゲームにはない。
村の中に入って最初に感じたのは・・・ やっぱりショボいということ。
相変わらず殺風景で、草や木はあるけど何かノッペリしている。
家も同じようなものが多く、中に入っても全く同じ作りであることが多い。
そして散策していて気が付いた。 このゲームには光と影が足りないのだ。
別に中二病な訳ではない。 ライティングとシャドウが存在しない。
人物にも建物にも影がなく、光源もない。
たとえそれらがなくても、他の 3D のゲームはそういうのを感じさせるテクスチャが描かれているものだが、そういう描かれ方もない。
だからノッペリしている印象を受ける。
まあ文句を言っていてもしょうがない。
とりあえずいくつかの建物を巡り、クエストやアイテムはないかと探してみることにした。
するとある家でタンスを調べたところで、おもむろに主人公が剣を抜く。
そして近くにいた農民が急に赤くなる。
なんだコレ? 盗みになったと言うことか?
取っても OK のタンスもあったのだが、赤く表示されるタンスはどうやらダメだったらしい。
なんとか弁解したいが農民は全く反応しない。
仕方なく外に出てみると、ガードがこちらに走ってくる。
いや、ちょっと待って、別に犯罪を犯すつもりは
ドカバキ!! おふぅー
問答無用で死刑。 まさか最初の死がガードの正義の鉄槌とは・・・
だがこのゲームにはオートセーブがあるので、直前からやり直せる。
すぐ再開し、農民の家に再び現われる主人公。
だが、農民がまだ赤い。 ありゃ、ダメじゃん。 これ窃盗後じゃん。
なんとか解除できないか色々やってみたが反応しない。
仕方なく剣を抜いて農民を叩いてみたら、アッサリ死んだ。 窃盗が強盗殺人にグレードアップ。
外に出たらガードが2人お出迎え。
ドカバキ!!
こうして Aralon: Forge and Flame の冒険は、タンスを漁って終わりを迎えたのであった・・・
= 完 =
----------
途中でセーブしてないので、最初からやり直しである。
役に立たねぇオートセーブだな・・・
ともあれ最初の冒険を終えて、このゲームについて考えてみる。
Crescent Moon は 2013 年初頭に Ravensword: Shadowlands を公開している。
そのグラフィックは非常に素晴らしく、世界も広大で、好みはあるだろうがオープンワールド RPG としての完成度は高かった。
2014 年にはダンジョン探索型だが、やはりグラフィックのレベルの高い Coldfire Keep を公開している。
しかしその後にコレである。 どう見ても 2015 年のゲームではない。
どうしてこうなった。
これでは 2010 年に公開された初代 Aralon と技術的に変わらないではないか・・・
・・・ああ、そうか。 これは変えていないのだ。
現代でもファミコン時代のドットグラフィックのゲームは盛んに作られていて、愛されている。
このゲームは初期の iPhone の 3D ゲームや、15 年ほど前の初期の 3D オープンワールドを再現した、レトロゲームなのだ。
カクカクポリゴンが懐かしく、洗練されていないシステムにノスタルジーを感じ、リアルさのない動きにも愛着を持つ、そんな人のためのゲームなのだ。
ああ、やっと解った。 それがこのゲームのコンセプトだったのだ。
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【 Aralon 2 : 冒険の始まり 】
ゲームはまず、キャラクターメイキングから始まる。
このゲームの真のコンセプトを理解した私に、濃すぎるブサイクな男キャラは、むしろ愛らしい。
そこには洋ゲーらしいデザインセンスを感じることが出来る。
殺風景な農園には郷愁さえ感じる懐かしさがあり、チープな動きの盗賊たちは古き良き PC ゲームを思い出させてくれる。 狭いフィールドのおかげで移動にも時間はかからない。
村の寂しい景色にもワビサビを感じる。
レトロ再現ゲームとして見ると、このゲームは全てが素晴らしい。
とりあえずタンスや箱には手を付けず、村の人と話していると、クエストをくれる娘を発見。
なんでも水の中に指輪を落っことしたらしい。
「私は濡れるのが嫌だからお前が取ってこい」ということのようだ。
このゲームは水の中に入れば泳ぐことができ、潜水も出来る。
とりあえずその辺の入り江に潜って探索してみると、ゴールドリングを発見。
海底にいる牡蠣を調べると、真珠が見つかることもある。
水中には魚も泳いでいて、地上は殺風景なのに、水の中は割としっかり作られている。
このゲームの力の入れ場所がよく解らない。
指輪を娘に返すと、海賊のお宝があるという洞窟の話を教えてくれた。
一旦外に出て、マップで確認してみる。
このゲームは町やフィールドで、いつでも地図を見ることが出来る。
そこには地名も書かれているので、行き先が解らない時はこれでチェック可能だ。
どうやら洞窟は海岸にあるようだが・・・
いつまでも町にいても仕方ないので、馬に乗って南下する。
するとノール(GNOLL)の皆さんが。
そう言えばガードがノール退治のクエストを依頼してたな・・・
ノールの強さは盗賊と大差なく、剣で数回小突くとパタッと倒れた。
例によって戦闘はあっけないが、近くにある坂道が気になる。
坂を昇り、さらに崖をよじ登った先には、なにやら古代遺跡らしき場所が・・・
だがここには、強ノールやノールメイジがひしめいていた!
さすがにこの連中には歯が立たない。 ここは一旦逃げるしかない!
遺跡の入口で画面が切り替わるので、強ノールは追ってこない。
とりあえずここは後回しにするしかないだろう。
傷は立ち止まっていれば自然に回復していく。
今は海賊のお宝とやらがある洞窟に向かおう。
馬で道を進み、海岸に辿り着いたら、周囲を探索する。
海岸は例によって殺風景で、海の美しさなど微塵も感じられない。
だが、すでに悟っている私には、この荒涼とした海辺も殺伐とした世界観を醸し出してくれているように見える。
寄せては返す波の表現も、相応に綺麗だ。
洞窟は岩をよじ登った先で見つかった。
ノールが何体か待ち受けていたが、弱いノールはもう敵ではない。
洞窟の中は滝が流れており、やはりここもノールの巣になっていた。
しかし強ノールは少なく、敵が密集していないため慎重に近付けば袋叩きにされることもない。
ノールを倒しまくってクエストの条件を達成、さらにレベルも上がり、スキルやステータスもアップ。
スキルや攻撃技は職業ごとに複数用意されていて自由に習得していくことが出来る。
似たような技ばかりの気もするが。
洞窟の奥では海賊のお宝らしい宝箱も発見できた。
数々の防具と強力な斧を発見でき、特に斧のパワーは素晴らしく、強ノールも数回殴ればダウンする。
ただ、この人相で斧なんか持った日には凶悪犯罪者にしか見えない。
なお、宝箱の中身はランダムのようで、手に入るものはその都度異なるようだ。
この斧のパワーがあれば、断念した遺跡の探索も行えるのではないか?
そう思い、再びノールが守る崖の上の古代遺跡へ戻る。
倒せる、倒せるぞ。 私にも強ノールが倒せる。
斧をブンブン振り回すコワモテ主人公の前にノールは敵ではなく、割とアッサリ遺跡の奥へ。
そこにあったのは湖。 そして・・・ 沈んだ神殿!
危険な気もしたが見つけたものは入るしかない。
こんな探索クエストは請け負っていないが、今作は Ravensword のようにクエストに直接関わらない探索場所も用意されているようだ。
しかし中には、やっぱり強敵が!
どっかの本多忠勝のような鹿角の兜をかぶったスケルトン軍団が襲来してくる。
しかもスケルトンメイジは火の玉を放ってくる!
殴り合っても明らかに不利、さすがにこれは死ぬ!
一目散に入口に戻り、泳いで出ようとするのだが、なんとスケルトンも泳いで追ってきた。
その細腕で良く泳げるな。 それで攻撃とか出来るのか?
・・・出来ないらしい。 こっちも出来ないけど。
互いに攻撃できないので、水をかいてプカプカと浮きながら、仲良くにらめっこするスケルトンと主人公。
マヌケであるが、レトロゲームらしい和みの風景である。
この状態なら、自分だけ上陸して、水にいる相手を殴ればノーダメージで倒せるんじゃない?
倒せた。
「そんなおバカな不具合が残ってるなんてw」 と最近のゲームしか知らない人は思うかもしれない。
しかしこれがレトロ・オープンワールド・RPG の醍醐味である。
仕様や AI のスキを突き、ウラワザ的に敵を倒す。
どう見てもバグだけど、「あえて残されてるんじゃないか?」とも思える方法で難関を攻略する。
それが古き良き時代の RPG である。
きっとコレも、それを見つけたプレイヤーを喜ばせるためにあえて残されているに違いない。
その後、「ここに入ったら死ぬ」と思ってしまうようなトラップも、いつでも可能なセーブの連発で切り抜け、遺跡の最深部へ。
だが、やっぱりいた。
神殿の最深部でボス的に待ち構える3体のスケルトン軍団。 もう水場はない。
「トラップの場所まで逃げれば相手は追って来れないだろう」と思い、移動床などの罠がある場所まで逃げたのだが、スケルトンは床を器用に乗り移って追いかけてきた。
水で無抵抗になるのにトラップには対応する。
相変わらずこのゲームの作りの方向性が解らない。
何度か死んで、今の状態ではレベルと装備が足りないと判断。
だが、ここまで来て戻るのはさすがに悔しい。
何とか出来ないものか・・・
とりあえずスケルトン軍団に近付いた後、脇にある壁の裏に隠れて対応法を探ることにした。
敵はこちらにまっすぐ向かってくるので、間に壁があると引っかかる。
で、何の気になしに斧を振ってみると・・・ 壁の向こうの敵にヒット。
壁越しアタックでスケルトン軍団全滅。
あぁ、ありがとう開発者の皆さん、こんな攻略法をワザと残していてくれて。
レトロ 3D RPG のお約束を忠実に再現してくれて。
壁越しの攻撃でボスも倒せる。 なんというノスタルジー。
こうして無事に神殿の深部でゴールドと数々の装備、謎の宝石を手に入れた。
いらない装備がかなり増え、お金も貯まったので、一旦村に戻って装備を改める。
不要品を売却し、より強い剣を購入、さらに二刀流がしたかったのでサブウェポンを装備する。
このゲームにはプライマリとセカンダリの2種類の武器があり、セカンダリは利き手でない方に装備する二刀流用の武器になっている。
二刀流にしたのは、単にその方がカッコイイから。 って言うか盾が全然見つからないんだが・・・
盛大に寄り道していたが、そろそろ本編に戻ることにする。
村の OMARIN さんの家に行くと、RUBY'S NOOSE という場所に行けと言われた。
どんなところかさっぱり解らないが、場所は地図で確認できる。 海岸の先のようだ。
海岸では盗賊やカニが襲いかかって来たが、古代遺跡のボスさえも(壁越しに)打倒した私の敵ではない。
二刀流でザクザク切り刻み、目的地の RUBY'S NOOSE へ。
どうやら洞窟らしい。
RUBY'S NOOSE の洞窟の岩肌は、書き込みがすごい。
まるで最近発売されたばかりのゲームのようだ。
どうしたんだコレ? これは Aralon 2 じゃなかったのか?
何を間違ったのか、ここで開発者は全力を出してしまったらしい。
古き良きレトログラフィックは消え失せている。
洞窟の先は、海賊船が停泊する盗賊達の隠れ家になっていた。
襲ってくる盗賊を打倒し、船の中に入ると、そこにいたのは父を殺した仇敵。
若干手強かったが、いつも通りの剣攻撃とスキルの使用で片付ける。
プレイヤーを選別してしまう複雑なテクニックは、このゲームでは廃されている。
彼は悪役のお約束通り「冥土の土産」を語ってくれたが、英語なのでよく解らない。
だが彼の部屋の手紙には、CALLAHEIM の町のロイヤルパレスに住む、LADY DANEKA の名前が書かれていた・・・
----------
旅はまだ続くが、日誌はここまでにしたい。
この後はトロールの集落のある沼地を抜け、王宮のある CALLAHEIM の街へと向かう。
この街のグラフィックは、これまでの殺風景さが嘘であったかのように作り込まれている。
相変わらず陰影はないが、このグラフィックなら「2015 年のゲーム」と言われても信じるだろう。
どうして最初で手を抜いて、途中から力を入れるのか。
普通は逆じゃないのか。 マネジメント的にどうなのか。 壮大なシャレなのか。
各所に鍵のかかった箱があるが、ロックピックはどこにあるのか。
盾スキルがあるのに盾はどこで手に入るのか。
まだまだツッ込み足りないが、これ以上のツッ込みは、ここをご覧の冒険者の方にお任せしたい。
※ヘンなところをすり抜けて、家の床下に入ったところ。 この辺もレトロオープンワールドの醍醐味である。
----------
以上、Aralon: Forge and Flame のプレイレビューでした。
古いレトロゲームの再現、というのは半分ジョークですが半分本気です。
そういうゲームだと思って始めた方が良いでしょう。
色々あるバグについてはアップデートで対応していくようですが、すり抜けバグとか壁越しアタックとかは、本当に「お約束」として容認している気もしますね。
初代 Aralon(iTunes 起動)は国内外にファンの多いゲームですが、私は英文クエストが主体のゲームであった事と、今となってはグラフィックが辛いので、そこまで評価していませんでした。
だからハードルが低いところからスタートしたので、むしろ中盤から楽しめている感じです。
(序盤はマジでガックリ来てた)
ただ「最新の Aralon が楽しめるんだ!」と思っていたファンの方だと、終始ガッカリが否めない模様。
まあ私も、あの Ravensword: Shadowlands から約3年経って公開された、新作のオープンワールド RPG だったので、拍子抜けしたのは否めませんが。
でもそこまでハードルを上げていなければ、相応に楽しめる RPG だと思います。
アプリの定価は 600 円。 買い切りゲームなので広告や課金などは一切ありません。
良くも悪くも「話題作」ですね。
・Aralon: Forge and Flame(iTunes が起動します)
今となっては古くささを感じるゲームですが、その続編が約4年半の歳月を経て公開されました。
「Aralon: Forge and Flame」です。 通称 Aralon 2。
が、相変わらず古くさい・・・ なんだコレ? 今 2015 年だよな?
開発元は Crescent Moon というメーカーですが、約3年前に同社が公開した Ravensword: Shadowlands よりはるかに見た目がショボいってのはどういう事なんだ?
ゲームはまあ、海外のオープンワールド RPG らしい作りにはなっていますが・・・
色々ツッコミどころ満載のゲームなので、今回はそんな Aralon 2 の内容をプレイ日記風のレビューでお届けしたいと思います。
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【 Aralon 2 : 冒険の始まり 】
ゲームはまず、キャラクターメイキングから始まる。
人間の男女、エルフの男女、トロールの5つの種族から主人公を選べるのだが・・・
人間の男は濃すぎる、人間の女はおばさん、エルフは顔色が悪すぎる、トロールは怪物。
美男美女という言葉にはほど遠い。
ただまあ、洋ゲーらしいと言えばその通りである。
すでにキャラメイキングの時点で微妙な雰囲気が漂っていたのだが、オープニングデモが始まるともっと微妙になる。
ショボいのだ。 見た目が。 動きも。
フィールドにはほとんど何もなく、申し訳程度に柵が置かれているだけで、農園なのにまるで荒野。
草とか花とか、そういったオブジェが足りなさすぎる。
その後、主人公の父が殺され、ガックリと膝をつく主人公。
しかしその動きはいかにも機械的で、人間らしいリアルさを感じない。
悲劇的な場面なのに乾いた笑いを誘う。
そのあとの洞窟を抜けるシーンは、岩肌が綺麗に描かれているのでまだマシ。
しかし洞窟を抜けて盗賊と戦うシーンで、さらに違和感が。
バトルがショボいのだ。
いかにもモブキャラっぽいチープな動きで近寄ってきた盗賊が、何度か叩くとパタッと倒れる。
もうちょっとこう、リアルに表現できなかったのか・・・
戦闘もただ剣を振っていれば OK の、洋ゲーらしからぬ簡単なもの。
洋ゲー RPG の序盤と言えば理不尽な程の高難度で、工夫して育成しなければならない場合が多いが、このゲームにそんな雰囲気は微塵もなく、ボタン連打で簡単に敵が倒れ、レベルアップする。
まあ、序盤から難しすぎるのもどうかとは思うけど。
とりあえず農園の周囲の盗賊を、全く歯ごたえのない戦闘で討ち滅ぼし、馬を奪って旅に出る。
するとまともな顔の老人 OMARIN さんが何やら話しかけてきた。
イングリッシュで。
Aralon はクエスト主体で進むゲームだが、そういう海外のゲームは英文が読めないと進め辛く、良し悪しである。
ここでも何を言ってるのかサッパリ分からない。
ただ、このゲームはメニューのクエスト確認画面に、その内容が要約されている。
やるべき事は短い文章でまとめられているので、そこそこの英語力でも理解は出来る。
とりあえず TARYN RIDGE という場所の、OMARIN さんの家に行けば良いらしい。
馬でほんの少し進むと、大きな門が見えてきた。
ここが TARYN RIDGE の村の入口のようだ。 えらく近いな。
門は固く閉ざされていたが、馬を下りてタップすれば普通に入れる。
門が開くとか、そういうシャレた演出はこのゲームにはない。
村の中に入って最初に感じたのは・・・ やっぱりショボいということ。
相変わらず殺風景で、草や木はあるけど何かノッペリしている。
家も同じようなものが多く、中に入っても全く同じ作りであることが多い。
そして散策していて気が付いた。 このゲームには光と影が足りないのだ。
別に中二病な訳ではない。 ライティングとシャドウが存在しない。
人物にも建物にも影がなく、光源もない。
たとえそれらがなくても、他の 3D のゲームはそういうのを感じさせるテクスチャが描かれているものだが、そういう描かれ方もない。
だからノッペリしている印象を受ける。
まあ文句を言っていてもしょうがない。
とりあえずいくつかの建物を巡り、クエストやアイテムはないかと探してみることにした。
するとある家でタンスを調べたところで、おもむろに主人公が剣を抜く。
そして近くにいた農民が急に赤くなる。
なんだコレ? 盗みになったと言うことか?
取っても OK のタンスもあったのだが、赤く表示されるタンスはどうやらダメだったらしい。
なんとか弁解したいが農民は全く反応しない。
仕方なく外に出てみると、ガードがこちらに走ってくる。
いや、ちょっと待って、別に犯罪を犯すつもりは
ドカバキ!! おふぅー
問答無用で死刑。 まさか最初の死がガードの正義の鉄槌とは・・・
だがこのゲームにはオートセーブがあるので、直前からやり直せる。
すぐ再開し、農民の家に再び現われる主人公。
だが、農民がまだ赤い。 ありゃ、ダメじゃん。 これ窃盗後じゃん。
なんとか解除できないか色々やってみたが反応しない。
仕方なく剣を抜いて農民を叩いてみたら、アッサリ死んだ。 窃盗が強盗殺人にグレードアップ。
外に出たらガードが2人お出迎え。
ドカバキ!!
こうして Aralon: Forge and Flame の冒険は、タンスを漁って終わりを迎えたのであった・・・
= 完 =
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途中でセーブしてないので、最初からやり直しである。
役に立たねぇオートセーブだな・・・
ともあれ最初の冒険を終えて、このゲームについて考えてみる。
Crescent Moon は 2013 年初頭に Ravensword: Shadowlands を公開している。
そのグラフィックは非常に素晴らしく、世界も広大で、好みはあるだろうがオープンワールド RPG としての完成度は高かった。
2014 年にはダンジョン探索型だが、やはりグラフィックのレベルの高い Coldfire Keep を公開している。
しかしその後にコレである。 どう見ても 2015 年のゲームではない。
どうしてこうなった。
これでは 2010 年に公開された初代 Aralon と技術的に変わらないではないか・・・
・・・ああ、そうか。 これは変えていないのだ。
現代でもファミコン時代のドットグラフィックのゲームは盛んに作られていて、愛されている。
このゲームは初期の iPhone の 3D ゲームや、15 年ほど前の初期の 3D オープンワールドを再現した、レトロゲームなのだ。
カクカクポリゴンが懐かしく、洗練されていないシステムにノスタルジーを感じ、リアルさのない動きにも愛着を持つ、そんな人のためのゲームなのだ。
ああ、やっと解った。 それがこのゲームのコンセプトだったのだ。
----------
【 Aralon 2 : 冒険の始まり 】
ゲームはまず、キャラクターメイキングから始まる。
このゲームの真のコンセプトを理解した私に、濃すぎるブサイクな男キャラは、むしろ愛らしい。
そこには洋ゲーらしいデザインセンスを感じることが出来る。
殺風景な農園には郷愁さえ感じる懐かしさがあり、チープな動きの盗賊たちは古き良き PC ゲームを思い出させてくれる。 狭いフィールドのおかげで移動にも時間はかからない。
村の寂しい景色にもワビサビを感じる。
レトロ再現ゲームとして見ると、このゲームは全てが素晴らしい。
とりあえずタンスや箱には手を付けず、村の人と話していると、クエストをくれる娘を発見。
なんでも水の中に指輪を落っことしたらしい。
「私は濡れるのが嫌だからお前が取ってこい」ということのようだ。
このゲームは水の中に入れば泳ぐことができ、潜水も出来る。
とりあえずその辺の入り江に潜って探索してみると、ゴールドリングを発見。
海底にいる牡蠣を調べると、真珠が見つかることもある。
水中には魚も泳いでいて、地上は殺風景なのに、水の中は割としっかり作られている。
このゲームの力の入れ場所がよく解らない。
指輪を娘に返すと、海賊のお宝があるという洞窟の話を教えてくれた。
一旦外に出て、マップで確認してみる。
このゲームは町やフィールドで、いつでも地図を見ることが出来る。
そこには地名も書かれているので、行き先が解らない時はこれでチェック可能だ。
どうやら洞窟は海岸にあるようだが・・・
いつまでも町にいても仕方ないので、馬に乗って南下する。
するとノール(GNOLL)の皆さんが。
そう言えばガードがノール退治のクエストを依頼してたな・・・
ノールの強さは盗賊と大差なく、剣で数回小突くとパタッと倒れた。
例によって戦闘はあっけないが、近くにある坂道が気になる。
坂を昇り、さらに崖をよじ登った先には、なにやら古代遺跡らしき場所が・・・
だがここには、強ノールやノールメイジがひしめいていた!
さすがにこの連中には歯が立たない。 ここは一旦逃げるしかない!
遺跡の入口で画面が切り替わるので、強ノールは追ってこない。
とりあえずここは後回しにするしかないだろう。
傷は立ち止まっていれば自然に回復していく。
今は海賊のお宝とやらがある洞窟に向かおう。
馬で道を進み、海岸に辿り着いたら、周囲を探索する。
海岸は例によって殺風景で、海の美しさなど微塵も感じられない。
だが、すでに悟っている私には、この荒涼とした海辺も殺伐とした世界観を醸し出してくれているように見える。
寄せては返す波の表現も、相応に綺麗だ。
洞窟は岩をよじ登った先で見つかった。
ノールが何体か待ち受けていたが、弱いノールはもう敵ではない。
洞窟の中は滝が流れており、やはりここもノールの巣になっていた。
しかし強ノールは少なく、敵が密集していないため慎重に近付けば袋叩きにされることもない。
ノールを倒しまくってクエストの条件を達成、さらにレベルも上がり、スキルやステータスもアップ。
スキルや攻撃技は職業ごとに複数用意されていて自由に習得していくことが出来る。
似たような技ばかりの気もするが。
洞窟の奥では海賊のお宝らしい宝箱も発見できた。
数々の防具と強力な斧を発見でき、特に斧のパワーは素晴らしく、強ノールも数回殴ればダウンする。
ただ、この人相で斧なんか持った日には凶悪犯罪者にしか見えない。
なお、宝箱の中身はランダムのようで、手に入るものはその都度異なるようだ。
この斧のパワーがあれば、断念した遺跡の探索も行えるのではないか?
そう思い、再びノールが守る崖の上の古代遺跡へ戻る。
倒せる、倒せるぞ。 私にも強ノールが倒せる。
斧をブンブン振り回すコワモテ主人公の前にノールは敵ではなく、割とアッサリ遺跡の奥へ。
そこにあったのは湖。 そして・・・ 沈んだ神殿!
危険な気もしたが見つけたものは入るしかない。
こんな探索クエストは請け負っていないが、今作は Ravensword のようにクエストに直接関わらない探索場所も用意されているようだ。
しかし中には、やっぱり強敵が!
どっかの本多忠勝のような鹿角の兜をかぶったスケルトン軍団が襲来してくる。
しかもスケルトンメイジは火の玉を放ってくる!
殴り合っても明らかに不利、さすがにこれは死ぬ!
一目散に入口に戻り、泳いで出ようとするのだが、なんとスケルトンも泳いで追ってきた。
その細腕で良く泳げるな。 それで攻撃とか出来るのか?
・・・出来ないらしい。 こっちも出来ないけど。
互いに攻撃できないので、水をかいてプカプカと浮きながら、仲良くにらめっこするスケルトンと主人公。
マヌケであるが、レトロゲームらしい和みの風景である。
この状態なら、自分だけ上陸して、水にいる相手を殴ればノーダメージで倒せるんじゃない?
倒せた。
「そんなおバカな不具合が残ってるなんてw」 と最近のゲームしか知らない人は思うかもしれない。
しかしこれがレトロ・オープンワールド・RPG の醍醐味である。
仕様や AI のスキを突き、ウラワザ的に敵を倒す。
どう見てもバグだけど、「あえて残されてるんじゃないか?」とも思える方法で難関を攻略する。
それが古き良き時代の RPG である。
きっとコレも、それを見つけたプレイヤーを喜ばせるためにあえて残されているに違いない。
その後、「ここに入ったら死ぬ」と思ってしまうようなトラップも、いつでも可能なセーブの連発で切り抜け、遺跡の最深部へ。
だが、やっぱりいた。
神殿の最深部でボス的に待ち構える3体のスケルトン軍団。 もう水場はない。
「トラップの場所まで逃げれば相手は追って来れないだろう」と思い、移動床などの罠がある場所まで逃げたのだが、スケルトンは床を器用に乗り移って追いかけてきた。
水で無抵抗になるのにトラップには対応する。
相変わらずこのゲームの作りの方向性が解らない。
何度か死んで、今の状態ではレベルと装備が足りないと判断。
だが、ここまで来て戻るのはさすがに悔しい。
何とか出来ないものか・・・
とりあえずスケルトン軍団に近付いた後、脇にある壁の裏に隠れて対応法を探ることにした。
敵はこちらにまっすぐ向かってくるので、間に壁があると引っかかる。
で、何の気になしに斧を振ってみると・・・ 壁の向こうの敵にヒット。
壁越しアタックでスケルトン軍団全滅。
あぁ、ありがとう開発者の皆さん、こんな攻略法をワザと残していてくれて。
レトロ 3D RPG のお約束を忠実に再現してくれて。
壁越しの攻撃でボスも倒せる。 なんというノスタルジー。
こうして無事に神殿の深部でゴールドと数々の装備、謎の宝石を手に入れた。
いらない装備がかなり増え、お金も貯まったので、一旦村に戻って装備を改める。
不要品を売却し、より強い剣を購入、さらに二刀流がしたかったのでサブウェポンを装備する。
このゲームにはプライマリとセカンダリの2種類の武器があり、セカンダリは利き手でない方に装備する二刀流用の武器になっている。
二刀流にしたのは、単にその方がカッコイイから。 って言うか盾が全然見つからないんだが・・・
盛大に寄り道していたが、そろそろ本編に戻ることにする。
村の OMARIN さんの家に行くと、RUBY'S NOOSE という場所に行けと言われた。
どんなところかさっぱり解らないが、場所は地図で確認できる。 海岸の先のようだ。
海岸では盗賊やカニが襲いかかって来たが、古代遺跡のボスさえも(壁越しに)打倒した私の敵ではない。
二刀流でザクザク切り刻み、目的地の RUBY'S NOOSE へ。
どうやら洞窟らしい。
RUBY'S NOOSE の洞窟の岩肌は、書き込みがすごい。
まるで最近発売されたばかりのゲームのようだ。
どうしたんだコレ? これは Aralon 2 じゃなかったのか?
何を間違ったのか、ここで開発者は全力を出してしまったらしい。
古き良きレトログラフィックは消え失せている。
洞窟の先は、海賊船が停泊する盗賊達の隠れ家になっていた。
襲ってくる盗賊を打倒し、船の中に入ると、そこにいたのは父を殺した仇敵。
若干手強かったが、いつも通りの剣攻撃とスキルの使用で片付ける。
プレイヤーを選別してしまう複雑なテクニックは、このゲームでは廃されている。
彼は悪役のお約束通り「冥土の土産」を語ってくれたが、英語なのでよく解らない。
だが彼の部屋の手紙には、CALLAHEIM の町のロイヤルパレスに住む、LADY DANEKA の名前が書かれていた・・・
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旅はまだ続くが、日誌はここまでにしたい。
この後はトロールの集落のある沼地を抜け、王宮のある CALLAHEIM の街へと向かう。
この街のグラフィックは、これまでの殺風景さが嘘であったかのように作り込まれている。
相変わらず陰影はないが、このグラフィックなら「2015 年のゲーム」と言われても信じるだろう。
どうして最初で手を抜いて、途中から力を入れるのか。
普通は逆じゃないのか。 マネジメント的にどうなのか。 壮大なシャレなのか。
各所に鍵のかかった箱があるが、ロックピックはどこにあるのか。
盾スキルがあるのに盾はどこで手に入るのか。
まだまだツッ込み足りないが、これ以上のツッ込みは、ここをご覧の冒険者の方にお任せしたい。
※ヘンなところをすり抜けて、家の床下に入ったところ。 この辺もレトロオープンワールドの醍醐味である。
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以上、Aralon: Forge and Flame のプレイレビューでした。
古いレトロゲームの再現、というのは半分ジョークですが半分本気です。
そういうゲームだと思って始めた方が良いでしょう。
色々あるバグについてはアップデートで対応していくようですが、すり抜けバグとか壁越しアタックとかは、本当に「お約束」として容認している気もしますね。
初代 Aralon(iTunes 起動)は国内外にファンの多いゲームですが、私は英文クエストが主体のゲームであった事と、今となってはグラフィックが辛いので、そこまで評価していませんでした。
だからハードルが低いところからスタートしたので、むしろ中盤から楽しめている感じです。
(序盤はマジでガックリ来てた)
ただ「最新の Aralon が楽しめるんだ!」と思っていたファンの方だと、終始ガッカリが否めない模様。
まあ私も、あの Ravensword: Shadowlands から約3年経って公開された、新作のオープンワールド RPG だったので、拍子抜けしたのは否めませんが。
でもそこまでハードルを上げていなければ、相応に楽しめる RPG だと思います。
アプリの定価は 600 円。 買い切りゲームなので広告や課金などは一切ありません。
良くも悪くも「話題作」ですね。
・Aralon: Forge and Flame(iTunes が起動します)
影はたしかライティングをHighにすれば出ます。
あと、レポートが終わった時点が、一番面白いところで、あとは完全に一本道でクエストもありませんので、ぜひ最後までやってみてください。