※このゲームは 2016年11月 にサービス終了しました。

近代 RTS(リアルタイム制の戦略シミュレーション)の原点にして、PC オンライン対戦ゲームの中興の祖とも言える、文明の興亡をテーマにした大ヒットゲーム「Age of Empires」、通称 AoE。
そのライセンスを得て Klab が制作していたスマホ版 AoE が、先日ようやく公開されました。
Age of Empires: World Domination」です。

Klab が AoE のライセンス契約発表を行ったのは 2013 年の6月。
その後、ムービーなどが公開され、2014 年の夏に発売される予定だったのですが、秋に延期、冬に延期、2015 年に延期、そして音沙汰なし。

とうとう後から発表された Age of Empires: Castle Siege の方が先に公開されてしまい、このままポシャるのではないかと思っていたのですが・・・
ようやく先日、正式スタートが始まりました。

内容としては、AoE:CS のようなクラクラ系ではなく、ちゃんと RTS になっています。
しかし本家の AoE からは程遠い「スマホに最適化した内容」。
無論、オリジナルをスマホでそのまま出すのは色々辛い訳ですが、もはや別物と言った感じですね。

アプリ本体は無料で、スタミナ制ではありませんが、兵士の生産には時間の経過が必要です。
村作りのシーンもあり、ここはいわゆる「農園ゲーム」になっていて、やはり資源の収穫などに待ち時間が必要。
武将はガチャで入手します。

Age of Empires: World Domination

Age of Empires: World Domination

戦闘が始まると、フィールドの端にポツンと自軍の城が置かれています。
まずは城をタップし、出撃する武将を選択。
兵士は8人前後が武将に率いられていて、オリジナルのように多人数でワラワラ攻めていく訳ではありません。
出撃させられる武将は5人まで。

武将は基本的に自動で行動しますが、ドラッグすると移動先を指示することが可能。
指でなぞって移動ルートを指定することも出来ます。

攻撃命令を出している部隊が敵に近付くと自動で戦闘開始。
兵士には 剣兵・騎兵・槍兵・弓兵 の4種類があり、槍は馬に、馬は弓に、弓は槍に強い特性がありますが、剣兵は誰に対しても有利不利はありません。

ただ、武将に命令が出ていない(移動後に待機中)の場合、近くに敵がいても立ちっぱなしになります。
攻撃されても反撃さえしないので、ここはどうにかして欲しいですね。
また防御命令を出すと城の周囲で待機し、近付いてきた敵を迎撃しますが、城以外の場所を守る指示は出来ないので、正直 RTS としてはインターフェイスは融通が利かない印象です。

フィールドは最初は黒い目隠し状態になっていて、部隊で探索しなければどこに何があるか解りません。
そして「資源地」を見つけ、その近くに「保管所」を作ることで、物資の採集を行えます。

兵士を出したり施設を作るには「BR」(バトルリソース)と呼ばれるポイントが必要で、資源地の近くに保管所があれば BR の増加速度が速まります。
他にも BR に余裕があれば、敵を迎撃する、攻城兵器を生産する組立所、武将を出撃させられる前線基地などを建設することも出来ます。

目的は敵の城の破壊。 城は割とあっけなく陥落し、複数の部隊で攻め込めば容易に落ちます。
1ステージにかかる時間も2~3分ほどで、短時間で終わります。
よって無理に攻城兵器は必要なく、BR に余裕があるなら作る感じでしょうか。

壁なども作れないので、残念ながら本家 AoE らしい城の攻防戦はありません。
ただ壁の建設や破壊があったらゲームが長くなり、難易度も上がりますから、そこはスマホ向けに省略したということなのでしょうね。

Age of Empires: World Domination
※最初は周囲は真っ暗。 部隊を出し、周囲を見渡すように移動させ、近場に資源地がないかチェックしましょう。
探索は移動力のある騎馬で行うのが良く、スピードアップの特技を持つ武将ならさらに良いです。


Age of Empires: World Domination
※武将には命令を出せますが、これは行動方針ではなく、完全に自動化します。
特定の場所で待機して近寄ってきた敵を攻撃、みたいな命令は出せないので、微妙に不便。
まあこちらの武将の方が強いなら、出撃させて攻撃命令出しとけば勝てますが・・・


戦闘に勝つと物資を得られますが、使用した兵はなくなります。
村に生産施設を作って物資の生産力を増やし、練兵場を作って兵士を補充しなければなりません。

村開発のシーンは良くある一般的な「農園ゲーム」で、生産や練兵には時間の経過が必要、生み出された物資はタップで回収します。
クラクラ系ではないので、村が戦場になることはありません。

一応 AoE らしく、村のレベルが上がると上の時代に進化して外観が変わり、新しい兵士の研究も行えるようになります。
ただシステムとしては、特徴的なものがある訳ではありませんね。

ステージは簡易的なストーリーがあるソロプレイ用のものと、他プレイヤーと戦うものがあります。
しかし他プレイヤー戦もリアルタイムの対戦ではなく、相手プレイヤーの武将と兵士が出て来るだけで、動かすのはコンピューターです。
村で待機している時に挑まれると迎撃戦を行えるらしいのですが、一度もそういうケースに遭遇したことはありません・・・

前述したように武将はガチャで入手し、もちろん課金通貨が必要です。
ただ課金通貨はゲームの進行でも相応に貯まりますね。
武将は織田信長や呂布、ジャンヌダルクやエドワード黒太子など、各国の歴史上の人物になっています。

Age of Empires: World Domination
※武将と兵士の編成画面。 兵士は作って貯めておくことも出来ますが、物資がない時は戦闘ごとに生産と完成待ちを行わなければなりません。
この点だけはクラクラ系に近い感じですね。


Age of Empires: World Domination
※武将の1人、美濃のマムシ斎藤道三。 人選がシブい。 イラストも良いです。
スキルは忙しいと使い忘れがちですが、強力なものが多いのでお忘れなく。


ゲームとしての私的な評価は、なんとも微妙です・・・
単に悪いという意味ではなく、評価し辛いという意味です。

AoE の名にふさわしい本格 RTS を期待している人だと、間違いなくガッカリします。
出陣できる武将は5人、つまり使えるユニットは5つ。
実質、ユニットが5体の RTS であり、100 対 100 とかの戦闘が繰り広げられていた本家とは比較になりません。

農民が何十人もワラワラと物資を採集してたりすることもなく、数々の施設を用意する必要もなく、それを襲撃して破壊と殺戮の限りを尽くすこともありません。
壁で守りをかためて鉄壁の守備を構築したり、それを投石機などで打ち破ったりすることもありません。

ただ、そんなゲームをスマホで再現しても操作が困難になるのは目に見えているし、付いて来れない人も多いでしょう。
スマホの画面サイズ、タッチパネルでの操作、スマホに適したプレイ時間などを考慮すると、この辺が着地点なのかな、というのも確かにあります。

一応、塔や保管所はあるので、物資の収集場所を防御塔で守るといった戦略は行えます。
やや上のレベルの他プレイヤーの軍と戦う時は、ただ突っ込んでもダメなので、防御しながら塔なども活用して守りを固め、敵部隊を迎撃してからカウンターをかけるといった攻略も必要になります。

とは言え、レベルに差がありすぎると多少の戦略なんて力でねじ伏せられるし、逆にこちらの方がレベルが高い場合は単に武将を出すだけで勝ててしまいます。
ガチャで激レア武将が出たりしても戦力に差が付くでしょうから、この辺のバランスはやっぱりソーシャルゲーム的ですね。

Age of Empires: World Domination
※ちゃんとフィールド上に施設を建てられる。 建てられるが・・・ 数が少ない。
よってそれを巡る攻防戦とかはあまり起こらない。 この辺の戦略性がもっと高ければ AoE らしいのですが・・・


Age of Empires: World Domination
※選択できる文明。 それぞれ固有のボーナスがあり、日本は移動力と剣士の攻撃力がアップします。
文明は変更することも可能で、24時間に1回のみですが、他に制約はありません。

良くも悪くも「今の時代のスマホの RTS」といったところでしょうか・・・
AoE をテーマにした、全く異なるスマホ用のアプリですね。
戦闘シーンのグラフィックは正直、もうちょっと頑張って欲しかったところで、本家はもちろん AoE:CS とかと比べてもかなり見劣りします。
それでもクラクラ系などではなく、ちゃんと RTS にしていることは評価すべきでしょう。

私的には AoE の名を冠するなら、もっとフィールド上での採集と建設の要素を強くして、壁の構築も導入して欲しかった気がするのですが、でもそこまでヘビーにゲームをしないスマホユーザーも対象として考えるなら、これが無難なところなのかなぁ・・・

AoE だけど、本家 AoE プレイヤーの支持はおそらく得られないと思います。
でも、これから RTS を始める人には悪くないゲームの気もします。
何とも歯切れの悪い感想ですが、そんなアプリですね。

・Age of Empires: World Domination(終了)