広い町の中を自由に散策し、車を奪い、通行人を襲い、警察と銃撃戦を行える、強盗・殺人なんでもアリのクライム(犯罪)ゲーム「Grand Theft Auto」シリーズ。 通称 GTA。
スマホにも GTA IIIGTA:Vice CityGTA:San Andreas などが移植されていますが、先日新たにシリーズ作が公開されました。
Grand Theft Auto: Liberty City Stories」です。

が、やって思ったのは「あれ? GTA:SA よりも劣化してる・・・?」
それもそのはず、GTA:San Andreas は 2004 年の作品ですが、PS2 用に開発された家庭用据え置きゲーム機のソフトでした。
一方、今回の GTA:Liberty City Stories(以下 GTA:LCS)は 2005 年公開ですが、PSP 用に作られた携帯ゲーム機のソフト。
元の対象ハードが GTA:SA より下なのです。

よって内容は新しい GTA と言うより、GTA III や GTA:VC の外伝と言った感じ。
ゲームの舞台は GTA III と同じで、システムや演出などは GTA:VC を踏襲している印象です。

価格は 840 円。 買い切りゲームなので広告や課金は一切ありません。
ゲーム機用の日本語版には表現規制があったようですが、スマホ版は通行人を倒すとお金を落とし、ダウンした相手への追い打ちもあるので、規制はかけられていないと思われます。
メッセージは全て日本語化されています。

GTA LCS Grand Theft Auto: Liberty City Stories

GTA LCS Grand Theft Auto: Liberty City Stories

主人公はある大物を殺害して服役していたマフィアの構成員。 出所して幹部になれるのかと思っていたら、また下っ端としてこき使われるというストーリー。
日本のヤクザ映画でもありがちなパターンですね。

主に有力者から依頼を受けて、そのミッションを遂行するのを繰り返して進行します。
GTA:VC と同じパターンですが、今回は主人公がマザコンで、「ママに認めて貰うため」の自発的なミッションも存在します。

ミッションは逃走の手伝いや敵グループとの交渉、邪魔者の殺害や敵幹部を痛めつけて脅すなど、極悪非道なものを中心になんでもアリ。
交渉も売春婦(ゲーム内での呼び名はコンパニオン)を送り込んで懐柔するなど、やることなすことアウトロー。

ただ、ミッションの途中で警察に追われることも多々あります。
普段の行動時にも通行人を大量にひき殺したり、銃を乱射したり、警官の目の前で車を盗んだりすれば警察に手配されることになります。

警察に追われるとパトカーが大量にやって来てバンバン銃撃され、車で逃走すると激しく衝突してきてハデなカーチェイスが繰り広げられます。
さらに反撃すると「手配レベル」が上昇、追跡はますます激しくなり、ヘリが飛んできて、特殊部隊まで登場、どんどん大騒ぎに発展。
ただ、このハチャメチャぶりも GTA の面白さと言えますね。

捕まったりダウンしても、若干の保釈金や治療費を取られるだけで放免となりますが、ミッション中の場合はやり直しに。
ただ、今作は元から携帯ゲーム機用に作られていたので、ミッションは全体的に短めになっています。
この点はむしろ、スマホにはマッチしていると言えそうです。

GTA LCS Grand Theft Auto: Liberty City Stories
※車の色を変えて警察の目をくらませる塗装屋。 ここは頻繁にお世話になります。
ミッション中に「警察をまけ」と言われた場合、ただ逃げていてもダメなので、この塗装屋で色を変えるか、各所に落ちている警察バッジを取って手配度を下げましょう。


GTA LCS Grand Theft Auto: Liberty City Stories
※事故った後、車から降りてきた相手と格闘中。
FPS とか格闘ゲームではないので、戦闘は割とアッサリです。 そっち方面の作り込みは期待しないように。
一方、カーチェイスは車の挙動がリアルで面白いです。


ここまでに述べた点は、GTA シリーズに共通している部分。
今作、スマホ版 GTA:LCS の特徴については・・・

まずグラフィックは、最新のスマホに合わせた高画質なものになっています。
それでも 10 年近く前のゲームの移植なので、昨今の 3D グラフィックのゲームと比べると見劣り感はあるのですが、同じ舞台である GTA III と比べるとだいぶ違いますね。

キャラクターの影が省略されていて、車体への景色の映り込みもなくなっているので、GTA:SA より劣っているのは否めませんが、ライティングが綺麗で、車のヘッドライトやテールライト、街灯などで景色が綺麗に彩られます。
インターフェイスも使いやすく、ボタンサイズも変更可能で、操作し辛いと感じたことはありません。

※影が省略されていて、車体への映り込みもなかったのは、iPad Air でプレイしていたためのようです。
iPhone 6、iPhone 6s などであれば、影も映り込みも表現されます。
なお、ユーザーがグラフィック設定でこれらを ON/OFF することは出来ません。


車の破壊表現の細かさは相変わらず。
ちゃんと当たった場所から壊れていき、バンパーが曲がり、ドアが取れ、車体が歪むなど、段階的なダメージ表現が行われます。

GTA:VC を踏襲しているためか、ストーリーシーンのキャラクターのしぐさも細かく、棒立ちのまま喋ることはほとんどありません。 それっぽい身振りや手振りを交えて会話を行います。
ただ GTA:VC と比べると、キャラの動作や部屋の装飾は省略されている感もあります。
ちなみにギャングのストーリーであるためか、妙な性癖を持つヘンタイキャラ満載。

町は前述したように GTA III と同じなので、GTA:VC や GTA:SA と比べると狭いです。
あくまで比較しての話で、ゲームとして十分な広さではありますが。

私的に気になったのは利用できる施設の少なさ。
GTA:SA には飲食店やジム、理髪店、洋服店など、多彩なお店がありましたが、今回は III と同じでショップと言えるのは武器屋ぐらい。
スキルや細かいステータスもなく、この辺は古い GTA に戻った感じです。

GTA LCS Grand Theft Auto: Liberty City Stories
※パトカーと事故ったシーン。 車の破壊表現は GTA シリーズの特徴ですね。
ヘッドライトも綺麗で、これはスマホ版で強化された部分。
なお、車が横転したり火を噴いたらすぐ脱出しましょう。 ほどなくして爆発します。


GTA LCS Grand Theft Auto: Liberty City Stories
※乳と尻だけ切り取られたボンテージファッションのデブ男登場。
ややカクカクなポリゴンですが、キャラの一挙手一投足は非常に細かく表現されています。
ただ部屋の装飾は簡素な印象。


全体としては、やはり「携帯ゲーム機版の GTA だな」って感じです。
GTA:SA と比べると全体的に縮小されているのは否めません。
ただストーリーを進めやすいので、今までよりもサクサク感がありますね。

スマホ / タブレットでは GTA:SA が先に完全移植されているため、「後発なのに縮小版って・・・」というのも無きにしも非ずですが、新しい GTA シリーズを期待していた方には、この発売は嬉しいところでしょう。

ただ、クライム(犯罪)ゲームでヘンタイシーンもあるので、子供に見せられるようなゲームではありません。
この点はくれぐれもご注意を。

Grand Theft Auto: Liberty City Stories(iTunes が起動します)