「IR情報」。 正式名 インベスター・リレーションズ。
企業が投資家に向けて発表する、経営や財務の状況、及び運営や活動についての情報発信である。
その IR 情報が・・・ 女の子になりました。

な・・・ 何を言っているのか わからねーと思うが(以下略)

そんな擬人化された株式上場企業銘柄と楽しくデートするアプリが公開されています。
IRroid~恋の有効フロンティア~」です。
あぁ、大丈夫なのかニッポン。 もうダメだニッポン。 

最初に言っておきますが、このアプリは少なくとも現時点では、とてもオススメ出来ません。
女の子の絵が見れればそれでハッピーな人は別ですが、株式をテーマにしたアプリとしてはガッカリ感がハンパないです。
とりあえず今回は、「こういうおバカ過ぎる This is NIPPON なアプリがある」という読み物としてご覧下さい。

IRroid

プレイヤーは「カブ主」となり、世界を救うために上場企業を擬人化した女の子(IRroid)とお付き合いします。
すでにこの時点でツッコミどころ満載ですが、キリがないのでこのまま進めます。

と言っても出来ることは多くありません。
会話」のボタンを押すと各地にいる女の子のアイコンが出て来ます。
タップすると会話シーンになります。
普段やるのは基本的にコレだけ。

会話後に好感度メーターが上昇し、最大になると好感度レベルがアップ。
レベルが1以上になれば「ポートフォリオ」で投資を行えますが、それについては後述します。

初対面か、デートの約束をしていた女の子の場合、プレゼントを渡せます。
プレゼントは食べ物ばかりで、相手の好みに合うものなら好感度が大幅に上昇しますが、当然プレゼントの購入には資金が必要。

女の子(IRroid)にはシャープ、帝人、インフォコム、キリンHD、コロプラなどのキャラがいて、つまりシャープとかコロプラとかとデートします。 うん、世も末。

好感度が上がるとその女の子の「ストーリー」を見ることができ、つまり基本的には会話とストーリーでちょっとした恋愛物語を楽しむアプリと言えます。

IRroid
※左は会話する女の子の選択画面。 基本的にはここで選んで会話して・・・ のみ。
右の子は日本電信電話、つまり NTT の擬人化。 電信だからか手紙を持っていてかんざしには鈴が付いている。
が、NTT とデートするゲームが出ると誰が予想しただろうか。


会話シーンとは別に「ポートフォリオ」というものがあり、ここで各銘柄(の女の子)に投資を行います。

ポートフォリオは5枠あり、株を購入すると、枠の1つに買った株の女の子がセットされます。
ただ、最初から枠は全部埋まっているので、やや解りにくいのですが、始めた時点ですでに5つの銘柄の株を所有していることになります。
別の銘柄の株を買いたい場合は、持っている株のどれかを売って枠を空けないといけません。

すでにセット済みの女の子をタップすると、その銘柄の株を「買い増しする」か「売却する」を行えます。
売却は一括で全部売ることになります。
手数料や税金はないので、単純に 1000 で買って 1100 で売れば +100 の儲けな訳ですが、このゲームではここに好感度の補正が入ります。
その銘柄の女の子と親しいほど、損失は減り、利益は増えるようになっています。

とは言え、このゲームの株価変動は実際の株式に応じているため、上がるかどうか、儲かるかどうかは現実の株価次第。
大手企業の株価はそんなに大きく変動するものではないため、数日かけて地道に、長期的に増やすしかありませんし、利益が出るとも限りません。

デイトレード(1日のうちに売買を行うこと)で増やす方法もあるかもしれませんが、市場は 9:00~11:30 と 12:30~15:00 しか開いてないので、その時間にやる必要があり、ぶっちゃけそこまでするようなゲームではないですね。
おまけに土日は動かないし。

IRroid
※ポートフォリオ画面。 下部のアイコンでその日に株価が上がったか下がったかが解る。
顔の下にある数値は保有資産の何パーセントを投資しているかで、利益率とかではありません。
右の女の子はシャープ。 グラフのフキダシをタップすれば詳細を確認できるのですが、あまり詳しくない・・・


とにかく残念なのは、せっかく「株式銘柄の擬人化」という、とてつもなくニッポンポンなテーマにしているのに、肝心の株取引関連がショボくてそれを生かしているとは言えないこと。

株価の上下動は折れ線グラフで表示されていますが、売買の目安となるのはそれだけ。
企業情報欄には時価総額や ROE(資本に対する利益率)、自己資本比率(資産と借金の比率)などが書かれていますが、そんなのは短期的な株価変動の参考にはならないし、「IR」を名乗っている割にはその企業に関するニュースとかも特に報じられない。
グラフも表示期間の指定が出来ないし、そもそもローソク足(株価の変動グラフ)さえ出て来ません。

また女の子の数、つまり銘柄の数が 20 ぐらいしかないようで、ポートフォリオも5枠しかないというのは、株取引のゲームとしては少なすぎる。
まあギャルゲーとしてはそれで良いとして、株取引をテーマにしているのならそれとは別に、指定銘柄の確認や別枠のポートフォリオを用意して欲しいところですが、そういう機能は全くない。

結局のところ、ただのシンプルな萌えゲーなんですね・・・
で、その萌えゲー部分も、ボイスはないし、会話中に女の子がエラーメッセージを出すしで、絵は可愛いのですが、それだけ。
インターフェイスや演出は良いのですが、まだミニゲームに過ぎないといった感じです。

IRroid
※左の子はコロプラ。 クマがマスコットで位置ゲーで有名になった会社のため、地図を持ったクマ娘になってます。 ボタンに隠れてますが右下には白猫が。
ただ、スマホやゲームに関連した銘柄はこれのみ。 スマホアプリなんだから、もうちょっとそれを考慮した銘柄を用意して欲しいところ。
右はエラー画面。 デート中に女の子が急にエラーを出し始めるとか、もはやホラー。


と言う訳で、未完成感が漂っている・・・ と言うか、どの方面も中途半端で、どっちに伸ばしたいのかもよく解らない印象。

最初に見た時は「萌えゲーを作ろうとして、知識もないのに株を擬人化する方法を思いついた」というだけのアプリかと思ったのですが、運営会社はちゃんとした投資情報サービスを運営している QUICK という会社で、だったら「どうしてこうなった」と思わざるを得ません。

ただ私的には、こういうぶっ飛んだ設定の「マジメなバカゲー」は嫌いではないです。 と言うか好き。
アイデアは良いと思うので、とりあえずファイナンスアプリとして使えるものにしてから、他の方面も拡張されていくことを期待したいですね。
私的にはなんとか突き進んで欲しいアプリです。

IRroid~恋の有効フロンティア~(iTunes が起動します)