現実の社会でこれから起こる出来事を「予言」し、その結果によってキャラクターが成長していく、ブックメーカー的なソーシャルゲームがスクエニより公開されています。
予言者育成学園 Fortune Tellers Academy」です。

ブックメーカーとは特にイギリスで盛んな、社会の様々な事柄を「賭け」の対象にすることで、スポーツ、芸能、経済など、なんでも扱われています。
それをソシャゲに盛り込み、的中させればゲーム内のコインを獲得、さらにレアキャラゲットのチャンスが到来するという形にしているのがこのゲーム。

さらにソシャゲ型のカードバトルや、ラノベ型のストーリーシーンが加えられていて、開発を「ドラクエX」のディレクターの方が手がけ、主題歌をサラ・オレインが歌っているなど、かなりの意欲作となっています。

・・・が、これらがちゃんとまとまっているかというと、ちょっと疑問。
でも話題性のある作品なことは間違いないですね。
ソシャゲなのでアプリ本体は無料ですが、やはり課金もガチャもスタミナもあります。

予言者育成学園 Fortune Tellers Academy

前述したようにこのゲームは、社会の様々な事柄の「予言テスト」を行うシーンと、ソシャゲ型の「バトルシーン」、ライトノベルを読み進めていく「ストーリーシーン」の3つに分かれています。

それぞれのシーンは正直バラバラな印象で、にも関わらず無理に繋げようとしているため、その繋ぎの部分がむしろ邪魔なのですが・・・
ともあれ、ここではそれぞれを個別に説明いたします。

まずはゲームの中心である「予言テスト」。
毎日数問、これから起こる出来事に関する出題が行われます。
「サッカーのチャンピオンズリーグの勝利チームと得点差は?」「R-1ぐらんぷりの決勝出場者は?」「国勢調査で人口増加率がもっとも多い県は?」など、その内容は多種多様。

回答は8択で、うち1つは「その他」なので、全部ハズレになるケースは(普通)ありません。
投票時には所持ゴールドを賭けることができ、投票数に応じてオッズ(倍率)も付けられています。

正解すれば掛け金とオッズに応じた賞金を受け取れ、さらにレアキャラとのバトルを行えます。
ハズれた場合も敵が現れ、バトルに勝つと掛け金の一部を取り戻せます。
また、プレイヤーのレベルはこの予言テストによって上がっていき、もちろん正解の方が多くの経験値を得られます。

興味のない話題だとどれを選べば良いのかサッパリ解りませんが、「教えてジャン先生」というボタンがあり、その出題に関する詳細な情報を教えてくれます。
出題の概要、関連する情報、ここ数年の結果などを解りやすい文章で教えてくれるので、それを元に予測することが可能ですね。

とは言え、8択なのでそう簡単には当たりません。
未来の出来事なので、その時点では正解もない。
「その他」が答えになっているケースも多く、出題側の予測を超えていたこともチラホラ。

ただ、予測した後は結果が楽しみですし、当たれば嬉しい。
現実の出来事の予測なので、クイズの正解とはまた違った嬉しさがあります。
結果が判明するまで数日かかるため、どうしてもゲームはスローテンポになりますが、このブックメーカー部分に関しては面白いと思います。

なお、1つの問題に複数の回答(予測)を行うことも出来ますが、1つ予測するごとにスタミナを消費します。

予言者育成学園 Fortune Tellers Academy
※予言テストの選択画面。 スポーツ、トレンド、芸能、政治、趣味、グルメまで様々。
さっぱり解らない話題の時は、オッズを見て人気のありそうな投票に賭けるのも手。
右は「ジャン先生」が、琴奨菊関の優勝パレードの観衆の数について説明しているところ。
ファンタジー世界なのに、大マジメに相撲の話をしているところがちょっと笑えます。


続いて「バトルシーン」について。
ここはもう、まさに「ソーシャルゲームのカードバトル」です。
ターン制の半自動バトルで、味方を支援するコマンドを入力できるため、ポチポチゲーという訳ではありませんが、いかにも古いソシャゲのスタイルであることは否めません。

ただ、予言者らしいコマンドが用意されていて、そのターンの敵の行動を知る「絶対予知」と、勝利の確定を判別する「戦勝確率」のボタンがあります。
絶対予知は当面1回しか使えませんが、味方がやられるのを事前に知ることが出来た場合、その味方にガードを使っておくなどの対処が可能です。

戦勝確率はその名の通り、勝てる確率で、これが 100 %になった時にボタンを押すとオートに移行して絶対に勝利できます。 戦力差が大きければ最初から 100 %であることも多いです。

バトルはスタミナを消費して行うことも出来ますが、通常は「予言テスト」の実行後か、答え合わせの後に発生します。
そして難点は、この時の敵の出現演出がうっとうしい。

人にもよると思いますが、例えば私はブックメーカーの部分が楽しみでやっているので、ソシャゲバトルはぶっちゃけどうでもいい。
ところが、予測を行う度に敵の登場シーンが出て来て、いちいち消すのがめんどくさい。

さらに答え合わせの時に予測がハズレだった場合、「とらんす一味」という特殊な敵が出て来るのですが、その出現演出が長い上にカット出来ない。
ハズレてさっさと進めたいにも関わらず毎回同じような演出を見せられて、バトルもしないと掛け金が多く減るという、非常に面倒な状態。

とらんす一味以外の敵は「取り置き」しておいて、後でバトルすることも出来るのですが、だったら最初から全部自動で取り置きされて、予測シーンは予測シーンだけで遊ばせて欲しいのが本音です。

※4月のアップデートで出現演出をカット出来るようになりました。
その他もろもろの増長な演出も短くなり、現在は当初よりテンポ良く遊べるようになっています。


予言者育成学園 Fortune Tellers Academy
※戦闘シーンで戦うのは味方のカードで、それぞれが自動で行動し、プレイヤーはガードや回復などでサポートします。
ただ、この敵や味方が何者なのかは不明なままで、しかも予測シーンやラノベシーンの展開と全然マッチしていないため、取って付けた感は否めません。
敵の行動を知る絶対予知のシステムは良いと思いますが・・・


そしてもう1つは、ライトノベル形式のストーリーシーン
ここはもう「ラノベです」以外に言い様がありません。
普通に小説を読み進めていくもので、背景やキャラクターの表示、効果音などはありますが、まあノベルですね。

特定の条件を満たすとストーリーが1項ずつアンロックされていき、1項あたりの文章量は普通のラノベ1~2ページ分ぐらい。
短めのラノベがさらにぶつ切りになっている感じなので、1項ずつ読んでいたのでは内容を忘れてしまいます。
ある程度貯めてから一気に読んだ方が良いでしょう。

ラノベの内容の良し悪しについては(2月時点で)まだ2章までしか公開されておらず、話がほとんど動いてないので、判断できる段階ではありません。
ミステリーや推理ものっぽい展開ですが、「ファンタジー世界にある魔法学園のミステリークラブに所属する学生達のお話」なので、割と定番設定のラノベです。

気になるのはやはり、ブックメーカーやソーシャルゲームが好きな人が、ラノベも好きとは限らないって事ですね。

予言者育成学園 Fortune Tellers Academy
※ライトノベルはこんな感じ。 左半分にキャラクター、右半分に文章というレイアウトは良いと思います。
ただバトルも予言テストもここのストーリーとは連動しておらず、にも関わらず少しずつしか読めないシステムなので、面倒になって読まなくなる人が多そう。
当初は1章しかなく、公開時のボリュームが不足していたのも否めません。
まあ、ラノベが読みたくてこのゲームをやる人は少ないと思いますが・・・


これは単なる推測ですが、まずブックメーカーのソーシャルゲームを作ろうとして、その賞品とマネタイズのためにソシャゲのカードバトル要素を加え、クエスト形式にならないのでストーリーはライトノベル型にした。
そして各シーンの開発をそれぞれ異なる部署で行って、最後に合わせたら、それぞれ違うものが違うまんまで1つの折り詰めに入った和洋中混合弁当みたいなものが出来た、という感じの気がします。
それが確かかどうかは別として、そういう印象を受けるゲームですね。

で、色々盛り込んでいるゲームは嫌いではないのですが、各シーンに繋がりを持たせようとして面倒なことになっているため、私的には「無理に繋げようとせず別々のままにしといてくれ」と思ってしまいます。
それでも同梱されていれば1つの世界にはなるだろうし。

とは言え、私はこういうブックメーカーのようなゲームは好きだし、そうしたものが出るのを望んでいました。
その部分だけを取ってみた場合、良く出来ていると思うし、世の中の様々な事柄を知る参考にもなると思います。
どちらかと言うとソシャゲより、ニュースアプリに付いてた方がマッチするようなシステムですが。
コンセプトは好きなので、今後に期待したいアプリではありますね。

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※Youtube 公式 PV