タクティクスオウガや ファイナルファンタジータクティクス のソーシャルゲーム版。
ストーリーもゲームシステムもしっかりヘビーな、ターン制シミュレーション RPG のソーシャルゲームが公開されています。
誰ガ為のアルケミスト」です。 通称「タガタメ」、もしくはタガメ

このゲームは「ファントム・オブ・キル」を開発した Fuji&gumi Games(FgG)のクリエイターが担当しているとアピールされていたため、私は逆に期待していませんでした。
ファンキルは割としっかりファイアーエムブレムしているゲームシステムでしたが、戦闘シーンのグラフィックが今のスマホゲームとしてはショボく、私的にはアニメコラボと声優でファンを獲得している擬人化ギャルゲーという印象が強かったからです。
グラフィックに関しては Android の廉価機種での動作を考慮していたのかもしれませんが・・・

そしてこのゲームも、声優やオープニングアニメに力を入れていると発表されていたため、「あぁ、ファンキルの手法でタクティクス○○を作ろうとしているんだな」と思っていました。
しかし、やってみると・・・ 結構違ってました。

フィールドのグラフィックはちゃんと見栄えがするし、ギャルゲーという訳ではなくシブい男性キャラも多く出てきます
ゲームシステムもかなり本格的で、難易度もそこいらのソーシャルゲームより明らかに高い。
ストーリーも重く、ソシャゲだからといった簡易的な作りにはなっていません

ただ、作り込まれた育成システムにソシャゲシステムが深く入り込んでいるため、キャラクターの育成は「やり込み」を通り越し、もはや育てる前から心が折れそうになる領域
システム・難易度・ストーリーに加えて、ソシャゲ的にもヘビーです。

ともあれ、渾身のタイトルであることはやっていて感じるので、今回ご紹介しておきたいと思います。
ソシャゲなのでアプリ本体は無料ですが、課金もガチャもスタミナもあります。

誰ガ為のアルケミスト タガタメ

誰ガ為のアルケミスト タガタメ

主人公は2人の新米騎士。 男性です、念のため。
禁断の秘術である「錬金術」を使って大戦を引き起こし、連合国軍に滅ぼされた王国の残党が不穏な動きを見せる中、調査に向かった彼らが前大戦の真実を知っていくというストーリー。
タクティクスオウガ や マーセナリーズサーガ ほど重い訳ではありませんが、なかなか先の気になる物語が展開されます

ゲームもこれら「タクティクス系」のシステムを踏襲しています。
フィールドは高低差のある立体マップになっていて、高所からの攻撃の方が有利になります。
キャラクターの向きもあり、背後からの攻撃なら効果が高くなります。

ターン制の戦術シミュレーションゲームですが、敵と味方が交互に動く訳ではなく、キャラクターの素早さと行動に応じて順番が回ってきます。
ターンが回ってきたキャラは移動と行動を1回ずつ行えますが、移動や行動をしなかった場合、次の行動までの待機時間が短くなります。

魔法や一部の攻撃にも待機時間があり、使ってすぐに発動する訳ではありません
魔法の多くは範囲攻撃になっていて、ユニットに使うかパネルに使うかを選択可能。
パネルに使った場合、魔法は必ずその場所に発動しますが、発動前に敵が移動してしまうと空振りに終わってしまいます。

ユニットに使った場合、使用後に対象が動いても必ずその相手に発動しますが、もしその相手が味方のとなりに移動した場合、味方も巻き込まれてしまいます。
魔法は威力が高いため、ヘタに巻き込まれたら即死の危険もあります。

全体的にダメージが高いため、突出して集中攻撃されようものならすぐにやられてしまいます
味方メンバーは主人公1人、先発メンバー3人、補欠メンバー2人、助っ人1人。
主人公以外はやられても、すぐに補欠メンバーが出撃しますが、主人公は倒れた時点でゲームオーバー。

オウガ や FFT のように「倒れて回復させられなかったら本当に死亡」ではありませんが、慎重に戦わなければ簡単に負けてしまう難易度で、そこいらのポチポチソシャゲと一緒に考えていると痛い目に遭いますね。
ただ、敵の人数は5人前後、多くても 10 人はおらず、ダメージが大きいのは敵も同様なので、1回の戦闘にかかる時間は短めです

誰ガ為のアルケミスト タガタメ
※出撃メンバー選択画面。 助っ人は弱めのキャラならタダで雇用できるので、とりあえず加えておきましょう。
レベルの高いキャラを助っ人にするには高額な費用が必要なので、助っ人に頼った攻略はし辛いです。
サブメンバーもいますが、ヘタすると「やられる → そこにサブ登場 → サブが動けるようになる前にまたやられる」を繰り返してしまうので、無謀な突出は厳禁。


誰ガ為のアルケミスト タガタメ
※高所から魔術師が弓矢を撃たれているシーン。 敵の弓兵は厄介な場所に配置されていることが多いです。
ジャンプ力と移動力があり、高所の敵を素早く追い詰められるシーフは必須。


誰ガ為のアルケミスト タガタメ
※魔法使用時のユニット発動とパネル発動は、最初は使い分けが難しいかもしれません。
発動前に相手が動くことがなければどちらでも良いのですが、動きそうな近接攻撃ユニットを対象にする時はパネルにした方が無難。


このゲームの良し悪しな部分は育成面の深さ。
味方メンバーは基本、ガチャで入手しますが、主に 戦士・シーフ・弓使い・魔術師・プリースト・吟遊詩人 といった職業(ジョブ)に就いています。

経験値が貯まればレベルが上がって強くなりますが、ステータスが上がるだけでスキルは覚えません。
しかしレベルを上げた後に「戦技」「魔術」などのアビリティレベルをコインを使って上げれば、新しい攻撃技や回復技などを獲得できます。
また6つある「装備候補」を全て集めるとジョブレベルをアップでき、「MOVE +1」「魔法カウンタ-」などのパッシブスキルを習得できます。

そして重要なのは各キャラに転職用のジョブが用意されていることで、聖騎士になれる戦士や、ビショップになれるプリーストがいるのはもちろん、シーフから魔術師に転職したり、弓使いから忍者になったりするキャラもいます。
転職してもアビリティやスキルを引き継ぐことが出来るので、例えばシーフから魔術師になれば、移動力アップやジャンプ力アップを備えた魔術師を作ったりすることが出来ます。

ただ問題は、転職するのに数度の「限界突破」が必要で、これにはそのキャラクターの「欠片」がたくさん必要なこと。
欠片は主にガチャで入手するため、つまりガチャしまくらないと転職できないシステム
これでは「ガチャゲー」と言われても仕方ありませんね。

また、欠片は未入手のキャラクターを手に入れるのにも必要ですが、その数がやってられないぐらい多い
レアリティの低いキャラなら数枚で獲得できますが、レアだと数十枚、最高レアになると 150 枚も必要になります。
ガチャでレア演出が発生し、「激レア!」の表示と共に★5キャラの欠片が出て来ても、それが 150 枚必要な中の1枚に過ぎないものであるのを見せられると、もはや途方に暮れてしまいます。

※ガチャの欠片のシステムは、アップデートで改められました。
現在はガチャで当たったキャラは、そのまま普通に手に入ります。
欠片を集めないと得られないキャラはガチャとは別枠となり、欠片は特定のステージをプレイすることで得られるようになりました。


ガチャからキャラ自体が出て来ることもあるのですが、前述したように欠片がないと転職も出来ないので、レアリティが高いほど強化は困難。
加えて、多くの欠片を集めて限界突破を繰り返し、ようやく転職できるようになっても、今度は転職用の素材が必要になります。 これは曜日クエストを周回して集めなければなりません。
レアリティが低いキャラは、それを高める「進化」が可能ですが、それにも特殊素材が必要。

豊富なカスタマイズが用意されているのは良いのですが、必要な作業がここまでになると「どんだけプレイヤーをいじめれば気が済むねん!」と言いたくなります。
冒頭でも述べたように「やり込み」を通り越していて、もはやソシャゲ的に曲解している印象です。

誰ガ為のアルケミスト タガタメ
※キャラクター詳細画面。 このゲームの装備は与えると取り外しできません。
そして用意された6つの装備を全て与えてジョブレベルを上げると、リストがクリアされ、また別の装備を与えられるという形式。
キャラを獲得したら現在のジョブだけでなく、転職可能なジョブも確認して、将来どんなキャラになれるのかも考慮してスタメンを決めた方が良いでしょう。
まあ、転職はこれでもかと言うぐらい大変なのですが。


誰ガ為のアルケミスト タガタメ
※ユニットの「欠片」の画面。 ユニット獲得には ★3で 50 枚、★4で 80 枚、★5で 150 枚も欠片が必要になります。 マジで途方に暮れます・・・
確かにこのシステムだと、欠片を相応に排出させつつ、実際の入手率は低いという形に調整することが出来るでしょう。
ガチャの排出率について色々言われている現状を考慮したシステムなのかもしれませんが、1/80 とか 1/150 とかを目の前で見せられると超ウンザリするのが本音。


誰ガ為のアルケミスト タガタメ
※ストーリーシーン。 クエストの合間に結構頻繁に出て来ます。
敵にも敵の信念のようなものがあり、「正義の反対は悪ではなく別の正義」みたいな展開になっています。
主人公の2人はゲームの進行に応じて交代します。


欠片や転職のシステムはしんどく思えますが、ゲーム自体は「まさかソシャゲでここまでタクティクスしているとは」と驚いたほどしっかり作られています。
ストーリーにもプレイ意欲を引っ張ってくれる魅力があるし、サウンドや演出も良くてボイスも豊富。
クオリティーは御三家(パズドラ・モンスト・白猫)に匹敵するものがあると思います。

ただ、しっかりゲームとして作られていることが、逆にソシャゲとしては足を引っ張るかもしれません・・・
やはりソシャゲとしては相当ヘビーなので、ライトユーザーは敬遠しそう。
ファンキルのようなギャルゲーファン向けでもないので、コアなユーザーが付く内容でもない。
ゲーマーはガチャゲーは望んでいないので、そうするとプレイヤーは狭い気がします。

ただ私的には、こういうゲームとしてしっかり作られているものは、ソシャゲの中では応援したくなりますね。
じっくり遊ぶタイプのソーシャルゲームやシミュレーション RPG を探している人には、良いゲームだと思います。

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※Youtube 公式 PV