時は19世紀、1800 年代後半。 世はまさに大植民地時代
インドを植民地化した大英帝国は、さらに世界各地で戦争を引き起こし、帝国主義の道を走り始める。
次々と植民地を拡大していくイギリスに、長年敵対していたフランスや、工業化を進めるドイツ、イギリスから独立したアメリカ、欧州各国と戦っていたロシアは危機感を募らせ、イギリスに負けじと植民地の獲得に乗り出した。
まさに世界は、列強国の「狩り場」となったのである・・・

そんな黒歴史をテーマにした戦略シミュレーションゲームが公開されています。
Colonial Conquest」です。

いきなりこんな事を言うのも何ですが、このゲームは戦略 SLG としてはシンプルすぎて、あまり面白くはないです・・・
ただ、私的に歴史ゲームが好きだし、近代史の闇と言える帝国主義時代を扱っているのは珍しく、雰囲気などは良いので、趣味的に取り上げておきたいと思います。
担当可能国は前述の五カ国に加えて、日本も選択可能です

価格は 480 円、買い切りアプリなので課金や広告などはありません。
元は Steam(パソコン)で公開されていたゲームで、その移植版となります。
開発したのはカナダのメーカーです。

Colonial Conquest

Colonial Conquest

1年が春夏秋冬の4ターンに分かれていますが、生産や偵察などを行えるのは春のみ
夏から冬のターンは移動と侵攻しか行えません。

春には支配地から収入を得られ、工場のある土地を選択すれば兵力と艦船の生産を行えます。
生産に時間はかからず、実行すれば直ちに兵力や艦船数が増え、すぐに移動させることも出来ます。

移動は隣接した土地しか行えませんが、艦船がある場合、海上輸送も可能です。
このゲームの海上輸送に距離や時間の概念はなく、いきなり日本からブラジルに1ターンで移動することも出来ます。
開始と同時に日本がヨーロッパやアフリカに上陸するとか、色々おかしい軍事行動も可能ですが、そういうゲームなんだと思いましょう。
テーマと雰囲気に反して、システムはかなり単純化されていますね。

ただし海上輸送で送れる兵力は、艦船の数が上限です。
そこにある船が 80 なら、1ターンで送れる兵力も 80 が限度。
日本のような島国の場合、艦船を頻繁に行ったり来たりさせて輸送しなければなりません。

春には他国を選択して、偵察を行うことも出来ます。
相手の戦力を調べられますが、正確性の表記があり、それが緑なら正しいデータですが、赤だと誤差があります。

他にも、支配地に要塞を築いて防御力を2倍にしたり、他国に資金援助して兵力を増やさせたり、反乱工作をして兵力を削ったりできますが、普段は実行することはないでしょう。
つまりこのゲームは、ほぼ兵力を増やして攻める、それだけで進行します。

Colonial Conquest
※他国の調査画面。 各国の初期兵力はランダムなので、必ず調べてから攻めるように。
一度調べた国のデータはいつでも閲覧できますが、情報は再調査しないと更新されません。
前に調べたときは少なかったけど、列強国がそこに資金援助して翌年すごく兵力が増えていた、なんて事もあるので、攻める場所はこまめにチェックしましょう。


Colonial Conquest
※戦闘シーン。 上陸戦の場合、送り込める兵力は艦船数が上限となります。
日本の場合、上陸戦は避けられないので、兵力だけでなく艦船も増やしていきましょう。


戦力の移動先が他国の場合は侵攻になり、ターン終了後に戦闘フェイズになります。
このゲームに登場する「列強国」は 英・米・仏・独・露・日 の六カ国のみなので、それ以外の国は全部ただの小国。
スペインもイタリアも中国も、ただの「列強国に支配されるための土地」に過ぎません。
ただ、どの土地にも兵力があるので、相応の戦力で攻めないと返り討ちに遭います。

戦闘は自動で進行し、まずは防御側が攻撃を行います。
その後、それに耐えて残った攻撃側の兵力が反撃をします。
これを3度繰り返します。

こんなシステムなので、防御側が明らかに有利。
攻撃側は「相手の攻撃に耐えて、その後に反撃し、その反撃で十分なダメージを与えられるだけの戦力」で攻めなければなりません。 相手の2倍以上は必要だと思いましょう。
上陸戦で防御側に軍艦がある場合、先に軍艦同士の戦闘も行われます。

列強国同士で戦闘が起こると、両国が戦争状態に突入します。
ただ、このゲームは「植民地の取り合い」をするゲームなので、大国同士で戦うメリットはあまりありません。
取れる小国がなくなったら列強国の領土を奪いに行かないといけませんが、それまでは当時の状況と同じように、小国を早い者勝ちで取っていく展開となりますね。
なお、列強国への資金援助は和平交渉となります。

各土地には VP(勝利点)が付いていて、その増加量が設定値に達した国が勝利です
重要なのは「増加量」であり、合計値ではないこと。
例えばイギリスは最初から多くの植民地を持っていますが、勝利するにはそこから上積みした VP が設定値を越えなければなりません。
植民地を失うと VP はマイナスされるので、イギリスは最初から収入が多い反面、初期領土を守りながら戦わなければなりません。

Colonial Conquest
※いきなりイタリアに上陸してみた図。 船の移動距離に制限がないので、こんな作戦も出来てしまう。
でもイギリスが地球の裏側の香港やマレー半島を植民地にしていた訳だから、その時代のゲームとしてはこれでもおかしくないのか・・・?


Colonial Conquest
※初期設定画面。 シナリオは 1880 年、第一次大戦の 1914 年、架空シナリオの STANDARD の3つ。
STANDARD は全ての国が本国しか領土がない状態でスタートします。
勝利点の設定は 500、1000、1500 がありますが、500 だと小国の取り合いだけで終わりますね。
1000 だと大国の領土も少し奪わないと勝利できないぐらいです。


私的には、戦略ゲームとしては張り合いがない印象です。
ゲームシステムがシンプルなのに加えて、空白地の取り合いですから、戦争らしい展開が少なくて物足りない。
そして難易度も低く、STANDARD と HARD の2つが用意されていますが、HARD でも特に手強くはない

ただ、このゲームはあえてシンプルにまとめているのかもしれません。
コアな戦略 SLG ファン向けではなく、世界征服の雰囲気を楽しみたいライトユーザー向けなのかも。
題材や雰囲気からして、高い年齢層を対象にしている気もしますね。

現時点(2016/3)ではアプリが不安定で、落ちやすいのが難点ですが、ゲーム前に本体を再起動しておけば落ちるケースは減るはず。
メッセージは英語ですが、ゲームがシンプルなので読めなくても大きな問題はありません。

あまり難しいことを考えなくても良い戦略シミュレーションがやりたい方や、欧米列強をアジアから追い出して大東亜共栄圏の実現を目指したい方には、悪くないゲームかと思います。

Colonial Conquest(iPhone 版、iTunes 起動)

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※Youtube 公式 PV