昨年10月から始まり、破天荒すぎる内容で大きな話題となっているアニメ「おそ松さん」。
あまりの人気っぷりに様々なイベントが行われ、グッズも数多く登場していますが、それにあやかろうとしたゲームアプリが先日公開されました。
おそ松さんのへそくりウォーズ ~ニートの攻防~」です。

内容はズバリ、「にゃんこ大戦争」のパクリ。クローン。
キャラがおそ松さんの登場人物になっている一本道型の RTS ですね。

正直、たくさんある一本道 RTS の中では、クオリティは高い方ではありません。
しかし思ったほど低い訳でもなく、「急造のアニメ便乗アプリ」としては意外としっかり作られています。
現時点(2016/3)の iTunes や Google Play には「落ちる ★1」というレビューが多くありますが、それ以外は及第点の評価が多いですね。

販売はエイベックスの映像コンテンツ部門であるエイベックス・ピクチャーズ、開発は「ちゅらっぷす」という沖縄のメーカー。
アプリ本体は無料ですが、課金やガチャ、スタミナはあります。

おそ松さんのへそくりウォーズ ニートの攻防

おそ松さんのへそくりウォーズ ニートの攻防

ルールは にゃんこ大戦争 とまったく変わりません。
時間と共に貯まっていく AP というポイントを消費して、味方のユニットを出撃させます。

出撃したユニットはまっすぐ敵基地に向かって進んでいき、敵に遭遇すると自動で戦闘を行います。
出撃後のユニットに指示は出せないため、プレイヤーがやることは出撃するユニットの選択のみ。
AP を消費し、AP 増加量と最大値をアップさせることも出来ます。

ユニットは「おそ松さん」のキャラになっていて、最初に使えるのはコスト(AP消費)が低くて量産できる「おそ松」、耐久力が高い盾役の「カラ松」、コストは高めですが素早さと攻撃力も高めの「チョロ松」の3人。

移動力がある突進型の「十四松」と、遠距離攻撃+範囲攻撃の「一松」「トド松」はガチャで当てなければ使えません。
また、この3人は高コストキャラで、強いですが出し辛いです。

同じキャラを何人も出撃させることが可能で、敵を退けて敵基地を破壊すれば勝利。
逆に敵に押し込まれてこちらの基地(松野家)が破壊されると敗北。
ただ松野家に敵が接近しても、一定時間ごとに「メガニート波」なる虹色光線を発射して撃退することが可能です。  要するに「にゃんこ砲」ですね。

基本戦略はまず AP の増加量を高め、敵が接近してきたら盾役(カラ松)や軽歩兵(おそ松)で足止めしつつ、メガニート波で一掃。
それから一気にユニットを出して反撃するのが定石でしょう。
この辺は一本道 RTS に共通した攻略です。

おそ松さんのへそくりウォーズ ニートの攻防
※メガニート波を出す際にはこんなカットインが。
射程を何度か強化しておかないと範囲が狭すぎて攻略には活用し辛いです。
また、序盤は見た目ほど強くないので、コインを使って強化しておきましょう。


おそ松さんのへそくりウォーズ ニートの攻防
※メガニート波で迎撃中。 事前に資金を貯めておき、一気にユニットを出して反撃に転じましょう。
ユニットは集中させるのが基本で、戦力逐次投入は RTS では厳禁。
盾役(カラ松)さえ絶やさないようにしておけば、それ以外のどのキャラを主力にしても進めると思いますが、相手にダヨーンがいる時は注意。
範囲攻撃して来るので低コストキャラ(おそ松)の量産は通用しません。


ステージは東京・大阪・北海道などのエリアに分かれていて、1エリアあたり 10 のステージがあります。
エリアが変われば敵キャラの衣装も変化。
ステージをクリアするとコインを得られ、それでユニットや基地耐久力、AP 増加速度やメガニート波などを強化できます。

コインや課金通貨で「ガチャ」も行え、ユニットはこれで増やします。
同じ「おそ松」でもレアのおそ松とノーマルのおそ松、特殊バージョンのおそ松がいて、レアリティが高いほど強くなります。

ただ、レアリティが高くなっても、キャラクターの特性は変わりません。
盾役のカラ松は、レアでも激レアでもやっぱり盾役です。
また、レアキャラは出撃コストが高くなり、同キャラをスロットに複数含めておいた方が良いこともあるので、下位のキャラが役に立たなくなる訳ではありません。

やや難点なのは、この「ガチャでキャラを得る」というところですね。
遠距離攻撃や範囲攻撃は、ガチャでそれが出来るキャラを当てないと使えない。
しかしこれらが使えないと一本道 RTS としての攻略ができない。
にゃんこ大戦争のようにステージクリアで使えるキャラが増えていくタイプではないので、序盤の展開はどうしてもガチャ運に左右されます。

また、一松とトド松がどちらも「遠距離攻撃+範囲攻撃」というのも気になります。
一松は遠距離重視、トド松は範囲攻撃重視ですが、似たような使い方で特性がかぶってる。
しかも「遠距離+範囲」だからどんな状況にもほぼ対応できる訳で、カラ松で守って一松かトド松のどちらかで攻撃していけばだいたい OK という・・・

ステージによっては、いきなり敵が来るので低コストキャラを量産しないといけないとか、敵基地がやたら遠くて移動力のあるキャラでないと増援にならないといった場面もありますが、敵の種類も少ないし、同タイプの他のゲームと比較して戦略性が低いのは否めませんね。
まあ、ライトユーザーがメインターゲットのゲームでしょうから、あえて難しくしていないのかもしれませんが・・・

もう1つ気になったのは、キャラクターの「コマ」が少ないことでしょうか。
ノーマルおそ松はアッパーカットで攻撃しますが、振りかぶる絵と、手を伸ばした絵の2コマしかない。
大抵のキャラは移動2コマ、攻撃準備1コマ、攻撃1コマ、やられシーン1コマの5コマのみ。

後ろに吹っ飛んでいくといった動きはありますが、今時のゲームとしてはコマ不足は否めず、ややチープな印象を受けてしまいます。
まあ、それぞれのキャラの絵を描き下ろして貰っているようなので、動きが少ないのは仕方ないかもしれませんが・・・

スタミナがすぐ尽きてしまうのも、やや気になるところ。
しかもスタミナの回復に必要な課金通貨が 360 円分と、ソシャゲの中でも高めです。

おそ松さんのへそくりウォーズ ニートの攻防
※マップ画面。 これは大阪のシーン。 よく見ると色々凝ってます。
この枠線のないデザイン化された背景は原作アニメと同様ですね。


おそ松さんのへそくりウォーズ ニートの攻防
※同じキャラは基本的に、ノーマルでもレアでも特性は変わりません。
しかし例外的に射程などが変わるキャラもいて、このアイドル追っかけチョロ松はサイリウムからレーザーが出るので射程が伸びます。 攻撃が早くコストが中程度で射程のあるキャラは結構強い。


全体としては、そのまんま「おそ松さんのガチャ付き にゃんこ大戦争」ですね。
こう言っちゃ何ですが、ヘンにオリジナルな仕様を盛り込まず、ほぼにゃんこ大戦争のままにしているおかげで、同様の面白さがあります
「劣化にゃんこ大戦争」と言ってしまえばそれまでですが、キャラクターはアニメそのままなので、おそ松さんのファンなら十分に楽しめるアプリではないでしょうか。

それにきっとおそ松なら、「今がチャンス! パクリアプリで一儲けしようぜ!」とか言うと思いますw

問題になっているアプリが落ちる件ですが、iPhone 6 Plus でプレイしたところ、開始時に落ちてゲームが出来ないという事はありませんでしたが、ステージクリア時に落ちる症状が頻発しました。
落ちても再開すればクリア直前の状態に戻れるため、プレイしたのがムダになる訳ではありませんが、一度発生し始めると繰り返し起こるので面倒ですね。

この症状は(少なくとも当方の環境なら)本体を再起動すれば改善されます
しばらくプレイしているとまた発生するのですが、再び再起動すれば当面は解消されます。(よっておそらくメモリ関連の問題)
落ちた時にそのまま続けていると症状はどんどん悪化するので、まず慌てず騒がず本体を再起動しましょう。

今は落ちる問題のせいで評価が割れていますが、ファンアプリとしては十分な内容だと思います。

おそ松さんのへそくりウォーズ ~ニートの攻防~(iPhone 版、iTunes 起動)

おそ松さんのへそくりウォーズ ~ニートの攻防~(Android 版、Google Play へ移動)