帝国を拡大しながら、人類の敵と化した「七英雄」との戦いを繰り広げる、歴代の皇帝たちの物語を描いた自由度の高い長編 RPG が、装いを新たにスマホに登場しました。
ロマンシング サガ2」です。

オリジナルが登場したのは 1993 年末で、スーパーファミコン時代の後期。
ドラクエとファイナルファンタジーが、共に5と6の間の頃です。

「ロマサガ」シリーズの特徴は自由度の高い「フリーシナリオ」であること。
様々なイベントを好きな順番で進めていくことができ、イベントをどうクリアしたか、どの出来事を優先したかで展開が変化。
初回プレイではすべてのイベントを見るのは無理で、全容を知りたいなら周回プレイが当たり前という、分岐の多いストーリーが特徴です。

スマホ版は背景グラフィックが一新されていて、高解像度の綺麗な画面になっています。
一方でキャラクターは昔ながらのドットグラフィックで、攻撃時の演出なども昔のまま。
そのためレトロ感も強く、リニューアルと言うより「リマスター」、再現版といった印象が強いですね。

定価は 2200 円。もちろん買い切りゲームなので、広告や課金は一切ありません。
現在は発売セール中で、4月30日まで 1800 円になっています。
ちなみに Andorid や PS Vita 版も同時発売です。(Android 版には起動時にネット認証があります)

ロマンシングサガ2

ロマンシングサガ2

まず気になっている人が多いでしょうから、先に言っておきます。
チートはありません。

先日発売されたスマホ版の「FF7」「FF9」には強力なチートが搭載されていて、ボタン1つで最高レベルになったり、無敵になったりしていました。
しかし今作にそうしたものはなく、普通のゲームになっています。

ただ、新たに『いつでも使える』つよくてニューゲームNEW GAME+)が追加されています。
これは他のセーブデータの強さの一部を引き継いで、新たにゲームを始められるシステムです。
クリアデータでなくても利用できるので、例えば1時間だけ進めて、その1時間分の強さで新たに再開するといったことが可能です。

しかし最初は1からスタートしなければなりませんし、ちゃんと自分で強くしていく必要があります。
FF7 や FF9 のような「すぐ最強」というものではないので、その点はお間違えなく。
ロマサガ2は進め方によってはボスの打倒が困難になるので、その辺の救済を兼ねているのかもしれません。

スマホ版は他に、追加ダンジョンや新職業、オートセーブが加えられています。
追加ダンジョンや新職業は、元はガラケー版で加えられていたもののようです。

オートセーブからの再開は、方法がちょっと解り辛いので注意して下さい。
CONTINUE を選んだ後に表示される、データリストの一番下にオートセーブのデータがあります。
ドラクエや FF のように、タイトルメニューにオートセーブからの再開がある訳ではありません。
手動セーブはどこでも可能なのでご安心を。

タッチパネル用のインターフェイスになっている事もスマホ版の特徴と言えますが、操作性はお世辞にも良いとは言えません。

※後日追記:操作性はアップデートでかなり改善されています。
以下の青字の文章は初期バージョン、アップデート前のものなのでご了承下さい。


画面をスライドして移動しますが、4方向のみ。
加えてスティック方式ではなく、指を動かした方向に動く形式。

これだと例えば右上に向かいたい時、指を右上に動かしても、ナナメがないので右に動くか上に動くか解りません。
加えて右に動いていて、そこから上に動きたい時、仮想スティックならそこから指を左上に動かしてスティックの位置を上にすることになりますが、このゲームでその操作をすると左か上に動いてしまう。
結果、他のゲームと同じように操作すると、左右に往復し続けて上に行かないというケースが起こります。

言葉では解り辛いと思いますが、とにかく従来のスティック操作とはまったく違う方式なので、それを理解していないと思い通りに動かせません。
しかもこの操作だと右上に向かいたい時、右・上・右・上と指を動かすことになるため、指の位置がどんどんズレていき、頻繁な指の置き直しが必要になります。

このゲームはフィールド上で敵の姿が見えていて、それに接すると戦闘になる「シンボルエンカウント式」のため、うまく避ければ戦いを回避できるのですが、こんな操作では逃げるのも難しい。
おまけにダッシュ中に敵に接すると「陣形」が乱れてしまうのですが、初期設定が「通常移動はダッシュ」なので、設定を変えておかないと操作性の悪さと相まって陣形乱れまくり。

環境設定で「インジケーター表示」を ON にすると左下に小さなスティックのようなものが現われ、これを触ることで普通のスティック操作も可能になるのですが、本来はスティックではないためか、小さすぎて操作し辛いし大きさや位置を変えることも不可能。
さらにポーズボタンが右下にあるため、右手の親指で画面をタップする時に誤って触れてしまいがちです。

正直スクエニのアプリの中では、フィールドの操作性は最低だと思います。
あのスマホ版ドラクエ4~7の移植を担当したアルテピアッツァの開発とは思えません。

ただ、バトルシーンの操作性は良いです。
タップでコマンドを選択できるのはもちろん、画面スライドでカーソル移動や武器の切り替えを行え、敵を直接タップしてのターゲット選択も可能です。

ロマンシングサガ2
※ロマサガ2と言えば、この電球の「ピコーン」。
ボス戦だと閃きやすいので、ボス戦で閃くまで戦って、閃いたら逃げてセーブして再戦、というのも攻略の1つ。
キャラは見てのように昔ながらのドット絵。 ただボスには若干の動きが加えられています。


ロマンシングサガ2
※郊外がなく、フィールドはダンジョンと町のみで、地域の移動はマップ画面で行うのもロマサガの特徴。

ゲームはターン制の RPG で、FF 型の ATB(アクティブタイムバトル。ゲージが貯まったキャラから行動する方式)ではありません。
ただ、スライムには術しか有効ではないなど、FFっぽい相性のシステムはありますね。

ロマサガ2の大きな特徴は「技をひらめく」こと。
攻撃する時、たまに「ピコーン」という音がしてキャラの上に電球が付き、剣で攻撃していれば「なぎ払い」や「二段斬り」などを繰り出すことがあります。
一度ひらめいた技は習得したままになり、以後は WP(技ポイント)を消費して使用できます。

キャラの最大 HP も戦闘終了後にたまにアップする形で、経験値を貯めてレベルアップする方式ではありません。
ただ、武器や術の「熟練度」があり、これは戦闘で得られる「技術点」の蓄積でアップしていきます。

このゲームの主人公は帝国の「皇帝」であり、ゲームの流れは基本的に「特定の地域の問題を解決する → その地域が帝国に組み入れられる」という形で進行します。
帝国が拡大すると税収がアップ、移動エリアや仲間の種類も増えていきます。

ただ、ある地域を優先すると、優先しなかった地域の状況が悪化するといった場合もあり、行動や選択によっては友好的な形での支配にならない場合もあります。
この辺は一本道のストーリーではない、このゲームの良い点でもありますね。
玉座に着くと大臣から内政の提案が行われ、それを実行して町を大きくしていく要素もあります。

もう1つの大きな特徴は、「世代交代」と「帝位継承」があること。

このゲームの HP は戦闘後、自動で全快します
おかげで戦闘後の回復は必要なく、サクサク進められるのですが、HP が 0 になって倒れてしまうと「LP」というポイントが減少し、なくなると「死亡」します。 死なので復活しません。

死んだらどうなるか? 仲間(護衛兵)の場合はそれで終わり。 新たに別の仲間を加えます。
仲間の候補は常に城にいるので困ることはありません。
一方、皇帝が死んだ場合や、全滅した場合は・・・ それがゲーム序盤や最終皇帝でない場合、別のキャラクターに「帝位継承」を行います。

帝位継承を行うと、「伝承法」により前の皇帝の強さ(HP と武器や技の熟練度)を引き継いだ、新たな皇帝が誕生します。
つまり死んでも代替わりするだけで、新しい主人公で物語は続行します。
そしてゲームがある程度進むと、強制的に「世代交代」が発生、全キャラクターが引退して新世代に移行します。
よって途中で死ななくても帝位継承は発生します。

世代交代が起こると皇帝の強さに応じて、城にいる仲間の強さも改められます。
また前の世代で閃いた技は、世代交代後に城の技道場で自由に習得可能。
どんどんキャラクターを変えながら、しかし強さは引き継いでゲームを進めていく・・・
それがロマサガ2のシステムですね。

ロマンシングサガ2
※戦闘中、ターン開始前に出て来る数字は、上が HP、下は MP ではなく LP。
つまり下の数字が 0 になったら死亡です。
正直、HP / WP(技P) / JP(術P) / LP は常に確認できるようにしといて欲しかったかな・・・


ロマンシングサガ2
※陣形の詳細はお城で陣形選択後、配置キャラを選ぶことで確認できます。
陣形は新しいキャラ(職業)を新たな皇帝にすると習得できるので、候補に出て来たら優先しましょう。
NEWGAME+ もある意味、伝承法?


ロマンシングサガ2
※キャラはドットですが背景の書き込みは細かい。 右下の「D」ボタンはデフォルトの移動がダッシュだと押しっぱなしで歩きます。
ちなみにこのシーンは屋根の上に登っていますが、武器屋の暖炉から来ることが出来ます。
シーフギルドの噂を聞いている時、城の自室のベッドに入ると夜になります。 屋根に登って奥に行くと・・・


チート否定派の私としては、とりあえずチートがないので一安心といったところ。
ただドラクエや FF と違い、攻撃演出が昔のままだと、思った以上にレトロ感がありますね・・・
最近のゲームしか見ていない人だと、初見はチープに思えるかも?

キャラクターがドットグラフィックのままなのは、スマホ版 FF5 のキャラの見た目に批判があり、聖剣伝説 のように今風のデフォルメにするのも違和感があるので、ドットのままが無難と判断したのでしょうか。

正直、操作性は何とかして欲しいですが(改善されました)それ以外は良い移植だと思います。
旧作の移植はこういう「リマスター」が、やり方としては一番批判が少ないかもしれませんね。
聖剣伝説に続き、有名タイトルを買い切りで発売してくれたことは、ゲーマーとしては嬉しく、今後も期待ができると思います。

ロマンシング サガ2(iPhone 版、iTunes 起動)

ロマンシング サガ2(Android 版、Google Play へ移動)

※Youtube 公式 PV