先に言っておきます。 広告だらけの「広告ゲー」です。
これでもかというぐらい広告ばかり出て来ます。
当サイトはそんな広告まみれのゲームは、普段はスルーするのですが・・・
それでもこの作品には紹介したくなる魅力があるので、今回取り上げておきたいと思います。
絵師 ~命の絵書き物語~」です。

「絵師」と言うと最近は Pixiv とかにイラストを投稿していて、たまにソシャゲのカード絵とかを書いたりするプロに近いイラストレーターを思い浮かべる人が多いと思いますが、そういう絵師ではないです。
「蟲師」のような和風の世界観で、そこにいる不思議な力を持つ絵描きをこのゲームでは「絵師」と呼びます。

基本的にはソシャゲというか、日本の小メーカーの無料アプリにありがちな「広告ゲー」で、画面をタップして資金や進行度を集め、タップする対象が尽きたら復活するまでしばらく放置というのを繰り返す形。
動画広告を見たり課金をすることで、若干ゲームを早めることが出来ます。

ゲーム性と言えるものは乏しいのですが、素朴なキャラクターと世界観が良く、そしてプレイヤー自身が水墨画のようなかっこいい絵を、簡単に描けるのが大きな特徴です。

絵師 命の絵書き物語

普段やることは画面に出て来るキャラクターをタップするだけ
タップするごとに進行度が1つ増え、お金を落とします。

進行度が 10 になるごとにキャラクターがセリフをしゃべり、それによって物語が進行します。
キャラのセリフは全てフルボイス。 ちゃんと声優さんが演じられているようです。

ただ、画面に出て来るキャラクターは通常 10 人ずつ。
それを全てタップしてセリフを1つ聞いたら、新たにキャラが出て来るまで待たなければなりません。
待機時間は約 40 秒ですが、これを何度も繰り返すので、さすがに面倒というかスローテンポ。
物語の展開も途中で忘れがちですね。
この辺はいかにも「無料アプリの作り」です。

物語が進み、進行度が最大になると・・・ 「墨画」を描くシーンになります。
まずはストーリーの題材に沿ったものを描くことになり、最初のお題は「りんご」。
これは実際に画面を指でなぞって描きます。

いきなり描けと言われても難しそうですが、画面に見本となる線が引かれているので、それに沿って描けば OK。
最初は普通の線が引かれるだけですが、その後に「筆」を選ぶと、その線がいかにもそれらしい、墨を付けた筆で力強く描いたような絵に加工されます。
これによりテキトーに描いても、驚くほど「それっぽい」仕上がりになります。

その後は色付け。 これも画面をなぞるだけで、手軽に塗ることが出来ます。
ゲームが進めば「小筆」や多彩な色の墨が登場し、細かい色付けも可能。
思うような線が引けなくても、すぐに1手戻すことが出来ます。

とにかく簡単に雰囲気のある墨画を描けるので、描いていて楽しいですね。

絵師 命の絵書き物語
※まずは見本に沿って線を引いていきましょう。
最初は1のように簡素な感じなのですが、筆を選ぶといきなり2のようなプロっぽい墨画に変身。
筆の種類はいくつかあり、その中から見栄えの良いものを選択できます。


絵師 命の絵書き物語
※最後に描いた絵に色を付けます。 普段は1色しか塗れません。
ゲームが進むと色の墨を買え、小筆で背景なども描けるようになります。
右は様々な台紙。 ゲーム内のお金は、こうした墨や紙を買うのに使用します。


絵師 命の絵書き物語
※実はお手本通りに描く必要は全くありません。
どんな風に描くかは自由なので、右のように見本を無視して字を書いてしまっても OK。
描いた絵は Twitter で公開でき、他の人の作品も閲覧できます。

難点はすでに述べたように、広告がメチャ多いこと
画面下にバナー広告、画面上部に小型広告、メニューボタンを押すと全画面広告、ショップ画面には中型広告、さらに客寄せや資金購入で任意動画広告。
普段のゲーム中にも上部にカットインのように広告が出て来るなど、ありとあらゆる方法で広告を出します。
もう意地でも広告を見てくれ、そして俺に金をくれと言わんばかり。

さらに最悪なのが、出てきたキャラクターをタップしている最中、いきなり全画面広告を割り込ませてくること。
こんなことされたら誤タップ多発! あからさまな誤タップ狙いで、もはや悪意さえ感じる。
課金画面に移るボタンも、出てくるキャラクターにかぶさるような位置にあり、ここまで来るとやり過ぎだろうと思ってしまいます。

無論、会社のゲーム作りはボランティアや趣味ではありませんから、収益を得られるようにしなければならないのは解りますが・・・ 限度や節度というものもある。

まあ、こうした「広告ゲー」は一発ネタや、タイトルで釣るようなアプリが多いのですが、これはちゃんと内容でも勝負しようとしているのを感じるので、その点ではマシです。
ただ、ゲームの雰囲気がそういうものとは正反対であるだけに、逆に広告にまみれていることで、違和感を感じるのも否めませんね。

絵師 命の絵書き物語
※見事な広告ゲーっぷりの図。 さすがにここまで多いと引く。
右は4章以降に出て来る「先に進む方法」の選択。
Twitter で描いた絵を公開すればタダで先に進めますが、それが嫌な時は 120 円で次の章を購入するか、全章を 360 円で購入するかになります。


このゲーム、もし「広告ゲー」ではない、ちゃんとした作りのアプリであったなら、名作と呼ばれてもおかしくない作品だった気がします。
ちょっとひいき目過ぎるかもしれませんが、好きなんですよね。 こういう蟲師系。
物語や墨画シーンも、非常に良いものがあります。

でも、iTunes の無料アプリランキングを占めている「広告だらけアプリ」の1つに過ぎない作りで、下品なイメージは拭えません。
私的には、とても惜しい印象を受けるアプリです。

しかしこうした雰囲気の作品が好きで、多少(?)の広告を気にしない人には、悪くないアプリだと思います。

絵師 ~命の絵書き物語~(iTunes が起動します)