古代世界のディアブロ。
古代ギリシャの戦士が神話時代のスパルタやエジプトを巡る、ディアブロやトーチライトと並び称される「ディアブロ型ハック&スラッシュ」のアクション RPG がスマホ&タブレットに移植されました。
Titan Quest」です。

オリジナルは 2006 年にパソコンのソフトとして発売されており、フル 3D の美しいグラフィックとディアブロらしい派手な戦闘を iPhone / iPad でも遜色なく堪能することが出来ます。
移植を担当したのはフランスの DotEmu で、同社の移植は肝心なところが欠けていることも多いのですが、今作のクオリティーはかなり高いです。

私はオリジナルは未プレイなので比較することは出来ないのですが、近年の PC 用ヒット作の移植だけあって、ボリュームやグラフィックはスマホのレベルを超えてますね。
XCOM のような、フルサイズ・フルスペックの PC ゲームをそのまま移植した作品です。

ただしそのため、対応ハードの条件は厳しく、iPhone 5s 以降、iPad Air / mini 2 以降、iPod touch 第6世代が対象。 iPhone 5 や iPad 3 / 4 は対象外
実際、iPad Air(CPU は 5s 相当)でのプレイだとコマ送り気味になる場面が散見され、快適にプレイできるギリギリの範囲といった印象を受けます。

価格は 960 円。 このレベルのゲームとしては、むしろ安いと言っても良いでしょう。
もちろん買い切りゲームなので、広告・課金・スタミナ等は一切ありません。
ただし拡張パック(Immortal Throne)は盛り込まれていません。

Titan Quest

Titan Quest

ディアブロの追従作と言えるので、ゲーム性はディアブロシリーズのまんまです。
見下ろし型のアクション RPG で、3D グラフィックですが、プレイ感は 2D(平面)。
画面左のスティックで移動し、右にあるボタンで攻撃。
攻撃は半オートで、押しっぱなしで連打でき、自動で近くの敵を狙ってくれます。

ディアブロ系の戦闘の特徴は「無双」。
大量の敵が一斉に襲いかかって来て、それをバッタバッタとなぎ倒す、スピーディーで爽快感のある戦闘が繰り広げられます。
と言っても、袋叩きに遭っているままだとさすがにやられてしまうので、あまりに敵が多い時は、逃げるかスキルを使って対処する必要があります。

減った HP はポーションを使って回復し、ピンチの時はオートで飲んでくれます。
ポーションの入手量は多く、店でも安く買えるので、基本的にはガブ飲みしながら戦うスタイルで、欧米らしいゴリ押し系。
ただ使ってすぐ回復するタイプではなく、徐々に回復していく形なので、HP が少なすぎる時は一旦離脱しないと危険です。

ディアブロと言えばランダムドロップのアイテム集め。 もちろんこのゲームでも健在です。
敵を倒していると様々な装備を落とし、多種多様な付加効果の付いたマジックアイテムも出現。
運が良ければ強力なレアアイテム、固有装備のエピックアイテムが手に入ることもあり、装備探しも大きな楽しみですね。
たまに敵が「チャーム」や「レリック」と呼ばれる欠片を落とすこともあり、これを装備に付加して強化することも出来ます。

Titan Quest
※画面をピンチ操作すればズームイン / ズームアウトが可能。
細かく描かれたグラフィックをアップで眺めることも出来ます。


Titan Quest
※アイテムは種類ごとに大きさが違います。 このシステムはいかにもディアブロ系。
武器は2種類装備でき、ボタンで切り替えられるので、遠距離用と近距離用にして使い分けるのが基本でしょうか。
メインストーリーが進行するとバッグが手に入り、アイテム所持数が増加します。


Titan Quest
※アイテムは白がノーマル、黄色はマジック付き、緑はレアマジック、青は固有装備。
オプションで白アイテムは非表示に出来ます。
スティックの右下にある青いボタンを押すとポータル(ワープゲート)が開き、町に戻れます。
ポータルでまた戻ってくることも出来るので、アイテムを持ち切れなくなったら売却してきましょう。


主人公のレベルが2になると「マスタリー」と呼ばれる特性を選択できます。
戦士系の Warfare、盾戦士の Defender、弓と槍の使い手 Hunter、火の魔術師 Earth、狼を呼び出す Nature などがあり、それぞれが固有のスキルを習得可能。

そしてレベルが8になると2つ目のマスタリーを選択可能になり、この2つの組合わせでビルド(職業)が決まります。
マスタリーは8つあるので、ビルドは計28。
どの組合わせが強いのか、どういう戦い方をするのか、その辺を考えるのもゲームの面白さですね。
加えてマスタリーごとに 20 のスキルがあり、どれを優先するかも重要です。

世界観はギリシャ神話やエジプト神話などをベースとしていて、実在した都市を模した町があり、ハクスラでありながらストーリーも重視されているのが特徴です。
メッセージが英語、しかもかなり長文が出て来るので、日本人にはストーリーは解り辛いのですが、見た目の雰囲気や演出でなんとなく物語は伝わって来ます。

また、マップは広大ながらも通るルートはほぼ決まっていて、道に沿って進んでいけばゲームは自然に進行するので、悪く言えば一本道ですが、英語が読めなくても進め方で迷うことはないでしょう。

フィールドは非常に美しく、素朴な雰囲気の町並み、こかげのリアルな森、水の表現が見事な川や海岸などがあり、昼夜の変化もあります。
物理シミュレートも細かく、破片がリアルに転がり、坂道で倒れた敵の死体はゴロゴロと転がり落ちていきます。
そのグラフィックは iOS のゲームとしては間違いなくトップレベルですね。

ただ、私が iPad Air でプレイしていたからかもしれませんが・・・
高負荷なグラフィックによる不安定さが難点です。

まず、妙な引っかかりというか、操作し辛さを感じます。
たまに思うように移動できなかったり、攻撃できないことが。
また攻撃が半オートなのが災いし、あさっての敵を狙って思わぬ方向に走っていくことも。
操作性が悪いと言うより、たまに不自然になる、という感じでしょうか。

そして何より、たまに落ちる
経験値やアイテムなど、最低限の情報は定期的にセーブされているようで、落ちたら全部パーという訳ではないのですが、再開時に復活ポイントまで戻されてしまうため、元の場所まで行くのが面倒。
倒した敵やマップの踏破状況なども落ちると戻ってしまいます。
メモリの問題で落ちている訳ではないようなので、本体再起動しても特に変化なし。

ただ、iPhone 6 Plus でプレイしてみると、明らかに iPad Air の時より操作がスムーズでした。
よってやはり、iPad Air や iPhone 5s では「ギリギリ」なのでしょうね。
決して遊べない訳ではなく、普通に楽しめるレベルなのですが・・・ 今の時点ではこれらの機種では、やや不安定なのは否めません。
そろそろ 2013 年世代(Apple A7)では足りない時代が来たということでしょうか。

(ちなみに iPhone 5s、iPad Air 1、iPad mini 2 / 3 は A7。 iPhone 5、5c、iPad 4 は A6。 iPhone 4S、iPad 2 / 3、iPad mini 1、iPod touch 第5世代は A5 です)

Titan Quest
※習得する特性はゲームが進めば2つ選べます。 ただし後で変更はできません。
戦士系は二刀流が可能に。 近接系と魔法系を取って使い分ける手も。
召喚魔法は盾戦士以外、どれも持っていますが、自然魔法は召喚数が多めです。


Titan Quest
※スキルツリー。 これは Hunting(弓&槍使い)のもの。
スキルポイントはレベルアップごとに3つ貰えますが、逆に言うと3つしか貰えないので、全部を上げていくことはできません。
左下のメーター(基本スキル)を上げるとステータスが増えます。
10 年前のゲームなので、スキルの詳細はネットで検索すれば調べられるはず。


Titan Quest
※港町のワンシーン。 船や石畳などの書き込みの細かさが目を引き、陰影のリアルさと水の表現がそれらを際立たせます。
その分、高いグラフィック処理能力が必要な訳ですが・・・


スマホ用のゲームではなく、パソコンのフルプライス用のゲームで、そして「ソシャゲ時代の前に作られたゲーム」なので、課金なしでガッツリ遊べる内容です。
出先でちょっと遊ぶというのには向きませんが、やり込めるヘビーなゲームをしたい方にはお勧めです。
言うなれば「脂の乗った PC 洋ゲー」ですね。

PC ゲームと言っても無双アクション RPG なので、ゲーム自体は難しくありません。
敵を片っ端からボコりながら進んでいけば良いので、誰でも遊べます。

職業は一度決めると変えられませんが、そのぶん数度のプレイで色々な職業を試してみる遊び方も出来ます。
クリア後に選べる難易度も3種類用意されていて、やり込みも想定されたシステムですね。
長くしっかり楽しめる、オススメの本格派ゲームです。

Titan Quest(iPhone 版、iTunes 起動)

Titan Quest(Android 版、Google Play へ)

※Youtube 公式 PV