サイゲームスのハースストーン。色々な意味で有名になったソーシャルゲームメーカー Cygames が、本格 TCG(トレーディングカードゲーム)を公開しました。
「シャドウバース (Shadowverse)」です。
サイゲームスは昨年秋、世界的定番の TCG「マジック・ザ・ギャザリング(MTG)」のプロプレイヤー3名とスポンサー契約を締結、TCG プロチーム「Team Cygames」を設立していました。
よって近々、自前の TCG アプリを公開するのだろうと、その頃から言われていたのですが・・・
それがようやくお目見えした、といったところですね。
出て来たものは意外にも MTG ライクではなく、Hearthstone(ハースストーン)のクローン。
MTG は実物のカードゲームであり、コンピューターゲームのオンライン対戦には向かないので、オンラインゲーム用に開発されたハースストーンの方をベースにしたようです。
無論、そのままパクっている訳ではなく、ゲーム中にカードを「進化」させられるなど、独自のシステムが盛り込まれています。
アプリ本体は無料ですが、課金やガチャ(カードパックの購入)はあります。
ただ、スタミナはなく、いくらでも対戦でき、広告などもありません。
2人で対戦するカードゲームです。 デッキ(山札)の枚数は 40 枚。
最初の手札は3枚ですが、一度だけ不必要なカードを交換できます。
自分のターンになったプレイヤーはデッキからカードを1枚引いた後、手札を場に出していきます。
ただしカードには「コスト」があり、その分だけ「PP」というポイントを消費します。
この PP は最初は1なので、コスト1のカードを1枚しか出せません。
2ターン目になると PP の最大値が2になるので、コスト2のカード1枚か、コスト1のカード2枚を出すことが出来ます。
PP の最大値は自然に増加し、MTG のようにカードを使って増やす必要はありません。
このゲームのカードは3つの種類に分かれます。
1つはユニット(兵士、クリーチャー)のカードで、このゲームでは「フォロワー」と呼ばれます。
場に配置して、次のターンから敵を攻撃可能。
敵フォロワーを攻撃すると互いの HP が相手の攻撃力の分だけ減少し、0 になった方は破壊されます。
相手のリーダー(ヒーロー)を攻撃し、HP を 0 にすれば勝利ですが、ガードの能力を持つフォロワーが場にいる場合、それを倒さないとリーダーへの攻撃は出来ません。
他に、使い捨ての「スペル」カードと、場に配置されて継続的に効果を発揮する「アミュレット」のカードがあり、敵に直接ダメージを与えたり、味方を強化するなど、様々な効果のものがあります。
基本的には ハースストーン を踏襲しているので、そちらの経験があれば悩まずに遊ぶことが出来るでしょう。
ユニットが出す端から破壊されていき、1プレイが短時間で決着する、スピーディーな展開もハースストーンと同様です。
画面の構成も似ていますね。
ただ、ハースストーンにあったヒーロー自身の特技「ヒーローパワー」はありません。
代わりに今作にある独自のルールが「進化」。
5ターン経過後、先攻は2回、後攻は3回まで、場のカードを強化することが出来ます。
しかも進化させたカードは、場に出したばかりのターンでも敵フォロワーへの攻撃が可能なため、ピンチになってもこれで切り抜けられることが多いです。
もちろんこれで勝負を決めに行くことも出来ます。
進化によって特技を発生させるカードもあり、いつ使うかが重要なポイントであると同時に、試合の高速化にも繋がっていますね。
リーダーの HP も最大 20 と、ハースストーンより少なめなので、勝負は一気に決まる場合が多いです。
※画面の演出はとにかく派手! ハースストーンも派手でしたが、その数倍は派手。
閃光が走り、剣撃や魔法弾が飛び交い、召還時には雷鳴が轟きます。
ボイスも豊富で、かなり気合いの入ったクオリティ。
ハースストーンのように、タップすると反応する装飾もあります。
※カード進化のシーン。 こちらもやっぱり派手。 リーダーの絵も手などが動きます。
「進化」は出した直後のカードでも攻撃可能になりますが、召喚酔いがなくなる訳ではなく、リーダーへの攻撃はできません。
ただし、すでに配置して1ターン経過しているカード、つまり召喚酔いがないユニットは、進化させてもリーダーへの攻撃が可能です。
リーダーを倒せるかどうかの計算は進化の分も忘れずに。
現時点(2016/6)で登場するリーダー(ヒーロー)は7人。
それぞれが固有のカードを持ち、全く異なる戦法で戦う必要があります。
TCG 初心者向けに、性格付けをかなりハッキリさせている印象がありますね。
私見ですが、各リーダーの特徴は以下の通りです。
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アリサ:手札わらわらデッキ。かわいい。手札を増やし、まとめて出すことで強化されるカードが多く、カードの管理が重要になる。やや火力不足だが、手札の多さを攻撃力に直結できるカードがそろえば補える。あまり初心者向けとは言い難いテクニカルキャラだが、戦法は構築しやすい。
エリカ:わらわら速攻デッキ。メイド。場に出ているカードを増やすものが多く、増えた兵士を強化するカードもあり、数の優位で戦うスタイル。1体1体は弱いが、追い込み型デッキに速攻が決まれば一方的に勝てる。増やして殴れば良いので初心者でも戦いやすい。
イザベル:スペル系デッキ。おっぱい。スペルを使うことで強化されるカードがあり、スペルで防戦しながら強カードを準備できる。また素材カードを消費してガードユニットを召喚できる。強化するヒマがない展開になると脆いが、スペルを多用できるので汎用性が高く、ハマればめっぽう強い。
ローウェン:典型的な後半追い込み型。貴重な男性キャラ。PP(最大コスト)が7になると強化されるカードが多く、序盤は耐え、PP が増えてから高コストユニットで圧倒しに行くスタイル。強いカードが多いが、引きが悪いと速攻にはあっさり負ける。中盤でどう巻き返すかが重要。
ルナ:アンデッド系デッキ。ロリキャラ。墓場(捨てカード)の枚数を消費して特殊効果を発揮するカードがある。相手を即死させる「必殺」や、死んでも復活する特技など、使い勝手の良いカードが多い。バランス型で多様な戦法を取れるが、中途半端だと弱いので、作戦に合わせたデッキ構築が必要。
ユリアス:HP が半減すると強くなる特殊型。スマートおやじ。双方のリーダーにダメージを与えるカードを使いつつ、攻撃時に回復するドレイン能力で自身の HP を維持するのが基本。リーダーの HP が半減しないと効果を発揮しないカードが多く、HP 増減の管理が必要。速攻型と言うか、殺られる前に殺るタイプ。
イリス:召喚デッキのお姉さん。このゲーム特有の性質を持つ。数ターン後に強力な効果やユニットを発生させるカードが多く、時間はかかるが低コストで強いユニットを呼び出せる。回復カードも多めで、敵を消滅させる強力なスペルも多い。ガードユニットが多く、守りながら戦う防戦型。
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どのリーダーも固有の戦法を取るためのカードがデフォルトデッキに含まれているので、使い方を誤らなければ、初期状態でも相応に戦えます。
また、このゲームにはソロプレイ用のストーリーモードがあり、ここがチュートリアルを兼ねていて、プレイ方法に加え、戦法も丁寧に教えてくれます。
シナリオモードではそれぞれのキャラクターの物語も展開され、しかもセリフはフルボイス。
このソロの部分をしっかり作ってくれているのは、日本製らしくて良いですね。
ただ、現時点では各リーダーともシナリオは6戦目までしかなく、それ以後はバトル(オンライン対戦)に挑んでいくことになります。
※7人のリーダーはそれぞれ性質がまるで違います。
このエリカというキャラは数で勝負する「わかわらデッキ」ですが、手札は最大8枚、場のカードは最大5枚なので、適度に減らしながらプレイすることも必要です。
※ストーリーシーン。 静止画では解りませんが、オーラの表現が綺麗です。
オンライン対戦前に、コンピューター相手にしっかり練習できるのは良いですね。
海外のオンライン対戦ゲームはその辺を重視しませんが、今作はそういうことはありません。
オンライン対戦は、現在はユーザーが多いため、マッチングに時間はかかりません。
対戦レスポンスも良く、何度か落ちたことはありますが、快適と言って良いですね。
マッチングも同じレベルの人が選ばれるようで、不当に高い相手とマッチングされたことはまだありません。
「特定のキャラで勝利せよ」「対戦で4回勝利せよ」などのミッションが1日3つまで与えられ、これを達成することでカードパックを引くためのチケットやゴールドを貰えます。
最初のうちはストーリーモードを進めていくことでも得られます。
カードパックには8枚のカードが入っていて、ハースストーンより多め。
やはり「レアリティ」があり、高レアカードはなかなか入手できませんが、バランスはしっかり取られているようで、「それがあったら無敵」みたいなカードは今のところ見られません。
この辺は MTG のプロチームを抱えている訳ですから、その監修の元、入念な調整を行っているものと思われます。
また、いらないカードは「エーテル」と呼ばれるものに分解でき、これを貯めて欲しいカードを直接生成することも可能です。
ただ、やってて気になるのは・・・ 女性キャラの割合が非常に多いこと。
人間型カードの8割は女の子で、もうここまで来ると「ギャルゲー」。
リーダーからして女性5人、男性2人。
女の子は可愛らしく描かれていて、それはもちろんブサイクやアメコミ的女性より良いのですが、ここまで美少女ばかりだと、普段ギャルゲーをやらない身としては非常に違和感があります・・・
さらにカードごとに様々なボイスが付いていて、もちろん豪華で良いのですが、デッキによっては女の子カードばかりの女の子ボイス連発のゲームになる訳で・・・
これがどの層に向けたゲームなのか解りませんが、一般向けのゲームとして考えると、ちょっと敬遠してしまう人も少なくないんじゃないかなと思います。
まあ、ギャルゲー好きは喜ぶでしょうし、悪いという訳ではありませんが・・・
※何の説明もなくて非常に解りにくいのですが、オンライン対戦時にセリフを喋るのは、リーダーを長押しして行います。
周囲に表情のアイコンが現れるので、そこに指をスライドして離しましょう。
セリフはボイスで発声され、キャラごとに異なります。
※カード一覧の一部。 見てのように女の子成分過剰。
ここまで来るとねぇ・・・ ギャルゲーだよねぇ・・・ もちろんリアルに描かれたモンスターなどもたくさんいるのですが・・・
ハースストーン をベースに、MTG を参考にしたカードと、オリジナルのルールを加えた感じでしょうか。
「進化」のシステムはソシャゲ会社っぽいですが、ちゃんとゲームの重要な攻略要素になっています。
また、このゲームは完全な新作であるため、対戦しやすさもあります。
ハースストーン は iOS で公開された時、すでにパソコンで1年近く、世界規模で運営されていました。
ですから iOS のユーザーが入ろうとした時、周囲にいたのはもはや「世界中の玄人」であって、ゲーム自体は初心者でも遊びやすい内容でしたが、「途中参加の辛さ」みたいなものがあったのは否めません。
しかし今作はまだそういうものがないため、参加しやすい印象がありますね。
この辺は時間が経つと変わって来るかもしれませんが、サイゲームスはライトユーザーも多いソシャゲメーカーですから、それが良い方向に、玄人向けになり過ぎない方向で影響してくれればと思います。
サイゲームスと言えば、ソシャゲで様々な問題を引き起こしている事でも知られていますが、今作の課金圧力は低く、カードパックはむしろ他の TCG より安めで、カードごとの排出確率なども明記されています。
過去のことを考えると、不安もあるのが本音ですが・・・
運営さえ良ければ、日本 / アジアのコンピューター TCG の定番になっていくのではないでしょうか。
・シャドウバース (Shadowverse)(iPhone 版、iTunes 起動)
・シャドウバース (Shadowverse)(Android 版、Google Play へ移動)
※こちらの記事 の最後にも、各キャラの有用なカードの紹介を掲載しています。
※Youtube 公式 PV
個人的にはエリカがMTGの古き良き白ウィニーって感じで使いやすいですが、ウィッチのスペルブーストとかはアナログでは出来ないシステムなので新鮮ですね