リズムゲーム+ローグライクゲーム。
「不思議のダンジョン」シリーズのようなローグライクゲームを、BGM のリズムに合わせてプレイする、風変わりなゲームが PS4 / PS Vita から移植されています。
クリプト・オブ・ネクロダンサー」です。

リズムに合わせて移動と攻撃をしないとミスになってしまうローグライクで、こう言うと「それって難しいんじゃない?」と思うかもしれませんが・・・ えぇ、ムズいです。
じっくり考えることが出来ないので、通常のローグライクよりアクション性が高く、素早い頭の回転と判断力、そして慣れが必要になりますね。
ただ、その分ローグライクとしての難しさは抑えられています。

価格は 600 円。 買い切りゲームなので課金・スタミナ・広告などはありません。
PS4 / PS Vita 版は約 1950 円、Steam 版は 1480 円なので、かなりお得と言えるでしょう。
開発したのはカナダの小メーカーですが、日本版の発売はスパイク・チュンソフトが行っています。

クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer

クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
基本的にはローグライクゲーム、いわゆる「不思議のダンジョン系」です。
操作はスワイプや十字キーを選べますが、十字キーが使いやすい印象。
iTunes レビューには操作性に対する批判が見られますが、私的には操作し辛いと感じたことはありません。

十字キーは画面の左右両側に現れ、攻撃は敵がいる場所に移動すれば行われます。
アイテムは2つの十字キーを特定の組合わせ(上+下など)で押すか、アイテムアイコンをタップすれば使用されます。

海外のローグライクは、アイテムよりキャラクターのスキルを駆使して戦うものが多いのですが、このゲームの初期キャラはスキルを持たず、装備とアイテムで戦います。
その点では日本風ですが、アイテムをたくさん貯め込まない点や、序盤から敵が多く、代わりにダンジョンの階層が少ない点は海外風。

ローグライクの基本通り、こちらが1度動くと相手も1度動くターン制ですが、冒頭で述べたようにこのゲームは「リズムゲーム」。
BGM のテンポに合わせてボタンを押さなければならず、押せなかった場合はパスになります。
リズムの判定は曖昧で、かなりズレていても大丈夫ですが、ボーッとしていると敵がどんどん近付いて来るので、ターン制とは言いながら素早い行動が必要です。

多くの敵は特定の行動パターンを持っていて、例えばブルースライムは上下移動を繰り返し、スケルトンは2ターン毎に移動、ボスのミノタウロスはプレイヤーを見つけると突っ込んで来ますが、突進中は方向転換できません。
よってブルースライムは横から叩く、スケルトンは移動しないターンに攻撃、ミノタウロスは突進をかわしてから殴る、というのが攻略になります。

ただ、これをリズムのテンポに合わせながら実行しなければなりません。
敵が1体ならラクですが、多くの敵がまとめて出て来た時にリズムを維持しながら前述の攻略の通りに動かなければならないのは、かなり難しい。
ここはもう、何度もやって慣れないとダメでしょう。

正直、このシステムは賛否分かれるところだと思います。
「リズムゲーム+○○」というゲームは他にも色々ありますが、大抵は「リズムゲーム」の部分が「○○」の部分を邪魔しています。
それが融合して気持ち良くプレイできる、なんてのはゲームに十分慣れた人の話。
慣れるまでは余計であり、それはこのゲームでも同様です。

とりあえず最初は、メインキャラの「ケイデンス」ではなく、リズムを無視して自由に動ける「バード」を選んで、ゲームに慣れた方が良いでしょう。

リズムに合わせる難しさを加味した難易度のため、リズムを無視できるキャラだとかなり簡単になります。
それでは面白さは半減ですが、リズム付きだと最初は瞬殺されまくると思いますから、まずはリズム無しで練習した方が良いですね。
リズム無しでシステムと攻略を理解してからリズム付きで遊べば、楽しさも解ってくると思います。

クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
※このゲームのもう1つの特徴は、壁を掘り進めること。
外周や硬い岩は掘れませんが、普通の土壁はいくらでも掘ることができ、中に隠し部屋があることも。
掘る際に1ターンかかるので、これを利用して待機する手もあります。


クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
※フロアボス、レッドドラゴンの火炎ビーム攻撃! どのフロアにもボスがいて、倒さなければ進めません。
特にレッドドラゴンは強敵ですが、相手の行動パターンを把握して、ミスなく動けばノーダメージで倒せます。
まあ、言うのは簡単ですが・・・


クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
※これはフロア3突破後の大ボス戦。 バンド楽器を模したボスで、他にもチェスのような敵や、ゾンビの大行列など、ユニークなボスがランダムに登場します。
出現前にはイラストのカットインも。


ダンジョン内ではコインやダイヤが見つかります。
このうちコインはダンジョン内のショップでのみ使え、ダンジョンから出たらなくなりますが、ダイヤはダンジョンの外で使用するもので、やられても持ち帰れます。

ダンジョンを探索中、檻に入れられた人が見つかることがあり、鍵を探し出して彼らを救出すると、メニュー画面である「ロビー」にショップがオープンします。
ダイヤはこのショップで使用し、恒久的なパワーアップを購入できます。

主に最大ライフやコイン倍率のアップ、出現アイテムのアンロック、武器や防具のアンロックなど。
まずは最大ライフを増やすのが先決ですね。
他に任意のボスやザコと戦えるトレーニングルームもオープンします。

さらに(メインキャラのケイデンスで)ゲームを進めることで、様々な追加キャラクターが登場。
爆弾を蹴り飛ばして戦うボンバーマン的なキャラや、敵を倒せない平和主義なキャラなど、特徴的な性質を持つキャラが追加されていきます。
ダンジョンのクリア状況はキャラクターごとに保存されるため、各キャラで攻略しようとすると結構なやり込みに。

ダンジョンは全部で4つですが、そう簡単に攻略はできず、全部を通してプレイする「オールゾーンモード」もあります。

なお、このゲームは iPhone に入っている好きな曲を BGM にすることも可能です。
フロアごとに設定でき、テンポが分析され、そのリズムに合わせてプレイできるのも大きな特徴となっていますが・・・
ただ、普通の曲だと変調することが多いので、よほど相性の良い曲でないとプレイし辛いですね。

クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
※ロビーに追加されるショップ。 ここで新アイテムやライフアップなどを購入していきます。
ただしアイテムは買ってもアンロックされるだけで、ダンジョン内で手に入れないと使えません。
どのキャラで買っても全キャラに適用されるので、まずはプレイが簡単なバードでパワーアップを増やした方が良いかも。


クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
※こちらはダンジョン内のショップ。 店主は BGM に合わせて声高らかに歌い出します。
ちなみに、この店主に爆弾をしかけたりすると・・・
なお、この画像はキャラクターをシレンにしています。
見た目が変わるだけですが、ロビーでポーズしてオプションの「アバター変更」を選べば、ダンガンロンパやシレンシリーズのキャラを使用できます。
サウンドも「サウンドトラック変更」を選べば、PS Vita 版のコラボイベントで追加された、ダンガンロンパや グルーヴコースター の曲を選べます。


クリプト オブ ネクロダンサー Crypt of the NecroDancer
※追加キャラの1人。 なんと敵を倒せず、混乱させる能力と穴掘りで出口までひたすら逃げ回ります。 ボス戦はありません。
追加キャラやストーリーシーンを出すにはケイデンスでプレイする必要があり、バードでは出て来ません。


正直、ゲームの取っ付きは良くないです。
やはりローグライクをやりながらリズムも維持するというのは、ローグをやりたい段階では面倒。
それでいて難易度も高いので、初期の段階で放り投げてしまう人は多いと思います。 スマホだと特に。
「ローグ+リズム」を楽しめるのは、それを乗り越えてからになります。

よってシステム的にも難易度的にもゲーマー向けですね。
高い評価を受けているゲームですが、ヘビーユーザーに向けたゲームをヘビーユーザーが評価しているからこその評価だと思って下さい。

しかしゲームに慣れてくれば、やり込み甲斐のある内容なので、評判通りの面白さを体験できるでしょう。
リズムを無視できる「バード」だけでプレイすれば、逆に取っ付きやすいローグ系として楽しめるかも?

ともあれ、PC やコンシューマーから移植され、チュンソフトがローカライズと調整を施した、(慣れれば)しっかり楽しめる新作ローグライクです。
この手のゲームが好きな人なら見逃せない作品ですね。

クリプト・オブ・ネクロダンサー(iPhone 版、iTunes 起動)

Crypt of the NecroDancer(PC 版、Steam へ移動)

※Youtube 公式 PV
(PS4 / Vita のものですが、追加要素も含め iOS 版と変わりません)