事業カードを買って収益を得られる確率を増やし、サイコロを振って収入を決定、得た資金でさらに事業を増やしていく、町作り型のダイスゲーム「街コロ」。
2012 年に公開されたアナログゲームで、当初はそれほど有名ではありませんでしたが、2014 年に海外でも発売開始、2015 年にはユーザー投票で決まる「ドイツゲーム賞」で8位、さらに権威ある「ドイツ年間ゲーム大賞」にもノミネートされた作品です。

その街コロを元にしたソーシャルゲームが公開されています。
街コロマッチ!」です。

ただ、「街コロ」を題材にしたスマホアプリはこれが2作目です。
前作の街コロ は 2014 年に公開されていましたが、バランスやシステム、AI の挙動などに問題があり、半年で運営終了してしまいました。
今作はそんな街コロのリベンジ作と言えますが、前作が商業的に失敗したためか・・・ スマホゲーム専用にアレンジされた、課金ガチャとオンライン対戦が中心のソーシャルゲームになっています。

正直、オリジナルを知っている私としては、これが「街コロ」と言われても釈然としません。
これはスマホゲーム「街コロマッチ」であり、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた「街コロ」とは別物です。
ただ、ソシャゲとして、スマホとして、オンライン対戦ゲームとして考えると、やっぱりこうなるのかなぁ、という気もします・・・

ともあれ、先に言っておきますが、超「運ゲー」です。 対戦するとそこを痛感することになります。
しかし開発・運営メーカーが Aiming(エイミング)になり、アプリ自体のクオリティは大幅アップ。
グラフィックや演出、サウンドが良く、ボードゲーム系としてはかなり有力なアプリですね。

ソーシャルゲームなのでアプリ本体は無料ですが、課金・ガチャ・スタミナがあります。

街コロマッチ

街コロマッチ
改めて言っておきますが、ここからのゲーム説明はスマホアプリ「街コロマッチ」のものであり、オリジナルの街コロとは異なります。
オリジナルのルールについては前作の 街コロ のレビューを参考にして頂ければと思います。

対戦形式は 1vs1 か、2vs2 のチーム戦、もしくは4人対戦。
1人用のストーリーモードとオンライン対戦モードがあり、対戦はオートマッチングで気軽に参加できます。
今はユーザーも多く、待ち時間は少ないですね。 フレンド対戦も可能です。

ゲームが始まると各プレイヤーはデッキ(山札)から5枚のカードを引いて手札とします。
また、1~12 の数字がふられたゲームボード上に、各プレイヤーの建物(デッキ内の施設カード)が2つランダムに配置されます。

自分のターンのプレイヤーは、デッキからカードを1枚引き、サイコロを1つか2つ振ります。
オリジナルの街コロは、最初に使えるサイコロは1つだけで、「駅」という大事業カード(ランドマーク)を得ることでサイコロ2つを選択できるようになっていました。
そうしたステージも今後追加されていくと思いますが、現時点(8/10)ではゲームの高速化のためか、対戦では最初から駅があるマップ(常にサイコロの数を選べるマップ)しか存在しません。
1人用のステージも、序盤以外は駅が最初からあるステージが続きます。

サイコロは、そのターンの収益を決めるために振ります。
このゲームの建物(施設)には「誰かが5を出すと 400 コイン入手」「自分が2を出すと 600 コイン入手」といった効果があり、建物によっては他のプレイヤーのターンでもコインを得られる場合があります。
中には「3を出した人から 300 コインを奪う」という邪魔を兼ねた施設もあります。

サイコロを振った後、手札の中から建設したい建物を1つ、建設費を支払ってボード上に配置できます。
この時、自分(もしくは同チーム)の建物を繋げていくと、繋がっている建物の数に応じて収益がアップします。
その効果はかなり大きく、長く繋げれば一撃必殺の収入を得られるように。
一方、建設費の2倍を相手に支払うことで、他のプレイヤーの建物を自分の建物で上書きすることもでき、これで相手の繋がりを切断することもできます。

以後はこの繰り返し。 誰かが勝利条件の建物を作ったらゲームセット。
勝利条件の建物は資金が貯まればすぐに作れるので、要するに必要な資金を最初に貯めた人が勝ちですね。

もう1つ、今作の特徴的なルールが「ミラクル」。
サイコロを振る時にメーターが動き、それが3の時にサイコロを振ると、ミラクルが発生して出目が3になる・・・ 場合があります。
あくまで「場合」であって、常に出目をコントロールできる訳ではないのですが、これが勝負を決めることもあります。

街コロマッチ
※自分のお店から収益獲得中。 コインがジャラジャラ出て来て吸い込まれます。
ボード上は 3D で表現されていて、演出などは高レベルですね。


街コロマッチ
※メニュー画面には入手した建物を並べることが出来ます。
ちょっとした町作りになっていて、好きな角度から眺めることができ、定期的にコインも生み出されます。


このゲームの攻略のポイントは「デッキ編成」。
デッキ(山札)の枚数は最大 70 枚ですが、もちろんたくさん入れれば良いというものではありません。

前述したようにサイコロは1つ振るか2つ振るかを選べます。
デッキのカードを 1~6 のものばかりにして、サイコロを1つしか振らないようにすれば、手持ちのカードの目が出やすくなると同時に、相手の 7~12 のお邪魔カードの効果を受けずに済みます。
一方、サイコロを2つ振ると6~8の目が出やすくなり、1は出ず、2や3、11 や 12 は出にくくなるので、7前後の建物を優先することで確率を高くしつつ、1~6のカードに振り込む可能性を減らせます。

ちなみに、オリジナルの街コロには「山札」「手札」という要素は存在せず、場にあるカードを購入していく ドミニオン のスタイルだったので、街コロマッチと街コロはまったく違うのが解ると思います。

ただ、デッキを編成するには「カード」が必要です。
その入手方法は・・・ やっぱりガチャ。
ここはまあ、ソーシャルゲーム。 カード(建物)には SSS~D までのレアリティがあり、強力な建物が欲しいなら課金ガチャを引きまくらないといけません。

上位レアがないと勝てないゲームではありませんが、強力な建物は収益が高めで、「周辺に他の建物を作れなくなる」「2つの出目に影響する」などの特殊な効果を持つものもあります。

他に、ゲーム中に「相手の店を休みにする」などの特殊効果を発動できるキャラカードや、強化・進化用のカードもあります。
カードは強化することで収益が増え、進化すると上のレアリティのカードに変化します。

なお、スタミナはストーリーモード用と、オンライン対戦用が別になっています。
回復にかかる時間はストーリー用は(難易度ノーマルなら)1プレイあたり 15 分、オンライン対戦は 30 分。
一方がなくなっても、もう一方で遊べるし、最大で5回分ほど貯まるので、制限はそれほど厳しくありません。

街コロマッチ
※これは双方が 1~6 のカードをメインにしているケース。
最初は7以上のカードが少ないので、6以下でデッキを組んだ方が良く、そうするとこういう展開になりがち。
サイコロ1つだと 1~6 の目が出る確率が均等なので、期待値は考慮し辛い。


街コロマッチ
※サイコロ2つ振りをメインに考えたデッキの一例。
出る確率が高い目の建物を多くしており、相手がサイコロ1つの場合を考慮して、3や5にお邪魔カードを入れている。
これは 1vs1 用なので、緑の商工カード(自分が目を出したら大金ゲット)を中心に構成。
多人数戦のデッキは、誰が目を出してもお金を貰える青色の自然系か、相手からお金を奪う赤の飲食系をメインにした方が良いはず。
とはいえ「ミラクル」のせいで、緑カードを一点集中してそこにミラクル起こした方が勝てたりするんだけど。


ただし今作は、どうしても気に入らない点があります・・・
それは、あまりにも「運ゲー」なこと。

街コロは元々ダイスゲームですから、戦法によって「期待値」を高めることは出来ますが、結局は運に支配されます。
サイコロの出目が悪いとどうしようもありません。
この運ゲーであることは、海外でもドイツゲーム賞 / ドイツ年間ゲーム大賞の選出時に賛否を起こしていたようです。
ただ、解りやすいという利点もあって、好意的に捉える向きもありました。

そしてそんな街コロに、ガチャの運と、手札の運を加えたのが今作。
さらにスマホ用のオンライン対戦ゲームであるためか、ゲームが短時間で決着するように、目標額が低め、収益は高めに設定されています。
おかげでますます1つのサイコロの目でゲームが左右されるように。
どんなに建物を並べて確率を高くしても、相手が一点集中で建物を建てて、賽の目がそこに当たったら、それで終わり。
そんな状況がこのゲームでは「ごく普通に」起こります。

さらに運ゲー感を強くしているのが「ミラクル」。
ランダムで望みの目が出るミラクルは、ランダムで望みの目が出るミラクルですから、どうしようもなく運ゲーシステム。
前述したようにこれが出るかどうかで決まることは多く、おまけにゲーム開始時に資金を使って「ミラクルを 50 %の確率で発動させる」というカードをレンタルでき、これを使ったらホント、速攻でゲームが終わります。

例えば、1ターン目に自分の建物の目が出てお金を稼げた → 2ターン目にミラクルでまた自分の建物の目を出した → おわり。
こんなのを普通に起こせます。 やってて面白くないし相手に申し訳ない。(しかし使わなかったら使われる)
このレンタルカードは発動率 50 %ですから失敗することもある訳ですが、その成否もまた運。
成功しても失敗しても運ゲー感が強く、使っても使われても運ゲーであるのを痛感します。

結果、元々運ゲーだったものにあらゆる運ゲー要素が加わった「スペシャル運ゲー」になっています。

もう1つの難点は、たまに落ちること。
現時点(8/10)では iPhone 6 Plus でも割と頻繁に落ち、オンライン対戦ゲームでこれは問題。
落ちてもすぐアウトではなく、コンピューターが代打ちし、再起動すれば復帰できるのですが、大抵は1ターンか2ターン経過しているので不利になっていることもあります。
安定性はアップデートで改善されていくと思いますが、今の時点では常に不安がありますね。

街コロマッチ
※サイコロの出目で決まるゲームに、サイコロの出目が運次第でコントロールされるミラクルシステムが相まって、スーパー運ゲー誕生に。
特にレンタルカードでのミラクル発動はゲームを壊しています。 Aiming 的にはソシャゲだから金を出した人が勝つべきだとか思ってるのかもしれないけど。
金と言ってもゲーム内のコインで、そんなに高くはありませんが、だから使ってる人が多く、よって使わないと勝てない。 ただ高額にしたら今度は Pay to Win のゲームになってしまう・・・


もしかすると、オリジナルの街コロを知らない人だと「こういうものだ」と感じて特に不満はないのかもしれません。
しかし私はオリジナルの街コロを知っているが故に、色々と不満が募ります・・・
正直、ソシャゲになり過ぎている感が否めません。

オリジナルはここまで運ゲーではなかったし、もっと戦略性がありました。
このゲームにもデッキ構築という戦略はありますが、こんな数ターンで終わるようなゲームではなかったし、ちゃんと「期待値を高めた上での勝負」が出来ました。
今作は決着が早すぎて、期待値云々を楽しめるようなものではない印象。

まあオリジナルというか、初代 街コロ は1プレイが長すぎた感はあります。
課金とガチャもゲームに与える影響は間接的でしたから、収益は少なかったでしょう。
冒頭でも述べたように、スマホのオンライン対戦のあるソーシャルゲームとしては、やはりこうなるのかな、これが正解なんだろうな、という気もします。 釈然としませんが。
おそらくエイミング主導で作られていると思うのですが、今のゲームバランスを街コロの原作者さんはどう思っているのでしょうね?

とは言え、今後もっとルールを拡張した、サイコロを数回振っただけでは終わらないようなステージも追加されていくとは思います。
(今は選べるマップ / ルールは1つしかないが、選択するための枠はある)
ゲームのクオリティは高いし、ガチャソシャゲ優先ではなく、ゲーム優先の拡張が行われることを期待したいですね。

街コロマッチ!(iPhone 版、iTunes 起動)

街コロマッチ!(Android 版、Google Play へ移動)

※Youtube 公式 PV