ファン投票で決まる「ドイツゲーム賞」で 2008 年度の首位となった、農場の開発をテーマにしたボードゲーム「Agricola(アグリコラ)」
2012 年には内容を簡潔にした派生作も公開されており、それをスマホ / タブレット用のアプリにしたものが先日発売されています。
アグリコラ:牧場の動物た」です。(ち がない)

本家のアグリコラ は最大5人でプレイし、農耕と畜産の要素があり、家族を増やして、それを養うための食料を確保していくゲームでした。
ただ、やや複雑なゲームであったことも否めません。
本作「牧場の動物たち」は2人プレイ用で、農耕はなく畜産のみ、家族を増やす要素や食料の確保はなくなっています。 そのぶん本家よりも遊びやすくアレンジされています。

スマホ版の開発元は、ルアーブル:内陸港パッチワーク を公開している DIGIDICED というメーカー。
本家アグリコラ のスマホ版は Ascension や たんとくおーれNightfall などを公開している Playdek というメーカーで、つまり本家のアプリ版とは開発会社が異なります。

アプリ価格は 600 円。 買い切りゲームですが、拡張カード「牧場にもっと建物を」を利用するには 360 円の追加課金が必要です。
スタミナや広告などはありません。
本家アグリコラとは違い、メッセージはすべて日本語化されています。

アグリコラ 牧場の動物たち

アグリコラ 牧場の動物たち
ゲームボードは「」と、各プレイヤーの「農場」に分かれています。

自分のターンのプレイヤーは、家族(労働者)の1人を町の施設に配置します。
町には伐採所や採石場、柵の加工場、家畜市場などがあり、伐採所に家族を派遣すればそこにある木材を、採石場なら石材をゲットできます。
ただし施設の利用は早い者勝ちで、誰かに使われた施設はそのラウンドは利用できません。

なお、こうした「労働者を派遣して物資をゲットする」系のドイツゲームは「ワーカープレイスメント」と呼ばれます。

そして材料を持った状態で柵を作る施設に家族を派遣し、農場画面で柵のアイコンを作りたい場所にドラッグ、草地を柵で囲うと、そこが「牧場」になって動物を飼えるようになります。

その後、町の動物が描かれている場所に家族を派遣すると、羊・豚・馬・牛の家畜を入手でき、これによって勝利点が増加します。
様々な動物をたくさん飼っているほど得点は加算されます。

家族(労働者)は3人で、今作では増加しません。
双方が3回家族を派遣したら、そのラウンドは終了。
繁殖フェイズ」に移行し、2頭以上飼っている動物は1匹増加、その後に町と家族の状態がリセットされ、次のラウンドに入ります。
ゲームは8ラウンドで終了し、点の高い方が勝利です。

アグリコラ 牧場の動物たち
※町の画面。誰も取らなかった場合、木材や石材、羊やブタは入手量が増えていきます。
各施設は1ラウンド1度しか使えませんが、例外的に特殊な建物を作る大工だけは2度使用できます。
左上の「次のラウンドで先手になる」は地味に重要で、時に勝敗を左右します。


アグリコラ 牧場の動物たち
※農場画面。柵はマスとマスの間に作られるので、作成時にはその間にアイコンをドラッグして下さい。
4つの物資のうち、一番下の資材は柵を作るのに必要なものです。
画像のように、牧場の大きさは1マスとは限りません。 2マス・3マスの草地を柵でぐるっと囲えば、その範囲が大きな牧場になります。
動物小屋は1マスで、必ず周囲に柵が作られます。


町には物資や家畜の補充、柵の設置以外に、かいば桶の設置、動物小屋の建設、小屋を厩舎に拡張、農場の拡大を行う施設があります。

動物小屋は牧場より多くの動物を飼え、厩舎に拡張することでさらに飼える数が増加。
かいば桶は牧場や小屋で飼える動物の数を2倍にし、単なる草地でも1頭飼えるようになります。
動物の数がスコアに直結するため、飼える数を増やすことは勝利に不可欠。
牧場が手狭になったら、農場の拡大を行って使える土地を増やしましょう。

また動物小屋を作ると、その周囲に柵が出来るのもゲームのポイントです。
これを利用することで、柵の設置に使う木材を節約できます。

開始直後、先手なら石と葦を取って動物小屋を作りに行くのが定石ですね。
後手の場合、木材を取って柵を作るか、木・石・葦1つずつの施設を取って相手が小屋を作るのを妨害し、2ターン目に小屋を狙うかになります。

ただ、本家のアグリコラもそうだったのですが、このゲームはある程度プレイするとパターンが見えてきます。
運の要素のないゲームですから、勝敗が戦略次第な反面、そのままだと毎回同じような展開になります。

しかし、そこに変化を加えられるのが「特殊建物」。
これを利用するには 360 円の課金が必要ですが、27 種類の建物が追加され、そのうちランダムに選ばれた4つをゲーム中に建てられるようになります。

動物が1頭でも繁殖可能になる「種付け場」や、馬が繁殖すると柵を1つ作れる「放牧場」、家族を派遣せずに動物小屋を建てられる「家庭作業場」、繁殖フェイズで得られる動物が倍になる「繁殖場」など、効果は様々。
これらによってゲームの展開は変わってきます。

本家アグリコラ のスマホアプリは日本語化されていなかったため、これらの追加カードの効果が解り辛かったのですが、こちらは説明がバッチリ日本語なので拡張セットも問題なく利用できます。

アグリコラ 牧場の動物たち
※特殊建物の一部。 指定した4つを登場させるか、ランダムに選ばれるかを選択できます。
ゲームが始まったらすぐ大工をタップして、どの建物が選ばれているか確認しておきましょう。
特殊建物も動物小屋と同じく、周りに柵が作られます。


当初は日本語文が小さくて見えないなど、不具合もあったのですが、アップデートで解消されました。
iTunes のレビューには「動かない。バグだらけ」と言ったものがありますが、当方で試した限りでは問題なくプレイできています。

ただ残念なのは、オンライン対戦。 1手ごとの制限時間が、なんと 24 時間。
つまり1日で1手ずつ進めるような、メール形式に近い対戦です。 正直、やってられない。
互いがログイン状態なら普通のオンライン対戦になりますが、やはり1手1分ぐらいのゲームも用意して欲しかったですね・・・
コンピューターがハードでも強くないのも難点でしょう。 キャンペーンモードのようなものもありません。

しかしドイツゲームのアプリとして、しっかり作られている作品です。
もちろんローカル対戦やフレンド対戦も可能。
ドイツゲームのファンなら、押えておくべきアプリですね。

アグリコラ: 牧場の動物た(iPhone 版、iTunes 起動)

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