9月16日、いよいよ iPhone 7 / iPhone 7 Plus が発売されました。
もちろんこの発売に伴い、毎年恒例の「あの行事」も各地で実施されています。
そう、新型 iPhone の大破壊です!

今年も iPhone を落とし、叩き、曲げて、沈めた人が、その様子を嬉々として Youtube で公開しています。
もちろん修理メーカーが調査や検証のため、分解や破壊テストを行っているケースもあり、それにより内部パーツの製造元やメモリの搭載量などが判明しています。

今回はその詳細をいくつかお伝えいたします。

iPhone 7 大破壊大会

iPhone 7 Plus バラバラ分解レポート(Gigazine、iFixit)
iPhone 7 Chipworks が分解レポート(iPhone Mania、Chipworks)

まず、スマホ分解の第一人者で、本職は修理屋の iFixit が、「iPhone 7 Plus」の発売と同時に最速分解報告を行っています。
少しでも早く分解するため、日付が変わるのが早い日本に出張し、入手して即バラすという徹底ぶり。
さらに技術解析を行う企業 Chipworks も「iPhone 7」を分解して結果を報告しています。

以下は Youtube で公開されている iFixit の報告動画です。

※iPhone 7 分解ダイジェスト


※iPhone 7 Plus 分解解説


分解によって明らかになった、iPhone の主要パーツのスペックや製造メーカーは以下の通りです。

CPUA10 Fusion。 台湾 TSMC 製(2.33 GHz、2+2 コア、16nm プロセス)
メモリLPDDR4、iPhone 7 2GB、iPhone 7 Plus 3GB。韓国サムスン製
フラッシュメモリ東芝製か、韓国 SK ハイニックス製
バッテリー:iPhone 7 は 1960mAh、iPhone 7 Plus は 2900 mAh
LTE モデム:米クアルコム製
Wi-Fi / Bluetooth:村田製作所製
GPS:米ブロードコム製
NFC(電子決済):オランダ NXP 製
音響(アンプ等):米 Avago、米 Skyworks、米 Qorvo、独 TDK-EPC など

CPU は今のところ、台湾の TSMC 製のみが確認されています。
iPhone 6s で起こった Samsung 製と TSMC 製の違いによる性能差問題「チップゲート問題」は、今回はなさそうです。
すでに今年の2月頃に、A10 は TSMC が独占受注という話が流れていました。

ただストレージ(フラッシュメモリ)は東芝製と、韓国 SK ハイニックス製の2種類があるようです。
パソコンに詳しい方ならご存じの通り、SSD などのデータ保存装置にも製品によって安定性や速度に差があるため、ここは気になるところ。
ただ、CPU が違うケースよりは影響は大きくない・・・?

バッテリーはパッと見では、どこの製造なのか解らない模様。
最近 Galaxy Note がバッテリー問題で爆発しまくってるので、これも気になるところですが・・・

そして注目のメモリは、iPhone 7 は 2GB、iPhone 7 Plus が 3GB なのが確認されました。 事前の噂通りですね。
メモリは性能差を体感しにくい部分ですが、安定性に影響するため、この 1GB の違いはスマホゲーマーのような高負荷アプリを使う人には大きそうです。

もう1つ今回の分解で解ったのは、どの国の iPhone にも FeliCa は搭載されていること。
「FeliCa を使えるのは日本だけなので、日本の iPhone にしか搭載されていない」と言われていたのですが、分解してみたら「どこの国の NFC チップも同じだった」ことが判明。
しかし日本以外の iPhone では FeliCa は使えないようなので、つまり搭載されていないのではなく「日本以外の iPhone は機能にロックをかけている」ということのようです。

将来的には、iOS の更新で海外製でも FeliCa が使えるかも・・・?
まあ、クレジットカード会社の駆け引きや、法的な問題もありますが・・・


iPhone 7 と iPhone 6s、落として壊す(iPhone Mania、EverythigApplePro)
iPhone 7 と Galaxy S7、沈めて壊す(EverythigApplePro)
iPhone 7 と Galaxy Note 7、徹底的に壊す(SquareTrade)

そして iPhone 7 の登場に伴い、世界各地の破壊神様もあらゆる破壊活動を開始しています。
ハンマーで叩く、斧でぶった切る、火炎放射器で焼く、カタナで突く、ヘリから落とすなど、ありとあらゆる方法で iPhone 7 をフルボッコにしていますが・・・
ただ、単に壊すだけの動画は面白くないです・・・ 興味のある方は検索してみて下さい。

ここでは耐久力を調べるために破壊に勤しんでいるものをご紹介します。
まず、iPhone 6s の時にも様々な破壊テストを行っていた EverythigApplePro の動画。
落とした時の耐久テストを行っていて、比較対象として iPhone 6s も落下させています。



ポケットの高さから落としても双方無事。
頭の高さ(1.5m)から落下させた場合は iPhone 6s の画面にヒビが入りましたが、iPhone 7 は無事です。
さらに脚立に上って 3m の高さから落としても、iPhone 6s の画面はバキバキになりましたが、iPhone 7 の画面は問題なし。 フラッシュの表面のガラスが外れていましたが。

その後も何度か iPhone 7 を落としていましたが、壊れる様子はなく、相当の耐衝撃力であることが伺えます。
iPhone の修理で一番多いのは画面のヒビ割れらしいのですが、これだけ堅ければそのケースは減りそうですね。

続いて、スマホを海の中に沈めるテストの動画。
この実験では比較対象として「IP68」、つまり「完全防塵・完全防水」を持つ Galaxy S7 が一緒に沈められています。
iPhone 7 は「IP67」で、防水等級はそれより1つ下になります。



5フィート(1.5m)に5分、10フィート(3m)に5分、さらに15フィート、20フィート(4.5m、6m)に5分沈めても、どちらも無事。 この時点で計 20 分水没。
30フィート(9m)に5分沈めたところで Galaxy S7 が再起動しましたが、でもまだ大丈夫。 iPhone 7 も問題ありません。

しかし「帰れねぇ! 雨も降って来た! もう最後!」とブツブツ言いながら40フィート(12m)まで5分沈めたところで、Galaxy S7 はリタイア。 まったく画面が点かなくなります。
それでも iPhone 7 は全然問題なし。
これ以上はロープの長さが足りないので実験不可。

と言う訳でこの検証では、iPhone 7 の防水は、完全防水を謳う Galaxy S7 に勝るという結論になっています。
これは海外でも話題になっていて、「IP68 の意味って何だよ!」みたいな話になってますが・・・
まあ、Galaxy S7 でも十分な防水性能だと思います。

これはおそらく、iPhone 7 は他のスマホの IP68 以上の防水性能を本当は持っているけど、「完全防水」とか言うとロクでもない使い方をして壊す人が多発するので、「完全ではないよ」と言っているということだと思われます。

公式には、水に漬けて壊れた場合の修理は保証外です。 お風呂やプールの中で使うのも禁止されています。
今回のように海水に浸した場合は、すぐ真水で洗うようにと言われています。
また、Lightning コネクタが濡れている状態で充電することは故障の原因になるので(対策はされていると思いますが、iPhone 6s 以前は充電できなくなる故障の大きな要因でした)、できるだけ乾かしたうえでケーブルを挿すようにしましょう。