日本時間 2018年6月5日 の早朝、開発者向けのイベント「WWDC 2018」の Apple 発表会で「iOS12」を含む、新しい iOS、Apple Watch OS、Apple TV OS、Mac OS が発表されました。

wwdc2018

しかし、先に言っておきます。
iOS12 の変更点や新機能に、注目と言えるものはなかった印象です。
また、ハードウェアの発表は一切なく、OS の変更点の発表のみでした。

ただ「パフォーマンスが改善される」と説明されており、それが一番大切なところ。
元々、安定性の改善などが中心になると言われていたので、そこは予測通りだったと言えるでしょうか。

以下でその詳細を、私的な感想を交えてお伝えしたいと思います。

【 iOS12 】 

現在最新である iOS11 の導入率は全体の 81 %に及ぶとのこと。
最新版 Android の導入率がわずか 6% しかないことも合わせて紹介され、しっかりライバルをディスっていました。

wwdc2018_share

iOS12 は 2013 年以後の iPhone / iPad に提供されるようです。
と言うことは、iPhone 5s / 5c、iPad Air、iPod touch 第6世代 以降となります。
※iPhone 5c は iOS11 に非対応だったので、iOS12 も同様だと思われます。上記訂正します。


【 iOS12:パフォーマンス 】

アプリやシステムの起動が早くなり、特に古いデバイスの動作が大きく改善されるようです。
iPhone 6 Plus を対象にしたテストで、アプリ起動時間は 40 %短縮、キーボードの表示は 50 %短縮、カメラの起動は 70 %短縮されたとのこと。

wwdc2018_faster

書類、ウェブページなどの表示速度も2倍近くになっており、快適に使えるようになるようです。

wwdc2018_faster2

iOS11 は旧機種の動作が顕著に重くなり、バッテリーの消費も増えたため、それをカバーした形でしょうか。
昨年末、iPhone はバッテリーが劣化すると CPU の性能を故意に落としていたことが発覚し、旧機種のユーザーから批判が続発、裁判にもなりかけたので、その対応もあるのかもしれません。


【 iOS12:AR 機能 】

iOS12 で AR 機能を使ったアプリがより作りやすくなるとのこと。
ピクサーや Adobe といった企業と協力して開発ツールを作成、さらに Adobe CC でも AR 機能のサポートを行うと発表されています。

さらに AR 機能を使った新アプリ「メジャー」が導入され、カメラに写った立体物の寸法を測ることができます。

wwdc2018_major

また、マルチユーザー機能をサポートした「AR Kit 2」が公開され、複数の人が異なるデバイスで、同じ仮想オブジェを見ることができるようになる模様。

そのデモンストレーションとして、レゴを使ったアプリが実演されていました。

wwdc2018_rego

とは言え、今までの AR アプリが有用だったかというと微妙。
AR のオブジェを床や机の上に、位置を合わせて自然な形に表示させるのは難しく、それを使ったゲームに面白いものはなかった印象です。
そもそもゲームはデバイスを構えてウロウロしながらやりたくない・・・ 手が疲れるし・・・
って言うか時代は VR や MR・・・


【 iOS12:写真 】

場面の認識機能がさらに強化され、車、犬、花などを認識、自動で分類するようになります。
また「For You」というタブが追加され、「今日の1枚」や「特集」を作成し、表示してくれるようになります。

wwdc2018_photo

Live Photo にも新しい視覚効果が追加され、写っている人に自動で共有を提案する機能も付加されます。
この機能は「メッセージ」アプリと連携するとのこと。


【 iOS12:Siri 】

「この言葉に対して、このアプリを起動する」といった、Siri の行動を設定する「ショートカット」の機能が追加されます。
これは複数のアプリを起動して、さらにアプリ内の特定の動作をさせるなど、複雑なシーケンス(手順)も設定できるようです。
また、関連のニュースをピックアップさせることもできるようになります。

wwdc2018_siri

ただし、Siri の機能は iOS11 の翻訳機能など、日本では利用できないものが多いです。
この機能も日本語に対応しているのか不明です。
また、ニュースに関する機能は(ニュース自体が日本非対応なので)日本では使えません。


【 iOS12:アプリケーション 】

いくつかのアプリの機能がまとめて紹介されました。

wwdc2018_app

まず「ニュース」が改善され、iPad だとサイドにメニューが表示されるとのこと。
しかしニュース機能自体、日本は対象外です。

「株価」のアプリも再構築され、デザインが一新
一覧にチャートが表示され、株式ニュースも表示されるようになるようです。
しかしニュースの機能は例によって、日本は対象外でしょう。

「ボイスメモ」は操作が簡単になり、iPad にも導入されます。
また iCloud のサポートが追加されます。

iBooks は「Apple Books」に名称が変更されます。
「今見るべき本」が提示されるなど、様々な機能の追加がある模様。
ただ、和書の蔵書数で他の電子書籍に劣る iBooks は、日本では微妙なのが本音。

自動車のカーナビと連携する「カープレイ」は、サードパーティー製アプリに対応するようです。


【 iOS12:機能の追加 】

「おやすみモード」はコントロールセンターのボタンを強く押す(もしくは長押し)で時間を設定できます。
「通知機能」はロック画面ではグループ化され、使っていないアプリの通知をやめる提案も出てくるようになります。

また「スクリーンタイム」という機能が追加され、どのアプリをどれだけの時間使っているか確認できるようになります。

wwdc2018_screentime

そして、アプリの起動時間に制限を加えることが出来るようになります。
スマホ依存症対策をしたり、子供のゲームアプリの利用時間を親が制限する、といったことが可能になります。


【 iOS12:メッセージ 】

表情の変化を検知し、それに合わせてアニメーションする絵文字「Animoji」が、舌の検知に対応しました。
ベロを出すと、アニモジもぺろっと舌を出します。

また、自分でカスタマイズできるアニモジ「Memoji」が導入されます。
これはハッキリ言って・・・ 任天堂の Mii です。

wwdc2018_mii

そして自撮り画像にこのアニモジをかぶせて表示でき、その状態を写真や動画に撮ってメッセージで送れたりします。
新しい視覚効果も追加されます。
日本は LINE が主流なので、メッセージの利用率は低めですが・・・


【 iOS12:Facetime 】

テレビ電話の Facetime にグループ会話機能が追加されます。
最大で 32 人が参加するテレビ電話会議を行えるようです。

wwdc2018_facetime

Facetime の機能はメッセージに統合されるとのこと。
よってメッセージの機能である Animoji も使えます。

余談ですが、海外(と言うかアメリカ)では企業などでのテレビ電話会議はごく一般的で、iOS での対応は遅いぐらいです。

----------

iOS12 の機能の発表は以上です。
なお、iOS12 はまだ開発中で、導入時期についてのコメントはありませんでした。

Siri のショートカット機能はうまく使えば便利そうですが、他は日本では注目されそうにない印象。
ただ余計な変更というか、使い勝手を変えてしまうようなものはなく、パフォーマンスの改善もあるため、公開されたら出来るだけ早く導入したい OS ではありますね。

Watch OS は知人と運動の成果で競争したり、運動の開始を自動検出したり、トランシーバーとして使う機能などが追加されます。また Podcast に対応します。

TV OS は 4K コンテンツを 4K HDR に無償アップグレード可能に。またドルビーアトモスという立体音響に対応します。
Mac OS はダークモードが追加され、アイコンの自動整理などが加わります。

ハードの話が一切なかったため、噂(というか願望)されていた新型 iPhone SE、新型 iPad Pro、新型 Mac などは、どれも発表されていません。
日本で Suica 以外の電子決算ができるという噂(NFC 解放)もあったようですが、そうした発表もありません。

よって期待ハズレ感も漂っていたのですが、まあ Apple のイベントではなく、開発者向けの会議 WWDC での発表ですからね。
新製品の発表は、やはり秋まで待つことになりそうです。