iPhone AC 番外レポート

iPhone や iPad(スマホやタブレット)の、主にゲームアプリのレビューを行っています。

ボードゲーム

I Keep Having This Dream

※スキルやボス、イベントの和訳は こちら を。

一筆書きパズルと RPG を融合させた、スマホ初期の名作「Dungeon Raid」。
見た目は地味ながら高度な戦略性と思考性を持つ作品で、その後のスマホゲームに大きな影響を及ぼしました。
その Dungeon Raid の作者さんが、約5年ぶりに新作を公開しています。
I Keep Having This Dream」です。

待ち望まれていた Dungeon Raid の流れを汲む作品で、世界的に注目されていたのですが・・・
発売後は、あまり話題になっていません。
それもそのはず、前にも増して地味、おまけにシステムが複雑、楽しさを理解できるまで時間がかかり過ぎる・・・

加えて今回は「夢の世界」がテーマのため、用語や登場するモンスターに心理的なものが多く、剣と魔法がテーマだった前作より解り辛い。
独特な雰囲気はあるのですが、解説文も英語ですから、日本人だと敵やスキルの詳細はもちろん、その雰囲気を察することさえ難しいです。

理解できれば楽しめるゲームで、Dungeon Raid っぽさも感じられるのですが、かなり人を選ぶゲームですね・・・
価格は 240 円。 買い切りゲームなので課金や広告は一切ありません。

I Keep Having This Dream

道の描かれたタイルを1つずつ置いていき、ダンジョンを「作りながら」進んでいくゲームです。
画面下に手札となる5つのタイルがあり、このうちの1つを道が繋がるように設置していきます。
向きは自由に回転させられ、置くと主人公がその上に移動。 手札はすぐに補充されます。

タイルには道と一緒に 緑のイガイガハート が描かれていて、それぞれ アタックヘルスディフェンス がアップします。
歯車マークのタイルもありますが、これは地面に歯車が描かれているところに設置しなければ効果がありません。
歯車(コントロール)は 10 個貯まると上位の装備を入手できます。

モンスターの描かれているタイルもあり、このゲームのモンスターは Snag(障害)と呼ばれます。
設置すると戦闘となり、互いの アタック・ヘルス・ディフェンス が減少、ヘルスが0になった方は敗北します。
戦闘によってアタックとディフェンスが減るのが特徴で、よって戦闘後はこれらを回復させないと、次の戦いで苦戦します。

Snag は自分で設置しなければ戦わなくて良いのですが、手札が Snag ばかりになったら置くしかありませんし、倒せば経験値の「元」がタイルの上に現れます。

ただ、この経験値の元は自分では回収できません。
スタート地点に Nemesis(ネメシス)という存在が現れ、手札を破棄したり、道を繋げられなくなったりすると、プレイヤーを追いかけてきます。
これに完全に追い付かれるとゲームオーバー(目覚め)になってしまいますが、このネメシスが経験値の元を飲み込むことで、プレイヤーとネメシスの双方の経験値がアップ、最大になるとレベルが上がります。

レベルが上がればステータスの上昇値や最大ヘルスをアップさせられ、さらに Perk(パーク、特典)も1つ習得できます。
パークには「ハートのタイルを捨てるとアタックとディフェンスが上がる」「アタックよりディフェンスが低い時はディフェンスが自然増加する」などのゲームが有利になる効果があり、言わばパッシブスキルです。

装備のアップグレードやレベルアップ時のパークの入手は、3つ提示された中から1つを選ぶ形式で、この辺は Dungeon Raid ライクですね。
もちろんどれを選ぶかが攻略のポイントになります。

I Keep Having This Dream
※数字の書かれた照準のようなものが「ネメシス」。 追い付かれると夢は終わりますが、これが進まないと経験値は得られません。 つまり自我なのか?
ネメシスを任意に進ませるにはカードを破棄する必要があり、右上の X ボタンで捨てられます。
ただし Snag を捨てるとネメシスの経験値が増えます。
ネメシスのレベルが上がるほど、破棄した時に進むタイルの数が増加して追い付かれやすくなりますが、通常は経験値の元を1つ飲み込むとそこで止まります。
右はステータス画面。 タイルの数字はステータスと装備で決まります。


タイルの設置時にはコンパスが表示され、ゴールの方向と距離を示してくれます。
その方向に進んでいき、ゴール周辺にあるカギを集めて中に入るとステージクリア。

ヘルスが0になり、倒れてしまうとゲームオーバー・・・ ではありません。
前述したようにゲームオーバーになるのはネメシスに追い付かれた時です。

ヘルスが0になるとネメシスが経験値の元を飲み込みながらダンジョンを進行して来ます。
この時に飲み込む経験値の数はネメシスのレベルと同じで、そしてプレイヤー側の経験値は増えません。
しかしレベル分の経験値を飲み込んだらネメシスはそこで停止、そしてプレイヤーのヘルスが最大値の半分まで回復して、ゲームは続行します。

つまりヘルスが0になっても、ネメシスとの距離が十分にあり、途中に経験値の元がたくさんあれば、倒れても大丈夫です。
とは言え、経験値がムダになりますし、にっちもさっちもいかなくなって連続で倒れることも多く、ダメな時は一気に追い付かれますが。

ゲームの大きなポイントになるのは、Special Snag と呼ばれるボスモンスター。
Special Snag には多くの種類があり、強力なのはもちろん、持っているだけでデメリットを招く者もいます。しかも捨てられません。
アタックやディフェンスが低い時には置きたくないですが、タイルの効果を消したり、早く置かないとどんどん強くなってしまうボスもいて、手をこまねいているとヤバいことに。

この Special Snag の扱いは Dungeon Raid のボスモンスターに似ていて、どうさばいていくかが攻略の要点になります。

I Keep Having This Dream
※出口の周囲にはカギがあって、それを必要数だけ集めてから入らないとゴールできません。
ステージクリアすると手札が一新されるので、ヤバい時はゴールに急ぎましょう。
Snag をタップすると、説明欄の右上に赤と青の数字が現れます。
このうち、赤は現在のプレイヤーのステータスで何ターン後に倒せるか、青は現在のステータスのままで攻撃を受け続けるとこちらが何ターンでやられるかを表わしています。
赤い数字が1なら1撃で倒せます。 青が1だと置いた瞬間にやられます。


他にも Eventful というパークを得ることで「イベント」が発生。
特定の色のパネルを置いてチャージを貯めると発動でき、様々な効果を得られます。
こちらも種類は非常に豊富で、手札を入れ替えられたり、特殊タイルが手に入るなど、使い方も様々です。

ただ、ここまで読んで解ったと思いますが、とにかくシステムが煩雑かつ独特
敵を倒して経験値を獲得し、レベルアップで強くなり、HP が尽きたらゲームオーバー・・・ ではなく、経験値はネメシスが飲み込んで初めて獲得、攻撃力は戦うと下がり、HP が尽きてもネメシスが進行して復活など、普通のゲームの常識に沿っていません。
オリジナリティーがあると言えばそうだけど、理解できるまで何がどうなってるんだかサッパリ解らない。

その辺の基本が解っても、今度はボスモンスターやスキル、イベントの特殊効果が解りにくいという壁にぶつかる。
説明文はすべて英語だし、種類がやたら豊富なので把握に時間がかかる。
夢がテーマなのでイベントの効果も絵や名前では察し辛いです。

そして何より、暗い。
暗鬱とした雰囲気でゲームが進行し、それはそれで雰囲気はありますが、「ゲームが解り辛い+鬱」ってのは双方のデメリットを増幅させてしまう印象。
グラフィックも地味で、まったく華やかなところがないゲームなので、これでは一般ウケしないよなぁ、というのが本音ですね。

I Keep Having This Dream
※左はイベント選択シーン。 イベントは夢の風景やシーンを表わしているようです。
発動させるには色に応じたタイルを一定数、有効な状態で設置する必要があり、黄色のイベントは敵を倒して経験値の元を出現させることが条件になります。
発動タイミングは任意ですが、忘れがちなので注意。
ゲームを終えるとスコアに応じて「カギ」が手に入り、それでキャラクターの顔や追加ボス、イベントをアンロックできる要素があります。
ただ、プレイヤーを強くする長期的な強化要素はありません。


奥深いゲーム性は健在で、慣れてくると Dungeon Raid を踏襲したゲームらしさも感じられ、解れば解るほど面白くなっていくのですが、そこまでが辛い。
最初からやたら長く続くためダラダラした感じがあるし、「道のパネルを繋いでいく」というのが「一筆書きパズル」よりも面白味に欠けるので、当面は辛抱しながら遊ぶことになります。

難易度は良い意味で高く、何度かやられてボスモンスターとスキルの特徴を把握できてくると、どれをどう扱って進んでいくかの戦略を立てられるようになります。 本番はそこからですね。
タイル、ボス、スキル、イベント、そのすべてがランダムで出現するので、プレイごとに同じ展開にならないのは良い点です。
Dungeon Raid と同じく、プレイするごとにレベルや装備は1からスタートで、ハイスコアを狙うにはプレイヤー自身のレベルアップが必要です。

クセが強くて、Dungeon Raid ほど強くオススメできるゲームではありません。
ただ、そのテイストを引き継いでいることは確かなので、ファンの方なら頑張って遊べると思います。
頑張った先には、それらしいゲーム性は確かに存在します。

I Keep Having This Dream(iTunes が起動します)

※文末に掲載していた Perk(スキル)、Special Snag(ボス)、Event(イベント)の和訳は、こちらのページ に移設しました。

Blokus(ブロックス)

ボード上にテトリスのようなブロックを置いていく、フランス生まれの対戦型ドイツゲーム「ブロックス」。
2002 年のドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた作品で、その戦略性の高さでロングセラーになっている、アブストラクトゲーム(運の絡まないボードゲーム)の傑作の1つです。
そのブロックスの 「公認版」が iOS で公開されています。
Blokus™」です。

スマホ用のブロックスは、これが最初ではありません。
2010 年にゲームロフトが 同名のアプリ を公開していて、そちらも楽しめる内容でした。
しかし残念ながらゲームロフト版ブロックスは非公開となり、現在は今回ご紹介するアプリが唯一の公認版となっています。

このアプリは 2014 年に公開されたもので、新しい訳ではないのですが、ブロックスは有名なドイツゲーム(ボードゲーム)ですし、私的にも好きなゲームなので取り上げておきたいと思います。

価格は 240 円。 課金アイテムがありますが必須ではなく、スタミナ等はありません。
無料版もありますが、広告が恐ろしくうっとうしい(ゲームの真っ最中に動画広告を割り込ませてくる)ので全くお勧めできません。

なお、ゲーム名、およびアプリ名は「Blokus」です。
「Blocks」ではないのでご注意を。

Blokus ブロックス

通常、4人でプレイするゲームです。
画面下には様々な形のピースが並んでいて、各プレイヤーは自分の番に1つずつ、そのピースをボードの上に置いていきます。
ピースの向きや表裏は自由に変えることができます。
ただし最初は必ず四隅のマスに置かなければなりません。

2つ目のピースからは、すでに置かれている自分のピースの「角」と、これから置くピースの「角」を、合わせて置かなければなりません。
ただし自分のピースの「辺」が合わさってはなりません。

Blokus ブロックス

もちろん、置きたい場所にすでにピースがあったら置けません。
他のプレイヤーの「角」を、自分のピースで塞いで置けなくすることを「ブロック」と言い、ゲームはこのブロックの応酬になります。

ブロックスの特徴は非常に攻撃的な、邪魔のし合いが展開されることですね。
他のプレイヤーの置ける場所を塞ぎつつ、塞がれにくい場所にピースを伸ばしていくのを繰り返すことになります。
その塞ぎ合いを4人で行う訳ですから、もう相互干渉しまくり。

ドイツゲームは他のプレイヤーと関わらずに点を稼ぎ、最後に点数が高かった人が勝利になる徒競走型も多いですが、このゲームは見た目に反し、ある意味「殴り合い」です。
4人で対戦するため、状況によっては必ずしも強い人が勝つとは限らないのも良いところ。
それでいて運が影響しないという、思考性の高いゲームですね。

ピースを置けなくなった人はそこでゲーム終了。
全員が置けなくなったら点数の集計に入ります。

勝敗は合計点で決まり、置いたピースのマスの数がそのまま点数になります。
つまり5マス分のピースを置いたら5点。
一応「最後に1マスのピースを置く」「全部のピースを置く」を達成するとボーナスが入りますが、これで勝敗が左右されることは滅多にありません。

Blokus ブロックス
※ひたすらブロックしまくる&されまくる展開。 相手の角を塞ぐと「グッドブロック!」と表示される演出があります。
相手のピースの隙間をナナメに抜けていくことも可能なので、塞がれたと思ってもあきらめないように。
右はパーフェクト達成の瞬間。 こんな風に1マスだけのピースを残すと 5 点、全ピースを置くと 15 点のボーナス。 最高は 109 点です。


そして iOS 版ブロックスの仕様ですが、ソロプレイの難易度は「簡単」「ミディアム」「ハード」の3段階。
簡単は文字通り簡単ですが、まだゲームに慣れていない人だとミディアムでも手強いでしょう。

そしてハードだと強いのに加えて、コンピューターがプレイヤーを優先してブロックするため、経験の浅い人だと集中攻撃を食らってアッサリ潰されます。
iTunes の(無料版の)レビューを見ても「3人がかりで襲われて勝てない。★1」というのが多く見られますね。

ただ、慣れればそれでも十分勝てるようになるし、このぐらい手強い方がやり応えはあると思います。
多方面からの攻撃をいかにかわしていくか、スキを突いてくぐり抜けるかもブロックスの戦略と言えますし、ドイツゲームアプリは簡単だとすぐ飽きてしまいますから、手強いのは長所でしょう。

難点というか、私的に残念なのは、単に1ゲームごとのプレイを楽しむのみのアプリになっていること・・・
公開終了した過去のアプリと比べても仕方ないのですが、ゲームロフト版のブロックスには条件の異なる様々なステージをクリアするキャンペーンモードがあり、1人でも長く遊べるものになっていました。
しかしこちらには、そうしたモードはありません。

代わりに勝敗で得られるポイントで、オススメの配置を教えてくれるヒントや、ブロックを破壊する地雷などのアイテムを得られるのですが、そういうのはブロックスにはいらない・・・
対人戦で互いが使うのであれば、アクセントになるかもだけど・・・

その対人戦ですが、オンラインプレイと、本体を交互に使ってプレイする「パス&プレイ」が用意されています。
ただ、オンラインプレイの登録には Facebook のアカウントが必要。
なくても「ゲスト」としてプレイできますが、もうユーザーは多くないようで、しかも4人必要なので自動マッチングでメンバーがそろうことはまずないですね・・・

2人対戦も可能ですが、ブロックスはやはり4人が面白いです。
知人とプレイしたい人や、4人だとなかなか勝てない人、「ハードの集中攻撃がムカつく!ムキー」という人は2人対戦も良いと思います。

Blokus ブロックス
※左は2人対戦モード。 公式には「ブロックス デュオ」と呼ばれていて、ボードのサイズや最初のピースの配置場所が異なります。
右はプレイ後のアイテム獲得シーンですが、普通に対戦したいのでいらない・・・
コンピューターが使ってくるモードがあるならともかく・・・


ブロックスの公認アプリを名乗るだけのクオリティはあります。
シンプルなゲームですが一筋縄ではいかない内容で、私はゲームロフト版でだいぶ遊んでいたのですが、それでもやり続けてしまう楽しさがありますね。

前述したようにコンピューターが相応に手強いので、初めてやる人なら「すぐハードにも勝てちゃってつまらない」ということは当面ないはず。
慣れているプレイヤーでも繰り返し遊びたくなるレベルだと思います。

ボードゲームの定番の1つですし、ドイツゲームファンなら押えておきたいアプリですね。

Blokus™(iTunes が起動します)

Blokus™ Free(一応リンクを掲載しておきますが、広告が鬱陶しいのでオススメしません)

Patchwork The Game(パッチワーク)

テトリスのブロックのような布切れを購入し、出来るだけ隙間なく繋げていく、テトリスとスゴロクを合わせたようなドイツゲーム(ボードゲーム)のアプリが公開されています。
Patchwork The Game」(パッチワーク)です。

1対1で対戦する、ややカジュアルなドイツゲームですが、意外にも作者はあの「アグリコラ」を作ったローゼンベルクという方。
アグリコラや ルアーブル など、ヘビー級のドイツゲームの作者として知られていますが、近年は遊びやすい2人対戦のゲームを多く作っているようです。
ルアーブル内陸港 もその1つですね。

2014 年に公開されたゲームで、数々の表彰を受けており、2015 年のドイツ年間ゲーム大賞では推薦リスト(佳作)に入っています
ボードゲーム愛好家の投票で決まるドイツゲーム賞では 10 位。

価格は 360 円。 この手のアプリとしてはやや安め。
※ 480 円に値上げされたようです。

iPhone 版の製作はルアーブル内陸港と同じメーカーが行っていて、ポップな雰囲気と演出が非常に良く、ドイツゲームアプリとしてはクオリティは高いです。

Patchwork The Game パッチワーク

Patchwork The Game パッチワーク

画面左上にスゴロクのようなボードが、右上には四角いタイルがあり、そして中央にはテトリスのブロックのような布切れが3つ並んでいます。

プレイヤーは最初、ボタンを5つ持っていて、これが所持金。
テトリスブロックのような布切れには「値段」と「時間」が付いていて、書かれている値段分だけボタンを払うことで購入できます。

購入したい布切れは、右上のタイルの上にドラッグします
するとタイルのボードがアップになり、その中の好きな場所に布切れを配置できます。
テトリスのように布切れを回転させることができ、裏返しにすることも可能。
出来るだけ綺麗に、隙間なく埋められそうな場所に置いていきます。

布切れを買うと、それに付いていた「時間」の分だけ、左上のスゴロクのボードに置かれている自分のコマが進んでいきます。
このゲームは交互にターンが回ってくるのではなく、スゴロクのボードにある自分のコマが、先に進んでいない人のターンになります。

例えば自分が「時間3」の布切れを買って、コマが3つ進んだ後、相手が「時間2」の布切れを買ったとします。
この場合、相手のコマは2つしか進んでいないので、また相手のターンになります。
ここで相手が「時間1」の布を買った場合、双方のコマが重なりますが、この時は後から来た人が再び行動できます。
つまりこの例だと相手は3ターン連続で行動します。

基本的には布切れは、値段も時間も少ない方が良いことになりますね。
ただ、布切れの中にはボタンが付いているものもあります。

ボタンが付いた布切れを買ってタイル上に配置すると、その分だけ収入が増えます。
スゴロクのボードにはボタンの書かれたマスがあり、そこを通過すると収入の分だけボタンを貰えます。
しかしボタンが付いた布切れは、大抵値段か時間が高く、おいそれとは買えません。
でも収入を増やさないとジリ貧なので・・・ その辺がゲームのポイントですね。

もしボタンがなくなって、場にある布切れをどれも買えない場合、パスしなければなりません。
パスするとスゴロクのコマが相手の一歩先まで進み、そして進んだマスの分だけボタンを貰えます。
ただ、布切れを買っていないのにコマだけ進んでしまう訳ですから、その分だけタイルのボードを埋め辛くなってしまいます。

Patchwork The Game パッチワーク
※これがスゴロクのボード。 うずまき状に進んでいきます。
値段の高い布や、一気に進んでしまう布しかない時は、あえて買わずにパスした方が良いことも。
パスは画面下のボタンを右にスライドします。


Patchwork The Game パッチワーク
※こちらは布切れを置いていくタイルのボード。 もうかなり終盤の状態。
テトリスと違い、回転だけでなく裏返しも可能なのでお忘れなく。


普段はスゴロクのコマはゆっくり進めた方が良いのですが、スゴロクのボード上には茶色の四角いタイルが置かれています。
これは1マスの大きさの、小さな布切れです。

これを回収できるのは、そのマスを先に通過した人のみ。
隙間を埋めるのに便利ですが、早い者勝ちですから、近付いてきたら何マス動けば自分が取れるのか、考えながらコマを進めなければなりません。

スゴロクのコマがゴールまで到達すると、その人のプレイは終了。
2人ともゴールするとゲームは終わり、点数の高い方が勝利となります。

点数は、最後に持っているボタンの量がそのまま得点となり、布が置かれていないタイルの数 x2 だけ減点となります。
つまり、ボタンはお金であると同時に得点でもあるので、無駄遣いは禁物。
一方で、収入を重視しすぎてコマを進めすぎたり、隙間を嫌って大きな布を買わなかったりすると、最終的に空きタイルだらけになって大減点を食らいます。

バランスが重要なゲームで、なかなか考えさせられる内容ですね。
もし綺麗にタイルを並べていくことができ、7x7 の範囲を隙間なく埋めると、ボーナスとして7点が加算されます。
ただ、難しい割にポイントは少なめなので、狙えるなら狙いたいけど、無理するほどではないという感じでしょうか。

Patchwork The Game パッチワーク
※オンライン対戦の様子。 双方とも苦戦気味・・・
布切れを左右にスライドすると、先の方まで確認することが出来ます。
今後どんな形の布が出て来るのか、相手が欲しそうな形はどれなのか、その辺も考慮してプレイしたいところ。


Patchwork The Game パッチワーク
※パッチワークのパーフェクト達成の瞬間・・・! でもこのゲームはパッチワークの完成が目的ではない。
あくまで点数を稼ぐのが目的で、パッチワークの完成度は減点を減らすものでしかありません。
ボタンが少なくて得点が低い場合は、たとえパッチが綺麗でも勝てません。


難点は、コンピューターがそれほど強くないことでしょうか。
3段階の AI が用意されていて、HARD の AI はそこそこ強いのですが、まあそこそこ
最初のうちはともかく、ある程度慣れると滅多に負けなくなります。

Game Center を通したオンライン対戦もあるのですが、1手ごとの制限時間が 24 時間で、1手進めるごとに相手に通知が行くメール形式の対戦なので、ゲームが進むのに非常に時間がかかり、やってられません。
相手がずっとログインしていればリアルタイムの対戦になりますが・・・
近くの知人とプレイするローカル対戦や、本体を交互に使っての対戦は可能です。

ほのぼのした雰囲気の、それでいてしっかり思考性のあるドイツゲームです。
人と対戦したら楽しいだろうなというのが、やっていて伝わってくるゲームですね。
アプリとしては、もうちょっと1人でも遊べる要素が豊富なら・・・ と思いますが、良く出来たゲームなので、ドイツゲームファンなら押えておきたいところでしょう。

Patchwork The Game(iPhone 版、iTunes 起動)

Patchwork The Game(Android 版、Google Play へ移動)

※Youtube 公式 PV

Brass(ブラス)

私が最近プレイしたボードゲームの中ではもっともヘビー。
産業革命時代のイギリスをテーマにした、複雑なルールと奥深いゲーム性を持つ重量級のドイツゲームが公開されています。
Brass」です。

2007 年に公開されたようですが、ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム賞、共に選出作にはなっていません。
さすがにここまで複雑だと、プレイしやすさも考慮されるドイツ年間ゲーム大賞ではスルーされるだろうし、プレイヤーも限られるだろうから投票で決まるドイツゲーム賞でも上位にはならないでしょうね。
1ゲームの時間も(アプリ版なのに)たっぷり1時間ほどかかります。

しかしその分、ゲームとしてのバランスやシステムは作り込まれていて、対戦型の開発シミュレーションゲームとして楽しめる内容になっています。
定価は 840 円。 買い切りなので広告や課金は一切ありません。

brass

システムが難しく、細かいルールも多いので、今回はレビューと言うより「ルール説明」に終始しますが、そこからどんな内容か察して頂ければと思います。

プレイ人数は3~4人。
自分の番には2回の行動を行えますが、1ターン目は1度しか行動できません。

まず画面下には、建設・運河・衣類販売・改良・借金・パス の6つのアイコンが並んでいます。
また、ゲーム開始時に各プレイヤーには8枚のカードが配られます。

ゲームの中心となるのは、施設の「建設」。
建設はカードを使って行いますが、カードには「土地カード」と「産業カード」があります。

brass

土地カードは、その土地に好きな施設を建設できるカード
産業カードは、好きな土地にその産業の施設を建設できるカードです。
ただし産業カードの使用には制約が多く、好きな土地に施設を建てられるのは最初だけです。

土地カードの場所がどこなのかは、画面左下のカードボタンをタップし、土地カードを選ぶことで確認することが出来ます。
イギリスの一地方が舞台なので、日本人には馴染みのない地名が多く、いちいち確認しないと場所がよく解らないのは欠点ですね。

産業には 港・紡績・炭鉱・製鉄・造船 の5種類があります。
まず建設費は高めですが、手っ取り早く収益に繋げられる「紡績工場」を作るのが良いでしょう。

しかし紡績工場を作っても、すぐに収入は増えません。
作った商品の「販売ルート」を確保する必要があります。

紡績工場を作ったら、その場所を大都市か港と「運河」で繋ぎます。
運河の建設にはカードと建設費が必要ですが、カードはどれを出しても構いません。
最初は港はないので、大都市と繋ぐのが解りやすいでしょう。

ちなみに運河は他の人が作ったものでも利用できます。
「だったら自分で作る必要ないんじゃ?」と思いそうですが、都合の良い場所に他の人が運河を作ってくれるとは限りません。
また、産業カードで施設を作れるのは「自分の運河」で繋がっている土地のみです。
運河はどこでも作れる訳ではなく、自分の施設か運河のある場所から繋げていかなければなりません。

brass

紡績工場を作って、大都市と運河で繋がれば、晴れて収入がアップ・・・ するとは限りません。

衣類販売」のボタンを押して、カードを1枚捨て、紡績工場と大都市を選択すると衣類が運ばれていきますが、その後に「需要減少チップ」を引きます。

このゲームにはイギリス国内の石炭・鉄の「保有量」と、衣類の「需要」があり、需要減少チップが -2 だと、衣類の需要メーターが2つ下がります。
これによって衣類の価格が低下、もし No Demand(需要なし)まで下がると衣類を買い取って貰えなくなります。

まだ需要が残っていれば、ようやく衣類の販売ルートが確立。
紡績工場が金色に輝き、毎ターンの収入がアップして、勝利点も増加します。

brass
※大都市ヨークシャーの周りに紡績工場が乱立中。
1つは販路を確立し金色になっていますが、実はこの時点で衣類の需要はゼロ・・・
残りの紡績工場は赤字の危機。


では衣類の需要が 0 になった後の紡績工場はムダになるのか?
まだ「」で輸出するという方法が残されています。

イカリのマークがある土地に港を建設し、運河で繋げることで、国外に衣類を販売できます。
この場合、紡績工場に加えて、港の運営も満たされ、港からも収入と勝利点を得られます。

ただし港も販売ルートの確立に使用されると金色になり、他の販売ルートには使えなくなります。
需要が無くなって港も残っていない場合、まだ売れていない紡績工場は・・・ 「残念」ということになりますね。

なお、港は他のプレイヤーのものでも利用できます。
この場合、港の収入と勝利点はそれを所有しているプレイヤーのものとなりますが。

brass
※紡績工場は港と繋げた方がお得。 ただし手間はかかる。
同じ場所に港と紡績工場があれば輸送しなくても販路を確立できますが、運河時代の間は同じ場所に同じプレイヤーが2つの施設を持つことは出来ません。
なお、金色の港でも、イギリス国内の衣類需要がまだ残っているなら、国内へ運ぶ輸送路(大都市と同じ扱い)として使えます。


残る産業のうち、「炭鉱」と「製鉄所」は、それぞれ「石炭」と「」を供給します。

炭鉱を作ると(レベル1なら)石炭が2つ生産されます。
これは製鉄所や造船所を作る材料となり、運河によって運ばれますが、この2つの石炭が販売されないと炭鉱は収入源になりません。

製鉄所も同様に(レベル1なら)鉄が4つ生産され、これを全部出荷しないと収入と勝利点は得られません。
また、こちらは建設に石炭が必要で、それを供給できる炭鉱か、大都市 or 港と建設場所が繋がっていなければ作れません。

もし大都市や港から石炭を運んでくる場合、購入費がかかります。
値段は「イギリス国内の石炭の保有量」に左右され、買うことでこの保有量メーターが下がっていき、価格が高くなります。
ただメーターが下がれば、新たに作った炭鉱は大都市や港に石炭を運ぶことで、その分だけ販路を確保でき、売却益も得られます。

brass
※石炭と鉄のメーターは需要ではなく、国の在庫。
ここから買う場合は書かれている分の費用が必要で、逆に売る場合はその分だけ儲かります。


ゲーム序盤は石炭の消費量が少ないので、炭鉱はあまり収入源になりません。
一方、鉄は「産業の改良」によって消費されます。

各産業には技術レベルがあり、最初は1ですが、施設を作る度に技術メーターが上がっていき、最大になるとレベルアップします。
技術レベルが上がると収入や資源の生産量、販売ルート確立による勝利点が増加します。
建設費が増える、レベル3以降は収入が減るといったデメリットもありますが・・・

そしてもっと重要なことは、このゲームは前半戦の「運河時代」と後半戦の「鉄道時代」に分かれており、鉄道時代に入るとレベル1の建物は全て撤去されてしまうこと。

技術レベルは施設の建設で自然に高まっていきますが、後々まで使える施設(レベル2以上)を早めに作りたいのであれば、「改良」を行って早いうちにレベルを上げておく必要があります。

改良にはカードが1枚必要になりますが、どれでも構いません。
また、1回のアクションで2回実行できます。
実行時に鉄が1つ必要になり、在庫のある製鉄所がない場合は、イギリスで保有されている鉄を購入することになります。
値段は保有量メーターに左右されます。

この改良は主に序盤に行われるので、鉄は早くから不足しがち。
よって炭鉱と違い、タイミングが良ければ序盤でも製鉄所で大きな利益を上げることが出来るでしょう。

brass
※技術改良画面。 先にレベル2にするか、それともレベル1で早期に建設するか。
紡績工場はレベル2にすると、建設に石炭が必要になる点も悩ましい。
この辺も戦略の取捨選択の1つでしょう。


実行できるコマンドには、もう1つ「借金」があります。
いかにもネガティブな響きですが、「融資」と言った方が良いかもしれません。
このゲームの進行には不可欠な要素です。

実行時にはカードを1枚捨てます。
借り入れを行うと、収入が減少する代わりにまとまったお金が手に入ります。
土地も販路も取り合いのゲームですから、ノンビリやっているヒマはありません。
毎ターンの収入を減らしてでも資金を確保し、発展に繋げていく必要がありますね。

他に補足として、以下のような細かいルールがあります。

・次のターンの各プレイヤーの順番は、前のターンで資金をあまり使っていない人が早くなる。
・同じ産業カード2枚と、アクション2回分で、好きな場所にその産業の施設を作れる。
・衣類販売は、販路を作れる紡績工場が2つあるなら両方実行できる。
運河時代の間、同じプレイヤーが同じ土地に2つの施設を持つことは出来ない。
・借金は終盤になると行えなくなる。(借金できる最後のターンに LAST LOAN と表示される)
・運河や鉄道の点数は、接した土地にある販路が確立した施設(金施設)の数になる。また、一方が都市だと+2。

brass
※ターン終了時の画面。 各プレイヤーがそのターンに使ったお金が表示されていて、次のターンはこれが少ない人の順になります。
コンピューターのターンの場合、右下の「SKIP ANIMATIONS」のボタンを押すと行動アニメーションが表示されず、すぐ次の人の番になります。
そのターンに何をやったかが解り辛くなりますが、実行された内容は画面右側に表示されています。 英語ですが。


ゲームの最初の8ターンは運河時代。
それが過ぎると、いよいよ後半戦「鉄道時代」の8ターンが始まります。

鉄道時代では運河が時代後れとなり、全て撤去されます。
そして前述したように、レベル1の施設は状況に関わらず全て消滅します。
そして運河建設のボタンは「鉄道」のボタンに変わります。
また、衣類の需要は最大まで戻り、これ以後は同じプレイヤーが同じ場所に複数の施設を持てるようになります。

ここからは鉄道の建設に石炭が必要になります。
また鉄道は追加費用を払うことで、まとめて2つ建設可能。
レベルが上がった紡績工場も建設に石炭を必要とするので、石炭の需要が跳ね上がり、炭鉱が収入の確保に重要になります。 ただし勝利点は低め。
改良はあまり行わなくなりますが、高レベルの炭鉱には鉄が必要になるので、鉄の需要もなくなる訳ではありません。

鉄道時代は一気にゲームが進みます。
各時代でバランス良く発展させていくか、運河時代を準備期間と考え鉄道時代に一気に追い込むか、その辺も重要ですね。

施設にはもう1つ、造船所があります。
造船所は作れる場所が限られていますが、作るだけで収益や勝利点を獲得できます。
しかし石炭と鉄が両方必要で、建設地まで運ぶ輸送路も必要、加えて建設費が非常に高く、しかも最初はレベル0なので改良で上げておかなければなりません。

ただ勝利点は非常に高く、一発逆転を狙えます。
他の戦略がうまく行かなかった人のための特殊施設と言えるでしょうか。

鉄道時代の終了後、勝利点に残り資金のボーナス(10 あたり1点)を加え、得点がもっとも高い人が勝利です。

brass
※ラストの得点集計画面。 保有資金や収入などもここで確認可能。
右側にあるのは収入レベルで、施設の収入アップは、正確には「収入レベルのアップ」です。
この収入レベルによって、毎ターンの実際の収益が決まります。


初回プレイはルールを追うだけで手一杯になると思います。
戦略とか色々考える余地はなく、そのため勝つことは難しいでしょう。
でもだからこそ、次回以降のプレイでいかにゲームを効率化し、勝利に向かっていくかという面白さを体験できます。
カードによってどの産業を優先するか、どの地域から押さえていくかなども変わって来るので、展開も一様ではありません。

ただ、1プレイがすごく長いので、手軽に遊べるゲームではないですね・・・
「さあ、ボードゲームをやるぞー!」みたいな感じで、じっくり構えて遊ぶゲームと言えそうです。
オンライン対戦も備わっているのですが、この長さでオンライン対戦はちょっとやる気になれない・・・
本体を交互に使っての対戦も可能です。

ドイツゲームが好きな方、むしろそっち方面にマニアな方にお勧めのアプリです。

Brass(iPhone 版、iTunes 起動)

Brass(Android 版、Google Play へ移動)

※Youtube プレイ動画(BoardGameGeek)

Splendor(宝石の煌めき)

宝石が描かれたチップやカードを取り合う、シンプルながら思考性の高い、宝石商をテーマにしたドイツゲームがスマホ用のアプリになっています。
Splendor」(宝石の煌めき)です。

専門家が決める「ドイツ年間ゲーム大賞」で 2014 年のノミネート作になっており、ファン投票で決まる「ドイツゲーム賞」では 10 位でした。
コインでカードを買って集める系」のボードゲームで、見た目もオシャレ、アプリのクオリティも高いですね。

価格は 840 円で、やや高め・・・ と言いたいところですが、Apple の価格改定を加味するとドイツゲーム系アプリとしては相場でしょうか。
もちろん広告や課金はありません。

Splendor 宝石の煌めき

プレイヤーは2~4人。
ゲームが始まると5色の「宝石チップ」と、16 枚の「発展カード」、さらに「貴族カード」が並べられます。

プレイヤーは自分の番に、まず宝石チップを「3色を1枚ずつ」か「同色を2枚」取得します。
ただし同色を2枚取る時は、その色のチップが4枚以上残っていなければなりません。
どの色の宝石を取るかは自由です。

再び順番が回ってきたら、場に出ている発展カードを、宝石チップで買うことが出来ます。
発展カードには「青3 緑1 白1」のように必要となる宝石が書かれていて、その分だけ宝石チップを支払えば購入(Purchase)できます。
宝石が足りない場合や、欲しいカードがない場合は再び宝石チップを取ります。

1ターンに出来る行動は1つだけで、「チップを取ってすぐカードも買う」ということは出来ません。
カードが買われた場合、場のカードはすぐ山札から補充されます。

そして発展カードには、宝石が1つ描かれています。
それが緑の宝石である場合、それを持っていると、以後カードを買う時に緑の宝石が1つ割引されます。
つまり「緑3」で買えるカードは、「緑2」で買えるようになる訳です。
もし緑の宝石が書かれた発展カードを3枚持っている場合、緑3のカードは無条件で購入できます。
よって発展カードがあればあるほど、カードを購入しやすくなっていきます。

発展カードには勝利点も書かれていて、これが 15 点に到達した人の勝利。
ただ、勝利点が付いているカードは必要な宝石が多く、いきなり買うことは出来ません。
勝利点のない、安い発展カードを集めて、購買力を高めてから狙う必要がありますね。

画面端に並べられている貴族カードも勝利点を得られるもので、書かれている宝石の条件を満たした人が入手できます。
ただしこの条件は、発展カードに書かれた宝石のみで満たさなければなりません。
「赤4 黒4」なら、赤と黒の宝石が書かれた発展カードを4枚ずつ所持しておく必要があり、宝石チップは無効です。

貴族カードはそれぞれ1枚ずつしかないので、早い者勝ちです。
中盤からは貴族カードの入手に必要な発展カードを狙っていくことになるでしょう。

Splendor 宝石の煌めき
※発展カードは下段は安く、上段は高価。 上段が買われることはあまりなく、下段の取り合いになります。
最初は取れる端から取って、ある程度集まってからその後の方針を決めましょう。
なお、宝石チップは 10 枚しか所持できず、オーバーしたらその場で捨てることになります。


そしてもう1つ、確保(Reserve)というルールがあります。
場にあるカードを、他の人が手出しできないよう自分の手元に置いてしまうもので、言葉は悪いですが「つばを付けておく」といった感じですね。
このアクションを実行すると、オマケとして金塊チップも1つ貰えます。
これはオールマイティの宝石チップとして使えます。

確保しても買った訳ではないのでカードの効果は発揮されませんが、どうしても買いたいカードがあって人に取られたくない時や、相手に取られるとヤバいカードがある時などに、対抗手段として利用できます。
このアクションを行うとカードの購入や宝石チップの入手が出来ないので、4人プレイだと後れを取るだけになりがちですが、少人数の場合は互いの状況を把握しやすいため、妨害も時には有効です。

カードの動き、ビジュアル、BGM などが良く、スマホ / タブレット用のドイツゲームとしては優れたアプリですが、唯一にして大きな欠点は AI が弱いこと・・・

AI には Secret behavior(悟られない行動)、Balanced(バランス型)、Specialzed(集中型)、Opportunistic(日和見)の4種類があるのですが、強弱はありません。
で、正直、負けたことがない・・・

2~4人プレイを一通り行った後、4人プレイを数回試しましたが、ずっと1位です。
こういうのは勝ち負けがあるから、もしくはなかなか勝てない相手に工夫して勝つから面白い訳で、いきなりずっと勝っていると飽きてしまいます。
まあ、たまたま巡りが良かった可能性もありますが、少なくとも強くはないですね・・・

人との対戦は本体を交互に使って行う形式で、オンライン対戦はありません。
ソロプレイ用の「チャレンジ」というモードがありますが、様々な条件下で、一定ターン以内に規定の勝利点を稼ぐソリティアになっています。
正直、対戦ではないので面白味に欠けますね。

Splendor 宝石の煌めき
※発展カード選択時、Purchase にドラッグすると購入しますが、右下の Reserve にドラッグすると確保になります。
2人プレイで「相手にそのカードを取られたら貴族をゲットされてしまう」という時などに有効。 ただし確保は3枚まで。
対人戦だと「1位を妨害するために、みんなで特定の宝石のカードとチップをがめてしまう」みたいな戦法を取ることも出来そうですが、AI が相手だと無理ですね・・・


Splendor 宝石の煌めき
※集計画面。 とにかく 15 点になれば勝利。 貴族よりも勝利点の高い発展カードもあるので、必ずしも貴族カードが必要な訳ではありません。
なお、正確には「誰かが 15 点になった後、1巡したら終了」なので、その1巡の間に誰かが 16 点以上になったらそちらが逆転します。


オリジナルの Splendor(宝石の煌めき)は駆け引きが重要なゲームだったようで、コンピューターゲームでは再現しにくかったかもしれません。
しかし手頃な時間で決着が付き、ルールが複雑でなく、見た目も綺麗で、優れたドイツゲームなのはやっていて感じます。

カードやチップが大きめで、細かい文字もないため、スマホでもプレイしやすいのもありますね。
この手のゲームの初心者の方には良いのではないでしょうか。

近年のボードゲームの秀作の1つです。
ドイツゲーム系が好きな人なら、押さえておきたいアプリでしょう。

Splendor(iPhone 版、iTunes 起動)

Splendor(Android 版、Google Play へ移動)
Splendor(PC 版、Steam へ移動)

※Youtube プレイ動画(BoardGameGeek)

Dominion(ドミニオン)

※このアプリは「ドミニオン オンライン」の運営会社変更に伴い、公開終了しています。

ゲームを進めながら自分のデッキ(山札)にカードを加えていく、「デッキ構築型ゲーム」というシステムを創始した、世界大会も行われている有名カードゲーム Dominion(ドミニオン)

2009 年には専門家による表彰「ドイツ年間ゲーム大賞」、愛好家による投票「ドイツゲーム賞」、カードゲームの最高表彰「アラカルト・カードゲーム賞」、その他数々の表彰を総ナメにしています。
その公式アプリが、ようやく iOS に登場しました。
Dominion」です。

ただし、現時点(2015/12)では iPad 版のみですので悪しからず・・・

このアプリ、iPhone 史上最大の「出る出る詐欺アプリ」でした。
当初は非公式なドミニオンアプリが公開されていて、完成度も悪くなかったのですが、公式ライセンスを得た会社からのクレームで早々に削除。
その後、そのアプリを取り込む形で iOS 版の開発が行われていたのですが、何度もスクリーンショットや開発状況が発信されるも、発売に至る気配なし。

そして1年ほど経ち、誰もが忘れた頃に「iPhone のドミニオンも公開されたよ!」というアナウンスが出たのですが、それは「PC 版を iPhone や iPad でも遊べるよ」という話で、当然タッチパネルに最適化されていないので操作性もレスポンスも悪い。
フザケンナとクレームが出る中、とうとうアプリ版の話は一切語られなくなってしまいました。

それから数年・・・ 派生作の たんとくおーれ の方が先に発売されてしまい、PC 版も初期バージョンの運営が終わって、このまま消えてしまうのかと思っていたら、その後に公開された PC 版「Dominion Online」の移植となる iPad 版が、先日いきなり公開されました。

※そしてまた消えました・・・

余談が長くなりましたが・・・ ともあれ PC で運営されているものがベースなので、ちゃんと作られているし、数多く登場した拡張セットのカードも網羅されています。

アプリ本体は無料で、課金しなくても基本セットのドミニオンなら十分楽しめます。
ゲーム終了後に全画面広告が出て来ますが、スタミナなどはありません。
ただ、詳細は後述しますが・・・ 拡張セットの値段はビックリするぐらい高いのでご注意を。

Dominion ドミニオン

Dominion ドミニオン

ドミニオンは「コイン」のカードを使って、「アクション」や「勝利点」のカードを集めていくゲームです。

各プレイヤーは自分のデッキから5枚のカードを引いて手札とし、コインのカードを出して、場にあるコイン・アクション・勝利点のカードを購入します。
コスト4、つまり価格が4のカードなら、手札にあるコイン1のカードを4枚出せば買える訳ですね。
コイン2のカードなら2枚出せば購入できます。

アクションカードには、カードを3枚引ける「鍛冶屋」など様々な効果のものがあります。
アクションカードの使用とカードの購入は1ターンに1回ずつしか行えませんが、そのターンのアクション使用回数を増やす「村」、カード購入数を増やす「木こり」などを使えば、複数の行動を行えます。
もちろんそのためのアクションカードも、事前に購入しておく必要がありますが。

買ったカードは「捨て札」に移されます。
「買ったのに捨てるの?」と思われそうですが、ドミニオンは山札がなくなったら、捨て札をシャッフルして新しい山札にします。
つまり捨て札は「後から手札に戻ってくるカード」という事になります。

自分のターンが終わったら、手札はすべて捨て札にして、山札からまた新たに5枚のカードを引いて手札にします。
このため手札は、そのターンに使えるだけ使って構いません。
このアプリでは、まずアクションカードを使用して、その後にカードの購入を行います。
購入時に「PLAY TREASURES」のボタンを押すと手元のコインカードが全部場に出されるので、普段はこのボタンで一括して出してしまいましょう。

ゲームの目的は緑色の「勝利点カード」を買い、点数を貯めることです。
ただ、勝利点カードは使用することは出来ません。 手札に来たら、単に邪魔なだけ。
よって集めなければならないのに、集めるほどデッキに余計なカードが増えてしまうことになります。

デッキのカードが少ないうちは、それぞれのカードが頻繁に手札に戻ってくる訳ですが、デッキの枚数が増えるほど各カードの回転率は下がっていきます。
これを考慮し、必要なカードを必要なだけデッキに加え、要らないカードを取り過ぎないようにして、勝利点カードは準備が整ってから獲得していくのが、ドミニオンの基本的な戦略になります。

アクションカードの中には、コインカードの価値を上げる「鉱山」、カードを完全に破棄する「礼拝堂」といったものもあります。
これらを使ってコイン1のカードを減らし、2や3のコインカードに変えて、デッキを圧縮するのも戦法の1つですね。

ゲームは「勝利点6」のカードが全部なくなるか、それ以外の3種類のカードがなくなる(売り切れる)と終了で、その時にもっとも勝利点が高い人が勝者です。

Dominion ドミニオン
※鉱山カードを使うと手札が燃える。 こういう演出は良いですね。
ちなみに燃えているのは、そのカードを破棄することを表わしています。


Dominion ドミニオン
※1人用モードのエリアマップ。 こういうモードがあると長く楽しめて良いですが・・・
ただ、後半ステージに行くにはカードのセットの購入が必要。


アプリのクオリティは相応に高く、手札は扇状に広げられていて、カードの移動も解りやすいです。
手札はドラッグでもタップでも出すことができ、操作性も問題ないですね。
効果音は少なく、BGM も2曲が交互に流れるのみですが、カードの絵は細かく描かれています。

ゲームはオンライン対戦と1人用のキャンペーンモードに別れていて、キャンペーンがあるのは嬉しいところ。
チュートリアルをクリア後、20 ステージで構成されているエリアをクリアしていきます。
無料版では3つのエリア、計 60 ステージをプレイ可能です。

オンライン対戦は PC 版のプレイヤーとも対戦できるようで、人が多くマッチングも早いです。
対戦中のレスポンスも快適で、この辺はさすが PC のオンライン版の移植と言ったところ。

しかしこのアプリ、ゲーム以外の部分に難点が多いです・・・
まず、ネットに接続されていないと1人用モードさえプレイできません。

1人用の時でも頻繁にサーバーとの通信を行っているようで、短時間でも接続が切れるとすぐに再接続のメッセージが表示されます。
そしてこの頻繁な通信の影響か、バッテリーの減りもすごく早い。
そんなに高度なグラフィックが使われている訳でもないのに、気が付くとなくなっています。

そして課金。 基本セットで遊んでいるうちは無料でも問題ないのですが、キャンペーンで拡張セットが必要なステージに進むには、150 ゴールドでカードセットを買わないといけません。
「150 円なら安いんじゃない?」と思うなかれ・・・ 160 ゴールド分の課金で、お値段 1900 円。

拡張セットは合計8種類あり、一括購入も用意されているのですが、1115 ゴールド必要。
そして 1200 ゴールド分の課金額は、なんと 10,800 円!
いやー、タダより高いものは無いですね。

まだ iPad 版しか無いこと、メッセージが英語なことも難点と言えるでしょうか。
ただ、基本のカードセットのみで遊ぶ場合は、カードの種類はそんなに多くないので、英語でもあまり問題はありません。

Dominion ドミニオン
※通常ゲームの設定画面。 ここで人のマークを選んで SEEK のボタンを押すと、マッチングが行われてオンライン対戦に入ります。 右の空白はチャット欄。
使用するカードセットの選択もありますが、拡張カードセットを買っていない場合は常に基本セットでの対戦になるようです。
脳みそマークを選んだ場合は AI と対戦できますが、それでもネット接続は必要。
「CHALLENGE OTHER PLAYERS」は任意のプレイヤーと、任意のカード設定で対戦できます。


Dominion ドミニオン
※豊富な拡張カードセットが一通りそろっているのはファンには嬉しい点ですが、値段が・・・
もちろん実物のカードを買うよりは安いんだけど・・・


やや作りが甘い点もありますが、しっかりドミニオンを楽しめるアプリであり、全画面広告は出ますが動画広告はまだなく、基本セットで遊ぶ範囲なら無課金でも問題ありません。
オンライン対戦をするにはアカウント登録が必要ですが、ユーザー名とパスワードだけで OK です。(メールアドレスの登録は任意)

近代のカードゲームを語るには外せない作品です。
iPad が必要ですが、ドミニオンの経験者はもちろん、ドイツゲームやカードゲームが好きな人は、一度試しておきたいアプリでしょう。

なお、PC 版の移植なので、パソコンでも同様のものがプレイ可能です。
iPad がない人はそちらでやってみる手も・・・?

Dominion (公開終了)
Dominion Online(PC 版ページ、運営会社移行後)


【 ドミニオン : 基本カードセットの初心者向け解説 】

順番はチュートリアルで出て来るものを優先し、それ以外はコスト順にしています。
コインと勝利点以外のカード(王国カード)は、ゲームに出て来るのは 10 枚です。
どれが選ばれるかは解りません。

・コインのカード
右上に並んでいる、カードを買うためのコイン。1・2・3がある。
それぞれに Copper(銅貨)、Silver(銀貨)、Gold(金貨)という呼び名があり、カードの説明文で使われている。
これらのカードは Treasure(財宝)カードとも呼ばれ、黄色になっている。

・勝利点カード
左上に並んでいる、勝利点を獲得するためのカード。1・3・6がある。
それぞれに Estate(屋敷)、Duchy(公領)、Province(属領)という呼び名があり、カードの説明文で使われている。
これらのカードは Victory(勝利点)カードとも呼ばれ、緑色になっている。

・Smithy(鍛冶屋):コスト4
山札からカードを3枚引く。

・Village(村):コスト3
そのターンのアクションカードの使用可能数が2増える。
(このカードの使用で1枚分使うので、実質 +1)
さらに山札からカードを1枚引く。

・Woodcutter(木こり):コスト3
そのターンのカード購入可能数が1増える。
さらにそのターンのコインが2増える。

・Witch(魔女):コスト5
他のプレイヤー全員に「呪い」カードを1枚ずつ与える攻撃カード。
さらに山札からカードを2枚引く。

・Curse(呪い)
魔女カードによって無理やり取らされるカード。 勝利点 -1。
これがデッキに入ることでカードの回転率も悪化する。

・Moat(堀):コスト2
攻撃カードを使われた時、手札にこのカードがあれば無効化できる。
無効化してもこのカードは手札に残る。
自分のターンに使うと山札からカードを2枚引ける。

・Mine(鉱山):コスト5
手札のコインのカードを1枚破棄して、それが1なら2のコインに、2なら3のコインにすることが出来る。(3は破棄しても意味がない)
カードの枚数を増やさずにコインを強化できる。

・Gardens(庭園):コスト4
勝利点カードの一種で、ゲーム終了時に持っているカードの合計数 10 枚あたり、1点の勝利点を得られる。 端数切り捨て。

・Chapel(礼拝堂):コスト2
手札から最大4枚までのカードを「破棄」できる。
破棄は捨てるのではなく、ゲームから消滅させるので、もう手札には戻ってこない。

・Throne Room(玉座の間):コスト4
指定したアクションカードを2回連続で使用できる。

・Adventurer(冒険者):コスト6
山札からコインカードを2枚得る。
正確には、2枚のコインカードが出るまで山札が引かれ、そのコインが手札に加わり、コイン以外の引かれたカードは捨て札になる。

・Cellar(地下貯蔵庫):コスト2
手札の中の好きなカードを捨てて、その分だけカードを引き直せる。
このカードは使用してもアクションカードの使用可能数が減らない。
(アクション+1 なので、使用時に -1 されて、差し引き 0)

・Workshop(工房):コスト3
コスト4までの好きなカードを1枚購入できる。

・Chancellor(宰相):コスト3
そのターンのコインが2枚増える。 さらに、自分の山札のカードを全部捨て札にすることが出来る。
つまり、デッキをすぐシャッフルできる。
シャッフルしない選択も可能で、その時は単にそのターンのコインが増えるだけ。

・Remodel(改築):コスト4
手札のカードを1枚「破棄」して、そのカードのコスト +2 までの好きなカードを1枚貰える。
破棄なので捨てたカードはデッキから消える。

・Moneylender(金貸し):コスト4
手札にあるコイン1のカードを1枚破棄し、そのターンのコインを3増やす。
コイン3のカードを貰える訳ではないので注意。

・Feast(祝宴):コスト4
コスト5以下の好きなカードを1枚貰えるが、使用後にこのカードは「破棄」する。
コイン1枚分お得。

・Thief(泥棒):コスト4
攻撃カード。 他のプレイヤーは山札からカードを2枚引き、その中にコインのカードがあった場合、泥棒使用者がそのうちの1枚を破棄させることが出来る。
さらに、破棄されたコインカードを好きなだけ泥棒使用者は貰うことができる。
なお、破棄されなかったカードは捨て札になる。

・Spy(密偵):コスト4
攻撃カード。 まず、山札からカードを1枚引ける。
その後、使用者は山札からもう1枚カードを引き、それを捨てる(DISCARD)か山札に戻す(PUT BACK)かを選べる。
さらに他のプレイヤー全員も山札からカードを1枚引き、それを捨てるか山札に戻すかを密偵使用者が選ぶことができる。
このカードは使用してもアクションカードの使用可能数が減らない。
(アクション+1 なので使用時に -1 されて、差し引き 0)

・Militia(民兵):コスト4
攻撃カード。 まず、そのターンのコインが2増える。
さらに、他のプレイヤーは手札が3枚になるまで、手札を捨てなければならない。

・Bureaucrat(役人):コスト4
攻撃カード。 まず、コイン2のカードを1枚貰える。(捨て札に移す)
その後、他のプレイヤーは手札にある勝利点カードを1枚、自分の山札の上に置く。
つまり、次のターンもその勝利点カードを引いてしまうことになる。
勝利点カードが手札になかった人は、手札が公開されるだけで何も起きない。

・Market(市場):コスト5
そのターンのコインが1枚増え、山札からカードを1枚引き、カードの購入可能数も1増える。
このカードは使用してもアクションカードの使用可能数が減らない。
(アクション+1 なので使用時に -1 されて、差し引き 0)

・Council Room(議事堂):コスト5
山札からカードを4枚引く。 さらにそのターンのカード購入可能数が1増える。
ただし、他のプレイヤーも全員山札からカードを1枚引ける。

・Laboratory(研究所):コスト5
山札からカードを2枚引く。
このカードは使用してもアクションカードの使用可能数が減らない。
(アクション+1 なので使用時に -1 されて、差し引き 0)

・Festival(祝祭):コスト5
そのターンのコインが2増え、カード購入可能数も1増える。
このカードは使用してもアクションカードの使用可能数が減らない。
(アクション+1 なので使用時に -1 されて、差し引き 0)

・Library(書庫):コスト5
手札が7枚になるまで山札からカードを引く。
この時、アクションカードが出た場合は、それを手札に入れるか(PUT IN HAND)、スルーするか(SET ASIDE)を選べる。

※拡張カードセットのものを含む、ドミニオンのカード一覧は以下のページで公開されています。
http://suka.s5.xrea.com/dom/list.cgi

Le Havre: The Inland Port(ル・アーブル 内陸港)

ドイツゲーム愛好家からの評価は高いものの、ルールが細かすぎて賛否両論あるボードゲーム「ル・アーブル」(Le Havre)
そのルアーブルのルールを簡略化し、2人用の対戦ゲームに変えた作品が 2012 年に発売され、スマホ / タブレット版も先日登場しました。
Le Havre: The Inland Port」です。
日本では「ル・アーブル 内陸港」と呼ばれています。

町に建物を作り、それを使って資源を調達、その資源でまた建物を作って勝利点を稼いでいくゲームで、オリジナルのデザイナーは前作のルアーブルや、Agricola(アグリコラ)を作った人と同じです。

ただ、アプリ版の開発元は前とは違っていて、前作は多くのドイツゲーム系アプリを公開している Codito というメーカーでしたが、今回は Digidiced というドイツの新興メーカー。
Codito のアプリは見た目が地味なので、今作の方がアプリのクオリティは高いですね。
※現在、販売権はフランスの Asmodee が買収しています。

定価は 600 円。 買い切りゲームなので、スタミナ・広告・課金等はありません。



ゲームが始まると画面下に建物カードが並べられます。

プレイヤーは 木材(茶色)麦(黄色)魚(青色)レンガ(赤色)の4つの資源を持っていて、これらを使って町に建物を建設できます。
建設は欲しいカードを建設アイコンに移動させて行います。



建物を作ると、それは町の「0」のエリアに置かれます。
双方のプレイヤーが行動を行い、1日が経過すると、町の建物は「2」のエリアに移動します。

ここからは建設の代わりに、町の建物を使うことができます。
例えば木材会社(Wood Company)のカードを使えば木材を、粘土採掘場(Clay Mound)のカードを使えばレンガを得られます。

建物にもよりますが、得られる資源の量は建物がどのエリアにあるかで変化します。



「2」のエリアなら2つ、「4」のエリアなら4つの資源を貰えます。
使われなかった建物は 0 → 2 → 3 → 4 の順番で移動していくので、後で使うほど入手できる資源の量は多くなりますね。
ただし誰かに使われると0に戻ってしまうため、使うのは早い者勝ちです。

そしてこのゲームの大きな特徴は、資源の入手や使用に使う「資源管理ボード」。
このゲームの資源は、単純に数値で表わされている訳ではありません。



資源管理ボードは上の画像のようになっていて、左下が 0 です。
一番下の段はそこから右に行くに従って1つずつ数が増えていきます。
3のマスに木材のマーカーがあれば、木材を3つ持っていることになります。

そして2段目は一番左が3で、そこから 4・5・6 ・・・ と増えていきます。
3段目は一番左が6、4段目は9です。

資源を入手する際、使った建物に右向きの矢印が書かれていれば、マーカーは右に移動し、その分だけ資源が増えます。
しかし建物の中には上や左上の矢印もあります。

上向きの矢印なら1つ段が上がるごとに資源は3つ増えるので、2段上がれば一気に6つの資源を得られることになります。
しかし左上向きの矢印で、すでに一番左にマーカーがあった場合・・・ 左上に移動できないため、資源を増やすことは出来ません。
また上の段に昇れないまま一番右まで行ってしまうと、やはりそれ以上右には動かせません。

よって資源を得る時は、マーカーの位置を考慮して建物を選ぶ必要があります。
また資源を使う時も、マーカーをどちらに動かすか選べるので、今後を考えながら動かす必要がありますね。


※ルールの補足。 建物を動かす時に画面下に出て来るアイコンは売却で、その建物の価値(勝利点)の半額のコインを得られます。
「4+」のエリアの建物を使った時は、4の効果に加えてコインを1枚貰えます。
ただし 4+ のエリアの建物が使われなかった場合、その建物は翌日、強制的に売却されてしまいます。


資源はあくまで建物の建設に使うもので、勝敗の条件には直接関わっていません。
ゲームの目的は建物に付いている「勝利点」を稼ぐことで、カードに 10 と書かれている建物を建設すれば、ゲーム終了時に 10 点得られます。
その合計が高い方が勝利です。

なお、他のプレイヤーが建てた建物も使用することが出来ますが、その際に相手にコインを1枚支払わないといけません。
このコインの所持量も勝利点になります。

カードの効果は、主に以下のようになっています。

ル・アーブル 内陸港 資源施設
※普通の資源獲得施設。 3のエリアにあれば、資源を3つ得られる。

ル・アーブル 内陸港 資源施設2
※これは麦(黄色)を入手でき、それに加えて赤(レンガ)と茶色(木材)も1つ獲得できる。
麦は3のエリアにあれば3つ貰えるが、レンガと木材はエリアに関わらず1つだけ。
「+」ではなく「/」のカードの場合、得られるのはどちらか一方。


ル・アーブル 内陸港 引き替え施設
※コイン1枚と食糧資源2つを支払う事で、木材のマーカーを1段上げられる。
食糧資源(お鍋)は麦か魚のこと。 なお、3のエリアにあれば最大3段上げられる。


ル・アーブル 内陸港 複数資源施設
※カラフルな矢印マークは、複数の資源マーカーを同時に移動させられる。
上記の場合、3のエリアにある時は、3種類の資源を左上に1つ移動させられる。


ル・アーブル 内陸港 使用不可施設
※鍵マークがある施設は使用できない。
ただ、港のマークのカードは「Port」を所持している場合、1つ 10 点になる。
また勝利点のところに箱が書かれている場合、その色の資源の量だけ勝利点が増える。


ゲームは 12 日経過したら終了。
ただ、1日が経過するのに必要なターン数は徐々に伸びていくので、12 ターンで終わりではありません。
1プレイは1人用の場合、30 分ほどです。

ゲームモードはオンライン対戦の「Ranked Game」、近くの知人と対戦する「Casual Game」、1人用および本体を交互に使って対戦する「Local Game」の3つ。
ローカルゲームは4段階の難易度の AI と対戦できますが、このアプリはオンライン対戦をメインに考えられているようです。

オンライン対戦は(iOS 版は)Game Center を通してマッチングするため、Game Center をオンにしておかなければなりません。
マッチングされるまで放置して待つ必要がありますが、今はプレイヤーが多いようで、マッチングにかかる時間はそれほど長くありません。
また、ターン制の思考型ゲームであるため、プレイ中はラグも感じません。

しかし対戦だと相手の思考時間も含めて1プレイに 40 分以上かかるので、スマホアプリのドイツゲームとしては、あまり手軽とは言えませんね。


※ゲームモード選択画面。 Ranked Game に勝利すると ELO と呼ばれるプレイヤー評価が上昇し、ランキングも存在します。 またランクゲームでないと実績は獲得できません。
とりあえずはローカルゲームで慣れましょう。 Hard の AI はそれなりに手強いです。


確かにルールが複雑だった ルアーブル を、遊びやすくしたような感じのゲームです。
カードの効果もマークと数字で書かれているため、英語が読めなくても問題ありません。
最初は取っつき辛いかもしれませんが、何度かプレイすればすぐにコツがつかめるはず。

サンファン ほどの手軽さや、アグリコラ ほどの建設の自由さはありませんが、その間を取ったような内容で、オンラインプレイも備わっているため、ドイツゲームアプリとしては平均以上の作りだと思います。

ドイツゲーム(近年のボードゲーム)のファンなら、押さえておくべきアプリですね。

Le Havre: The Inland Port(iTunes が起動します)

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