日本時間 2018年10月30日 の夜、ニューヨークで Apple のスペシャルイベントが開かれ、新しい「iPad Pro」と、MacBook AirMac mini が発表されました。
ここではその詳細をお伝えいたします。

appleevent2018

先に新しい iPad の発売日と価格を述べておきましょう。

新しい iPad Pro は「11 インチ iPad Pro」と「12.9 インチ iPad Pro」があり、予約開始は本日(10/31)から、販売は 11/7 からになります。
これは同時に発表された Macbook Air、Mac mini も同様です。

どちらの新 iPad Pro も 64GB、256GB、512GB、1TB の4モデルがあり、日本の Apple 公式での販売価格は以下の通り。

11インチiPad Pro:64GB 89,800円、256GB 106,800円、512GB 128,800円、1TB 172,800円。
12.9インチiPad Pro:64GB 111,800円、256GB 128,800円、512GB 150,800円、1TB 194,800円。

セルラーモデルだと +17000 円になりますが、セルラーモデルを携帯電話会社で買う場合は各社の価格設定次第になります。

以下、今回もハードウェアを中心に、その詳細を感想を交えて解説いたします。

新 iPad Pro(以下 iPad Pro 2018)の発表は、Apple イベントおなじみのスーパー自慢タイムから始まりました。
すでに4億台を出荷、他社のノートパソコンと比べても販売台数1位になった、とアピールされていました。
正直、iPad の販売数をノートパソコンと比べるのは間違っていると思うのですが、興味深いデータではあります。

ipadvsnote

そして最初にアピールされたのはディスプレイ

画面は iPhone XR にも採用されている新開発の液晶画面「Liquid Retina」ディスプレイ。
iPhone X や XS に採用されていた有機 EL ディスプレイ(OLED)ではありませんが、従来型の Retina ディスプレイよりも高品質です。

そして画面の周囲の幅(ベゼル幅)が薄くなり、ホームボタンも廃止。
新型 iPhone と同様に全画面ディスプレイとなりました。

これにより11インチモデルの場合、本体の大きさは変わらないのに、画面は前より大きくなっています。

11display

一方、12.9インチモデルの場合、画面の大きさは変えず、本体のサイズを小さくしています。
これにより大きめのノートと変わらない大きさになり、バッグにも入れやすいとコメントされていました。

129display

厚さも薄くなり、iPad Pro 10.5 インチ(2017)が 7.5 mm なのに対し、iPad Pro(2018)はどちらも 5.9 mm に。

重さは11インチモデルはほとんど変わらず、10.5 インチ(2017)が 469g なのに対し、2018 の 11 インチは 468g。
12.9 インチは 2015 年のものが 713g だったのに対し、2018 は 631g になっています。

ipadproatusa

ホームボタンがなくなったので指紋認証(Touch ID)はなくなり、最新 iPhone と同じく顔認証(Face ID)に。
「もう、見るだけでアンロックされる」とアピールされていました。

カメラは 2017 が8メガピクセルだったのに対し、12 メガピクセルに。
4K のビデオ撮影に対応し、手ブレ補正やオートフォーカス強化、フェイスカメラも 1.2 メガピクセルから7メガピクセルになっていて、ポートレートモードやアニ文字、ミー文字に対応しています。

カメラはほぼ iPhone XR と同等で、つまり最新の iPhone に合わせられたと言えます。

ipadcamera

そして注目の CPU。「A12X Bionic」が搭載されています。

iPhone XS や XR に搭載されている A12 世代のグラフィック強化版のはずですが、iPhone のものはメインコア2つ、サブコア4つの6コア構成だったのに対し、こちらはメインもサブも4コアの8コア構成になっています。
よって処理能力だけを比較すると、特にマルチコアの動作においてこちらの方が上になると思われます。

グラフィック能力も A12 が4コアなのに対し、A12X は7コア。
8つじゃなくて7つってのが中途半端で気になりますが、ともあれ 1.75 倍になっています。
ただ、画面が大きいとグラフィック処理の負荷は高くなるので、実際に速度がどの程度なのかは計測されてみないと解りません。

これとは別に、ニューラルエンジンと呼ばれる補助能力や、M12 と呼ばれる補助 CPU を備えます。
CPU の製造プロセスは 7nm とのことで、A11 が 10nm なので、より微細化しています。

メモリは例によって未発表・・・ 詳細は発売後の解析を待つ必要があるでしょう。

cpu_a12x

cpu_a12x_nural

データ容量は最大 1TB。どんどん大容量化。
そして事前の噂通り「USB-Type C」に対応しました。

USB-Type C(USB-C)は新型の USB で、データ転送が高速、複数の転送形式に対応可能な、将来はこれに一本化されるとも言われている接続端子です。

なにより、どちらの向きでも差し込むことができ、あのマーフィーの法則「USB は非常に高い確率で、まず逆向きに刺そうとする」の世界的問題を回避できます。

これにより様々な機器への接続が容易になり、ビデオカメラやモニター、音響機器に接続している写真が公開されていました。
iPhone に繋げ、iPad Pro のバッテリーで iPhone の充電も可能になるとのこと。

iphone_ipad

そして周辺機器の Apple Pencil も第二世代になりました。

iPad Pro の側面に磁力でくっつくようになっていて、扱いやすくなったと同時に、くっつけている間に充電も行われます。
また、スマートキーボードも磁力で強力にくっつき、好みの角度にできるとのこと。

他に AR 機能や、スピーカーの強化などがアピールされていました。
4つのスピーカーはそれぞれウーハーとセットになったとのことで、以前より低音が力強くなっていると思われます。

applepencil2

smartkeyboard

グラフィック機能やペンシルのアピールとして、会場では 2K Games の NBA(バスケ)の最新ゲームや、Adobe のフォトショップの iPad 最新版などが紹介されていました。

改めてになりますが、予約はすでに始まっていて、販売は 11/7 からです。
11インチiPad Pro は 64B、256GB、512GB、1TB のモデルがそれぞれ 89800円、106800円、128800円、172800円。
12.9インチモデルは容量は同じで、価格は 111800円、128800円、150800円、194800円です。

また、iPad Pro 10.5 インチ(2017 モデル)の販売も継続。
こちらは 64GB、256GB、512GB のモデルがあり、価格は 69800円、86800円、108800円。
64GB 以外が 6000 円ほど値下げされています。

ipadproprice


新型 iPad Pro については以上です。
以下、Macbook Air と Mac mini についても駆け足で触れておこうと思います。

新しい Macbook AirRetina ディスプレイ搭載になり、13.3 インチ画面で、2560x1600 ピクセルの解像度を持ちます。以前の4倍。
レティナになったことで色彩がよくなり、対応する色の幅も向上。

画面の周囲は iPad と同じく狭小ベゼル(狭い外枠)となり、これに伴ってサイズが小型化
重量も約 1.25 kg になりました。

macbookair

そして指紋認証「Touch ID」に対応
Apple Pay にも対応していて、指紋認証ですばやくネットショッピングできるとのこと。

また「T2」と呼ばれるセキュリティ関連の処理を行うチップが搭載されており、これが SSD コントローラーやハードディスクの暗号化を実行。
映像コーディックやサウンド、カメラの処理も行うようです。

トラックパッドも 20 %大きくなって、圧力検知も新型に。
またオーディオ関連が強化されていて、音量が 25 %向上したようです。
端子は USB-Type C が3つ用意されています。

macbookairt2

そしてハードウェアスペック。
CPU は第8世代の Core i5 が搭載されていて、クロック数は定格 1.6GHz、ターボブーストで最大 3.6GHz になる、デュアルコアの CPU とのことですが・・・
市販の CPU に該当するものがありません。

近いものは超々低電圧型の「Core i5-8200Y」というものですが、ちょっと違う・・・
おそらく特注品だと思います。
正直、2コアだし、タイミング悪く今月第9世代が発売されてしまったし、あまり最新ハイスペックという感じではありません。

ただ、メモリは 8GB、オプションで 16GB まで搭載可能、1.5TB までの SSD を搭載できます。
高精細のディスプレイを持つし、Apple らしいクリエイター向けのパソコンとは言えます。
そういう意味では Mac の正統進化系と言えるでしょうか。

価格は最小構成(メモリ8GB、SSD 128GB)だと 134,800円
ただ最高の構成(メモリ16GB、SSD 1.5TB)だと 288,800円 になります。
メモリ 16GB + SSD 256GB だと 178,800 円です。

macbookairt3


Mac mini は超小型の PC です。
一応デスクトップ PC ですが、縦横 20 cm、厚さ 3.6 cm で、手に乗るサイズのやつですね。

第8世代のデスクトップ用 CPU を搭載していて、Core i3 で4コアの 3.6GHz か、Core i7 で6コアの 3.2GHz(最大 4.6GHz)を選べます。
市販の CPU で該当するのは「Core i3-8100」と「Core i7+8700」。
デスクトップ用なので Core i3 でも Macbook Air の Core i5 に劣らないでしょう。

メモリは 32GB で 64GB まで搭載可能、SSD は最大 2TB まで選べます。
Macbook Air と同じく「T2」セキュアチップを搭載し、そのパワーで従来の 30 倍の速度で動画変換を行えるとのこと。

やはりクリエイター向けのモデルとしてアピールされていて、複数台積んで処理を行っている様子も公開されていました。

macmini

こちらは最小構成(Core i3、メモリ8GB、SSD 128GB)だと 89,800円
最高の構成(Core i7、メモリ64GB、SSD 2TB)だと 419,800円 になります。
Core i3、メモリ16GB、SSD 256GB だと 133,800円ですね。

もちろんデスクトップなので、モニターやキーボード等が別途必要です。

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以上、2018年10月の Apple 発表会の詳細でした。

待ち望まれていた新型 iPad がようやく発表です。
全画面、ホームボタン廃止、Face ID、USB Type-C など、ほぼ事前の噂通りとなりました。
一部で期待されていた iPad mini の新型はありませんでしたが、順当な強化で、新しい iPad が欲しいと思っていた方には嬉しい製品でしょう。

Macbook Air は処理能力的にはすぐ旧世代になりそうで、重量の 1.25 kg も今となってはそこまで軽い方ではないのですが、Retina ディスプレイは「ようやく」といった感じで、ファン待望の能力と言えそうです。
「T2」チップなど、Apple 独自の機能がどこまで価値を高めているかが気になります。
最大の価値は「Macbook Air である」ということでしょうけど。

今回の発表会では「クリエイター」「クリエイティブ」「クリエイティビティー」と「クリエイト」を連呼していて、かつて Mac の独壇場であった写真や映像、イラストや音楽などの分野で復権したいという意欲を感じました。

ともあれ、新 iPad は注目ですね。
余談ですが、私はもうゲームは iPhone ではなく iPad を使っています。
一昨年辺りからスマホ老眼の症状が出始め、文字が見にくくなって困っていたのですが、iPad メインに変えたところかなり改善されました。
もちろん出先でデカい iPad を使う訳にいかないのですが、やはり画面が大きい方が目にも良いようなので、家でゲームするなら iPad の方がお勧めです。

なお、今回の発表会で一番盛り上がり、大喝采が上がっていたのは「100%再生アルミを使ってるよ!」という環境保護の発表でした。
なんで再生アルミで大フィーバーになるのやら・・・