iPhone AC 番外レポート

iPhone や iPad(スマホやタブレット)の、主にゲームアプリのレビューを行っています。

ショートゲーム

Phoenix

敵の出現パターンや攻撃パターン、自機のパワーアップなど多くの要素がプレイごとに変わる、ランダム要素の強い縦スクロールシューティングゲーム
それが「Phoenix」です。

「縦シュー」ですが短時間で終わる、最近 iPhone で流行りの「サバイバルシューティング」に近い内容と言えますね。
開発したのは「Firi Games」というオランダのメーカーで、Fee ree さんという方が代表の小さな開発スタジオ(もしくは個人作成)のようです。

phoenix

ドラッグで自機が移動、ショットは自動で連射され、ボタンはありません
次々出て来る敵を倒し続けるというシンプルな内容ですが、ゲームバランスと操作性が良く、ゲームもスピーディーに展開し、思わず繰り返してしまう楽しさとテンポの良さがありますね。

俗に言う「弾幕シューティング」で、敵の攻撃はかなり激しく、画面が敵弾で埋め尽くされる事も多いのですが、自機は耐久力制で多少の被弾ではやられません。
加えて敵の「砲台」を破壊すると回復アイテムがバラまかれるため、まとめて被弾しない限りやられません。

敵を倒すとアイテムが出てくるのですが、何が出るかはランダム
パワーアップの場合、メインショットがパワーアップしたり、誘導ミサイルやウェーブが付いたりするのですが、それもランダム。
どの敵が出るかもランダムで、さらに敵に付いている1つ1つの砲台の攻撃方法も毎回ランダムです。
よってプレイごとに違う展開になるのが面白いところですね。

と言っても序盤からいきなり難しかったりする事はなく、敵の攻撃レベルに沿った弾の多さになるため、最初のうちは簡単で、徐々に難しくなっていくという基本の形は出来ています。
敵の出現パターンも強敵ばかりが続くような事はなく、基本的に強敵の合間に回復アイテムをばらまく敵が入るようになっているので、強敵を何度か切り抜ければ回復して耐えられる形になっています
この辺りの調整がうまく出来ている点が、やっていて楽しめる要因と言えるでしょう。

弾幕は「ケイブ系」と言え、放射状にバラまかれる弾や、間を抜けて行くための道が明確に作られている連なった弾などが多いです。
これに自機狙いのやや弾速が早い弾が組み合わさっている感じでしょうか。
砲台を破壊すると、その砲台が撃っていた弾が全て得点アイテムに変って、自動的に自機に吸い込まれる点も「ケイブっぽい」と言えますね。

Phoenix

とは言え、シューティングとして荒い点や難点も目立ちます。
まず自機の「当たり判定」が弾幕シューティングの割にはかなり大きい
このため最近のシューティングに慣れていると、「避けているつもりなのに当たってしまう」という状況が多発します。

しかも当たり判定が自機の中央ではなく前方にあるため、最初はやや解り辛い。
当たり判定の位置は「Instructions」で説明されているため、プレイ前に必ず見ておきましょう。
当たり判定が前方にあるのは、指の真下に当たり判定が来ないようにしているためだと思われ、これはこれで良い事だと思うのですが、出来ればゲーム中に当たり判定の位置が判る演出が欲しかった所です。

また、最近のゲームは「当たり判定の位置=自機の位置」であるため、例えば画面の右端に行く時は当たり判定の位置が画面右端まで動くのが普通なのですが、このゲームは「自機の見た目の右端」が画面の端に達したところで止まってしまいます
このため、「もっと画面端まで行けそうなのに行けなくて被弾してしまった」という事も慣れないうちは良く起こります。

ダメージの蓄積は自機から噴き出ている炎で確認出来ますが、自機の後方が指で隠れているためそれが確認し辛いのも難点でしょうか。


しかし高い耐久力と頻繁に出て来る回復アイテムのおかげで、被弾しまくっても持ち直したり出来るのがこのゲームの良いところ。
Game Center やオンラインランキングにも対応していて、地域別のランキングなどもチェック可能です。
難易度や敵の攻撃レベルが高いほどスコア効率も良くなって行くため、ハイスコア争いも楽しいゲームですね。

価格も 115 円と安く、購入しやすい値段です。
「弾幕シューティング」なので楽しめるかどうかは人によると思いますが、個人的にはかなり気にいっている、シューティング好きの方にはぜひオススメしたいアプリですね。

Phoenix HD (iTunes が起動します)

Bird Strike

どんどん上に昇っていくジャンプ系のゲームは Doodle Jump の大ヒット以後、様々なメーカーからたくさん登場した訳ですが・・・
上に昇るだけでなく「真下に落下していく楽しみ」もあるという、ちょっと変わったジャンプ系のゲーム。
それが「Bird Strike」です。

開発したのは PikPok というニュージーランドの会社。
モバイル用にショートゲームの開発を行っているメーカーで、「5分以内に終わる、移動中や休憩中のちょっとした空き時間に遊べるゲームを」というのを開発方針としているのが特徴です。

birdstrike

マップの各所に配置された「ロケット花火」を取りながら、上へ上へと昇っていくゲームですが、他の同型のゲームと違うのは「ステージクリア型」であることと、「ステージ内の配置が決められている」こと。

Doodle JumpMegajumpNinjump などの同型のゲームは全て、出てくるものの配置が「ランダム」です。
プレイするごとに変わるステージの中で、どこまで進めるかを競うゲームなのですが・・・

この Bird Strike はそれらとは違い、同じ配置のステージの中で、どれだけスコアを高められるかを競います。
そしてスコアが一定以上になるとメダルが貰えてクリアとなり、次のステージに進めます。
ですから同じステージを何度もやって配置を覚えると、スコアもどんどん高くなっていくので、いずれはクリア出来るようになりますね。
逆にランダム性がない分、プレイごとの変化や意外性はありませんが。

またこのゲームのもう1つの特徴が、ある程度まで上がると UFO に撃墜されて、高速で落下していくこと
そしてこの落下中は無敵状態で、あらゆる障害物を吹き飛ばし、破壊しながら落ちていきます。
もちろん物を吹っ飛ばせばスコアが上がるため、昇るだけでなく、落下中にいかに障害物を破壊するかも高得点のポイントになります。
この「昇って落ちる」という変化が面白いゲームですね。

birdstrike2

この PikPok というメーカーは「短時間で終わるゲームを」というのを方針としているため、「ダラダラ続くのではなく、ある一定のところまで昇ったら落として決着を付けてやろう」というデザインなのだと思います。
確かにこれはこれで、軽く遊べていいかもしれませんね。

ただ、やっぱり「長くプレイしたい」という意見もあったからか、アップデートで「エンドレスモード」も追加されました。
このモードだと UFO に撃墜されず、ひたすら(ミスらない限り)昇り続ける事が出来ます。
最近のアップデートで GAME CENTER にも対応しました。


以前は無料で提供されていたようですが、アップグレードで「GOLD EDITION」となり、115 円の有料アプリとなりました。
しかし 115 円なら、決して高くないゲームだと言えます。

正直、Doodle JumpMega Jump などの定番と言えるアプリと比べると、ややハマり度は低いかなと思います。
でも代表的なジャンプ系ゲームの1つであることは確かで、欧米でも相応に高評価を得ています。 キャラクターもユニークですしね。
この手のゲームが好きなら、試してみて損はないと思いますよ。

・Bird Strike (公開終了)

Headspin: Storybook

このアプリはオススメはしません
しかし、是非ともご紹介しておきたい・・・ そんな気になるアプリです。
「カラクリ付きの立体絵本」で間違い探しをするという、雰囲気抜群のミニゲームアプリ。
それが「Headspin: Storybook」です。

何というか、雰囲気「だけ」で勝負しているアプリなのですが・・・
でも、その雰囲気は確かに良いですね。

開発したのはイギリスのメーカーですが、イギリスって「デザインのみ」とか「雰囲気のみ」とかのアプリが多いような気が・・・ 偏見?

headspin

本が開かれるとページの左右に、左右対称(鏡像)の絵が表示されます。
しかし向きが正しくない絵が含まれているので、右ページの逆になっている絵をタップして、正常な向きに戻していきます。
すべての絵が左右対称になればステージクリアです。

ゲーム内容は非常にシンプルで、難易度もかなり低いです
1ステージが数秒で終わるほどで、そもそも制限時間が1面でも 20 秒しかありません。
最後になると1ステージの制限時間が 10 秒。 つまり、それだけの時間でステージが終わるゲームと言う事ですね。

そして、ゲームは 20 ステージで終了となります。
普通にやると 10 分経たずに終わります。 まさにあっという間。
クリア後はフリープレイが出来ますが、フリープレイにスコアのようなものはなく、単に1ステージごとのクリアを楽しむだけです。

あまりにもボリュームが少なく、しかしこれで 115 円の有料アプリ。
どう考えても無料アプリぐらいのボリュームでしかありません・・・

と言う訳で、ゲームとして見ると大して遊べないのですが、秀逸なのはその雰囲気ですね。
やや掠れた感じの古い本が開かれると光に包まれて色あせた絵が飛び出し、カラクリのような演出で雲や星が現れ、古風なサウンドが雰囲気を醸し出してくれます。
その動きやグラフィックのレベルはかなり高く、技術的には高いアプリだと言えます。

これだけの演出を作れるのであれば、もっと「ゲームとしての完成度」も高められるはずだと思います。
つまりこのアプリは、それを「あえてしていない」、雰囲気を最重要視したアプリだと言えますね。
きっとゲームではなく、「絵本として」楽しむ事を想定しているのだと思います。
良い意味でも悪い意味でも「芸術的作品」と言えるでしょう。
ステージ(ページ)ごとにストーリーも表示されます。 英文なので日本人には理解し辛いですが。

iPhone / iPad 両対応のユニバーサルアプリなので、お子さんがいる方で、iPad で子供と一緒にやるのには良い気がしますね。
一応スコアもあって、20 ステージ終了後の合計スコアを集計したオンラインランキングも存在します。
でもこのアプリは、スコアを競うより雰囲気を楽しむのがメインでしょう。

まあ私はそこまで高尚な人間ではないので、このアプリをやっても「やっぱりもっとゲームとして楽しめるものにして欲しかった」と残念に思ってしまうのですが・・・
価格は安いので、ゲームではなく「環境ソフト」として試してみるのには良いかもしれませんね。

Headspin: Storybook(iTunes が起動します)
 

Trainyard

世界的に大ヒットしているシンプルでクールな、列車を使ったパズルゲーム。
それがこの「Trainyard」です。

販売直後から日本はもちろん欧米でもかなりの高評価を受けていて、すでに iPhone / iPod touch の定番となりつつあるアプリです。
私的には「そこまで大絶賛されるほどでは」という気もするのですが・・・
いや、秀作であることは確かだと思うのですが。

開発したのはカナダの小メーカーで、最近カナダの秀作アプリが増えつつありますね。

trainyard

マスの上に列車のスタート地点とゴールがあります。
画面を指でなぞるとそれに沿って「線路」が敷かれ、スタートボタンを押すと線路に沿って列車が走り出します。
列車を全てゴールに到着させればステージクリアとなります。

列車には赤や青の色が付いていて、ゴールも各色に色分けされています。
赤のゴールには赤の列車を、青のゴールには青の列車を到着させなければなりません。
また、ゴールごとに到着させる列車の数が指定されている場合もあります。

線路は交差させたりポイント(分岐点)を作ったりすることも可能で、ポイントは列車が通過するごとに切り替わります。
初期のポイントの状態はダブルタップで変更できます。

ゲームのルール、画面の構成などは非常にシンプルにまとめられています。
そのためハデさはありませんが、解りやすくてクールな印象で、パズルらしいパズルと言う感じですね。

そして操作性が非常に良く、削除(ERASE)モードで指をサッとなぞると線路を消すことができ、かなりの手順まで戻せるアンドゥ(一手戻る)機能も付いています。
列車をスタートさせた後も、ダメだと思ったらすぐボタンで停止して設置モードに戻れるし、列車のスピードもコントロールできます。
全体的に「キビキビ」とした操作感ですね。


最初の頃はかなり簡単なステージが続き、あまりにも簡単過ぎてダレて来ました。
しかし中盤以降になると「列車を同時にゴールさせなければならないステージ」「色の違う列車を合わせて別の色にしてからゴールさせなければならないステージ」などが登場。
こうなると各列車をどこで合流させるか、どうやって時間を合わせるかなどを考えなければならなくなり、急にパズルとしてのレベルが上がります。

それでもパズルとしてはそんなに難しい訳ではないのですが、思考性はかなり高く、かなり頭を使うゲームである事も確か。
程よい難易度が、逆にクリアする気持ち良さを与えてくれますね。
難しいステージでも、失敗したと思った時にすぐ設置モードに戻れるので、やっていてストレスになりません。

Trainyard

ただ私的にはこのゲーム、ちょっと物足りなさもありますね。
全体的に淡々としていて、派手な演出がある訳でもなく、イマイチ盛り上がりに欠けます
私がこの手のパズルに慣れてしまっているというのもあるかもしれませんが・・・

しかし日本でも、そしてアメリカやヨーロッパでもかなり評価されていて、iTunes レビューでも大絶賛の嵐です。
一般の人にとってはゲームっぽい派手な演出はない方がプレイしやすいだろうし、複雑なルールよりシンプルなルールの方が解りやすいです。
このアプリはそれらの条件を満たしていて、それでいて思考性と操作性に優れるので、それがこれだけのヒットになっている要因でしょうか。

私は序盤が簡単過ぎると思ったのですが、「万人ウケ」の事を考えると、むしろこのぐらいの方が良いのかもしれません。
後半になると本格的な難易度になるので、パズルに慣れている人は序盤だけでゲームを判断しないようにして下さい

価格も 200 円と安く、無料の「Trainyard Express」も用意されています。
有料版は 150 ステージ、Trainyard Express は 60 ステージですが、無料版でも(タダの割に)十分なボリュームと言え、さらに有料版と無料版のステージは全て異なるので、無料版も単なる「体験版」という訳ではありません。

このアプリの場合、ゲームっぽくないシックな雰囲気が大ヒットの要因と言えるでしょうか。
普段ゲームなどをあまりやらない一般の方に、特にオススメしたいアプリですね。

Trainyard(iTunes が起動します)
Trainyard Express(iTunes 起動、無料版)

Reckless Racing

美しく書き込まれたコースを上空から見下ろした、ドリフトしまくりなオフロード・カーレースゲーム
それが「Reckless Racing」です。

こうした空から見下ろした感じのレースゲームは昔は良くあったのですが、最近はあまり見かけませんね。
しかしゲームとしては解りやすくて面白いタイプだと思います。
また、このアプリは非常に細かく書き込まれたグラフィックと物理シミュレートされた動きによって、昔ながらのゲームシステムでありながら、むしろ新鮮さを感じる内容に仕上がっています

発売元は EA(エレクトロニック・アーツ)、開発元はスウェーデンの Pixelbite という新興メーカー。
このメーカーの創設者は iPhone / iPod touch 初期のレースゲームの名作「Fastlane Street Racing」を作った方のようです。
そのためか、レースゲーム中心の開発を行っているようですね。

Reckless Racing

まず目に付くのがグラフィックの細かさ。
非常に美しく書き込まれた風景、タイヤの跡が付き砂ぼこりが舞うリアルな演出など、上空から見た形のレースゲームとしては「最高クラス」と言って良いグラフィックではないでしょうか。

さらに車の挙動なども「物理シミュレーション型レース」と言っても良いぐらいリアルで、画像では 2D に見えますが実際の画面は 3D で表現されており、看板やコーンにぶつかるとそれもリアルに吹っ飛んでいきます。

オフロードレースなので車はドリフトしまくりで、常に横滑りしながらコーナーを抜けていく感じです。
さらにコースにはジャンプ台とか崖とか池とか、いかにもデンジャラスなものが各所にあって、転倒するわ谷底に落ちるわ池にハマるわのハデな展開が繰り広げられます。
しかし走行不能になっても短時間で復帰でき、しかも「イャーホォゥ!」とか言う歓声が上がります。
いわゆる「事故る(事故らせる)のも楽しいゲーム」ですね。

Reckless Racing

1レースは1~2分で終わるため、1回のプレイはかなり短いゲームです。
「ショートゲーム」と言っても良いでしょう。
しかし難易度は ブロンズ・シルバー・ゴールド の3種類が用意されていて、ゴールドはかなり手強いので、思わず勝つまで繰り返してしまう楽しさとテンポの良さがあります。

コースは全部で5コース。 逆走コースもあるので合計 10 コース。
ただ、基本コースが5つというのはちょっと少ないかな、というのも本音です。

オンラインランキングに対応していて、レース終了後にすぐ現在の順位が表示されるため、上位ランキングを目指すのが最終的な楽しみ方になるでしょうか。
気軽にオンライン対戦が出来る「マルチプレイ」もあるので、そちらで遊ぶのも楽しいのですが、現在のところマルチプレイでのレートや戦績はないようです。
なお、大きなコースで指定の場所まで荷物を運ぶのを繰り返す「デリバリーモード」も用意されています。

車は全部で6種類。 特に説明はありませんが、車の挙動は少し違うようで、例えば小型ジープは小回りが効き、トレーラーは車体が重いためかなり流されます。

このゲームは iPad 版も用意されています。
そして iPad 版には iPhone / iPod touch 版にはない、3つのコース(逆走を含めると6つ)が追加されています。

※現在は iPhone 専用版が廃止され、iPhone / iPad 両用の「Reckless Racing HD」のみとなっています。

Reckless Racing HD

海岸のショッピングモールや工事現場、夜の倉庫など、iPad 用コースはちょっと変わったものが多いですね。
難易度は総じて高めです。

価格は iPhone / iPod touch 版が 350 円、iPad 版が 600 円です。

※現在は両用版が 120 円になっています。

1プレイが短時間で終わるショートゲームではありますが、クオリティーを考えると決して高くはなく、むしろ割安なぐらいではないでしょうか。

気軽に短時間で遊べて、技術・グラフィックのレベルも高い、秀作のゲームだと思います。
今後のアップデート次第では定番アプリになり得るのではないでしょうか。

Reckless Racing HD(両用版です)

Angry Birds Halloween と ソーシャルゲームプラットフォーム

600 万ダウンロードを突破し、もはや世界的大定番アプリとなった投射型物理シミュレートパズルゲーム「Angry Birds」。
それにハロウィンバージョンが登場しています。
それが「Angry Birds Halloween」です。

そしてもっと注目なのが・・・
この Angry Birds を販売していた iPhone / iPod touch アプリの大手パブリッシャー(公開元) Chillingo が、EA(エレクトロニック・アーツ)に買収されたというニュース。
買収価格は2千万ドル(1ドル100円とすると20億円)と言われています。

しかしこの動きに Angry Birds の開発メーカー Rovio は反発しており・・・ 「もう Chillingo とは契約しない」とコメント。
今回公開されたハロウィンバージョンも販売元が Rovio 自身になっています。

今回はアプリのレビューだけでなく、急に進み始めたその辺りの iPhone アプリ / モバイルゲーム の動きも合わせてご紹介したいと思います。

まずは Angry Birds Halloween の内容ですが・・・

angrybirdshalloween

ゲーム自体は、普通の Angry Birds と変わりません。

簡単にゲーム内容を説明すると、投射機で鳥の姿をした「弾」を放り投げ、木や石の板などで構成された建物の中にいる「ブタ」を倒します。
建物は鳥が当たると「物理シミュレート」された動きでリアルに崩れていき、その壊れる様子を見るのも楽しいゲームと言えますね。

ハロウィンバージョンは背景が黒と赤のハロウィン風のグラフィックで、サウンドも不気味なホラー風のものになっています。
カボチャやランタンなども登場し、カボチャは破壊すると笑い声共に破裂してコウモリが飛び出していきます。

ステージも新しいものが収録されていて、合計 75 ステージ
本編よりは少なめですが、115 円という価格を考えると相応のボリュームがあると言えます。
また、難易度は本編よりかなり高く、10 ステージ目辺りから早くも本編の後半に匹敵するぐらいの難しさになります。
よって基本的には Angry Birds 経験者向け、と言えますね。

※現在、Angry Birds Halloween は Angry Birds Seasons に変わり、季節ネタ全般を扱うものになっています。
そのためハロウィンだけでなく、クリスマスやバレンタインをテーマにしたステージも追加されています。

Angry Birds Seasons(iTunes が起動します)


さて・・・ この Angry Birds、本家は前述したように 600 万ダウンロードの大ヒットアプリとなりました。
そのためか今回の Chillingo 買収のニュースでも、一般のビジネスニュースでは「Angry Birds の Chillingo が」と言うような表現をされることが多いようです。

私的には、ChillingoiDraculaMinigoreDefender Chronicles など他にも多くの名作ゲームを販売しており、Angry Birds はむしろ後発のアプリなので、「Angry Birds の」と表現されるのは違和感があるのですが・・・
その Angry Birds の開発元が今回の買収で真っ先に「異を唱えた」と言うのは皮肉なものです。

Chillingo と言う会社はパブリッシュ(出版・公開)とプロモーション(販促・広報)を行う「パブリッシャー」と呼ばれる会社で、Chillingo 自身がゲームを開発している訳ではありません。
パブリッシャーという言葉は元々は書籍の「出版社」という意味なのですが、つまり「作家は別にいる」訳ですね。

こうしたゲームのパブリッシュ専門会社というのは日本ではあまり馴染みがありませんが、実際には日本でもスクウェアやバンダイナムコ、カプコンなどの大手会社は、外注で制作されたゲームを販売・監修しているので、日本でも大手メーカーは同時にパブリッシャーでもあります
(まあ世界的にも Chillingo は特殊な会社だったとは思います)

今回の EA の Chillingo 買収劇でどうして Angry Birds の開発元 Rovio が反発しているのかは解りませんが、提携メーカーとしては自分の会社の版権が意図せず EA に流れていくような事に反発する動きもあるのでしょう。
EA は Chillingo を吸収する訳ではなく、Chillingo は今後も独自に活動していくようですが、子会社になる以上はその権利は親会社のものにもなるでしょうから、中小メーカーとしては Chillingo を利用し辛くなるかもしれません・・・

ユーザーにとっては、EA は開発力や資金力のある会社なので更なる拡張が期待できるし、日本語版を開発してくれるメーカーなので、日本人にとっても期待できる話と言えます。
まあパソコンのゲームソフトについては、EA に吸収されたためにその後に整理縮小され、消えていったタイトルが少なからずありますが・・・


さて、今回の買収の理由についてですが、これはどうやら「ソーシャルゲーム・プラットフォームの取得」というのが大きいようです。
「ソーシャルゲーム・プラットフォーム」は先日もご紹介したばかりですが、Apple の Game Center や、OpenFeintAGON などのゲームアプリを通じた「ソーシャル・ネットワーク・システム(SNS)」ですね。

海外では FaceBookMySpace などのコミュニティツール「SNS」が大きく発展しています。
これらは「実名による現実世界のコミュニティの補助」と言えるシステムなので、日本の環境にはまったく合っておらず、日本では鳴かず飛ばずの状態なのですが、海外では高い利益を上げています。
日本でも招待型の SNS である Mixi は大きな収益を上げていますね。

そして現在、SNS と同じぐらい成長を期待されているのが、OpenFeint などの「ソーシャルゲーム・プラットフォーム」です。
今回買収された Chillingo は Crystal というソーシャルゲームプラットフォームを持っています。
また、Chillingo に先だって EA に買収されたイギリスの Playfish という会社も FaceBook や MySpace でソーシャルゲームを作っていた会社です。

日本でも最近「モバゲー」を運営する DeNA が、Plus+ というソーシャルゲーム・プラットフォームを持っていた ngmoco というメーカーを4億ドルと言う超高額で買収しました。
ここは「Rolando」という大ヒットアプリを開発していたメーカーですが、本当の狙いは Plus+ を発展させた海外でのソーシャルゲーム展開であったようで、「今後はこれを収益の柱としたい」という意向のようです。

今年はディズニーも Tap Tap Revenge シリーズ を展開している Tapulous という会社を買収したのですが、Tap Tap Revenge 3 はそれ自体がすでに SNS となっています。

要するに、「ソーシャルゲームプラットフォームの取り合い」「ソーシャルゲームへの進出合戦」が行われているみたいですね。
日本でソーシャルゲームというと「Mixi のおまけゲーム」と「携帯電話のプチオンラインゲーム」みたいなものですが、世界的にはもっと大規模に考えられているようです。
ソーシャルゲーム・プラットフォームは普通のゲームにソーシャルネットワークのシステムを加えるものなので、FaceBook や MySpace などのオープンな SNS が盛んな海外では、日本以上の効果が期待されているのかもしれません。

あと数年経つとソーシャルゲームの世界でも、作り込まれた海外製の作品がどんどん日本に流入してくることになるかもしれませんね。
FaceBook や OpenFeint を見ていると、海外製のソーシャルシステムは日本じゃダメな気もするけど、EA や DeNA が絡んでくると、また違ったものになって行くかもしれません。

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PS ・ 先日の記事「Game Center 対応ゲーム情報」にも、対応アプリを追加しました。

Coin Dozer - Halloween & Coin Dozer Pro

ゲームセンターに良くあるコインプッシャー(コイン落としゲーム)を iPhone / iPod touch 上で再現した人気アプリ「Coin Dozer」にハロウィーンバージョンが登場しました。
それが「Coin Dozer - Halloween」です。

日本じゃいまいちピンと来ませんが、欧米ではハロウィーンは大きなお祭りで、ゲームでもハロウィン用のアップデートやアイテム配布が行われたり、オンラインゲームでハロウィン用イベントが開催されたりするのは良くある事です。
Coin Dozer のハロウィンバージョンもその1つと言えますね。

今回のハロウィンバージョンの公開に合わせ、広告のない Pro バージョンも登場しているので、こちらも合わせてご紹介します。
と言っても Pro バージョンは広告がない「だけ」なので、ゲーム自体は全く変わっていないのですが・・・

Coin Dozer - Halloween

落としたコインが物理シミュレートによってリアルに押し出されていき、手前に落ちたコインは自分のものとなります。
たくさんのコインや巨大コインが落ちてくる「スペシャルコイン」、集めると様々な特典を得られる「プライズ」も存在します。

まあゲーム内容については、オリジナルの「Coin Dozer」と全く同じなので、そちらの解説ページをご覧下さい。

ハロウィンバージョンがオリジナルと違うのは、見た目と演出についてですね。
プライズがオバケやカボチャなどのホラー系アイテムになっており、スペシャルコインの効果が出る時も画面が暗くなり、落雷の音がするなどの演出があります。
何もしてなくても狼の遠吠えが聞こえるなど、全体的に演出とサウンドが強化されています

また、Coin Dozer はバージョンアップによって「経験値」と「レベルアップ」が追加されました
これはハロウィン版だけでなく、オリジナル版や Cookie Dozer も同様で、レベルアップによってスペシャルコインの効果が発生したり、プレイしていない時に貯まるコインの最大数が増えたりします。
経験値が多めに増えるスペシャルコインも追加されました。

ただ、そのためかゲームが全体的に重くなっていて、多数のコインが落ちてくると動作が引っかかる場面が目立ちます
iPhone 4 でもそうなので、iPhone 3G だと尚更かも・・・ この点はご注意下さい。

レベルアップが追加されても、ゲーム的には以前とあまり変わっていないのですが、「前と同じ楽しさがある」のも確かですね。
やや難点なのは、ハロウィンバージョンは「ホラー系」なので、「目玉」などの不気味なアイテムもあることでしょうか・・・
ちょっと好みが分かれるデザインで、私的には普通のコインドーザーの方が好きですね。

また細かい点ですが、現時点(10/17)のハロウィン版コインドーザーはプライズ(景品)の説明が広告で隠れてしまう難点があります。
(普通の無料版コインドーザーは解説が正常に表示されています)

Coin Dozer - Halloween

なお、今回 Coin Dozer と Coin Dozer - Halloween に 350 円の Pro 版が公開されましたが、これは「広告の有無」の違いだけのようです。

Paper Toss なんかも無料版と、広告がない有料版の2種類がありますが、それらと同じ形式だと思えばいいでしょう。
「Pro」とか言うから機能拡張版なのかと思ってしまいがちですが・・・ 内容に違いはありません。

初期の頃はこうした「広告付き無料版」と「広告のない Pro 版」の2つがある iPhone アプリは結構あったのですが、最近はあまりないので、こうしたものを見るのは初めての方もおられる思います。
そんなに広告が邪魔になるゲームではありませんが・・・ 長くやっていて、広告がないバージョンも欲しいなと思った方は、Pro にしても悪くないかもしれませんね。
広告の非表示だけで 350 円というのは正直高い気もするけど。
また「別アプリ扱い」なので、データの引き継ぎはありませんから、当然ゲームは最初からになりますのでご注意下さい。


Coin Dozer シリーズはおそらく「無料の広告表示型のアプリ」としては、一番成功しているものではないかと思います。
そして成功しているからこそ、こうしたハロウィーン版も出せるというのがあるのでしょうね。
今後も新バージョンやアップデートに期待していきたいところです。

Coin Dozer - Halloween(iTunes が起動します)
Coin Dozer - Halloween Pro(iTunes が起動します)

普通の Coin Dozer と Cookie Dozer はこちらを。
 

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