その三國志シリーズの第二作目「三國志2」が iPhone / iPod touch アプリとして発売されました。
コーエーの三國志の中でも名作と名高いゲームです。
このアプリ、12月16日に発売されていたようなのですが、大作ラッシュの影響で完全に埋もれてて、先日偶然見つけるまで全く気付きませんでした。
ニュースリリースとかも全くなく、だから大手のゲーム情報サイトなどでも発売のお知らせは皆無。
「三國志2」と言えば相応に大きなタイトルだと思うのですが・・・ いいのかコレで。
広報に忘れられてるんじゃないのかこのアプリ・・・
ともかく、ゲームはちゃんと「三國志」しています。
前作は初代の三國志がベースでしたから、最近の三国志しか知らない方には「劣化版」にしか見えなかった難点がありましたが、三國志2は「その後の三国志のスタイル」を作り上げたゲームなので、旧作を知らない方でも受け入れられると思います。
ゲームのインターフェイスは前作「三國志 Touch(三國志1)」を踏襲していますが、各所に改善が見られます。
内政画面では画面下のアイコンから命令を出すのですが、前作は「機能」や「情報」などのボタンは画面下をスライドして切り替えなければ表示されませんでした。
しかし今回は「情報・機能・進行」の3つは画面右に別枠で表示され、スライドで切り替える必要は無くなりました。
画面上部に表示されている都市情報もより細かくなり、特に「人口」を簡単に確認出来るのは地味に嬉しい変更点です。
命令を与える時の武将の選択画面も、能力値や忠誠度などの表示を切り替えるボタンが追加され、より解りやすくなりました。
大きすぎたボタンもやや小さくなり、その分画面が広くなっています。
より洗練されたインターフェイスになったという印象ですね。
操作の基本説明をしてくれるチュートリアルも用意されており、今回はボケる劉備とツッこむ諸葛亮のコンビでお送りされます。
ゲーム内容は、携帯向けに簡略化した部分も多く見られますが、基本的には「メジャーな三國志」のシステムです。
つまり、コマンドは武将ごとに実行することができ、ちゃんと兵士数の編成や輸送などの一般的なシステムが存在していて、委任も自動輸送などを含め細かく指定できて、計略も色々と用意されている、「おなじみの三国志」ですね。
前作は原作を知らない方から、「命令が1つしか出せない」「輸送がねぇよ」「編成できねー」と散々批判されました。
「初代三國志は元々そう言うゲーム」だったので、無いのが当たり前なのですが・・・ それでも、iTunes では酷い言われようをしていました。
しかし三國志2は基本システムが整っているため、そういった形で非難される事はないと思います。
三國志2の大きな特徴は、外交や計略の使者がマップ上を移動し、他国を通過する時に捕まることがあること。
この時、手紙を没収されたり、運が悪いと相手に捕縛される事もあります。
もちろん他国の使者が通過した時に、こちらがそれを捕らえることもあります。
この使者の移動はその後の三國志には受け継がれませんでしたが、私は面白くて好きですね。
もう一つの大きな特徴は「計略」が豊富で、かつ強力なこと。
相手の忠誠度を下げる「偽書疑心」、戦闘中に寝返らせる「敵中作敵」、味方武将を相手国に潜り込ませる「埋伏の毒」などがあり、敵国に武将を埋伏させるとその国の武将の忠誠度が徐々に下がっていく効果もあります。
このゲームは計略を実行し、軍師が「失敗します」と言っても、戻って再び選択し直すと内部の乱数が変化して、軍師のセリフが「妙手です。ぜひ行いましょう」とかに変わる場合があります。
そうなるまで繰り返してから実行することで、計略を高確率で成功させることが出来ます。
軍師の助言は必ず当たる訳ではないのですが、知力が高いほど確実性が増すため、質の良い軍師の存在が非常に重要なゲームでもありますね。
知力が 100 だと「助言が 100 %外れない」ので、諸葛亮の存在は非常に強力で、孔明が神やコンピューターのように言われ始めたきっかけのゲームでもあります。
また、このゲームは戦争に5部隊しか派遣できないのですが、防御側は10部隊で守る事が出来ます。
つまり相手の兵力が高いとどうしても不利になるのですが、計略で戦争中に相手を寝返らせれば攻撃側でも6部隊以上になるので、その点でも重要です。
義理が低い呂布や魏延だと計略なしで忠誠度100でも寝返ったりするので、呂布の裏切りっぷりが凄く、酷い時には1度の合戦で数度寝返ったりしました。
このあたりはゲームバランスの都合上、その後の三國志では修正されたのですが・・・ このぐらい極端な方が、武将の個性はあった気がしますね。
「共同作戦」が導入されたのもこの三國志2からで、同盟した国に同時進攻を依頼し、一緒に攻めることが出来ます。
この方法でも攻撃側が6部隊以上になるし、このゲームは同盟の締結と破棄が割と簡単に行えるので、かなり有効に活用できます。
相手の共同作戦や救援要請に応じたり、捕らえた同盟国の使者をそのまま通過させることで「信頼度」も上がります。
この信頼度が高いと登用の成功率が上がり、武将の忠誠度も下がりにくくなるため、非常に重要です。
合戦は前作(三國志 Touch、三國志1)を踏襲していて、iPhone / iPod touch 用のやや小さめのマップになっています。
ただし取られたら負ける「兵糧庫」の概念はありません。
今回は部隊の機動力が多いため、訓練度さえあれば5マス以上一気に移動出来ます。
ただし敵に隣接すると移動が止まるため(俗に言う ZOC がある)、敵の近くではあまり動けません。
森に入ると部隊が見えなくなり(伏兵)、そこに敵が踏み込んでくると奇襲攻撃を行うというユニークな要素もあります。
火計は前作のように「一撃必殺」ではなくなりましたが、より燃え広がるようになっているので、場合によっては「火の海の中で逃げるので精一杯」という状況になる事もあります。(しかも防御側のコンピューターはやたら火を付けまくる)
この火計の派手さも三國志2の面白さと言えますね。
「突撃」は敵を倒せなくても反対側に貫通するため、いざという時はこれで逃げる方法もあります。
ただ、攻撃の基本が敵を囲んでの「一斉攻撃」である点は変わりません。
三國志2は「一騎打ち」が最初に導入されたゲームでもあり、開戦前に武力の高い武将を戦わせることが出来ます。
(と言うか、たいてい武将が勝手に一騎打ちを申し出ます)
勝った方は相手を(兵士ごと)捕える事ができますが、もちろん負けると捕らえられます。
リスクもありますが、三國志らしいと言えますね。
難点は iPhone / iPod touch 用に内政が簡略化され、開発値が上がるのが早く、上限にすぐ達するため、内政では早期に「やることが無くなる」ことでしょうか。
国作りの楽しさのようなものは、あまりありません。
オリジナルの三國志2もその傾向はあったのですが、治水や武装度と言った数値がカットされたため、ますますそうなっています。
その分「計略をして下さい」ということでしょうか。
まあ、治水や武装度は重要度が低い数値でしたし、簡略化されたことはゲームのテンポアップにも繋がっていますけどね。
シナリオは3つ、「董卓の横暴」「諸葛亮登場」「三國の鼎立」。
オリジナルと比べると少なくなっていますが・・・ 基本となるシナリオは押さえられています。
新武将は 30 人まで登録可能で、新君主としてプレイする事も出来ます。
この「オリジナル武将の作成」の要素も、三國志2から導入されたものです。
武将の能力を上げる「アイテム」が登場するのも、このゲームからですね。
全体として「コーエーの歴史シミュレーションゲームの基本」が形作られており、そのため 三國志 Touch(三國志1)に不満だった方でも、こちらなら楽しめると思います。
価格は 1300 円と高めですが、コーエーのアプリだから高いのは仕方がないところでしょうか・・・
アプリ自体は良く出来ているので、コーエーの歴史 SLG が好きなら、値段分の価値はあるはずです。
追加の要素として「武将列伝」と、新しい武将(黄月英などの女性武将も含む)が加わっています。
三國志2は私にとって思い出のゲームであり、子供の頃、友人たちと集まって夏休みの全てをこのゲームに費やした事があります。
昨今のコーエーは無双シリーズを中心とする歴史シミュレーション以外のジャンルに傾倒していますが、やはりコーエーは「歴史SLG」が中心にあってこそのメーカーだと思いますし、そこからズレた事が昨今の収益悪化に繋がっているのではないかと思います。
無双も面白くはありますが、iPhone / iPod touch で「三國志」と「信長の野望」が展開されていることは、良い流れなのではないでしょうか。
・三國志2(iTunes が起動します)